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2026.08.20ブログ

子どものうつ病、気づいていますか?思春期のうつの特徴と受診のサインを解説

子どものうつ病、気づいていますか?思春期のうつの特徴と受診のサインを解説

名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック 和光医院


はじめに:「最近うちの子、なんか変…」と感じたら

「前は楽しそうに学校に行っていたのに、急に元気がなくなった」 「何に対しても無気力で、ゲームも友達との約束も断るようになった」 「イライラして八つ当たりが増えた。思春期のせいかな…」

こうした変化に気づきながら、「思春期だから仕方ない」「少し休めば戻るはず」と見守り続けているうちに、実はお子さんがうつ病を発症していた——というケースが決して珍しくありません。

子ども・思春期のうつ病は、大人のうつ病とは症状の現れ方が大きく異なるため、保護者が気づきにくいという特徴があります。

今回は、子ども・思春期のうつ病の特徴・大人との違い・家庭での気づき方・受診のサイン・対応のポイントについて、名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が保護者の方向けにわかりやすく解説します。


子ども・思春期のうつ病、どのくらいいるの?

うつ病は大人だけの病気だと思われがちですが、実は子どもにも発症します。

  • 小学生のうつ病有病率:約1〜2%
  • 中学・高校生のうつ病有病率:約4〜8%(クラスに1〜3人はいる計算)
  • 思春期以降は女性がやや多い傾向がある
  • うつ病を経験した大人の約半数が10代に初発したとされている

「子どもにうつ病は早い」ということはなく、小学生でも発症します。早期に気づいて適切なサポートにつなげることが、回復の大きな鍵となります。


大人のうつ病との違い:ここが「気づきにくい」理由

大人のうつ病のイメージ(「悲しい」「何もできない」「泣いてばかり」)とは異なり、子ども・思春期のうつ病はまったく違う形で現れることがほとんどです。

子ども・思春期のうつ病に多い症状

感情・行動面

  • 「悲しい・落ち込んでいる」より**「イライラ・怒りっぽい」**として現れやすい
  • 以前は楽しめていたことへの興味が急になくなる
  • 部屋に閉じこもる・友人との交流を避ける
  • 「消えたい」「いなくなりたい」という言葉が出ることがある

身体面(特に子どもに多い)

  • 「頭が痛い」「お腹が痛い」「だるい」などの身体症状が前面に出る
  • 毎朝登校前に腹痛を訴える
  • 食欲が急に変化する(食べなくなる・逆に過食になる)
  • 朝起きられない・昼夜逆転

学校・日常生活面

  • 成績が急激に落ちた
  • 宿題・提出物が出せなくなった
  • 遅刻・欠席が増えた
  • 以前好きだった趣味・習い事を突然やめたがる

「思春期だから」と見分けにくい理由

思春期には誰でも気分の波・反抗的な態度・無気力な時期があります。だからこそ「これは成長過程の一部かな」と見過ごしやすいのです。

うつ病のサインか、思春期の自然な変化かを見分けるポイントは次の通りです。

思春期の自然な変化 うつ病のサイン
期間 数日〜2週間程度 2週間以上続く
生活への影響 それほど大きくない 学校・日常生活に支障が出る
楽しめること 好きなことは楽しめる 何に対しても興味・喜びを感じない
身体症状 ほぼない 頭痛・腹痛・倦怠感が続く
ある程度起きられる 起きられない・起こしても動けない
回復のきっかけ 休めば戻る 休んでも改善しない

保護者が気づいた「うつかも」のサイン15チェック

以下のうち、2週間以上継続して複数当てはまる場合は、専門機関への相談を検討してください。

気分・感情 ✔ 毎日のようにふさぎ込んでいる・悲しそうにしている ✔ 以前楽しんでいたこと(ゲーム・友達・趣味)に急に興味を持てなくなった ✔ イライラ・怒りっぽさが急に増した ✔ 「消えたい」「死にたい」「いなくなりたい」という言葉が出た

身体・生活 ✔ 毎朝「頭が痛い」「お腹が痛い」を訴える ✔ 食欲が著しく減った・または急に過食になった ✔ 朝起きられない・昼夜逆転している ✔ 以前より明らかに疲れやすそう・ぐったりしていることが多い ✔ 体重が急に変化した(増えた・減った)

学校・対人関係 ✔ 遅刻・欠席が増えた ✔ 成績が急激に落ちた ✔ 友人との交流が急減した・LINE・SNSにも反応しなくなった ✔ 部活・習い事を急にやめたがる・参加しなくなった

