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2026.07.18ブログ

子どもの強迫性障害(OCD)——わかりにくい症状で現れるときとは?和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説

子どもの強迫性障害(OCD)——わかりにくい症状で現れるときとは?和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説

「何度も手を洗うのはわかるけど、うちの子の症状は違う気がする」「強迫性障害って、もっとわかりやすい症状じゃないの?」「繰り返す行動はあるけど強迫なのか発達特性なのかわからない」——強迫性障害(OCD)と聞くと「手洗いを何度も繰り返す」「鍵を何度も確認する」というイメージを持つ方が多いです。しかし子どもの強迫性障害は、こうした典型的な症状ではなく、一見まったく別の問題に見える「わかりにくい形」で現れることが非常に多いのです。名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、子どもの強迫性障害が「わかりにくい症状」で現れるケース・見落としのパターン・診断・治療について、保護者の方にわかりやすく詳しく解説します。


目次

  1. 子どもの強迫性障害とは何か
  2. なぜ子どもの強迫性障害は「わかりにくい」のか
  3. 【わかりにくい症状①】「こだわり」や「癇癪」に見える強迫
  4. 【わかりにくい症状②】不登校・登校渋りとして現れる強迫
  5. 【わかりにくい症状③】身体症状・体の訴えとして現れる強迫
  6. 【わかりにくい症状④】「遅い」「のろい」として現れる強迫
  7. 【わかりにくい症状⑤】親への質問・確認の繰り返しとして現れる強迫
  8. 【わかりにくい症状⑥】食べ物の強迫・極端な偏食として現れる強迫
  9. 【わかりにくい症状⑦】性的・暴力的・タブーな思考(侵入思考)
  10. 【わかりにくい症状⑧】強迫を隠す・秘密にする
  11. 子どもの強迫性障害と間違えやすい疾患・状態
  12. 子どもの強迫性障害の診断基準(DSM-5)
  13. 子どもの強迫性障害の治療——CBT(ERP)と薬物療法
  14. 家族の関わり方——「安心させる行為(accommodating behavior)」の問題
  15. 学校・支援機関との連携
  16. よくある質問(FAQ)
  17. 和光医院での診療について

1. 子どもの強迫性障害とは何か

**強迫性障害(OCD:Obsessive-Compulsive Disorder)**は、本人の意思に反して繰り返し侵入してくる思考・衝動・イメージ(強迫観念)と、その不安を和らげるために行う繰り返しの行動・心の中の行為(強迫行為)を特徴とする精神疾患です。

強迫性障害は大人だけの疾患ではありません。世界的には子どもの1〜3%がOCDを経験するとされており、発症年齢の平均は約10歳前後と小児期に始まることが多い疾患です。小学生・中学生への影響が大きく、学業・友人関係・家族関係に深刻な支障をきたします。

強迫観念と強迫行為の関係

強迫観念:「鍵を閉め忘れたかも」「汚いものに触れたかも」「誰かを傷つけてしまうかも」など、繰り返し頭に浮かぶ不快な思考・衝動・イメージで、本人が「こんなことを考えたくない」と思っても止められないものです。

強迫行為: 強迫観念が引き起こす不安・不快感を一時的に和らげるために行う繰り返しの行動(手洗い・確認・整理整頓・触れる・数える等)や心の中の行為(数える・祈る・心の中で繰り返す等)です。強迫行為を行っても、時間が経つとまた強迫観念が浮かんで強迫行為を繰り返す、という悪循環が生じます。


2. なぜ子どもの強迫性障害は「わかりにくい」のか

大人のOCDと比較して、子どものOCDには「見えにくい・わかりにくい」特徴が多くあります。

強迫観念を言語化できない

大人は「汚染が怖い」「鍵を閉め忘れた気がする」という強迫観念を言語化できます。しかし子ども、特に年少の子どもは自分の頭の中で何が起きているかを正確に言葉にする力がまだ発達途上です。「なんとなく嫌」「こうしないとダメな気がする」という感覚的な説明にとどまり、周囲には「ただのわがまま」「こだわりが強い」と見えます。

