ブログ
二次性夜尿症(おねしょの再発)——一度治ったのに再びおねしょが始まった子どもへの正しい理解と支援を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説
二次性夜尿症(おねしょの再発)——一度治ったのに再びおねしょが始まった子どもへの正しい理解と支援を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説
「小学校に入ってからおねしょが治ったのに、また最近始まった」「下の子が生まれてから急におねしょが再発した」「学校でいじめがあってからおねしょが戻ってきた」「転校してから夜尿が始まった」「叱ってもなかなか直らなくて子どもも自己嫌悪になっている」——一度治ったおねしょが再発することを二次性夜尿症(二次性夜尿:Secondary Nocturnal Enuresis)と呼びます。一次性夜尿症(生まれてからずっと続くおねしょ)とは異なり、二次性夜尿症はストレス・不安・家族環境の変化・精神的な問題が背景にあることが多く、叱責や行動制限ではなく、精神的なサポートが根本的な解決になります。名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、二次性夜尿症の原因・背景・保護者の正しい関わり方・治療まで、わかりやすく詳しく解説します。
目次
- 夜尿症とは——一次性と二次性の違い
- 二次性夜尿症とは——「治ったのに再発する」
- 二次性夜尿症の有病率・好発時期
- 二次性夜尿症の原因——精神的要因・医学的要因
- 「ストレスがおねしょを引き起こす」メカニズム
- 二次性夜尿症の背景にある精神的問題
- ASD・ADHD・発達特性との関係
- 二次性夜尿症の診断——何科を受診するか
- 除外すべき身体的な原因
- 「叱ってはいけない」理由——叱責が逆効果になるメカニズム
- 【支援①】環境・ストレス源の特定と軽減
- 【支援②】夜尿への正しいアプローチ——ルーティン・水分管理
- 【支援③】心理的サポート——自己肯定感の回復が最重要
- 【治療④】薬物療法(デスモプレシン等)
- 保護者の正しい関わり方
- よくある質問(FAQ)
- 和光医院での診療について
1. 夜尿症とは——一次性と二次性の違い
夜尿症(Nocturnal Enuresis)の定義
夜尿症(おねしょ)は、5歳以上の子どもが週に2回以上・3か月以上にわたって夜間に無意識に排尿してしまう状態です。
一次性と二次性の違い
| 比較 | 一次性夜尿症 | 二次性夜尿症 |
|---|---|---|
| 定義 | 生まれてから夜尿が一度も治ったことがない | 6か月以上の夜尿のない期間があった後に再発 |
| 頻度 | 夜尿症全体の約80〜85% | 約15〜20% |
| 主な原因 | 夜間多尿・睡眠覚醒閾値の高さ・膀胱容量 | ストレス・不安・精神的問題・身体疾患 |
| 治療の基本 | アラーム療法・デスモプレシン | 原因となるストレス・精神的問題のアプローチが先 |
2. 二次性夜尿症とは——「治ったのに再発する」
「6か月以上おねしょがなかった(治っていた)のに、また始まった」という状態が二次性夜尿症です。
二次性夜尿症が重要な理由は、**再発の背景に「何かが起きた」**というサインであるという点です。おねしょが再発したタイミングで、子どもの生活・環境・精神的な状態に何か重要な変化がなかったかを確認することが、支援の出発点になります。
3. 二次性夜尿症の有病率・好発時期
- 学齢期(5〜12歳)に最も多い
- 小学校入学・転校・きょうだいの誕生・家族の変化等をきっかけに発症することが多い
- 男女比はほぼ同等(一次性夜尿症は男児に多い)
- 二次性夜尿症の約75〜80%は6か月以内に自然軽快するが、背景の問題に対処しないと長期化する
4. 二次性夜尿症の原因——精神的要因・医学的要因
精神的要因(最も多い)
- ストレス・不安の増大: 学校でのいじめ・試験・勉強のプレッシャー
