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2026.08.21ブログ

ADHD(注意欠如多動症)とは?症状・原因・診断・治療法を児童精神科医が詳しく解説 名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック 和光医院

ADHD(注意欠如多動症)とは?症状・原因・診断・治療法を児童精神科医が詳しく解説

名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック 和光医院


はじめに

「忘れ物が多くて毎朝怒鳴ってしまう」「じっとしていられなくて授業参観が心配」「やる気はあるのになぜかできない」「もしかしてうちの子、ADHDかな…」

ADHDは、現在最も認知度が高まっている発達障害のひとつです。しかし、「元気な子・活発な子」「わがままな子」「やればできるのにやらない子」と誤解されたまま、適切な支援につながれていないケースがまだ非常に多くあります。

ADHDは脳の神経発達の特性であり、本人の努力や意志の問題ではありません。正確な理解と早期からの適切なサポートによって、お子さんの強みを伸ばし、困りごとを大きく軽減できます。

今回は、ADHDの症状・原因・診断・治療・家庭でのサポートについて、名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が詳しく解説します。


ADHD(注意欠如多動症)とは?

ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder:注意欠如多動症)は、

  • 不注意(注意が続かない・忘れ物が多い・ミスが多い)
  • 多動性(じっとしていられない・過度に動き回る)
  • 衝動性(考える前に行動してしまう・待てない)

を主な特徴とする神経発達症(発達障害)です。

現在の診断基準(DSM-5)では「注意欠如多動症」と呼ばれ、以下の3つのタイプに分類されます。

タイプ 特徴
不注意優勢型 多動・衝動性は目立たず、不注意の症状が中心。女の子に多い傾向
多動・衝動性優勢型 不注意は少なく、多動・衝動性が中心。幼児期に目立ちやすい
混合型 不注意・多動・衝動性がともに見られる。最も多いタイプ

ADHDの有病率

  • 子どもの有病率は約5〜7%(クラスに1〜2人)
  • 男女比は男性が女性の約2〜3倍多い
  • ただし女性は症状が目立ちにくいため、診断が遅れやすい
  • 子ども期のADHDの約50〜60%は成人期にも症状が続くとされている

ADHDの主な症状

不注意の症状

  • 細かいミスが多い・ケアレスミスが続く
  • 授業中・作業中に注意が長続きしない
  • 話しかけられても聞いていないように見える
  • 指示に従えない・途中で他のことに気を取られる
  • 計画を立てて物事を進めることが苦手
  • 必要なものをよく失くす(教科書・筆箱・鍵など)
  • 日常的な活動(宿題・後片付け・約束)をよく忘れる
  • 気が散りやすい・些細なことに気を取られる

多動性の症状

  • 座っていてもそわそわ・手足をもじもじ動かす
  • 授業中に席を離れてしまう
  • 走り回る・高い所に登るなど過度に動き回る
  • 静かに遊べない・いつもエンジンがかかったように動いている
  • しゃべりすぎる・言葉が止まらない

衝動性の症状

  • 質問が終わる前に答えてしまう
  • 順番を待てない
  • 他人の会話・活動に割り込む
  • 「後で考える」「待つ」ができず、すぐに行動してしまう
  • 感情のコントロールが難しく、かっとなりやすい

年齢別のADHDの特徴

ADHDの症状は年齢とともに変化します。

幼児期(2〜5歳)

  • 落ち着きなく動き回る・待てない
  • 順番が守れない・ルールのある遊びが難しい
  • 危険なことへの恐怖心が薄い
  • 気持ちの切り替えが極端に難しい

小学校(6〜12歳)

  • 忘れ物・なくし物が目立つ
  • 宿題・提出物が出せない
  • 授業中に立ち歩く・おしゃべりが止まらない
  • ケアレスミスが多く、成績が安定しない
  • 友達とのトラブルが増える(衝動的な言動)

中学・高校(思春期)

  • 多動は落ち着くが、不注意・衝動性は続く
  • 長期的な課題管理(試験勉強・進路計画)が極端に苦手
  • スマホ・ゲームへの過集中・やめられない
  • 感情の爆発・対人トラブル
  • 二次障害(うつ・不安症・素行の問題)が現れやすい

成人期

  • 締め切りを守れない・書類の管理が苦手
  • 仕事のミスが多い・転職を繰り返す
  • 衝動買い・衝動的な判断による生活上の問題
  • 対人関係の維持が難しい
  • 「なぜかうまくいかない」という慢性的な自己否定感

ADHDと間違われやすい状態・合併しやすい疾患

間違われやすい状態

状態 ADHDとの違い
活発な性格 性格は状況に応じてある程度コントロールできる。ADHDは一貫して困難がある
うつ病・抑うつ うつによる集中困難・意欲低下がADHDに見えることがある
睡眠障害 睡眠不足・睡眠相後退症候群による集中困難・多動に見える状態
不安症 不安による落ち着きのなさ・思考の散漫さ
ASD(自閉スペクトラム症) 社会的コミュニケーションの困難・こだわりが中心。ADHDと約50〜70%の割合で合併する