行動・発言 ✔ 将来のことを「どうせ…」と否定的に話すことが増えた ✔ 「自分はダメだ」「生きていても意味がない」という発言が増えた


こんな場面が続いたら要注意:よくある気づきのシーン

シーン①「毎朝のお腹が痛い」

登校前になると毎朝お腹が痛くなり、学校を休むと症状がなくなる。「仮病では?」と思うかもしれませんが、これはうつ病や不安症が身体症状として現れている可能性があります。本人は本当に痛いのです。

シーン②「スマホ・ゲームに廃人みたいになった」

うつ病になると、スマホやゲームへの過集中が強まることがあります。現実から目を背けるための手段として使っていることが多く、「ゲーム依存」に見えて実はうつ病が背景にあるケースは少なくありません。

シーン③「急に成績が落ちた」

集中力の低下・記憶力の低下・思考スピードの低下はうつ病の中核症状のひとつです。「やる気がないだけ」「勉強しないから」と思われがちですが、本人は努力したくてもできない状態にあります。

シーン④「急に友達と遊ばなくなった」

人と会うことへの強い億劫さ・疲れやすさ・「迷惑をかけたくない」という自己否定感から、対人交流を避けるようになります。

シーン⑤「突然リストカットが見つかった」

自傷行為はうつ病・不安症・BPD(境界性パーソナリティ障害)など様々な背景がありますが、うつ病の深刻化のサインであることも多いです。発見した場合は、すぐに専門機関への相談が必要です。


子どものうつ病の原因:なぜうつになるの?

複数の要因が絡み合っている

うつ病の原因は単一ではなく、複数の要因が重なって発症します。

① 遺伝・体質的要因 うつ病や不安症の家族歴がある場合、発症しやすい傾向があります。「親のせい」ではなく、体質として関与しています。

② 脳の神経伝達物質の変化 セロトニン・ノルアドレナリンなどの神経伝達物質のバランスが乱れることが、うつ病の生物学的な背景として知られています。

③ 環境・ストレス

  • いじめ・友人関係のトラブル
  • 学業プレッシャー・受験
  • 家庭環境の変化(親の離婚・引越し・兄弟の誕生など)
  • 進学・クラス替えなどの環境の変化
  • 部活動の挫折・目標の喪失

④ 発達特性との関連 ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如多動症)のある子どもは、学校・社会環境での累積ストレスから、うつ病を二次的に発症しやすいとされています。

⑤ 季節・身体的要因 季節性うつ病(秋冬に悪化)・甲状腺機能異常・鉄欠乏性貧血なども、うつ症状を引き起こすことがあります。


保護者として「やってはいけない対応」

善意のつもりでもお子さんを傷つけてしまうことがあります。以下は避けてください。

✖ 「甘えているだけ」「気持ちの問題」と否定する → 本人は本当に苦しんでいます。「気持ちの問題」で解決できる状態ではありません。

✖ 「みんな同じ。頑張れ」と励ます → うつ状態のときに「頑張れ」という言葉は、「もうこれ以上頑張れない自分はダメだ」という自己否定を深めます。

✖ 無理やり学校に連れて行く → 強制登校は状態を悪化させることがあります。特にうつが深刻な場合は、学校より回復が先です。

✖ 「なんでそんな風になったの?」と原因追及する → 本人も理由がわからないことが多いです。問い詰めることは追い詰めることになります。

✖ スマホ・ゲームを突然取り上げる → 唯一の楽しみ・居場所・発散手段を奪い、孤立感・絶望感を深める可能性があります。


保護者としてできること

① まず「聴く」

「最近どんな気持ち?」と短く穏やかに声をかけ、お子さんが話し出したら最後まで聴きましょう。アドバイスや否定はせず、「そうか、つらかったんだね」と受け止めるだけで十分です。

② 「いてくれてよかった」を伝える

うつのとき、子どもは強い自己否定感の中にいます。「どんな状態でもあなたが大切だ」「いてくれてよかった」という言葉は、安心感の土台になります。

③ 安心できる環境を整える

  • 無理に登校を促さない
  • 睡眠・食事の環境を整える(責めずに)
  • 家が「安全基地」であることを示す

④ 早めに専門機関に相談する

お子さん自身が「受診したくない」と言っても、保護者だけで相談することは可能です。一人で抱え込まず、まず専門家に相談してください。


どんな治療をするの?