強迫行為が「普通の行動」に溶け込む

子どもの日常には「繰り返しの行動(同じ本を何度も読む・同じルートを通る)」や「儀式的な行動(寝る前の手順)」が自然に含まれています。強迫行為がこうした「普通の子どもらしい行動」に紛れ込むことで、周囲が気づきにくくなります。

恥ずかしさ・隠す

特に思春期以降、「こんなことを考える自分はおかしい」という羞恥心・自責感から、強迫症状を家族に隠すことが増えます。「バレないようにこっそりやる」という行動が取られます。

強迫ではなく「別の問題」として現れる

強迫の症状が「不登校」「身体症状」「癇癪・暴力」「食欲不振」「遅刻」などの形で表面化するため、本質(強迫症状)が見えにくくなります。


3. 【わかりにくい症状①】「こだわり」や「癇癪」に見える強迫

どんな状態か

「決まった手順でやらないと気が済まない」「ものを特定の場所に置かないと激しく怒る」「ドアを何度も開け閉めしないと次に進めない」——こうした行動は、一見ASD(自閉スペクトラム症)の「こだわり」や「癇癪」のように見えます。しかし強迫性障害の場合、以下の特徴があります。

強迫特有のポイント:

  • 「やりたくてやっている」のではなく「やらないと強い不安・不快感が生じる」
  • 本人が「やめたいのにやめられない」という苦しさを持っていることが多い
  • 症状の内容が変化・拡大していく(最初は手洗いだけだったのに、触れないものが増えていくなど)
  • 特定の「ちょうどよい感覚(just right feeling)」になるまでやめられない

「just right feeling(ちょうどよい感覚)」とは

子どものOCDに特に多い現象で、「なんとなく気持ちよくおさまった感覚になるまで」行動をやめられない状態です。「バランスが合わない」「左右が違う気がする」「まだきちんとできていない気がする」という感覚が繰り返し行動の引き金になります。強迫観念よりも「感覚」が前景に出るため、ASDの感覚特性と混同されやすいです。


4. 【わかりにくい症状②】不登校・登校渋りとして現れる強迫

どんな状態か

毎朝学校に行くまでに非常に時間がかかる・玄関を何度も確認してしまい間に合わない・学校への道中で「家の鍵を閉め忘れたかも」という不安が止まらなくなる・「悪いことが起きるかもしれない」という予期不安で動けない——これらの強迫症状が「不登校・登校渋り」として現れることがあります。

なぜわかりにくいか

不登校の原因として想定されやすいのは、いじめ・学校恐怖・起立性調節障害・ASD・うつ病などです。強迫症状が背景にある不登校は、本人が「学校が嫌だから行かない」という説明をすることがあり、強迫が見落とされます。

見分けるポイント

  • 登校準備に異常に時間がかかる(確認行為・儀式行為のため)
  • 出発直前に「もう一度確認しなければ」という行動が繰り返される
  • 登校中・授業中に「家が心配」「戸締まりが心配」という思考が止まらない
  • 特定の行動(言葉・触れる回数・歩き方)を「正しく」やれないと前に進めない

5. 【わかりにくい症状③】身体症状・体の訴えとして現れる強迫

汚染強迫が「病気への不安」として現れる

「病気になったらどうしよう」「自分は感染症にかかっているのではないか」「食べ物に毒が入っているのではないか」——こうした強迫観念が、繰り返す腹痛・頭痛・吐き気・「体の具合が悪い」という身体的な訴えとして現れることがあります。

小児科・内科で検査しても「異常なし」と言われるのに症状が続く場合、身体症状症・心身症の診断になることがありますが、背景にOCDが隠れているケースがあります。

感覚への過剰なとらわれ

「自分の体に何か変な感覚がある」「心臓がいつもと違う」「呼吸の仕方が変な気がする」という身体感覚への強いとらわれ(身体的強迫)が、繰り返す医療機関受診・身体の確認行動(脈を測る・体を触って確認する)として現れます。

嘔吐恐怖症(エメトフォビア)との関係

嘔吐することへの強烈な恐怖から、食べ物を避ける・外食できない・乗り物に乗れない・学校に行けないという状態があります。これはOCDの亜型として理解されることがあり、嘔吐に関連する強迫観念と回避行動(強迫行為の一型)のパターンを示します。


