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2026.07.03ブログ

ひきこもりの原因に精神疾患が隠れていることはあるか?背景にある病気・診断・支援を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説

ひきこもりの原因に精神疾患が隠れていることはあるか?背景にある病気・診断・支援を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説

「部屋から出てこなくなった」「学校に行けなくなって、そのまま数年が経った」「何度話しかけても反応がない」——ひきこもりに悩む家族にとって、「なぜこうなったのか」という問いは切実です。実は、ひきこもりの背景には精神疾患が隠れているケースが少なくありません。名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、ひきこもりと精神疾患の関係・背景にある病気・診断・家族の関わり方・支援の方法について、わかりやすく詳しく解説します。


目次

  1. ひきこもりとは何か——定義と現状
  2. ひきこもりに精神疾患は関係あるのか
  3. ひきこもりの背景にある主な精神疾患一覧
  4. 【精神疾患①】うつ病・抑うつ状態
  5. 【精神疾患②】社交不安症(社会不安障害)
  6. 【精神疾患③】ASD(自閉スペクトラム症)
  7. 【精神疾患④】ADHD(注意欠如多動症)
  8. 【精神疾患⑤】統合失調症・統合失調症スペクトラム障害
  9. 【精神疾患⑥】双極性障害(躁うつ病)
  10. 【精神疾患⑦】PTSD・複雑性PTSD・トラウマ関連障害
  11. 【精神疾患⑧】強迫症(OCD)
  12. 【精神疾患⑨】パニック症・広場恐怖症
  13. 【精神疾患⑩】発達性トラウマ障害・愛着障害
  14. 精神疾患を見落とすとどうなるか
  15. ひきこもりの診断・アセスメントのプロセス
  16. 治療・支援の基本方針
  17. 家族ができるサポートと関わり方
  18. 学校・行政・支援機関との連携
  19. よくある質問(FAQ)
  20. 和光医院での診療について

1. ひきこもりとは何か——定義と現状

ひきこもりとは、厚生労働省の定義によれば、「様々な要因の結果として社会的参加(就学・就労・交友など)を回避し、原則として6ヶ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている状態」を指します。

ひきこもりの現状

内閣府の調査(2023年)によると、日本のひきこもり人口は推計146万人にのぼるとされています。従来は10〜20代の若者の問題とされてきましたが、近年は40〜60代の中高年のひきこもり(いわゆる「8050問題」)も社会的に大きな問題となっています。

また、不登校からひきこもりへの移行も増えており、文部科学省の調査では不登校の小中学生は2022年度に約29万人と過去最多を更新しています。ひきこもりは特定の年齢層・性別に限らず、誰にでも起こりうる社会的課題です。

ひきこもりは「怠け」や「わがまま」ではない

ひきこもりはしばしば「甘え」「根性がない」「育て方が悪い」と誤解されますが、これは事実ではありません。ひきこもりの多くは、本人が最も苦しんでいる状態です。「出たいのに出られない」「変わりたいのに変われない」という葛藤と苦しみを抱えながら、助けを求めることすらできずにいるケースが多いのです。


2. ひきこもりに精神疾患は関係あるのか

精神疾患の合併率

ひきこもりと精神疾患の関係は、複数の研究で明らかにされています。精神科を受診したひきこもり者を対象とした研究では、ひきこもりの50〜80%以上に何らかの精神医学的診断がつくことが報告されています。

斎藤環らの研究(2010年)では、ひきこもりの約70%に何らかの精神疾患が認められ、最も多かったのは適応障害・不安症・うつ病・発達障害(ASD・ADHD)でした。

また、精神疾患のないひきこもり者であっても、長期化することでうつ状態・社交不安・強迫症状・解離症状が二次的に生じることが多く、支援が遅れるほど精神的健康は悪化する傾向があります。

