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漠然とした不安がある子ども・大人に鑑別すべき疾患とは?原因・症状・治療を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説
漠然とした不安がある子ども・大人に鑑別すべき疾患とは?原因・症状・治療を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説
「なんとなく不安で落ち着かない」「理由はわからないけど怖い」「ずっとそわそわしている」——このような漠然とした不安は、誰もが経験することですが、日常生活に支障をきたすほど続く場合は、背景に精神医学的な疾患が隠れていることがあります。名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、漠然とした不安を引き起こす疾患の鑑別・診断・治療について、わかりやすく詳しく解説します。
目次
- 「漠然とした不安」とはどういう状態か
- 不安の正常反応と病的な不安の違い
- 漠然とした不安を呈する主な疾患一覧
- 【鑑別①】全般性不安症(GAD)
- 【鑑別②】社交不安症(SAD)
- 【鑑別③】分離不安症
- 【鑑別④】パニック症(パニック障害)
- 【鑑別⑤】うつ病・抑うつ状態
- 【鑑別⑥】双極性障害(躁うつ病)
- 【鑑別⑦】PTSD・複雑性PTSD
- 【鑑別⑧】強迫症(OCD)
- 【鑑別⑨】ASD(自閉スペクトラム症)に伴う不安
- 【鑑別⑩】ADHD(注意欠如多動症)に伴う不安
- 【鑑別⑪】身体疾患・薬剤による不安
- 【鑑別⑫】適応障害
- 子どもの不安と大人の不安の違い
- 診断のプロセスとアセスメント
- 治療の基本方針
- 家庭・学校でできるサポート
- よくある質問(FAQ)
- 和光医院での診療について
1. 「漠然とした不安」とはどういう状態か
**不安(anxiety)**とは、特定の対象・状況を恐れる「恐怖(fear)」とは異なり、はっきりとした原因や対象が見当たらないのに生じる、ぼんやりとした恐れ・緊張・警戒の感情です。
「何かよくないことが起きそうな気がする」「ずっとドキドキしている」「理由はわからないけど怖い」——このような訴えは、子どもから大人まで幅広い年齢層で見られます。
漠然とした不安は以下のような形で現れることが多いです。
精神・認知面
- 「悪いことが起きるかも」という漠然とした予期不安
- 何事も最悪の結果を想定してしまう(破局的思考)
- 集中できない・頭が空っぽな感じ
- 些細なことが頭から離れない・堂々巡りする
身体面
- 動悸・息苦しさ・胸の締め付け感
- 筋肉の緊張・肩こり・頭痛
- 胃の不快感・吐き気・下痢
- 手足のしびれ・発汗・ほてり
- 疲れやすさ・だるさ
行動面
- 不安を避けるために特定の場所・状況を避ける
- 常に安心を求めて確認行動を繰り返す
- 落ち着きなく動き回る・ぼーっとしている
2. 不安の正常反応と病的な不安の違い
不安はもともと人間に備わった生存のための適応的な感情です。試験前の緊張・発表前のドキドキは正常な不安反応であり、適切なパフォーマンスを引き出す働きもあります。
病的な不安とは以下の条件を満たすときに考えます。
| 比較項目 | 正常な不安 | 病的な不安 |
|---|---|---|
| 原因との釣り合い | 状況に見合っている | 状況に不釣り合いに強い |
| 持続期間 | 状況が変わると収まる | 状況に関係なく持続する |
| コントロール | 自分でコントロールできる | コントロールが難しい |
| 日常生活への影響 | ほとんどない | 学校・仕事・対人関係に支障 |
| 身体症状 | 軽度・一時的 | 強く・持続的に出る |
| 回避行動 | しない | 不安な状況を避けるようになる |
「不安が強すぎて、やりたいことができなくなっている」「不安が6ヶ月以上ほぼ毎日続いている」「身体症状が強く日常生活が困難」——このような状態であれば、専門家への相談を検討してください。
3. 漠然とした不安を呈する主な疾患一覧
漠然とした不安を主訴に受診した場合、以下の疾患を念頭に置いて鑑別を進めます。
精神疾患
- 全般性不安症(GAD)
- 社交不安症(SAD)