6. 【わかりにくい症状④】「遅い」「のろい」として現れる強迫

どんな状態か

朝の準備に2〜3時間かかる・宿題を始めるまでに何時間もかかる・食事を食べ終わるまでに1〜2時間かかる・着替えが異常に遅い——こうした「とにかく何をするにも遅い・時間がかかりすぎる」という状態が、強迫症状として現れることがあります。

なぜ時間がかかるのか

  • 「完璧にやり直さなければ」という強迫観念から何度もやり直す(完璧強迫)
  • 「ちょうどいい感覚」になるまで行動をやめられない
  • 行動を始めるための「準備の儀式」(特定の手順で道具を並べる・特定の言葉を心の中で唱えるなど)が必要
  • 「間違えた」と感じるたびに最初からやり直す

この状態はADHD(注意欠如多動症)の「段取りの苦手さ」や、ASDの「切り替えの困難」と混同されやすいです。

見分けるポイント

ADHDの場合は「気が散って進まない」のが主な理由です。強迫の場合は「やり直し・確認・特定の手順へのこだわり」のために時間がかかります。本人が「やめたいのにやめられない」「終わりたいのに終われない」という苦しさを感じているかどうかが重要なポイントです。


7. 【わかりにくい症状⑤】親への質問・確認の繰り返しとして現れる強迫

どんな状態か

「本当に大丈夫?」「絶対に病気じゃない?」「ちゃんと閉まってる?」「明日、学校行けばいい?」——同じ質問を何度も何度も繰り返して親の答えを求める。答えを聞いても「でも本当に?」とまた聞く。これが1日に何十回も繰り返される——この「繰り返す確認の質問」は強迫行為の一型です。

なぜわかりにくいか

子どもが親に確認するのは自然な行動です。「子どもが心配性なだけ」「慎重な性格」として受け流されやすいです。しかし強迫の確認行為では、答えを聞いてもすぐにまた不安になり、同じ質問を際限なく繰り返すという特徴があります。

「reassurance seeking(安心を求める行動)」

これは**「reassurance seeking(安心を求める行動)」**と呼ばれる強迫行為の重要な一型です。親・家族が答え続けることが実は強迫行為の「巻き込み」になり、強迫を維持・悪化させるという問題があります(後述)。


8. 【わかりにくい症状⑥】食べ物の強迫・極端な偏食として現れる強迫

汚染強迫が「偏食」として現れる

「この食べ物は汚い・危険かもしれない」という汚染強迫が、特定の食品を食べられない・特定の食器しか使えない・食べ物が誰かに触れた瞬間に食べられなくなるという形で現れます。

一見、ASDに関連する感覚過敏による偏食・嘔吐恐怖症・ARFID(回避・制限性食物摂取症)に似ていますが、「汚染・危険への恐れ」という強迫観念が明確に存在する点が強迫特有です。

完璧強迫が「食べ方」に現れる

食事の食べ方に強いこだわり(食べる順番・食べ物が混ざることへの強い拒否・ちょうどいい量まで食べ進めなければならないなど)が生じ、食事の時間が著しく長くなったり、家族が特定のルールを強制されたりします。

摂食障害との鑑別

「食べることへの強い不安・回避」という外見上の共通点から、神経性無食欲症(拒食症)・ARFIDとの鑑別が必要です。強迫の場合は、体重・体型への恐れより「汚染・危険・完璧さ」への強迫観念が背景にある点が異なります。


9. 【わかりにくい症状⑦】性的・暴力的・タブーな思考(侵入思考)

最も隠されやすい強迫症状

「家族を傷つけてしまうかもしれない」「性的に不適切なことを考えてしまった」「神様・道徳に反することを考えてしまった」——こうした侵入思考(intrusive thoughts)は、OCD症状の中で最も本人が「自分はおかしい・犯罪者になるかもしれない」と恐れ、誰にも言えずに抱え込む症状です。

侵入思考とは何か

侵入思考はOCDの人だけに起きるわけではなく、実は多くの人が日常的に体験します。しかしOCDの人は「こんなことを考える自分は危険な人間だ・狂っているのではないか」という過剰な評価・恐れが生じ、思考を打ち消そうとする行動(心の中で謝る・祈る・いい思考で打ち消す)を繰り返します。この「打ち消し行動」がOCDの強迫行為です。