「精神疾患が原因」「精神疾患が結果」両方ある

ひきこもりと精神疾患の関係は一方向ではありません。

精神疾患がひきこもりの原因になるケース うつ病・社交不安症・ASD・統合失調症などが先にあり、その症状のために社会参加が困難になってひきこもりに至ります。

ひきこもりが精神疾患を引き起こすケース 長期のひきこもりによる孤立・活動低下・自己否定感の蓄積が、うつ病・不安症・解離症状などを二次的に生じさせます。

いずれの場合も、精神疾患を正確に診断・治療することがひきこもり支援の重要な柱となります。


3. ひきこもりの背景にある主な精神疾患一覧

ひきこもりの背景に関与する主な精神疾患は以下の通りです。複数が重なっているケースも非常に多いです。

疾患 ひきこもりとの主な関連
うつ病・抑うつ状態 意欲・活力の消失により外出不能
社交不安症 対人場面・評価への恐れで社会回避
ASD 社会的コミュニケーション困難・感覚過敏
ADHD 失敗体験の蓄積・二次的うつ・自己否定
統合失調症 陰性症状・妄想・幻聴による引きこもり
双極性障害 うつ相での活動停止・躁相後の混乱
PTSD・複雑性PTSD 外出回避・解離・過覚醒
強迫症(OCD) 強迫観念・儀式行為で外出できない
パニック症 発作への恐れから外出回避
愛着障害 対人関係への根本的な不信・回避
適応障害 ストレス因への反応として引きこもり

4. 【精神疾患①】うつ病・抑うつ状態

ひきこもりとの関係

うつ病はひきこもりの背景疾患として最も多く見られるもののひとつです。気力・意欲の著明な低下、強い倦怠感、希死念慮などの症状が、外出・社会参加を物理的に不可能にします。

「やる気がない」「だらけている」と周囲から見られがちですが、これはうつ病の症状そのものです。本人は「動かなければ」と思いながら動けない苦しさを抱えています。

子ども・青年のうつ病の特徴

子ども・思春期のうつ病は大人と異なる形で現れます。

  • 抑うつ気分よりもイライラ・怒りっぽさとして表れやすい
  • 「死にたい」という直接の訴えより「消えたい」「いなければよかった」という表現が多い
  • 朝起きられない・過眠・食欲変化・ゲームや動画への過集中が症状として出る
  • 学校へ行けなくなることが最初のサインになることが多い

見落とされやすいポイント

うつ病が背景にあるひきこもりでは、昼夜逆転・ゲーム・動画への過集中が「ひきこもりの問題行動」として誤解され、うつ病の診断・治療が遅れることがあります。昼夜逆転・ゲーム過集中は症状への対処(辛い現実からの回避)であり、叱責するのではなく背景にあるうつを治療することが先決です。


5. 【精神疾患②】社交不安症(社会不安障害)

ひきこもりとの関係

社交不安症は、他者から否定的に評価されることへの強い恐れを核心として、人前での言動・視線・発言・食事などに強い不安・恐怖を感じる疾患です。

「クラスで発言するのが怖い」「友達に変に思われているかも」「人と目が合うのが怖い」という不安が積み重なり、学校→外出全般の回避へと段階的に広がっていきます。

ひきこもりへの移行パターン

社交不安症からひきこもりへの移行は、しばしば以下のようなパターンをたどります。

  1. 学校での失敗体験・いじめ・恥ずかしい経験をきっかけに不安が強まる
  2. 特定の場面(授業・発表・給食など)を回避するようになる
  3. 回避範囲が広がり、登校自体が困難になる
  4. 家でも「外に出ると誰かに見られている」という感覚が強まり外出できなくなる
  5. 長期のひきこもりへと移行する

社交不安症は適切な治療(CBT・SSRI)で改善できる疾患ですが、受診自体の「人に会う」という壁が高く、治療開始が遅れがちです。


6. 【精神疾患③】ASD(自閉スペクトラム症)

ASDとひきこもりの関係

ASDはひきこもりの背景疾患として、近年特に注目されています。社会的コミュニケーションの困難・感覚過敏・変化への強い抵抗・こだわりの強さといったASDの特性が、集団生活・学校生活での著しい困難につながり、ひきこもりの原因となることがあります。

ASDがひきこもりにつながるメカニズム

社会的コミュニケーションの困難 空気を読む・暗黙のルールを理解する・複数の会話に同時参加するなどが困難なため、集団の中で強いストレスを感じ、疲弊します。

感覚過敏 特定の音(チャイム・集団のざわめき・給食の臭い)・光・触覚などへの過敏さが、学校という環境そのものを苦痛にします。

失敗体験と二次障害 ASDの特性が理解されず、繰り返し叱責・いじめ・孤立を経験することで、うつ病・社交不安症・PTSDなどの二次障害が生じ、それがひきこもりにつながります。

