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2026.08.11ブログ

分離不安症——「お母さんと離れられない・学校に行けない・一人でいられない」子どもへの正しい理解と支援を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説

分離不安症——「お母さんと離れられない・学校に行けない・一人でいられない」子どもへの正しい理解と支援を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説

「朝になると泣いて登校を嫌がる・お母さんにしがみついて離れない」「学校に行ったとしても保護者のことが心配で授業に集中できない」「夜になると『お父さん・お母さんが死んでしまうのでは』と怖くてたまらない」「一人で寝られない・保護者と別の部屋に行けない」「修学旅行や泊まりの行事には参加できない」——これらの症状は、発達段階に不釣り合いなほど強い分離への恐怖・不安によって引き起こされる分離不安症(Separation Anxiety Disorder)の特徴です。「甘えている・過保護にしすぎた」という誤解を受けやすいですが、分離不安症は医学的な不安症の一つであり、適切な治療・支援で改善できる疾患です。名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、分離不安症の正確な理解・診断・治療・保護者の正しい関わり方まで、わかりやすく詳しく解説します。


目次

  1. 分離不安症とは——「甘え」ではない医学的疾患
  2. 発達段階と分離不安——正常な発達との違い
  3. 分離不安症の有病率・発症時期
  4. 分離不安症の症状——8つの診断基準
  5. 分離不安症と登校拒否・不登校の関係
  6. 分離不安症の原因——愛着・気質・環境・ストレス
  7. <cite index=”12-1″>分離不安症と合併しやすい疾患</cite>——全般性不安症・パニック症・強迫症
  8. ASD・ADHDとの関係
  9. 分離不安症の診断——何科を受診するか
  10. 「甘やかし・過保護」ではない——保護者が責められるべきでない理由
  11. 【治療①】認知行動療法(CBT)——段階的エクスポージャー
  12. 【治療②】保護者への心理教育・ペアレントトレーニング
  13. 【治療③】薬物療法——SSRI
  14. 学校との連携——段階的な登校支援
  15. 「reassurance(安心の要求)」への正しい対応
  16. 回復の見通し——年齢とともに改善できる
  17. よくある質問(FAQ)
  18. 和光医院での診療について

1. 分離不安症とは——「甘え」ではない医学的疾患

定義

**分離不安症(Separation Anxiety Disorder)**は、愛着のある人物(多くは保護者)や家・慣れた場所からの分離に対して、発達段階に不釣り合いなほど強い恐怖・不安が生じ、それが日常生活・学校生活に著しい支障をきたす不安症の一つです。

DSM-5では「不安症群」に分類され、パニック症・社交不安症・全般性不安症と同じカテゴリの疾患です。

「甘え」との本質的な違い

「お母さんと離れられないのは甘えだ」「もっと強くなりなさい」という対応は、分離不安症の子どもには全く有効ではなく、むしろ不安を深め症状を悪化させます。分離不安症の恐怖は「発達段階に不釣り合いなほど強い」ものであり、本人が意志の力でコントロールできる問題ではありません。


2. 発達段階と分離不安——正常な発達との違い

正常な分離不安

生後6〜8か月頃から乳幼児期に分離不安は正常な発達過程として現れます。「いないいないばあ」で泣く、見慣れない人を怖がる(人見知り)等がそれにあたります。通常、3歳頃までに養育者との安定した愛着関係が形成されることで、分離への対処力が育ちます。

分離不安症との境界線

  • 年齢・発達段階に対して不釣り合いに強い恐怖・不安
  • 4週間以上(小児は)継続する
  • 学校・社会的な場面への著しい支障がある
  • 本人に強い苦痛がある

3. 分離不安症の有病率・発症時期

  • 有病率: 子どもの約4〜5%・青年の約1.6%(不安症の中で最も多い)
  • 好発年齢: 小学校入学前後(5〜8歳)が最多。ただし思春期以降の発症もある
  • 性差: 女児にやや多い
  • 経過: 適切な治療なしには長期化・他の不安症への移行リスクがある

4. 分離不安症の症状——8つの診断基準

DSM-5の診断基準では以下の8項目のうち3項目以上が必要です。

家または愛着のある人から分離することを予期するときの反復する過度の苦痛

愛着のある人を失うこと・その人に病気・怪我・天災・死等の悪いことが起きることへの持続的・過度な心配

迷子になる・誘拐される等、愛着のある人から引き離される出来事が起きることへの持続的・過度な心配

分離への恐怖のために学校や外出等に行くことへの拒否・拒絶

家または愛着のある人なしに一人でいることへの持続的・過度な恐怖

愛着のある人が近くにいない状態で就寝することへの拒否・拒絶

分離のテーマを含む悪夢を繰り返す

分離が起きるとき・予期されるときに頭痛・腹痛・吐き気・嘔吐等の身体症状を繰り返す


5. 分離不安症と登校拒否・不登校の関係

分離不安症は小学校低学年の不登校の最も多い背景疾患のひとつです。

分離不安症が不登校につながる経路:

  • 「お母さんと離れることへの恐怖」→学校に行くと保護者から離れる→登校を強く拒否
  • 学校で「何か悪いことが起きているのでは(保護者が事故に遭っているのでは)」という心配が授業中も頭から離れない
  • 「保護者に何かあったら」という不安で保健室に何度も電話する・帰りたがる
  • 給食・体育・遠足・修学旅行・宿泊学習への参加を強く拒否する

6. 分離不安症の原因——愛着・気質・環境・ストレス

気質的素因

不安になりやすい気質(行動抑制気質)は遺伝的素因があります。親族に不安症・うつ病がある場合、子どもの分離不安症のリスクが高まります。

環境要因・ストレス

  • 転校・引っ越し・保育園・幼稚園の入園
  • 家族の変化(きょうだいの誕生・両親の離婚・祖父母の死)
  • 虐待・ネグレクト経験(不安定な愛着の形成)
  • 重篤な病気・手術(保護者または子ども自身の)

愛着の問題

安定した愛着関係が十分に形成されていない場合(不安定型・混乱型愛着)、分離への対処力が育ちにくく分離不安症のリスクが高まります。ただし「保護者の育て方が悪い」ということではなく、子どもの気質・環境・保護者自身の不安等の複合的な要因で生じます。

保護者自身の不安症

保護者自身に不安症(特に分離不安の傾向)がある場合、子どもの分離場面への対応が過度に不安に満ちたものになりやすく、子どもに不安が伝わることがあります。


7. 分離不安症と合併しやすい疾患

<cite index=”12-1″>分離不安障害と合併が多い疾患は、全般性不安障害、パニック障害、特定の恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害などである。</cite>

分離不安症は以下の疾患と合併することが多く、合わせた評価と治療が必要です。

  • 全般性不安症(GAD): 「保護者の安全への心配」が全般的な過度の心配に発展する
  • パニック症: 分離場面でパニック発作が生じることがある
  • 社交不安症: 学校回避に社交不安症も合わせて関与していることが多い
  • うつ病: 慢性的な分離不安からうつ病を合併することがある
  • 強迫症: 保護者の安全への確認強迫と分離不安が合わさることがある

8. ASD・ADHDとの関係

ASDと分離不安症

ASDの特性(環境変化への過敏さ・ルーティンへのこだわり・感覚過敏)が分離不安を強めることがあります。「保護者が近くにいることがルーティン」になっていると、分離が特に強いパニックを引き起こすことがあります。

ADHDと分離不安症

ADHDの子どもは衝動性・感情調節の困難が、分離場面での強い感情表出(泣く・しがみつく等)を強めることがあります。


9. 分離不安症の診断——何科を受診するか

分離不安症は児童精神科・小児科・心療内科での評価が推奨されます。

診断において重要な情報:

  • 症状が始まった時期・きっかけ(環境変化・ストレス等)
  • 分離への恐怖が最も強い場面
  • 症状の持続期間(4週間以上)
  • 生活への支障の程度(学校・遊び・睡眠等)
  • 家族歴・発達歴

鑑別が必要な疾患:

疾患 分離不安症との違い
社交不安症 恐怖の対象が「他者からの評価」(分離ではない)
全般性不安症 心配の対象が多岐にわたる(分離以外も)
場面緘黙 特定の場面で声が出ない(分離とは直接関係しない)
パニック症 分離以外の様々な場面でもパニック発作が起きる

10. 「甘やかし・過保護」ではない——保護者が責められるべきでない理由

「子どもが分離できないのは保護者が甘やかしたから」「もっと突き放せば自立する」という誤解が、保護者を深く傷つけることがあります。

分離不安症は保護者の育て方だけが原因ではなく、子どもの気質・遺伝的素因・環境ストレスの複合的な要因で生じます。「愛情深い保護者の子どもほど分離不安症になりやすい」というわけでも、「放任すれば治る」というわけでもありません。

保護者自身が専門家と連携し、正しい対応を学ぶことが最善策です。自己批判ではなく、専門的な知識と支援を得ることが子どもの回復への最短ルートです。


11. 【治療①】認知行動療法(CBT)——段階的エクスポージャー

分離不安症への最も有効性が確立された治療は**CBT(認知行動療法)**です。

認知的介入

「保護者に何か悪いことが起きる」「一人でいると何か怖いことが起きる」という破局的な予測を検討し、現実的な見方に修正します。

段階的エクスポージャー(不安階層表の作成)

分離場面を「不安の低いもの→高いもの」の段階に並べ、低い段階から繰り返し練習することで、分離への耐性を段階的に高めます。

例:学校への登校を目標とした場合

  1. 保護者と一緒に学校の前まで行く
  2. 学校の門まで保護者と行き・校内は一人で入る
  3. 保護者が校内で見守る中で教室に入る
  4. 保護者が校外で待つ中で授業に出る
  5. 通常登校

各段階を「不安が十分に下がるまで繰り返す」ことが重要です。


12. 【治療②】保護者への心理教育・ペアレントトレーニング

分離不安症の治療では、保護者への心理教育が治療の核心の一つです。

保護者が学ぶこと:

  • 分離不安症の正確な理解(病気・甘えではない)
  • 分離場面での「別れ方」の練習(ダラダラ長引かせない・毅然とした別れの作法)
  • reassurance(安心の提供)の適切な扱い方(後述)
  • 子どもが分離を乗り越えたときの具体的な肯定・強化

13. 【治療③】薬物療法——SSRI

CBTに加えて、または単独で、SSRIが分離不安症に有効とされています。

主に使用されるSSRI:

  • フルボキサミン(デプロメール・ルボックス)
  • エスシタロプラム(レクサプロ)
  • セルトラリン(ジェイゾロフト)

SSRIは不安症への保険適用があります(種類・年齢によって異なる)。効果の発現には4〜8週間かかることがあります。CBTとの組み合わせが最も効果的とされています。


14. 学校との連携——段階的な登校支援

分離不安症による不登校への対応には学校との連携が不可欠です。

学校に求めたい対応:

  • 保健室・別室での別れの儀式(保護者と学校内で少し過ごしてから別れる等)
  • 「お母さんはどこにいるか」を確認できる仕組み(担任への一声・保健室の活用)
  • 修学旅行・宿泊行事への段階的参加(部分参加・代替手段)
  • 担任への正確な情報共有(診断・特性・有効な対応)

15. 「reassurance(安心の要求)」への正しい対応

分離不安症の子どもは「お母さんは死なない?」「絶対迎えに来てくれる?」「学校にいる間何も起きない?」という安心の要求を繰り返し行います。

保護者の自然な反応: 「大丈夫だよ・何も起きないよ」と答える

問題点: この安心の提供(reassurance)は短期的には不安を下げますが、長期的には「不安→確認→安心→また不安」という悪循環を強化します。

正しい対応:

  • 「心配なんだね」という感情への共感は大切に
  • 「100%安全とは言えないけど、大丈夫だと信じているよ」という現実的で温かい言葉
  • 「毎回答えることはできないけど、あなたを愛しているよ」という愛情の確認
  • CBTの指導のもとで「reassuranceを段階的に減らす」練習

16. 回復の見通し——年齢とともに改善できる

分離不安症は適切な治療・支援があれば多くの子どもが改善できる疾患です。

  • 幼少期(5〜8歳)発症は、適切な支援で多くが学齢期のうちに改善
  • 思春期発症は他の不安症(全般性不安症・社交不安症)への移行に注意
  • 治療なしでは長期化・他の不安症との合併が起きやすい
  • 早期に専門家に相談することが最も重要

17. よくある質問(FAQ)

Q. 「お母さんと離れられないのは甘えでは?」と義母・学校の先生に言われます。

A. 分離不安症は医学的な疾患であり、甘えではありません。「年齢に不釣り合いな強さの不安」が本質であり、意志の力では簡単にコントロールできません。周囲の方への正しい説明には、主治医の協力(診断書・説明書の作成等)が有効です。

Q. 「突き放せば自立する」という意見があります。

A. 分離不安症の子どもに準備なしに分離を強制すると、強いトラウマになる可能性があります。段階的エクスポージャー(CBTによる段階的な練習)が有効であり、急激な強制は逆効果です。

Q. 保護者自身も不安が強いです。子どもへの影響がありますか?

A. 保護者自身の不安が子どもに伝わることはあります。子どもの治療と並行して、保護者自身のカウンセリング・治療を受けることで、子どもの回復が促進されることがあります。「一緒に治していく」という視点が重要です。


18. 和光医院での診療について

名古屋市千種区にある和光医院は、児童精神科を専門とするクリニックです。分離不安症の評価・CBT・薬物療法・学校連携・保護者支援に対応しています。

当院での対応内容

  • 分離不安症の診断・重症度評価
  • 合併する全般性不安症・社交不安症・ASD・ADHD等の包括的評価
  • 認知行動療法(CBT)・段階的エクスポージャー
  • SSRI薬物療法の処方・管理
  • 保護者への心理教育・reassurance対応の指導
  • 学校との連携・合理的配慮の相談・診断書の作成
  • 不登校への段階的な登校支援の計画

こんな方はぜひご相談ください

  • 朝になると泣いてしがみついて登校を拒否する
  • 保護者と離れることへの強い恐怖が4週間以上続いている
  • 「お母さんが死んでしまうのでは」という心配が止まらない
  • 一人で寝られない・保護者と別の部屋に行けない
  • 修学旅行・宿泊行事への参加を強く拒否している
  • ASD・ADHDがあって分離場面が特に困難

「分離不安症は甘えでも保護者のせいでもありません。正しい支援で必ず改善できます。まずご相談ください。」


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子どものためのメンタルクリニック|医療法人永朋会 和光医院

診療科目: 児童精神科・精神科・心療内科

発達障害(ASD・ADHD)、不登校、起立性調節障害、不安症、パニック症、チック症、強迫症、うつ症状など、お子さまから成人の方まで幅広く診療しております。

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