子どもへの特有の現れ方

子どもでは以下のような形で現れることがあります。

  • 「お父さんを傷つけてしまうかもしれない」という恐れから、包丁・ハサミ・刃物がある場所に近づけない
  • 「自分は悪い人間だ」という強い自責感・自己嫌悪
  • 性的な内容の思考が浮かんでしまうことへの強い羞恥・恐れ
  • 宗教・道徳に反する考えが浮かんでしまうことへの恐怖

見落とされやすい理由

本人が「こんなことを打ち明けたら怖い人だと思われる」「処罰されるかもしれない」という恐れから完全に隠します。うつ・不安・自傷行為として現れることもあります。


10. 【わかりにくい症状⑧】強迫を隠す・秘密にする

隠す強迫

思春期以降、特に知的能力が高い子どもは強迫症状を巧みに隠すようになります。

  • 人目がないときだけ強迫行為を行う
  • 確認行為を「慎重な性格」として説明する
  • 手洗いを人前では控え、一人のときに長時間行う
  • 儀式行為を「習慣」として説明する

家族が気づいたときには長期間・重症化していたというケースが多いです。

「心の中の強迫行為」のわかりにくさ

強迫行為には「目に見える行動(手洗い・確認等)」だけでなく、「心の中で行う行為(数える・祈る・言葉を繰り返す・打ち消す)」があります。後者は外からは全くわからず、「何もしていないのに何かを考え込んでいる」という形でしか現れません。学習中に突然止まって「考えている」ような様子が続く・作業が全く進まないなどが手がかりになります。


11. 子どもの強迫性障害と間違えやすい疾患・状態

子どもの強迫性障害は以下の疾患・状態と混同されることが非常に多いです。

ASD(自閉スペクトラム症)との混同

似ている点: 繰り返し行動・こだわり・特定の手順へのこだわり・感覚的な不快感に基づく行動。

区別のポイント: ASDのこだわりは「好きだから・楽しいからやる」という動機を持つことが多いです。強迫行為は「やりたくないが、やらないと強烈な不安・不快感が生じるからやる」という動機です。また強迫は「やめたいのにやめられない苦しさ」を本人が感じていることが多いです。ただし、ASDとOCDは約17〜37%の高頻度で合併します。

ADHD(注意欠如多動症)との混同

似ている点: 作業が進まない・時間がかかる・物の置き場へのこだわり。

区別のポイント: ADHDは「気が散る・始められない・段取りが苦手」が主因。OCDは「やり直し・確認・儀式のため時間がかかる」が主因。ただしOCDとADHDの合併率は約25〜30%と高い。

不安症(分離不安・社交不安・全般性不安症)との混同

不安症も繰り返す「確認・回避行動」が出ることがあります。OCDの場合は強迫観念(具体的な侵入思考)とそれを打ち消す強迫行為のパターンが明確であることが区別のポイントです。OCDと不安症の合併率は約25〜40%。

チック症(トゥレット症)との混同

チック症も繰り返しの動作・音声が出ます。チックは「前駆衝動→チック」という経過を持ちますが、不安感・強迫観念を和らげる目的はありません。チック症とOCDは約25〜50%の高頻度で合併(トゥレット症ではさらに高い)します。

摂食障害・ARFIDとの混同

食に関連した強迫がARFID・摂食障害と混同されます。背景にある認知(体重への恐れか汚染への恐れか)の違いが鑑別の鍵です。


12. 子どもの強迫性障害の診断基準(DSM-5)

DSM-5(米国精神医学会診断基準)によるOCDの診断には以下の基準が必要です。

A)強迫観念・強迫行為(またはその両方)の存在

強迫観念: ①繰り返す思考・衝動・イメージが侵入的・不快であり、著明な不安・苦痛を引き起こす ②思考・衝動・イメージを無視・抑制しようとするか、他の思考・行動で打ち消そうとする

