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2024.11.26ブログ

躁的防衛とは?何か 名古屋の児童精神科医が解説

躁的防衛とは?何か 名古屋の児童精神科医が解説

 

こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。

 

今回は、躁的防衛とは?何か、について解説します。

 

躁的防衛(manic defense)とは、精神分析の概念であり、不安や悲しみ、絶望などの不快な感情を無意識に回避するために、誇大的で高揚した気分や行動を取る心理的メカニズムを指します。この防衛機制は特に躁うつ病(双極性障害)の躁状態に関連して議論されることが多いですが、精神的ストレスを抱えた健常者にも見られる場合があります。

 

  1. 躁的防衛の特徴

(1) 過剰な自信や誇大感

不安や劣等感を隠すために、自分自身を過剰に肯定したり、他者よりも優れていると感じる行動や思考が現れます。

 

(2) 感情の高揚

内面的な苦痛を抑え込むために、異常なほどのハイテンションや楽観的な態度を示します。

 

(3) 過活動

苦痛や不快感から目をそらすために、多動的な行動や過剰な活動に没頭します。

例:仕事に没頭、過剰な買い物、社交活動の増加。

 

(4) 他者への支配や攻撃

不安を他者に投影し、相手を支配しようとしたり、攻撃的な態度を取ることで自分を守ろうとします。

 

  1. 躁的防衛のメカニズム

(1) 不快な感情からの逃避

心の奥底にある不安や喪失感、抑うつ的な感情を意識的に感じることが耐え難いため、それを覆い隠すような高揚した態度を取ります。

 

(2) 防衛の補償的機能

内面の脆弱さや劣等感を補償するために、外面的には力強さや自信をアピールします。

 

(3) 投影と否認

自分の中にあるネガティブな感情を他者に投影したり、それを意識的に否認することで、自分を守ります。

 

  1. 躁的防衛が現れる状況

(1) 精神疾患に関連する場合

双極性障害の躁状態:

典型的に躁的防衛が見られる状況であり、高揚感や活動性の増加が特徴。

抑うつ状態の代償として:

抑うつ的な感情が強い人が、それを隠すために無意識に躁的防衛を働かせることがあります。

 

(2) 健常者におけるストレス時

大きな喪失(例:愛する人の死、仕事の失敗)や心理的ストレスを受けたときに、一時的に躁的防衛が見られることがあります。

例:

悲しい出来事があった直後に、異常に陽気な態度を取る。

社交活動や新しい挑戦に過剰に取り組む。

 

  1. 躁的防衛の問題点

(1) 現実からの乖離

不快な感情を回避するための防衛であるため、現実の問題や感情に向き合えなくなることがあります。

 

(2) 長期的な影響

過剰な行動や感情表現が人間関係や仕事に悪影響を与える可能性があります。

 

(3) エネルギーの枯渇

活動性が高まる反面、その反動としてエネルギーが尽き、抑うつ状態に陥ることがあります(躁うつ病のサイクルに似たパターン)。

 

  1. 治療的なアプローチ

(1) 精神療法

認知行動療法(CBT):

内面の不安や抑うつ的な感情を受け入れ、健康的に対処する方法を学ぶ。

精神分析:

無意識の防衛メカニズムに気づき、不快な感情に向き合う。

 

(2) 薬物療法

双極性障害が関与している場合は、気分安定薬(例:リチウム、バルプロ酸)や抗精神病薬を使用することがあります。

 

(3) ストレスマネジメント

環境の調整やリラクゼーション法を取り入れ、不安を軽減する。

 

  1. 結論

躁的防衛は、不快な感情やストレスを回避するための無意識的なメカニズムです。適度であれば心理的な安定に寄与することもありますが、過剰になると現実への対応力が低下したり、人間関係に悪影響を及ぼすことがあります。

 

防衛とは、躁的防衛だけでなく、さまざまな防衛の仕方があります。

 

人は、自分の身を自動的に守るために、このような防衛機能を備えています。

 

躁的防衛がだめではありません。

それが躁症状に関与しているなら、なおさら治療は必要です。

 

ですが、躁的防衛をしている可能性があると自分で認識することができなければ、その過剰防衛により人や自分を傷つけることになります。

それはいいことではないはずです。

 