休養・環境調整(最優先)

うつ病治療の基本は「休むこと」です。学校を休むことへの罪悪感を持たせず、まず十分な休養を確保します。同時に、ストレスの原因となっている環境への働きかけ(学校との連携・いじめ対応など)を行います。

心理療法

**認知行動療法(CBT)**が特に有効とされています。「どうせ自分はダメだ」「失敗するに決まっている」といった否定的な思考パターンを見直し、より現実的な見方に修正していくアプローチです。

薬物療法

中等度以上のうつ病には、**SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)**が使われることがあります。子どもへの使用は慎重に判断し、効果と副作用を丁寧に確認しながら進めます。自己判断での中断は再発のリスクがあるため、必ず医師の指示のもとで使用します。

学校との連携

担任・スクールカウンセラーへの情報共有、登校形態の調整(別室登校・時間短縮・保健室登校など)、配慮依頼の文書作成などを行います。


「消えたい」「死にたい」という言葉が出たら

この言葉は、必ず真剣に受け止めてください。「大げさ」「かまってほしいだけ」と判断せず、まずお子さんの苦しみを受け止めることが大切です。

対応のポイント

  • 落ち着いた声で「話してくれてありがとう。どんな気持ちか聞かせて」と伝える
  • 一人にしない
  • 「大丈夫だよ、一緒に考えよう」と寄り添う
  • 速やかに児童精神科・精神科に連絡する

希死念慮(死にたいという気持ち)が強い場合は、緊急の対応が必要です。すぐに専門機関にご連絡ください。


こんな場合はお早めにご相談ください

✔ 2週間以上、元気のない状態・無気力が続いている

✔ 毎朝頭痛・腹痛・倦怠感を訴えて学校を休むことが増えた

✔ 食欲・睡眠・体重が急激に変化した

✔ 成績が急激に落ちた・学校生活に支障が出ている

✔ 「消えたい」「死にたい」という言葉が出た

✔ 自傷行為(リストカット等)が見つかった

✔ 友人との交流が急に断絶した・完全に引きこもりになった

✔ ASD・ADHDがあり、最近様子が変わった

✔ 保護者として、どう関わればいいかわからない


和光医院でのサポート

和光医院は、名古屋市千種区の児童精神科専門クリニックです。

子ども・思春期のうつ病について、以下の支援を行っています。

  • うつ病・抑うつ状態の診断・評価
  • ASD・ADHD・不安症など合併する問題の評価
  • 心理療法(認知行動療法的アプローチ)
  • 薬物療法(SSRI等・慎重に判断)
  • 学校との連携・配慮依頼の文書作成
  • 保護者へのアドバイス・関わり方のサポート
  • 希死念慮・自傷への緊急対応

「うちの子、もしかして…」と感じたら、一人で抱え込まずにまずご相談ください。 保護者の方だけの相談から始めることも可能です。


まとめ

子ども・思春期のうつ病は、

  • クラスに1〜3人はいるほど珍しくない
  • 大人と異なり、イライラ・身体症状・無気力として現れやすい
  • 「思春期だから」と見過ごされやすい
  • 2週間以上症状が続く場合は専門機関への相談を
  • 「消えたい」「死にたい」は必ず真剣に受け止める
  • 休養・心理療法・薬物療法・学校連携の組み合わせで回復が期待できる

お子さんのちょっとした変化を「なんかおかしいな」と感じた保護者の直感は、多くの場合正しいです。その感覚を大切に、早めにご相談ください。


よくある質問(FAQ)

Q. 子どものうつ病は学校を休ませた方がいいですか?

A. 中等度以上のうつ病では、無理な登校継続が状態を悪化させることがあります。まず受診して専門家の判断を仰いでください。「学校を休む=悪いこと」ではなく、「回復のために必要な休養」として捉えることが大切です。

Q. 薬を使わずに治せますか?

A. 軽症のうつ病では、休養・環境調整・心理療法だけで回復することも多いです。薬物療法が必要かどうかは重症度によって異なります。必ず医師と相談のうえ判断してください。

Q. 本人が「病院には行きたくない」と言っています。

A. よくあることです。まず保護者だけで相談に来ていただくことができます。専門家から「どのように声をかければ受診につながるか」のアドバイスをお伝えできます。

Q. うつ病は完全に治りますか?

A. 適切な治療を受ければ、多くの方が回復します。ただし再発しやすい面もあるため、治療終了後も定期的なフォローアップが重要です。

Q. 学校のスクールカウンセラーに相談するのとどう違いますか?

A. スクールカウンセラーは日常的な相談・サポートに適していますが、診断・薬物療法・詳細な心理検査・医療的介入は行えません。症状が続く・強い場合は、医療機関(児童精神科)での専門的評価が必要です。


和光医院|名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック

 


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