- 分離不安症
- パニック症
- うつ病・抑うつ状態
- 双極性障害(躁うつ病)
- PTSD・複雑性PTSD
- 強迫症(OCD)
- ASDに伴う不安
- ADHDに伴う不安
- 適応障害
- 選択性緘黙
- 特定の恐怖症
身体疾患・その他
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
- 低血糖・糖尿病
- 貧血
- 不整脈・心疾患
- カフェイン過剰摂取
- 薬剤の副作用・離脱症状
これらは単独で存在することもあれば、複数が重なっている(併存)ことも非常に多いです。特に子どもでは複数の診断が重なるケースが成人より多いとされています。
4. 【鑑別①】全般性不安症(GAD:Generalized Anxiety Disorder)
特徴と症状
全般性不安症(GAD)は、漠然とした不安を呈する疾患の中で最も中心的な位置を占める疾患です。仕事・学校・家族・健康・お金など、複数の領域について過剰で制御困難な心配が、6ヶ月以上ほぼ毎日続くのが特徴です。
子どもの場合は「学校の成績」「自然災害が起きないか」「家族が事故に遭わないか」「友達から嫌われていないか」など、多岐にわたるテーマについて過度に心配します。「完璧にできないと不安」というタイプの子どもに多い傾向があります。
診断基準(DSM-5)
過剰な不安と心配(6ヶ月以上、ほぼ毎日)に加え、以下のうち成人は3項目以上、子どもは1項目以上を満たすこと。
- 落ち着きのなさ・緊張感・神経過敏
- 疲れやすさ
- 集中困難・頭が空白になる感じ
- 易刺激性(イライラしやすい)
- 筋肉の緊張
- 睡眠障害(寝つけない・眠りが浅い・朝早く目が覚める)
子どもでは**「1項目以上」**で診断できるため、大人の基準より診断のハードルが低い点が重要です。
子どもでの現れ方
- 学校の成績・発表・テストに対する過度な不安
- 「完璧にやらないといけない」という強いこだわり
- 自分だけでなく家族や友人の心配もする
- 頻繁な腹痛・頭痛(身体化症状)
- 再保証を繰り返し求める(「大丈夫?」を何度も聞く)
5. 【鑑別②】社交不安症(SAD:Social Anxiety Disorder)
特徴と症状
社交不安症は、他者から否定的に評価されることへの強い恐れを核心とし、人前での発言・発表・食事・会話など社会的な場面で強い不安・恐怖を感じる疾患です。
「クラスで発言するのが怖い」「みんなの前で食べられない」「人と目が合うのが怖い」「電話をかけるのが緊張してできない」——このような形で現れます。
子どもと青年期の特徴
子どもの社交不安は、発達段階上は正常な人見知り・恥ずかしがり屋との区別が難しいことがあります。以下の点が病的な社交不安を示唆します。
- 大人との場面だけでなく、同年齢の子ども同士の場面でも強い不安が生じる
- 不安が少なくとも6ヶ月以上持続している
- 登校拒否・部活への参加回避・友人関係の困難として現れる
- 発表・音読・体育の授業参加を避ける
選択性緘黙との関連
選択性緘黙(特定の場面では話せなくなる状態)は、社交不安症と密接な関連があり、社交不安症の一型として理解されることも増えています。学校では全く話せないのに家では普通に話せる、というパターンが典型的です。
6. 【鑑別③】分離不安症
特徴と症状
分離不安症は、애着対象(親・養育者)からの分離、またはその予期に際して過剰な不安・恐怖を感じる疾患です。乳幼児期にある程度の分離不安は正常発達の一部ですが、年齢に不釣り合いに強い場合・長期間続く場合は疾患として扱います。
主な症状
- 親と離れることへの強い不安・恐怖
- 親に何か悪いことが起きるのではないかという予期不安
- 学校・外出・友人の家への宿泊などを拒否する
- 独り寝ができない・親の寝室に来る
- 親から離れると身体症状(頭痛・腹痛・吐き気)が出る
- 分離を予期しただけで泣く・かんしゃくを起こす
登校拒否・不登校との関係
分離不安症は不登校・登校拒否の重要な背景疾患のひとつです。「お腹が痛い」「頭が痛い」と訴えて登校を渋る場合、分離不安が背景にある可能性があります。
7. 【鑑別④】パニック症(パニック障害)
特徴と症状
パニック症は、突然の激しい恐怖感と強い身体症状(動悸・息切れ・胸痛・めまい・手足のしびれ・「死ぬかもしれない」という感覚)が数分以内にピークに達するパニック発作を繰り返す疾患です。