- 環境の大きな変化: 転校・転居・保護者の離婚・きょうだいの誕生・祖父母の死
- ASD・ADHD・発達特性: 環境変化への適応困難が夜尿として現れる
- 不登校・引きこもり: 精神的な消耗・生活リズムの乱れ
- 身体的・性的な虐待: 二次性夜尿症は虐待の重要なサインのひとつ
- 親子関係の問題: 家庭内の緊張・両親の不仲・過度な叱責
医学的要因(除外が必要)
- 尿路感染症: 膀胱炎等が夜尿を引き起こすことがある
- 糖尿病: 尿量増加による夜尿
- 尿崩症: ADH(抗利尿ホルモン)の欠乏
- 便秘: 直腸の充満が膀胱を圧迫し夜尿を引き起こす
- 睡眠時無呼吸症候群: 睡眠の質低下・ADH分泌の乱れ
- てんかん: 夜間発作時の失禁
5. 「ストレスがおねしょを引き起こす」メカニズム
精神的ストレスが夜尿を引き起こすメカニズムは複数あります。
①自律神経(交感神経亢進)による膀胱機能への影響: 慢性的なストレスによる交感神経の過活動が、膀胱の過敏性を高め・夜間の不随意排尿が起きやすくなります。
②ADH(抗利尿ホルモン)の分泌異常: ADHは睡眠中に分泌が増え夜間の尿量を減らすホルモンです。ストレス・睡眠の質の低下がADH分泌のリズムを乱し、夜間の尿量が増えます。
③睡眠の質の低下: 不安・心配事が睡眠の深さを妨げ、膀胱が満タンになっても覚醒できない「覚醒閾値の上昇」が生じます。
④退行(Regression): 強いストレス下で、子どもは発達的に「以前の段階に戻る」退行という現象が起きます。おねしょはこの退行の典型的な現れのひとつです。
6. 二次性夜尿症の背景にある精神的問題
二次性夜尿症が長期化する場合、以下の精神的問題が背景にあることが多いです。
不安症・過剰な心配: 学校・友人関係・成績への強い不安が持続している。
うつ状態・抑うつ: 気分の落ち込み・意欲の低下・食欲変化と夜尿が同時に見られる場合。
PTSD・トラウマ反応: 虐待・いじめ・事故・喪失体験等のトラウマ的出来事の後に夜尿が再発した場合は、PTSDの評価が重要です。
ASD(自閉スペクトラム症): ASDの特性により環境変化への適応が困難で、変化に反応して夜尿が再発することがあります。また感覚過敏(膀胱の充満感の気づきにくさ)が関与することもあります。
7. ASD・ADHD・発達特性との関係
ASDと二次性夜尿症
- ASDの子どもは環境変化(転校・クラス替え・教員の変更)への適応が困難で、環境変化をきっかけに夜尿が再発することがある
- 感覚処理の特異性(膀胱の充満感への気づきにくさ・過敏さ)が関与することがある
- ルーティンへのこだわりが乱れると夜尿が増えることがある
ADHDと二次性夜尿症
- ADHDの子どもは一次性夜尿症も多いが、学齢期の学業プレッシャー・友人関係のトラブルが二次性夜尿症の誘因になることがある
- ADHDの衝動性・不注意が「トイレに行くタイミングを逃す」「水分管理が難しい」という問題につながることがある
8. 二次性夜尿症の診断——何科を受診するか
二次性夜尿症は複数の診療科が関わる疾患です。
まず受診すべき科:
- 小児科: 身体的な原因(尿路感染症・糖尿病・便秘等)の除外
- 泌尿器科(小児泌尿器科): 膀胱・尿道の器質的問題の評価
- 児童精神科: 精神的な背景・発達特性・家族環境の評価
二次性夜尿症で児童精神科受診が特に推奨される場合:
- 再発のきっかけが明確な精神的ストレス・環境変化である
- 夜尿と同時期に情緒的な問題(不安・抑うつ・行動の変化)が出ている
- ASD・ADHDの診断がある、または発達特性が疑われる
- 不登校・引きこもりを合併している
- 虐待が疑われる
9. 除外すべき身体的な原因
二次性夜尿症の評価で最初に行うことは身体的な原因の除外です。
- 尿検査: 尿路感染症・糖尿・蛋白尿
- 血液検査: 血糖・ADH・腎機能
- 超音波: 膀胱・腎臓の形態評価
- 排便状況の確認: 便秘は夜尿と深く関連する(直腸の充満→膀胱圧迫)