診断されていないASD(いわゆるグレーゾーン)

ひきこもりの相談に来るケースの中に、これまでASDと診断されたことがないが、特性が強い方が少なくありません。知的能力が高いために学校での問題が見えにくく、「努力が足りない」「協調性がない」と誤解されたまま長年苦しんできたケースも多いです。ひきこもりの支援において、発達特性の評価は非常に重要です。


7. 【精神疾患④】ADHD(注意欠如多動症)

ADHDとひきこもりの関係

ADHDの不注意・衝動性・感情調節困難といった特性が、学業・対人関係での失敗体験を繰り返させ、二次的なうつ病・自己否定感・社交不安を生じさせることがひきこもりの原因になります。

ADHDからひきこもりへの移行パターン

  • 提出物を出し忘れる・忘れ物が多い・授業についていけない
  • 衝動的な言動で友人関係がうまくいかない
  • 「またやってしまった」という自己嫌悪・自己否定の蓄積
  • 「どうせ自分はダメだ」という学習性無力感
  • 「失敗するくらいなら行かない方がまし」という回避行動
  • 学校回避・ひきこもりへ

ADHDそのものがひきこもりを直接引き起こすというより、ADHDの特性が環境との摩擦を生み、二次的に生じたうつ・不安・自己否定がひきこもりにつながるというパターンが多いです。

成人ADHDとひきこもり

成人になってから受診し、初めてADHDと診断されるひきこもりの方も少なくありません。「子どもの頃からずっと頑張ってきたが、大人になって限界が来た」という燃え尽き型のひきこもりにADHDが背景にあることがあります。


8. 【精神疾患⑤】統合失調症・統合失調症スペクトラム障害

ひきこもりとの関係

統合失調症は、**幻聴・妄想(陽性症状)意欲の低下・感情の平坦化・社会的引きこもり(陰性症状)**を主症状とする疾患です。発症年齢は思春期〜30代に多く、ひきこもりと重なりやすい年齢層です。

ひきこもりとの混同に注意

統合失調症のひきこもりは、見落とされることが非常に危険です。以下のサインがある場合、統合失調症を疑って専門的評価が必要です。

  • 「誰かに監視されている」「悪口を言われている」という訴え
  • 独り言・笑い・意味のわからない言動が増えた
  • 睡眠パターンが著しく乱れた
  • 急に学業・仕事の能力が落ちた(前駆期症状)
  • 家族への態度が急変した・怒りっぽくなった

統合失調症は早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。 「思春期の不安定さ」「ひきこもりの問題」として見過ごすことで、治療開始が遅れると回復が難しくなります。幻聴・妄想が疑われる場合は早急に精神科・児童精神科への相談が必要です。


9. 【精神疾患⑥】双極性障害(躁うつ病)

ひきこもりとの関係

双極性障害のうつ相(気分が落ち込む時期)では、うつ病と同様に意欲・活力の消失が生じ、ひきこもり状態になります。また、躁相(気分が高揚する時期)の後に疲弊・後悔・対人トラブルの後始末などで再びひきこもりに陥るパターンもあります。

見落とされやすいポイント

双極性障害は最初うつ病として診断されることが多く、抗うつ薬のみで治療されると躁転(躁状態に切り替わる)リスクがあります。ひきこもりの背景にある気分の変動パターン(元気すぎる時期とまったく動けない時期の繰り返し)は、双極性障害を示唆する重要なサインです。


10. 【精神疾患⑦】PTSD・複雑性PTSD・トラウマ関連障害

ひきこもりとの関係

虐待・いじめ・性被害・事故・災害などのトラウマ体験の後に生じるPTSD・複雑性PTSDは、外出回避・解離・過覚醒・特定の場所・人への恐怖として現れ、ひきこもりの重要な背景疾患となります。

子ども・青年のPTSD・複雑性PTSDの特徴

  • 特定の場所(学校・電車・人混み)への強い恐怖・回避
  • フラッシュバック(トラウマ記憶の侵入)・悪夢
  • 解離症状(ぼーっとする・現実感がない)
  • 感情調節困難(突然爆発する・感情が麻痺する)
  • 「自分はダメだ」「世界は危険だ」という深い自己否定・不信感