発作そのものの恐怖から、「また発作が来るのではないか」という予期不安が生まれ、発作が起きた場所や状況を回避するようになります(広場恐怖)。
子どもへの現れ方
子どものパニック症は見落とされやすく、「心臓が変」「死にそう」という身体症状の訴えとして救急受診することがよくあります。心電図・血液検査で異常がないにもかかわらず繰り返す身体症状は、パニック症を疑う契機になります。
8. 【鑑別⑤】うつ病・抑うつ状態
不安との関係
うつ病では、抑うつ気分・意欲低下・興味喪失が主症状ですが、不安・焦り・緊張感を前景に呈するケースが非常に多いです。「不安が強くて落ち着かない」という訴えでうつ病が見つかることは珍しくありません。
子どものうつ病の特徴
子ども・青年のうつ病は、大人とは異なる形で現れることがあります。
- 抑うつ気分よりもイライラ・怒りっぽさとして現れる
- 成績の急激な低下
- 食欲の変化(食べなくなる・または過食)
- 不眠または過眠
- 身体症状(頭痛・腹痛・倦怠感)
- 「死にたい」「消えたい」という発言(見逃さないことが重要)
不安とうつの鑑別のポイント
不安症とうつ病は非常に高い頻度で併存します(60〜70%とも報告)。不安が先行してうつが続発することも多く、どちらが主体かを丁寧に評価することが治療方針の決定に重要です。
9. 【鑑別⑥】双極性障害(躁うつ病)
不安との関係
双極性障害では、うつ相(気分が落ち込む時期)に不安・焦燥感が強く現れることがあります。また混合状態(うつと躁が混在する状態)では、強い不安・焦り・衝動性が前景に出ることがあります。
見落とされやすい理由
双極性障害の子ども・青年は、うつ状態から始まることが多く、最初はうつ病・不安症と診断されることがあります。以下の点が双極性障害を示唆します。
- 抗うつ薬投与後に急激に気分が高揚・多弁・睡眠不要になった
- 気分の変動が激しく、高揚期と落ち込み期を繰り返す
- 家族歴(親・祖父母に双極性障害・うつ病)がある
- 易刺激性(ひどくイライラする時期)と抑うつが交互に来る
双極性障害にうつ病の薬(抗うつ薬)だけを使うと、躁転(躁状態に切り替わる)リスクがあるため、正確な鑑別が非常に重要です。
10. 【鑑別⑦】PTSD・複雑性PTSD
不安との関係
トラウマ体験(虐待・事故・災害・いじめ・喪失体験など)の後に生じるPTSDでは、過覚醒(常に警戒している状態・些細な音に過剰に反応する・眠れない)が主症状のひとつとして現れ、漠然とした強い不安として体験されることがあります。
子どものPTSD・複雑性PTSDの特徴
- フラッシュバック(トラウマ記憶の侵入)
- 悪夢・夜驚症
- 特定の場所・人・物への強い恐怖・回避
- 解離症状(ぼーっとする・記憶が飛ぶ)
- 感情調節の困難(急に爆発する・感情が麻痺する)
- 「自分はダメだ」「世界は危険だ」という認知の歪み
複雑性PTSDは、長期にわたる繰り返しのトラウマ(慢性的な家庭内虐待・ネグレクトなど)によって生じ、感情調節困難・否定的な自己像・対人関係の困難が加わります。不安・うつ・解離・行動上の問題など多彩な症状が重なるため、鑑別が特に重要です。
11. 【鑑別⑧】強迫症(OCD:Obsessive-Compulsive Disorder)
不安との関係
強迫症では、**不合理とわかっていても頭から離れない考え(強迫観念)が繰り返し侵入し、それに伴う強い不安・苦痛を和らげるために繰り返しの行為(強迫行為)**を行います。強迫観念が生み出す漠然とした不安感・緊張感が前景に出ることがあります。
子どものOCDの特徴
- 鍵・ガス・電気などの確認を何度も繰り返す
- 手を何度も洗う(汚染恐怖)
- 物の配置・対称性へのこだわり
- 「縁起が悪い」と感じて特定の行動を繰り返す
- 「こんなことを考えてしまった」という強い罪悪感
- 宿題・作業が「完璧でない」と感じてやり直しを繰り返す
OCDは**不安症とは異なる神経回路(皮質-線条体-視床ループ)**が関与しており、治療法も一部異なります(曝露反応妨害法・SSRI)。正確な鑑別が治療効果に直結します。
12. 【鑑別⑨】ASD(自閉スペクトラム症)に伴う不安
ASDと不安の関係
ASDの子ども・成人の50〜80%に何らかの不安症が併存すると報告されています。ASDに伴う不安は、以下のような特性から生じます。