強迫行為: ①繰り返す行動(手洗い・確認・整頓等)または心の中の行為(数える・繰り返す・祈る) ②強迫観念への反応として、または厳密なルールに従って行う

B) 強迫観念・強迫行為が時間を消費し(1日1時間以上)、社会的・学業的・職業的機能に著しい苦痛・支障をもたらす

子どもへの適用: 子どもでは自分の強迫観念が過剰または不合理であるという認識を持たないこともあります(この点は大人と異なります)。


13. 子どもの強迫性障害の治療——CBT(ERP)と薬物療法

認知行動療法・曝露反応妨害法(ERP)

**ERP(Exposure and Response Prevention:曝露反応妨害法)**は、OCDに対して最も科学的根拠(エビデンス)が確立された治療法です。

ERPの原理: 強迫観念が引き起こす不安に「あえて直面し(曝露)」、強迫行為を行わないで不安が自然に下がるのを待つ(反応妨害)ことを繰り返します。「強迫行為をやめても不安は時間とともに自然に下がる」という体験を積み重ねることで、強迫行為の必要性が薄れていきます。

子どものERPの特徴: 子どもでは「不安のはしご(anxiety ladder)」を使い、最も不安の低い状況から始めて徐々に強い状況に挑戦するという段階的なアプローチを取ります。遊びの要素を取り入れた工夫も行われます。

薬物療法(SSRI)

SSRIはOCDに対して保険適応があり、ERPとの組み合わせで特に有効です。子どもに使用されるSSRIとして、フルボキサミン・フルオキセチンなどがあります。効果が出るまで4〜8週間かかり、成人より少ない用量から開始します。

薬物療法単独よりERP+薬物療法の組み合わせが最も有効です。


14. 家族の関わり方——「安心させる行為(accommodating behavior)」の問題

家族の巻き込みとは

OCD患者の家族が「子どもを安心させよう」という善意から行う以下の行動が、実は強迫を維持・悪化させることがわかっています。

巻き込み行動(Family Accommodation)の例:

  • 「大丈夫?」という確認に何度も「大丈夫だよ」と答え続ける
  • 子どもが触れたくないものを代わりに触ってあげる
  • 特定のルール(触れる順番・言葉かけの手順)に合わせてあげる
  • 強迫行為に付き合う(一緒に確認する・一緒に洗う)
  • 強迫を引き起こす状況を先回りして排除する

なぜ家族の「助け」が逆効果になるか

家族が強迫行為に「協力」することで、一時的に子どもの不安は和らぎます。しかし「強迫行為(または家族の協力)をすれば不安が和らぐ」という学習が強化され、強迫がより固定・拡大します。

家族ができる正しい関わり方

  • 確認の質問に「同じ答えを何度も繰り返さない」(「さっきも答えたね。もう答えないよ」と穏やかに伝える)
  • 強迫行為への協力を段階的に減らしていく
  • 本人の苦しさを受け止めながら、強迫行為そのものには乗っからない
  • 専門家(児童精神科)と連携して「家族の関わり方」を具体的に学ぶ(Family-based CBT)

15. 学校・支援機関との連携

学校での配慮

強迫症状が学校生活に影響している場合、以下の配慮を学校に依頼することが有効です。

  • 強迫を誘発する状況の把握と配慮(汚染強迫なら給食時間の手洗いへの対応等)
  • 時間がかかりすぎることへの余裕を持った時間設定
  • 提出物・テストへの完璧強迫への配慮
  • スクールカウンセラーとの連携
  • 医療機関からの情報提供・連携文書

合理的配慮の申請

強迫症状が学業・生活に著しく影響している場合、学校への合理的配慮申請が有効なことがあります。医師の診断書・意見書が必要な場合があります(和光医院でも対応しています)。


16. よくある質問(FAQ)

Q. 子どもの強迫性障害は何科を受診すればよいですか?

A. 児童精神科・思春期精神科・精神科・小児科(精神科に詳しい医師)が適切な相談先です。子どもの場合は発達特性(ASD・ADHD)との合併評価も必要なため、児童精神科が最も適切です。「強迫かどうかわからない」という状態でも相談できます。

Q. 「癖」や「こだわり」と強迫の違いは何ですか?

A. 最大の違いは「やりたくてやっているか、やらなければ強い不安・苦痛が生じるからやるか」です。また、強迫は「症状が生活に著しい支障をもたらしているか」という機能的な影響も重要な基準です。「気になるけど日常生活は送れている」程度なら経過観察でよいことが多いですが、「強迫のために学校に行けない・家族が振り回されている」という状態なら受診が必要です。