家庭内虐待とひきこもり

家庭内虐待(身体的・心理的・性的・ネグレクト)を経験した子どもは、家庭そのものがトラウマの場所になることがあります。「家の外は怖い、家の中も安全でない」という二重の危機の中でひきこもり状態に陥るケースもあり、支援には安全の確保と専門的なトラウマ治療が不可欠です。


11. 【精神疾患⑧】強迫症(OCD)

ひきこもりとの関係

強迫症では、**汚染への恐れ(外に出ると汚染される)・確認強迫(外出前に確認行動が止まらない)・縁起強迫(特定の行動を繰り返さないと外出できない)**などの症状が外出を著しく困難にし、ひきこもりの原因となります。

強迫症のひきこもりは、家の中での強迫行為(手洗い・確認・整理整頓)に長時間を費やすため、外出どころか日常生活すら制限される場合があります。

治療は曝露反応妨害法(ERP)とSSRIの組み合わせが標準です。強迫症は適切な治療で大きく改善できる疾患ですが、未治療では慢性化・重症化するリスクが高いため、早めの受診が重要です。


12. 【精神疾患⑨】パニック症・広場恐怖症

ひきこもりとの関係

パニック症では突然の激しい動悸・息切れ・「死ぬかもしれない」という感覚のパニック発作が繰り返され、「また発作が来るかも」という予期不安から発作が起きた場所や状況を回避するようになります(広場恐怖)。

電車・人混み・外出先でパニック発作を経験した後、外出そのものが恐怖の対象となり、家から出られなくなるひきこもり状態に至ることがあります。

パニック症・広場恐怖症はCBT・SSRIで治療でき、適切な治療で多くの方が回復できます。「怖いから行かない」という回避を続けるほど恐怖は強くなるため、早めの専門的治療が重要です。


13. 【精神疾患⑩】発達性トラウマ障害・愛着障害

ひきこもりとの関係

乳幼児期の養育者との安定した愛着関係が築けなかった場合(ネグレクト・養育者の精神疾患・虐待・頻繁な分離など)、対人関係への根本的な不信・回避・過敏さが生じます。これが人との関わりそのものへの強い恐れとなり、ひきこもりの背景となります。

愛着の問題を抱えるひきこもりでは、支援者・家族との信頼関係構築そのものに長い時間がかかります。「なかなか支援につながらない・支援を拒否する」というパターンの背景に愛着の問題がある場合、段階的・丁寧な関係構築からアプローチすることが重要です。


14. 精神疾患を見落とすとどうなるか

ひきこもりの背景にある精神疾患を見落として「ひきこもり支援」だけを行おうとすると、以下のような問題が生じます。

症状が悪化する うつ病・統合失調症・PTSDなどは、適切な治療なしに時間が経過するほど症状が重くなり、回復が困難になります。

支援が機能しない 精神疾患の症状がある状態で「とにかく外に出よう」「就労に向けて動こう」という支援を行っても、本人には物理的に対応できません。症状の治療が先決です。

二次障害が積み重なる ひきこもりが長期化することで、うつ・不安・解離・自傷・希死念慮などが二次的に積み重なり、支援がより複雑になります。

本人・家族の消耗 「何をやっても変わらない」という無力感が本人・家族の双方に蓄積し、支援への希望を失わせます。


15. ひきこもりの診断・アセスメントのプロセス

ひきこもりの評価には、精神医学的な診断だけでなく多面的なアセスメントが必要です。

詳細な問診・生育歴の聴取

  • ひきこもりの始まった時期・きっかけ・経過
  • 学校生活・家庭環境・友人関係の歴史
  • 発達歴(言葉・運動の発達、幼少期の特性)
  • トラウマ体験の有無
  • 家族歴(精神疾患・発達特性)
  • 現在の生活リズム・活動・睡眠・食事

心理検査

  • 発達・知能検査(WISC-Ⅴ・WAIS-Ⅳ):発達特性の評価
  • ASD評価(AQ・ADOS)
  • ADHD評価(Conners・CAARS)
  • 抑うつ評価(BDI・PHQ-9)
  • 不安評価(STAI・SCARED)
  • PTSD評価(IES-R・PCL-5)

本人への直接面接が困難な場合

ひきこもりの方は受診そのものが難しいケースが多いです。まず保護者・家族が相談に来ていただくことから始められます。 家族への相談を通じて情報収集・支援計画を立て、本人が受診できる環境を段階的に整えていきます。