- 感覚過敏:特定の音・光・触感への過剰な反応が、常に「危険信号」として機能し、慢性的な緊張・不安を生む
- 変化への強い抵抗:予測外のことが起きると強い不安が生じる
- 社会的状況の理解困難:「次に何が起きるか」「相手が何を意図しているか」が読み取りにくいため、社会的場面への慢性的な不安が生じる
- 失敗体験の蓄積:社会的場面での繰り返しの失敗・叱責が不安を増幅させる
ASDの不安を見落とさないために
ASDの診断がすでについている子どもの不安症状が見落とされることがあります。「ASDだから不安が強いのは当然」と片付けずに、不安症・うつ病・OCD・PTSDの併存を積極的に評価することが重要です。
13. 【鑑別⑩】ADHD(注意欠如多動症)に伴う不安
ADHDと不安の関係
ADHDの子ども・成人の30〜40%に不安症が併存するとされています。ADHDに伴う不安は以下のメカニズムで生じます。
- 不注意・忘れ物・ミスの繰り返しによる二次的な失敗体験・叱責が慢性的な不安・自己否定感を生む
- 衝動性・感情調節困難が対人トラブルを招き、社交不安につながる
- **「また失敗するかも」**という予期不安が慢性化する
ADHDと不安症の鑑別が難しい理由
ADHDの不注意症状(集中できない・授業についていけない)と、不安症による集中困難(心配が頭を占領して集中できない)は、外から見ると同じように見えることがあります。丁寧な問診・発達歴の聴取・心理検査が鑑別に役立ちます。
14. 【鑑別⑪】身体疾患・薬剤による不安
漠然とした不安の背景に身体疾患や薬剤が関与していることがあります。精神科的な評価と並行して、身体的な評価も重要です。
不安症状を引き起こす主な身体疾患
甲状腺機能亢進症(バセドウ病) 動悸・発汗・体重減少・手の震え・イライラ・不安感が出現します。血液検査(TSH・FT4)で評価できます。
低血糖・糖尿病 血糖値の急激な変動に伴い、動悸・発汗・不安感・震えが生じます。
不整脈・心疾患 動悸・胸の不快感が不安症状と混同されることがあります。
貧血 倦怠感・動悸・息切れが不安様症状として現れます。
副腎疾患(褐色細胞腫) 稀ですが、カテコールアミン過剰分泌により強い不安発作が生じます。
不安症状を引き起こす薬剤・物質
- カフェイン過剰摂取(コーヒー・エナジードリンク)
- 一部の風邪薬・鼻炎薬(擬似エフェドリン成分)
- ステロイド薬
- 甲状腺ホルモン薬(過量投与)
- 一部の喘息治療薬(β刺激薬)
- アルコール・カフェインの離脱症状
これらが関与している場合は、原因の除去・治療が最優先となります。
15. 【鑑別⑫】適応障害
特徴と症状
適応障害は、明確なストレス因(転校・進学・いじめ・家庭環境の変化・親の離婚・死別など)に対して、そのストレス因に不釣り合いに強い感情的・行動的な反応が3ヶ月以内に生じる疾患です。
不安・抑うつ・行動上の問題が混在して現れることが多く、「なんとなく不安でしんどい」という状態で受診するケースが多いです。
うつ病・不安症との違い
適応障害はストレス因が解消されると症状が6ヶ月以内に改善するという点で、うつ病・不安症と異なります。ただし、ストレス因が継続する場合(慢性いじめ・家庭環境の問題)は症状が遷延し、うつ病・不安症に移行することもあります。
16. 子どもの不安と大人の不安の違い
子どもの不安症は、大人とは異なる点がいくつかあります。
症状の表現が異なる 子どもは「不安」という感情を言語化できないことが多く、身体症状(腹痛・頭痛・嘔気)、行動上の問題(かんしゃく・暴言・登校拒否)、退行(幼い振る舞い)として現れることが多いです。
診断基準が一部異なる GADでは子どもは症状1項目以上で診断可能(大人は3項目以上)など、年齢に応じた基準が適用されます。
発達段階によって現れる不安が異なる
- 幼児期:分離不安・暗闇・怪物への恐怖が多い
- 学童期:学校・成績・自然災害への不安が多い
- 思春期:社交不安・外見・将来への不安が増える
複数の疾患が重なりやすい 子どもの不安症は単独より、ASD・ADHD・うつ病・OCDなど複数が重なるケースが多いです。
保護者・学校の関与が治療に不可欠 子どもの不安は家庭・学校環境が大きく影響します。保護者への心理教育・学校との連携が治療の重要な柱となります。
