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境界性パーソナリティ障害のirritability(易刺激性)とは、治療は?について名古屋の児童精神科医が解説
境界性パーソナリティ障害のirritability(易刺激性)とは、治療は?について名古屋の児童精神科医が解説
こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。
今回は、境界性パーソナリティ障害のirritability(易刺激性)とは、治療は?について解説します。
境界性パーソナリティ障害(BPD)の診断基準は以下のようになっています。
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DSM-5では、BPDを診断するために以下の基準が挙げられています。患者が以下の9つの特徴のうち5つ以上に該当する場合、BPDと診断されることがあります。
努力を避けるために他人を過度に避けることがある。
捨てられることへの極端な恐れがあり、実際にはそういったことが起きていないにもかかわらず、激しい努力をして避けようとします。
安定していない対人関係パターン
理想化と軽蔑の間で極端に揺れ動く対人関係。
自己像の不安定さ
自己感覚、自尊心、価値観、または性的指向の顕著な不安定さ。
衝動性
自己に害を及ぼす可能性がある少なくとも2つの領域(例: 浪費、性的無軌道、物質乱用、無謀運転、過食症)での衝動的な行動。
自殺行為、自己傷害行為、自殺の脅しまたは自殺のほのめかし
実際の自殺行為、自傷行為、脅し、または自殺企図を含む。
感情の不安定さ
日常の出来事に対する反応としての顕著な感情の不安定さ(例: 持続的な不機嫌さ、激しい悲しみ、不安、または怒り)。
空虚感
持続的な感情的な空虚感。
不適切な、極度の怒り
状況に不釣り合いな怒りの表現、または怒りをコントロールするのが困難。
一時的な妄想的な考えや重度の解離症状
ストレスが原因で一時的に妄想的な考えや重度の解離症状が現れる。
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BPDは0か100の極端な思考になってしまうことが中心的症状ですが、上記のような症状も認めることが多いです。
これらの原因は、もともと生まれつきの気分易変性と、不認証環境と言われる生育歴の二つと言われています。
養育者との2者関係からスタートしている不適切な対人関係の修復には、かなりの時間がかかります。
弁証法的認知行動療法(DBT)も基本的にはこれを改善するための一つの方法として考え出されました。
一方で、生来の気分易変性も、日常生活ではかなり邪魔している部分です。
気分の波、特に気分が下がる、と不安が強くなり、イライラすることも増えます。
いらいらは対人トラブルの原因となりますし、気分が落ちる時に希死念慮が出やすく、リスクがあります。
ですので、この易刺激性に対してはなんらかの内服治療を行ってもいいのではないかと考えています。
BPDのirritability(易刺激性)に対する臨床試験は、海外では多く行われており、私も東海大学にいる時に独自に臨床試験を行っていました。
気分安定薬がもっとも臨床試験の結果も+に出ています。
また、時折ADHDの合併が認められるケースでは、ADHDによる衝動性が易刺激性の原因となっていることがあり、その場合はADHD治療薬を使用していました。
どちらにしても、易刺激性がある程度改善すると、日常生活での対人トラブル、希死念慮の発生頻度は、下がってきます。
少しでもリスクを下げた状態で、本質的な治療となる、生育歴の振り返りと整理、そしてセラピストや主治医との二者関係の取り方の修正を行っていきます。
ある程度の時間がかかるため、その期間の安全性を少しでも高めるためには、易刺激性に対する内服治療は考慮するべきだと思います。
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境界性パーソナリティ障害(BPD)における易刺激性は、状況に対して過剰に感情的に反応する傾向を指します。この特徴は、感情の急激な変動、怒りの爆発、極端な感情的な不安定性として表れることがあります。BPDの治療は、患者さんの症状、ニーズ、生活状況に応じてカスタマイズされる必要がありますが、主に以下のアプローチが含まれます。
精神療法
認知行動療法(CBT):
思考パターンや行動の変更を通じて、症状の管理を助けます。
方案化に基づく治療:
個人の特定の問題やBPDの発症に関わる要因に焦点を当てます。
精神力動的治療:
感情や対人関係の問題に焦点を当て、不安定な自己像や他者との関係に対処します。
ダイアレクティカル行動療法(DBT):
BPD治療のために特別に開発され、感情調節、ストレス耐性、対人関係スキル、マインドフルネス(現在の瞬間に集中すること)を教えることに焦点を当てています。BPDの患者さんにとって最も効果的な治療の一つとされています。
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まとめ
今回は、境界性パーソナリティ障害のirritability(易刺激性)とは、治療は?について解説しました。
易刺激性のコントロールは治療序盤にやっておくと、危機的な状況になることを少しでも減らすことができるかもしれません。
完全に易刺激性が改善しなくとも、ややコントロールがつくだけでも、生活のしやすさは変わってくることがあります。
本質的な治療には時間がかかりますが、なぜ自分が今こうなっているのかを知るだけでも、自分にフィットする感覚がでることがあります。
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