防衛が発動したときに気が付けるのが一番いいですが、後で振り返って、それが防衛機能によって生じたことなんだと腑に落ちることができれば、その先に進むことができます。

 

躁的防衛という形のみでしか防衛できない人もいます。

もちろん相手にはつたわないことばかりなので、対人関係のトラブルが続くかもしれません。

 

防衛も含めて、人の心とは何かを理解するのには、自分をつかって深堀していくのが早いですし、一石二鳥です。

自分を知れば、他人のことを想像することができるようになります。

 

当院では子供から大人まで、カウンセリングを提供しています。

 

ご興味のある方は、クリニックまでご相談ください。

 

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子どものためのメンタルクリニック

医療法人永朋会  和光医院

児童精神科・精神科・心療内科

 

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電話 : 052-712-1777

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地下鉄名城線「砂田橋」駅 1番出口より徒歩10分

 

 

 

Hello, I’m Dr. Koji Kato from the Child Psychiatry Clinic in Chikusa, Nagoya, part of the Eihoukai Wako Clinic.

 

Today, I will explain the concept of “manic defense” and its implications in both psychological and psychiatric contexts.

 

Manic defense is a term from psychoanalysis that refers to a psychological mechanism where an individual unconsciously avoids unpleasant feelings such as anxiety, sadness, or despair by adopting exaggerated and elated moods and behaviors. Although often discussed in relation to the manic states of bipolar disorder, manic defense can also be observed in healthy individuals under mental stress.

 

Features of Manic Defense

Excessive Confidence or Grandiosity:

 

To hide feelings of insecurity or inferiority, a person might display overly self-affirmative behaviors or believe they are superior to others.

Elevated Mood:

 

Individuals may exhibit an abnormally high level of excitement or optimism to suppress internal distress.

Hyperactivity:

 

Engaging in excessively active behavior or immersing oneself in tasks to divert attention from discomfort. Examples include overworking, compulsive shopping, or increased social activities.

Dominance or Aggressiveness Towards Others:

 

Projecting one’s anxiety onto others and adopting a controlling or hostile stance as a protective measure against perceived threats.

Mechanism of Manic Defense

Escape from Discomfort:

 

Individuals adopt an elevated mood to cover up deeper feelings of anxiety, loss, or depression, which they find intolerable to confront directly.

Compensatory Function:

 

External displays of strength or confidence compensate for internal feelings of weakness or inadequacy.

Projection and Denial:

 

Negative emotions are projected onto others or denied outright to protect the self from psychological pain.

When Manic Defense Appears

In Psychiatric Conditions:

 

Bipolar Disorder: Manic episodes may prominently feature manic defenses, characterized by increased activity and elevated mood.

As a Compensation for Depressive States: Individuals with a predominant depressive state may unconsciously use manic defense to mask their depression.

In Healthy Individuals During Stressful Events:

 

Following significant losses (e.g., death of a loved one, job loss), individuals may temporarily resort to manic defense, exhibiting unusually cheerful behavior or engaging excessively in new activities.

Challenges of Manic Defense

Detachment from Reality:

 

Manic defense can lead to a detachment from real-life problems and emotions, making it difficult for individuals to address and resolve underlying issues.

Long-term Impact:

 

Overly defensive behavior can strain relationships and professional life, potentially leading to more severe psychological issues.

Depletion of Energy:

 

High activity levels might eventually lead to burnout, resulting in depressive states, similar to the cycles seen in bipolar disorder.

Therapeutic Approaches

Psychotherapy:

 

Cognitive Behavioral Therapy (CBT): Helps individuals accept and cope with their underlying feelings healthily.

Psychoanalysis: Aims to uncover unconscious defense mechanisms and encourage confrontation with unpleasant emotions.

Medication:

 

In cases related to bipolar disorder, mood stabilizers (e.g., lithium, valproic acid) or antipsychotics might be prescribed.

Stress Management:

 

Adjusting environmental factors and adopting relaxation techniques to mitigate anxiety.

Conclusion

While manic defense serves as a coping mechanism to avoid pain, its overuse can lead to significant personal and interpersonal issues. Recognizing when one is resorting to such defenses can be crucial for emotional and psychological health. At our clinic, we offer counseling for both children and adults to explore these dynamics further.

 

For those interested, please feel free to contact our clinic for more information or to arrange a consultation.

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