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2023.12.28ブログ

境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療法の一つ、弁証法的認知行動療法(DBT)について、名古屋の児童精神科医が解説

こんにちは、名古屋市千種区、医療法人永朋会 和光医院、児童精神科医の加藤晃司です。

 

 

今回は、境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療法の一つ、弁証法的認知行動療法(DBT)について解説します。

 

 

弁証法的認知行動療法という心理療法がアメリカで開発されました。

もともとBPDに対する治療法の一つとして作られたのが始まりです。

 

私は東海大学病院精神科教室にいた時に、研究でアメリカにいってしまった先輩からの宿題として、DBTを学び、日本でやれるように修正して実践してみてくれ、と言われました。

そっからDBTについて勉強するのですが、テキストがあまりに分厚くて、正直ひきましたw

 

まあなんとかやりきって、日本の保険診療でやれる範囲を抜き出して、自己流でDBTをやりましたが、ほんとに大変でした。

 

こういうものをテキスト化する能力は、米国の人たちはほんとにうまいと思います。

テキスト通りにDBTを進めれば、誰がやったとしても、それなりのレベルで治療を行うことができます。

 

ここでDBTについて一般的なことを記載します。

 

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弁証法的認知行動療法(Dialectical Behavior Therapy, DBT)は、もともとボーダーラインパーソナリティ障害(BPD)の治療を目的として開発された心理療法の一形態です。この治療法は、認知行動療法(CBT)の技法に、マインドフルネスやストレス耐性の向上、感情調節、対人関係効果の技能トレーニングを統合したものです。DBTは、自己傷害行為や自殺行動、極端な感情の変動など、強度な感情的な困難を抱える人々を支援するために特に有効とされています。

 

DBTの主な構成要素

DBTには四つの主要なコンポーネントがあります:

 

個別セラピー:

クライアントは週に一回セラピストと面談し、過去週の行動、挑戦、進捗をレビューします。セラピーでは、DBTのスキルの適用と問題解決が重点に置かれます。

 

スキルトレーニンググループ:

これは、通常、週に一回数時間行われるグループセッションです。感情調節、ストレス耐性、対人関係スキル、マインドフルネスの四つの主要なスキルモジュールを学びます。

 

電話コーチング:

クライアントが日常生活で困難に直面したときに、セラピストに連絡を取り、リアルタイムでスキルを適用する方法について指導を受けます。

 

コンサルテーションチーム:

セラピスト自身のサポートのためのもので、セラピストは他のDBTセラピストのチームと定期的に会合を持ち、治療プロセスに関する指導や支援を受けます。

 

DBTの中核的な概念

DBTは以下のようないくつかの中核的な概念に基づいています:

 

弁証法:

すべての事象には対立する力が存在し、その緊張関係を解決することで変化が起こるという哲学的概念です。DBTでは、変化を促す必要がある一方で、その人がそのままで価値があるという受容のバランスを取ることが重要です。

 

マインドフルネス:

現在の瞬間に注意を向け、ジャッジせずに経験を受け入れることを学びます。

 

感情調節:

感情を理解し、感情に対処し、感情を適切に表現するスキルを開発します。

 

対人効果:

健全な関係を築き、維持し、望ましくない関係を終わらせるスキルを身につけます。

 

ストレス耐性:

短期間でストレスや苦痛を耐えるためのスキルを学びます。

 

DBTは、特に自己調節が難しい人々や感情的な苦痛に対処するスキルが必要な人々に有効であることが示されています。また、うつ病、不安障害、食物摂取障害、依存症などの他の心理的問題に対しても有効であることが示されています。

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どうでしょうか。

これを読んだだけでも、ちょっと大変そうだなと思っていただけると思います。

そもそも複数名のチームでやる治療なんです。

 

でもいろいろと書いてありますが、中核は、0か100の極端な思考になっているのを正していく。

中核症状の治療を継続している間に発生すると思われる危機を乗り切る。具体的には、気分の波、特に下がった時の希死念慮をなんとかかわす。

 

 

キモはこの2点です。

 

それは日本で精神分析的精神療法で目指している目標とほぼ同じです。

 

精神分析的にやるとなると、分析のトレーニングが必要となりますが、DBTはそれがなくてもなんとか似たような形にもっていける、と私は思いました。

 

どの治療法からアプローチしても、結果、同じようなラインをとおるんだな、と当時思いました。

 

私個人的な感想としては、日本人は認知行動療法が苦手だと思います。やるのも、やられるのも。

テキストにはまりきらない感じでしょうか。なんかテキストだと、入っていけないか、宿題やるみたいにテキストに頑張りすぎて本質を見失うか、のどちらかが多いです。

 

結果、症状が軽い人は、テキストというインターフェイスを通じてやりとりするだけで、よくなってしまう人もいます。

それは何やってもよくなった、自我機能のレベルが高い人、というだけです。

 

まあ個人的な感想なので、みんながそうではないと思います。

 

日本語はもともと一つの言葉に複数の意味をもち、行間を結構つかってくる、自由度の高い言語です。正直レベル高いと思っています。

だから私は精神科の治療も行間をうまく使った、精神療法的なものの方が相性がいいんじゃないかと思いました。

 

 

まとめ

今回は、境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療法の一つ、弁証法的認知行動療法(DBT)について解説しました。

海外で使用されているDBTを日本でそのまま利用することは難しいですが、そのエッセンスのようなものは使い方次第でうまく使えることがあると思います。

それにBPDが成立するためには、不認証環境の存在がある、ということがグローバルで共通の認識になっているというのは、興味深いとも思います。

ちょっと難しい言葉が多くでてきますが、興味ある方はDBTについて深堀してみてください。

 

医療法人永朋会 理事長

加藤晃司

 

 

当院ホームページはこちらより https://wako-psy-clinic.com

 

医療法人永朋会  和光医院

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