17. 診断のプロセスとアセスメント
「漠然とした不安」を主訴に受診した場合、以下のプロセスで鑑別診断を進めます。
詳細な問診
- 不安の内容・強さ・頻度・持続期間
- いつから・何をきっかけに始まったか
- 生育歴・発達歴・家庭環境・学校生活
- 身体症状の有無
- 服薬歴・既往歴・家族歴
心理検査
- 不安の評価尺度(SCARED・STAI・Spence子ども用不安尺度など)
- うつの評価尺度(CDI・PHQ-A)
- PTSD評価(UCLA PTSD RI)
- 発達・知能検査(WISC・WAIS)
- 強迫症評価(CY-BOCS)
身体的評価 甲状腺機能・血糖・貧血・心電図など、身体疾患除外のための検査を行います(必要に応じて)。
多面的情報収集 本人の面接に加え、保護者・学校の先生・スクールカウンセラーからの情報収集が正確な診断に役立ちます。
18. 治療の基本方針
不安症の治療は、疾患の種類・重症度・背景に応じて組み合わせを決定します。
心理療法
認知行動療法(CBT) 不安症に対して最も科学的根拠(エビデンス)が確立された心理療法です。不安を引き起こす思考パターン(認知の歪み)を修正し、回避行動を段階的に克服する技法(曝露療法)を組み合わせます。子ども向けに工夫されたCBTプログラムも多く開発されています。
曝露反応妨害法(ERP) OCD(強迫症)に特に有効な心理療法です。不安を引き起こす状況にあえて直面し(曝露)、強迫行為を行わずに不安が自然に下がるのを待つ(反応妨害)手法です。
EMDR・トラウマフォーカスト認知行動療法(TF-CBT) PTSD・トラウマ関連の不安に有効な心理療法です。
マインドフルネス・リラクゼーション技法 腹式呼吸・筋弛緩法・マインドフルネス瞑想は、不安の身体症状を和らげる補助的技法として有用です。
薬物療法
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬) フルボキサミン・セルトラリン・エスシタロプラムなどのSSRIは、不安症・うつ病・OCD・PTSDに対して幅広く使用されます。子どもへの使用は用量設定に注意が必要で、効果が出るまで4〜8週間かかります。
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬) GAD・社交不安症などに使用されます。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬 即効性がありますが、依存性・認知機能への影響のため、子どもへの長期使用は避けます。急性期の短期使用に限ります。
その他 ADHDの不安に対してはADHD治療薬の適切な使用が不安を間接的に改善することがあります。双極性障害の不安には気分安定薬が必要です。
19. 家庭・学校でできるサポート
保護者ができること
- 不安を「大したことない」と否定せず、「そう感じているんだね」と受け止める
- 回避行動を無理にやめさせず、段階的に取り組む計画を立てる(治療者と相談しながら)
- 安心できる安定した日常ルーティンを保つ
- 「大丈夫?大丈夫?」という過剰な再保証は不安を強化することがあるため注意
- 保護者自身が不安が強い場合、保護者へのサポートも重要
学校でできること
- 不安症状に対する正確な理解と適切な配慮(無理強いをしない・安心できる居場所の確保)
- 登校が難しい時期の柔軟な対応(保健室登校・別室登校・時間差登校)
- スクールカウンセラーとの連携
- クラスでの環境調整(発表・グループ活動への配慮)
20. よくある質問(FAQ)
Q. 不安が強い子どもはすぐに薬を飲まないといけませんか?
A. 必ずしもそうではありません。軽症〜中等症の不安症では、まず心理療法(CBT)から始めることが多く、薬は心理療法で十分な効果が得られない場合や重症例に追加します。ただし、重症のうつ病・PTSDが背景にある場合は早期の薬物療法が有益なこともあります。
Q. 「不安が強い子」は性格ですか?治りますか?
A. 不安が強い気質(敏感な気質・行動抑制気質)は遺伝的背景がありますが、適切な環境・療育・心理療法によって、不安を自分でコントロールする力を育てることができます。「この子は不安が強い性格だから仕方ない」と放置するのではなく、早めに専門家に相談することが回復への近道です。