Q. 子どもが「強迫があること」を認めません。どうすればよいですか?

A. 子ども自身が「自分の症状がOCDである」と認識・受け入れることは難しい場合があります。まず「お子さんが困っていることを一緒に考えたい」という姿勢で医療機関に相談することが最初の一歩です。保護者だけでの相談から始めることも可能です。

Q. 「治る」のですか?一生続きますか?

A. 適切な治療(ERP+必要に応じてSSRI)を受けた場合、多くの子どもで症状の改善・軽快が期待できます。子どもの強迫は成人のものより予後が比較的良好とされています。ただし再発のリスクもあるため、治療終了後も定期的な経過観察が重要です。「完全に消える」ことを目標とするより「症状に振り回されずに生活できる状態」を目標とすることが現実的です。

Q. ASDと強迫が両方あるかもしれません。どちらを先に治療すればよいですか?

A. ASDとOCDの合併は多く、両方への対応が必要です。一般的には、生活に最も大きな支障をもたらしている症状を優先して治療します。ASDへの支援(特性の理解・環境調整)を行いながらOCDへのERPを進めることも可能です。詳細は担当医師と相談して治療の優先順位を決めてください。


17. 和光医院での診療について

名古屋市千種区にある和光医院は、児童精神科を専門とするクリニックです。子どもの強迫性障害(OCD)の診断・評価・治療に専門的に対応しています。

当院が大切にしていること

「こんなこと考える自分はおかしいの?」「強迫なのか癖なのかわからない」——そんな不安を抱えた子どもと保護者の方が、安心して相談できる場所であることを大切にしています。

当院での対応内容

  • 強迫性障害の診断・重症度評価(CY-BOCS等)
  • ASD・ADHD・チック症など発達特性・合併疾患の評価
  • 認知行動療法(ERP:曝露反応妨害法)
  • 薬物療法(フルボキサミン等のSSRI)
  • 家族支援・Family-based CBT
  • 学校・支援機関との連携
  • 合理的配慮申請のための診断書・意見書作成

こんな方はぜひご相談ください

  • 何度も確認する・手洗いが止まらない
  • 「こだわり」が強くて生活に支障が出ている
  • 作業に異常に時間がかかる・やり直しが止まらない
  • 親への確認の質問が何十回も繰り返される
  • 「変な考えが頭から離れない」と子どもが訴える
  • 不登校の背景に強迫が隠れているかもしれない
  • ASD・ADHDがあるが強迫も合併しているかもしれない
  • 強迫と診断されたが治療が進んでいない

「これって強迫?」と迷ったら、まずはご相談ください。本人が来られなくても、保護者だけのご相談から始めることができます。


まとめ

  • 子どもの強迫性障害は「手洗い・確認」という典型的な症状だけでなく、わかりにくい形で現れることが非常に多いです
  • こだわり・癇癪・不登校・身体症状・「遅さ」・親への確認質問・偏食・侵入思考として現れることがあります
  • 強迫観念を言語化できない・恥ずかしさから隠す・心の中だけで行われる強迫行為などが見落としにつながります
  • ASD・ADHD・チック症・不安症・摂食障害と混同・合併することが多く、正確な鑑別・評価が重要です
  • 治療の第一選択はERP(曝露反応妨害法)で、重症例にはSSRIを組み合わせます
  • 家族が「安心させる」行為(reassurance seeking への応答・強迫への協力)を繰り返すことが強迫を悪化させる可能性があります
  • 「これって強迫かな?」と思ったら、早めに児童精神科に相談することが回復への最短ルートです

和光医院(名古屋市千種区)児童精神科専門クリニック お問い合わせ・ご予約はお電話またはウェブ予約にて承っております。

 

 

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医療法人永朋会 和光医院

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  • 明細書について:当院では、療養費規則に基づき明細書の発行を無料で行っています。
  • 一般名による処方について:後発医薬品が存在する場合は、商品名ではなく一般名(有効成分名)で処方することがあります。
  • 医療情報の活用について:当院では、安心な医療を提供する為、オンライン資格確認や電子処方箋データ等の情報を活用して診療を行っています。