10. 「叱ってはいけない」理由——叱責が逆効果になるメカニズム
二次性夜尿症への叱責・罰が逆効果になる理由:
①ストレスをさらに増やす: 夜尿を叱られることで子どものストレス・不安が増大→夜尿の誘因がさらに強まる悪循環。
②自己肯定感の低下: 「自分はおねしょをしてしまうダメな子」という自己像が固定化し、回復への意欲が失われます。
③夜間の過覚醒: 「今夜もやってしまうのでは」という不安が睡眠を妨げ、かえって夜尿が増えることがあります。
叱責・罰・シーツの片付けをさせる等の罰的な対応は、国際小児禁制学会(ICCS)のガイドラインでも明確に推奨されていません。
11. 【支援①】環境・ストレス源の特定と軽減
再発のきっかけを丁寧に探る
「夜尿が始まった時期」と「生活上の変化」を照らし合わせます。
確認すべき変化:
- 学校・クラス・担任の変化
- 転校・転居
- 家族構成の変化(きょうだいの誕生・親の別居・離婚)
- 大切な人との別れ(祖父母の死等)
- いじめ・友人関係のトラブル
- 学習上のストレス・習い事のプレッシャー
ストレス源への具体的対応
特定できたストレス源へのアプローチが最も重要です。
- 学校でのいじめ→担任・スクールカウンセラーとの連携
- 家族関係の緊張→家族療法・家族への支援
- ASD・ADHD→発達特性に合わせた環境調整
12. 【支援②】夜尿への正しいアプローチ——ルーティン・水分管理
水分管理
- 日中は適切な水分を取る(極端な水分制限は逆効果)
- 夕食後〜就寝前の水分を控えめにする(就寝2時間前から過剰な水分を避ける)
- カフェイン(コーラ・お茶・チョコレート)は利尿作用があるため夕方以降は避ける
就寝前のルーティン
- 就寝直前に必ずトイレに行く習慣
- 夜中に1回起こすアプローチ(効果は個人差あり)
夜尿アラーム療法
一次性夜尿症に最も有効ですが、二次性夜尿症でも身体的・精神的な安定後に導入できます。夜尿の始まりを感知してアラームで覚醒を促す条件付け療法です。
13. 【支援③】心理的サポート——自己肯定感の回復が最重要
二次性夜尿症で最も重要な支援の核心
二次性夜尿症では、夜尿そのものへの対応よりも**「子どもの自己肯定感の回復」**が最も重要なゴールです。
具体的な関わり方:
- 「おねしょは病気・特性によるもの。あなたのせいではない」と明確に伝える
- 夜尿のない朝は自然に(大げさにならず)肯定する
- 夜尿があった朝は「大丈夫だよ・一緒にシーツを換えよう」と穏やかに対応する
- 子どもの「今困っていること」に耳を傾け、ストレス源の解消を一緒に考える
遊戯療法・CBT
不安が強い・トラウマ反応がある場合は、遊戯療法・認知行動療法(CBT)等の心理的アプローチが有効です。
14. 【治療④】薬物療法(デスモプレシン等)
デスモプレシン(ミニリンメルト®)
ADH(抗利尿ホルモン)の合成類似体で、夜間の尿量を減らすことで夜尿を防ぎます。
- 適応: 主に一次性夜尿症に有効。二次性でも身体的・精神的な安定後に使用することがある
- 使用方法: 就寝30〜60分前に舌下投与(溶けるタイプの錠剤)
- 注意点: 服用後の水分摂取制限が必要(低ナトリウム血症のリスク)
薬物療法の位置づけ
二次性夜尿症では、薬物療法はあくまでも補助的な役割です。背景にある精神的問題・発達特性・環境ストレスへのアプローチが先決であり、薬だけでは根本解決になりません。
15. 保護者の正しい関わり方
✅ 大切にしてほしいこと
- おねしょを「失敗」ではなく「サイン」として受け止める
- 「あなたのせいではない」という安心感を繰り返し伝える
- 叱らない・罰しない・比較しない
- 再発したきっかけ(ストレス)を一緒に探る
- 専門家(小児科・児童精神科)と早めに連携する
❌ やってはいけないこと
- 「もう大きいのになぜおねしょをするの」という叱責
- シーツの洗濯を子どもに「罰として」させる
- きょうだいや友人と比較する
- 「恥ずかしい」という表現
16. よくある質問(FAQ)