16. 治療・支援の基本方針

ひきこもりの治療・支援は、背景にある精神疾患の種類・重症度・本人の状態によって異なりますが、基本的な方針は以下の通りです。

安全・安心の確保が最優先

どんな治療・支援も、本人が「ここは安全だ」「この人は信頼できる」と感じられる環境なしには機能しません。焦らず、段階的に信頼関係を構築することが最初のステップです。

精神疾患の適切な治療

薬物療法 うつ病・不安症にはSSRI・SNRI、統合失調症には抗精神病薬、ADHDには中枢神経刺激薬・非刺激薬、双極性障害には気分安定薬が使用されます。薬が「外に出る力」を取り戻すための土台となります。

心理療法

  • 認知行動療法(CBT): 不安症・うつ病・強迫症・パニック症に有効
  • EMDR・TF-CBT: PTSD・トラウマ関連障害に有効
  • 社会スキルトレーニング(SST): ASD・社交不安症に有効
  • マインドフルネス: 慢性的な不安・ストレスへの対処

段階的な社会参加支援

精神症状が落ち着いてきたら、段階的に活動範囲を広げていきます。「まず家の中で動ける→家の周囲を散歩→支援機関に通う→社会参加へ」という段階的なステップが現実的です。急かすことは逆効果になります。


17. 家族ができるサポートと関わり方

ひきこもりの支援において、家族の関わり方は非常に重要です。

基本姿勢

「なぜ出てこないの」と問い詰めない ひきこもりの本人は、出たくても出られない苦しさを抱えています。責め立てることは症状を悪化させ、家族との関係をさらに悪化させます。

存在を認め、安心感を伝える 「ご飯できたよ」「ここにいていいよ」という何気ない言葉が、本人の安心感・存在承認につながります。成果や行動を求めるのではなく、存在そのものを認めるメッセージを伝え続けてください。

生活リズムの安定を支える 昼夜逆転・不規則な食事は症状を悪化させます。ただし強制するのではなく、「一緒に食べよう」「朝ご飯作ったよ」など穏やかな誘いかけで関わりましょう。

家族自身のサポートも必要 ひきこもりの家族は長期にわたって精神的・経済的に消耗します。家族が倒れてしまっては支援を続けられません。家族会・相談機関・カウンセリングを積極的に活用してください。

やってはいけない関わり方

  • 「いつ出てくるの」「このままじゃダメだ」という繰り返しの詰問
  • 強制的に外に連れ出す・部屋から出す
  • ゲーム・スマホを取り上げる(本人の唯一の居場所・安心源を奪うことになる)
  • 「もっと頑張れ」「甘えるな」という叱責
  • 「あなたのせいで家族が不幸だ」という感情的な訴え

18. 学校・行政・支援機関との連携

ひきこもりの支援は医療機関だけでは完結しません。以下の機関との連携が重要です。

教育機関 担任・スクールカウンセラー・特別支援コーディネーターとの連携により、学校への復帰を段階的にサポートします(保健室登校・別室登校・時間差登校など)。

ひきこもり地域支援センター 各都道府県に設置されている相談窓口で、ひきこもりに関する相談・支援機関の紹介を行っています。

発達障害者支援センター ASD・ADHDの評価・支援に特化した相談機関です。

就労移行支援・就労継続支援(福祉サービス) 精神疾患・発達障害がある方の就労準備・就労支援を行います。

家族会・支援グループ 「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」などの家族会は、同じ立場の家族同士が情報交換・支え合える場として有効です。


19. よくある質問(FAQ)

Q. ひきこもりは何科に相談すればよいですか?

A. 精神科・心療内科・児童精神科が適切な相談先です。背景に精神疾患がある可能性が高いため、まず専門医への相談をお勧めします。子どもの場合は児童精神科が最も適切です。

Q. 本人が受診を拒否しています。どうすればよいですか?

A. まず保護者・家族だけが相談に来ていただくことで始められます。家族への情報提供・関わり方のアドバイス・本人が受診しやすい環境づくりのサポートから始めます。本人を無理やり連れてこようとすることは逆効果になることがほとんどです。

Q. ひきこもりはどのくらいで治りますか?

A. 期間は背景にある精神疾患・ひきこもりの期間・環境・支援体制によって大きく異なります。数ヶ月で改善するケースもあれば、数年かかるケースもあります。「早く治す」ことより「確実に回復する」ことを目標に、長期的な視野で取り組むことが重要です。

Q. ゲームやスマホを取り上げた方がいいですか?

A. お勧めしません。ひきこもりの方にとってゲーム・SNS・動画は、辛い現実から一時的に逃れ、社会との細い接点を保つための重要なツールです。取り上げることで、唯一の安心感・社会とのつながりを失わせてしまいます。問題にすべきはゲーム・スマホではなく、その背景にある辛さです。

