小児の自閉性スペクトラム障害(ASD)に合併するADHD(注意欠如多動性障害)の不注意症状について、名古屋の児童精神科医が解説。
小児の自閉性スペクトラム障害(ASD)に合併するADHD(注意欠如多動性障害)の不注意症状について、名古屋の児童精神科医が解説。
こんにちは、名古屋市千種区、医療法人永朋会 和光医院、児童精神科医の加藤晃司です。
小児の自閉性スペクトラム障害(ASD)に合併するADHD(注意欠如多動性障害)の不注意症状について解説します。
ASDとADHDは合併しやすい疾患ですが、ASDの診断がつくとそちらにひっぱられがちになることが多いです。
ASDの診断の方が、年齢的に早い段階で指摘され、診断されやすいということもあります。
また合併していると、不注意症状が隠れてしまって、分かりにくい、ということもあります。
しかしASDにADHD症状が合併している場合、不注意症状がコミュニケーションの苦手さを助長していることもありますし、衝動性がこだわりやかんしゃくを助長してしまうこともあります。
つまりADHD症状があるために、ASD症状がより悪くなってしまっている可能性があります。
もしそうであれば、ADHD症状を改善することで、ASD様の症状に見えていたものも、改善するかもしれません。
ADHD症状は、子どもでも使える内服があります。
コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、ビバンセと、今は4種類使用可能です。
かなりの確率で症状を改善することができます。
それに一定期間ADHD症状の治療をしてみると、ASDにどの程度影響していたのかを確認することができます。
ASDによる対人関係での失敗体験が積み重なれば、自己評価低下につながり、長期的な問題になってしまいます。
その前に、治せる部分はなおしておく、というのは選択肢の中にはいっていてもいいはずです。
ASDに関してはまだ中核症状である、対人相互性の障害を治療するための内服は開発されていません。
いずれそこにも治療が開発される可能性はありますが、現状は今使えるものの中でやっていくしかありません。
ASDとADHDの合併はかなり確率は高いですから、治せる部分からトライしていってもいいことを忘れないでください。
まとめ
小児の自閉性スペクトラム障害(ASD)に合併するADHD(注意欠如多動性障害)の不注意症状について解説しました。
ASDに合併するADHDであっても、ADHD治療薬で改善することができ、そのことでASD症状が良くなる可能性があります。
ASDに合併するADHD症状は見逃されることが多い、もしくはASDにひっぱられてよく分からない、ことが多いです。
心理検査などで不注意症状の程度は確認することができるので、頭の片隅においておいてください。
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子どものためのメンタルクリニック
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児童精神科・精神科・心療内科
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