Q. 下の子が生まれてから急におねしょが始まりました。これは赤ちゃん返りですか?
A. 赤ちゃん返りの一形態として二次性夜尿症が現れることは非常によくあります。下の子の誕生によって「自分は後回しにされた」という不安・ストレスが退行として現れます。叱責は逆効果で、「あなたのことも大切にしている」というメッセージを言動で示すことと、スキンシップを増やすことが有効です。多くは数週間〜数か月で自然に軽快します。
Q. 学校でいじめを受けてからおねしょが始まりました。受診が必要ですか?
A. いじめ後の夜尿再発は、PTSD・不安症・抑うつの可能性があります。小児科での身体的評価とともに、児童精神科での精神的評価・支援を並行して受けることをお勧めします。
Q. 夜尿症はいつ治りますか?
A. 二次性夜尿症の多くは背景のストレス・環境問題が解決されることで数週間〜数か月で改善します。ただし発達特性(ASD・ADHD)が背景にある場合や、慢性的なストレスが続く場合は長期的なサポートが必要なことがあります。
17. 和光医院での診療について
名古屋市千種区にある和光医院は、児童精神科を専門とするクリニックです。二次性夜尿症の精神的背景の評価・発達特性の診断・家族支援に対応しています。
当院での対応内容
- 二次性夜尿症の精神的背景の評価(ストレス・不安・発達特性・家族環境)
- ASD・ADHD・不安症・うつ状態等の合併評価・治療
- 子どもへの心理的サポート(遊戯療法・CBT)
- 保護者への関わり方指導・家族支援
- 不登校・引きこもり等の合併への包括的支援
- 学校・小児科との連携
こんな方はぜひご相談ください
- 一度治ったおねしょが再発した
- 再発のきっかけが明確な環境変化・ストレスである
- 夜尿と同時に不安・抑うつ・行動の変化が出ている
- ASD・ADHDがあって夜尿も気になる
- 叱っても改善せず親子関係が悪化している
- いじめ・虐待が疑われる
「二次性夜尿症は叱責で治るものではありません。再発は子どもが出しているSOSのサインかもしれません。まずご相談ください。」
当院ホームページはこちら ご予約はホームページまたは公式LINEより受け付けております。 【公式LINE 友だち追加はこちら】 【Instagramはこちら】
子どものためのメンタルクリニック|医療法人永朋会 和光医院
診療科目: 児童精神科・精神科・心療内科
発達障害(ASD・ADHD)、不登校、起立性調節障害、不安症、パニック症、チック症、強迫症、うつ症状など、お子さまから成人の方まで幅広く診療しております。
名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院では、お子さまのこころの健康を専門スタッフが丁寧にサポートします。受診のご相談・ご予約はホームページまたは公式LINEより承っております。
受診される方へ
初めて受診される方
当院は予約制をとっておりますが、初診の場合は若干のお時間をいただくこととなり、お待ちいただくことがあります。スムーズにご案内する為に、WEB問診のご利用をおすすめいたします。
WEB問診はこちら >
初診予約は電話にてお願いします。
再診される方
お電話もしくは予約システム(チェック・オン)から予約を取ることもできます。予約の変更や取り消しをご希望の場合には、診療時間内に受付にお電話いただくか、予約システムから変更・取り消しを行ってください。
パソコン・携帯から簡単にご予約できます。
和光医院 診療時間のご案内
【診療時間】
午前 9:00〜13:00
午後 15:00〜18:00
土曜 9:00〜14:00
【休診日】 日・祝日
患者様へのご案内
- 明細書について:当院では、療養費規則に基づき明細書の発行を無料で行っています。
- 一般名による処方について:後発医薬品が存在する場合は、商品名ではなく一般名(有効成分名)で処方することがあります。
- 医療情報の活用について:当院では、安心な医療を提供する為、オンライン資格確認や電子処方箋データ等の情報を活用して診療を行っています。