Q. 「怠けている」「甘えている」と思ってしまいます。

A. 多くの保護者・家族が同じ気持ちを持ちます。しかし、ひきこもりの大多数は本人が最も苦しんでいます。「出たくても出られない」「変わりたくても変われない」という苦しみは、怠けや甘えとは本質的に異なります。背景に精神疾患があれば、それは「頑張ればどうにかなる問題」ではなく「医療的な支援が必要な状態」です。

Q. 不登校からひきこもりになりそうです。早めにできることは?

A. 不登校の段階で早めに児童精神科・スクールカウンセラーに相談することが最も重要です。背景にある精神疾患・発達特性を早期に評価・治療することで、長期ひきこもりへの移行を防げる可能性があります。「様子を見よう」と待ちすぎることは、問題の長期化・重症化につながるリスクがあります。


20. 和光医院での診療について

名古屋市千種区にある和光医院は、児童精神科を専門とするクリニックです。ひきこもり・不登校の背景にある精神疾患・発達特性を専門的に評価し、本人・家族への包括的なサポートを行っています。

当院が大切にしていること

「まず本人が来られなくても大丈夫です」——保護者・家族の相談から始められます。焦らず、段階的に本人の状態と家族の状況を一緒に整理しながら、支援の方向性を考えていきます。

当院での対応内容

  • ひきこもり・不登校の背景精神疾患の診断・評価
  • 発達特性(ASD・ADHD)の評価・診断
  • うつ病・不安症・統合失調症・双極性障害・OCD・PTSDの治療
  • 心理検査(知能・発達・うつ・不安・PTSD評価)
  • 心理療法(CBT・EMDR・TF-CBT・遊戯療法)
  • 薬物療法
  • 保護者・家族へのカウンセリング・心理教育
  • 学校・支援機関との連携
  • ひきこもり支援機関へのつなぎ・紹介

こんな方はご相談ください

  • 子どもが学校に行けなくなって数ヶ月〜数年経つ
  • 部屋から出てこない・家族とも話さない
  • 「死にたい」「消えたい」という発言がある
  • 独り言・意味のわからない言動が増えた
  • 発達特性(ASD・ADHD)があるかもしれない
  • どこに相談すればよいかわからない
  • 本人は受診を拒否しているが家族だけで相談したい

「もしかして精神疾患が隠れているのかも」と感じたら、まずはご相談ください。早期の評価と適切な支援が、お子さんとご家族の回復を大きく助けます。


まとめ

  • ひきこもりの50〜80%以上に何らかの精神医学的診断がつくとされています
  • 背景にある主な精神疾患は、うつ病・社交不安症・ASD・ADHD・統合失調症・双極性障害・PTSD・OCD・パニック症・愛着障害などです
  • 精神疾患がひきこもりの原因になる場合と、ひきこもりが精神疾患を引き起こす場合の両方があります
  • 精神疾患を見落とした支援は機能せず、症状を悪化させるリスクがあります
  • ひきこもりの評価には発達歴・生育歴・心理検査を含む多面的なアセスメントが必要です
  • 家族の関わり方として、責めない・存在を認める・家族自身もサポートを受けることが重要です
  • 本人が受診できなくても、まず家族だけの相談から始められます
  • 早期の評価と支援開始が、長期ひきこもりへの移行を防ぐ最大の手段です

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【休診日】 日・祝日

患者様へのご案内

  • 明細書について:当院では、療養費規則に基づき明細書の発行を無料で行っています。
  • 一般名による処方について:後発医薬品が存在する場合は、商品名ではなく一般名(有効成分名)で処方することがあります。
  • 医療情報の活用について:当院では、安心な医療を提供する為、オンライン資格確認や電子処方箋データ等の情報を活用して診療を行っています。