Q. 不登校と不安症は関係ありますか?
A. 非常に密接な関係があります。不登校の背景には、分離不安症・社交不安症・うつ病・GAD・ASD・PTSDなど多くの疾患が関与しています。「怠け」「わがまま」ではなく、心の疾患のサインである可能性が高いため、専門医への相談をお勧めします。
Q. 子どもに「死にたい」と言われました。どうすればよいですか?
A. 「死にたい」という発言は必ず真剣に受け止めてください。否定したり「そんなこと言わないで」と叱ったりせず、「そう感じているんだね、もっと話してくれる?」と穏やかに受け止めてください。その上で、できるだけ早く児童精神科・精神科に相談してください。緊急性が高いと感じたら、その日のうちに受診または相談窓口(よりそいホットライン:0120-279-338)に連絡してください。
Q. 大人でも和光医院に相談できますか?
A. 和光医院は児童精神科を専門としておりますが、成人の発達障害・不安症・うつ病についてもご相談いただけます。詳しくはお問い合わせください。
Q. 心理検査は必ず受けないといけませんか?
A. 必須ではありませんが、正確な診断と治療計画の立案に非常に役立ちます。特に発達特性(ASD・ADHD)の評価や、不安の種類・重症度の客観的な把握に有用です。
21. 和光医院での診療について
名古屋市千種区にある和光医院は、児童精神科を専門とするクリニックです。子どもから成人まで、不安症・うつ病・発達障害・トラウマ関連疾患など、幅広い精神医学的問題に専門的に対応しています。
当院が大切にしていること
「なんとなく不安でつらい」という漠然とした訴えこそ、丁寧に向き合うことが大切だと考えています。「大したことないかも」と思わず、気になることがあればお気軽にご相談ください。
当院での対応内容
- 不安症・うつ病・双極性障害・OCD・PTSDの診断・治療
- 発達障害(ASD・ADHD)の評価・診断・支援
- 心理検査(知能検査・不安・うつ・PTSD評価尺度など)
- 心理療法(CBT・EMDR・TF-CBT・遊戯療法・表現療法)
- 薬物療法(SSRI・SNRI・気分安定薬など)
- 保護者へのカウンセリング・心理教育
- 学校・支援機関との連携
- 不登校支援
こんなお子さん・ご家族はご相談ください
- ずっと不安で落ち着かない
- 学校に行けない・行きたがらない
- 「頭が痛い・お腹が痛い」が続いているが検査では異常なし
- 急にパニックになる・泣き出す
- 眠れない・夜中に何度も起きる
- 「死にたい」「消えたい」と言う
- どこに相談してよいかわからない
「もしかして…」と感じたら、まずはご相談ください。早めの対応が、お子さんとご家族の回復を大きく助けます。
まとめ
- 漠然とした不安の背景には多くの疾患が関与しており、正確な鑑別診断が治療の出発点です
- 主な鑑別疾患は全般性不安症・社交不安症・分離不安症・パニック症・うつ病・双極性障害・PTSD・OCD・ASD・ADHD・適応障害などです
- 身体疾患(甲状腺・低血糖・貧血など)・薬剤による不安も除外が必要です
- 子どもの不安は大人と症状の現れ方が異なり、複数の疾患が重なることが多いです
- 治療は心理療法(CBT・曝露療法・EMDR)と薬物療法(SSRI・SNRIなど)を組み合わせます
- 「不安が強い性格」と放置せず、早めに児童精神科に相談することが大切です
和光医院(名古屋市千種区)児童精神科専門クリニック お問い合わせ・ご予約はお電話またはウェブ予約にて承っております。
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子どものためのメンタルクリニック
医療法人永朋会 和光医院
診療科目
児童精神科・精神科・心療内科
発達障害(ASD・ADHD)、不登校、起立性調節障害、不安症、パニック症、チック症、強迫症、うつ症状など、お子さまから成人の方まで幅広く診療しております。
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【診療時間】
午前 9:00〜13:00
午後 15:00〜18:00
土曜 9:00〜14:00
【休診日】 日・祝日
患者様へのご案内
- 明細書について:当院では、療養費規則に基づき明細書の発行を無料で行っています。
- 一般名による処方について:後発医薬品が存在する場合は、商品名ではなく一般名(有効成分名)で処方することがあります。
- 医療情報の活用について:当院では、安心な医療を提供する為、オンライン資格確認や電子処方箋データ等の情報を活用して診療を行っています。