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2025.12.14ブログ

PTSDに対するメマンチンの有効性 ― トラウマ反応を「脳の興奮」から考える新しい治療の視点

PTSDに対するメマンチンの有効性

― トラウマ反応を「脳の興奮」から考える新しい治療の視点

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、
強い恐怖やショックを伴う体験(トラウマ)をきっかけに、

フラッシュバック(突然思い出してしまう)

強い不安や恐怖

過覚醒(常に緊張している、びくっとしやすい)

悪夢や睡眠障害

感情の麻痺、集中力低下

などが長く続く状態です。

児童・思春期においても、
虐待、いじめ、事故、災害、家庭内不和、医療体験などを背景に、
PTSD様の症状を示すお子さんは少なくありません。

近年、こうしたPTSD症状に対して、
「メマンチン」という薬が補助的治療として有効な可能性がある
という報告が注目されています。

メマンチンとは?(本来はどんな薬?)

メマンチンは、もともと
アルツハイマー型認知症 に使用される治療薬です。

作用の特徴は、

NMDA受容体(グルタミン酸受容体)を穏やかに抑制し、
脳の過剰な興奮を抑える

という点にあります。

簡単に言うと、
「脳が興奮しすぎないようにブレーキをかける薬」 です。

PTSDの脳では何が起きているのか?

PTSDは「こころの問題」と思われがちですが、
近年の研究では、脳の情報処理の偏り・過剰な興奮状態 が関与していることがわかってきています。

PTSDでは、

恐怖記憶が強く固定されている

扁桃体(恐怖・不安を司る部位)が過敏

海馬(記憶を整理する部位)の働きが低下

小さな刺激でも「危険」と判断してしまう

といった状態が起きています。

その背景の一つが、
グルタミン酸という興奮性神経伝達物質の過活動 です。

メマンチンがPTSDに効くと考えられる理由

メマンチンは、
グルタミン酸によるNMDA受容体の過剰刺激を抑える ことで、

過覚醒状態を鎮める

恐怖記憶の過剰な再活性化を抑える

情動反応の暴走を和らげる

といった作用が期待されます。

つまり、

トラウマによって「常に危険モードになっている脳」を、
少し落ち着いた状態に戻す

というイメージです。

PTSD症状の中で、特に改善が期待される点

メマンチンは、PTSDのすべての症状を一気に消す薬ではありませんが、
以下のような症状に対して効果が期待されることがあります。

① 過覚醒(常に緊張している状態)

些細な音や刺激に過剰に反応する

落ち着かない

体が常にこわばっている

→ 脳の興奮が抑えられ、「少し力が抜けた感じ」 が出ることがあります。

② フラッシュバック・侵入思考の頻度

急に思い出して苦しくなる

映像や感覚が勝手に浮かぶ

→ 記憶の再活性化が起こりにくくなり、
頻度や強度が和らぐ ケースがあります。

③ イライラ・怒りっぽさ

すぐ怒る

感情の爆発が起きやすい

→ 情動のブレーキが効きやすくなり、
感情の振れ幅が小さくなる ことがあります。

④ 集中力低下・疲れやすさ

学校や家庭で集中が続かない

常に疲れている

→ 脳の過剰な負荷が軽減され、
集中力や持続力が改善する こともあります。

児童・思春期PTSDにおける位置づけ

児童精神科領域では、
PTSD治療の基本はあくまで

安全な環境づくり

心理療法(トラウマ志向の支援)

信頼関係の構築

です。

メマンチンは、

心理療法だけではつらさが強すぎる場合に、
「脳の興奮を下げて、治療に取り組みやすくするための補助的治療」

という位置づけになります。

他の薬(SSRIなど)との違い

PTSDでは、

SSRI(抗うつ薬)

抗不安薬

睡眠薬

などが使われることもあります。

一方メマンチンは、

鎮静が強すぎない

感情を鈍らせすぎない

依存性がない

という特徴があり、
「子どもの日常生活や学習への影響を最小限にしながら使える可能性」
がある点が利点とされます。

副作用と注意点

メマンチンは比較的副作用の少ない薬ですが、

眠気

めまい

頭痛

倦怠感

便秘

などがみられることがあります。

多くは軽度で、
少量から開始し、ゆっくり調整 することで対応可能な場合がほとんどです。

※PTSDに対する使用は保険適応外となることが多く、
医師の十分な説明と同意のもとで慎重に検討されます。

和光医院(名古屋市千種区)での考え方

和光医院では、

お子さんのトラウマ体験の背景

現在の生活環境

PTSD症状の強さと持続

学校生活への影響

不安・抑うつ・発達特性の有無

を総合的に評価したうえで、

心理的支援を軸に

必要な場合にのみ、最小限の薬物療法を併用

という方針を大切にしています。

メマンチンは、

「こころの回復を邪魔している“脳の過剰な興奮”を一時的に和らげる選択肢」

として、慎重に検討される治療のひとつです。

まとめ

PTSDは「こころ」だけでなく「脳の興奮状態」が関係している

メマンチンは、脳の過剰な興奮を抑えることで

過覚醒

フラッシュバック

イライラ

集中困難
などの改善が期待される

心理療法を支える補助的治療として位置づけられる

「つらい記憶を無理に消す」のではなく、
“今の生活を少し楽にする” ための一つの選択肢として、
専門医と相談しながら検討することが大切です。



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