合併しやすい疾患

ADHDは単独で存在することも多いですが、以下との合併も非常に多いです。

  • ASD(自閉スペクトラム症):約50〜70%
  • 学習障害(LD):読み書き・計算の特異的な困難
  • チック症・トゥレット症候群
  • 不安症・社交不安症
  • うつ病(特に思春期以降・二次障害として)
  • 反抗挑戦性障害(ODD)

ADHDの原因

遺伝的要因(最も強く関与)

ADHDの遺伝率は**約70〜80%**と非常に高く、遺伝的な要因が最も大きいとされています。

  • 親・兄弟にADHDがある場合、発症リスクが高まる
  • 単一の遺伝子ではなく、多数の遺伝子の組み合わせが関与
  • 「親から遺伝した」ことは誰のせいでもなく、責めるべきことではない

脳の神経学的要因

  • 前頭前野の機能的差異:実行機能(計画・優先順位・感情調節)を担う部位
  • ドーパミン・ノルアドレナリンの調節異常:注意・報酬・動機づけに関わる神経伝達物質
  • 脳の発達が全体的に約3年程度遅れているという研究報告もある

環境的要因(リスク因子)

  • 早産・低出生体重
  • 妊娠中の喫煙・アルコール曝露
  • 鉛などの有害物質への曝露

ADHDは「育て方のせい」ではない

厳しく育てすぎた・甘やかしすぎた・スマホを与えすぎたなど、保護者の育て方がADHDの原因になることはありません

ADHDは脳の神経発達の問題であり、保護者が自分を責める必要はまったくありません。


ADHDの診断

診断のプロセス

ADHDの診断は、児童精神科・小児神経科・発達外来などで行われます。

①詳細な問診・生育歴の聴取

  • 症状がいつから現れているか(12歳以前からの症状が条件)
  • 複数の場面(家庭・学校)で症状が見られるか
  • 症状による日常生活・学校生活への支障の程度
  • 家族歴・周産期の状況・発達の経過

②行動観察 診察場面でのお子さんの様子(活動量・注意の持続・衝動的な言動など)を観察します。

③標準化された評価ツール

  • ADHD評価スケール(ADHD-RS):症状の頻度・程度の評価
  • Conners評価スケール:保護者・教師記入式の評価票
  • CAARS(成人用)

④知能検査(必要に応じて)

  • WISC-Ⅴ(ウェクスラー児童知能検査)
  • 知的能力・認知プロファイルの把握(得意・不得意のばらつきを確認)

⑤他の疾患の除外 うつ病・不安症・ASD・睡眠障害などとの鑑別を行います。

診断を受けるメリット

  • お子さんの特性を正確に理解できる
  • 適切な支援・配慮を学校・支援機関に求めやすくなる
  • 本人が「なぜかうまくいかない」理由を理解でき、自己否定が和らぐ
  • 薬物療法・心理社会的支援という具体的な治療につながる
  • 放課後等デイサービス等の福祉サービスを利用できる

ADHDの治療

ADHDの治療は、薬物療法と心理社会的支援の組み合わせが最も効果的です。

① 薬物療法

ADHDの治療薬は、脳内のドーパミン・ノルアドレナリンの調節を助けることで、不注意・多動・衝動性を改善します。

メチルフェニデート(コンサータ)

  • 中枢神経刺激薬
  • 効果発現が早く(服薬後1〜2時間)、即効性がある
  • 作用時間:約12時間(徐放剤)
  • 食欲低下・睡眠への影響などの副作用を確認しながら使用

リスデキサンフェタミン(ビバンセ)

  • 中枢神経刺激薬
  • 2023年に小児(6〜17歳)への適応が認められた比較的新しい薬
  • 作用時間:約14時間
  • コンサータと同様に厳重な管理のもとで処方

アトモキセチン(ストラテラ)

  • 非刺激薬(ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
  • 刺激薬が使えない場合や不安症・チックが合併している場合に選択
  • 効果発現まで数週間かかる
  • 1日2回内服または1日1回内服

グアンファシン(インチュニブ)

  • 非刺激薬(α2Aアドレナリン受容体作動薬)
  • 多動・衝動性・感情調節に特に効果的
  • チックやASDを合併している場合にも使いやすい
  • 1日1回内服(就寝前)

薬物療法についての大切なこと

  • 薬はADHDを「治す」ものではなく、症状をコントロールして生活を改善するためのもの
  • 効果・副作用には個人差がある
  • 必ず医師の管理のもとで使用し、自己判断での中断・増量はしない
  • 薬だけでなく、環境調整・心理支援と組み合わせることが重要

② 心理社会的支援

認知行動療法(CBT)

  • 「どうせ自分はダメだ」という否定的な思考パターンを修正
  • 計画立案・時間管理・感情調節スキルを練習

ペアレントトレーニング

  • 保護者がADHDの特性を理解し、効果的な関わり方を学ぶプログラム
  • 叱るよりも褒める・行動をデザインするアプローチ
  • 保護者のストレス軽減にも効果がある

ソーシャルスキルトレーニング(SST)

  • 対人場面での具体的なコミュニケーションスキルを練習
  • 順番を守る・感情をコントロールする・友達の作り方など

学習支援

  • 座席配置・課題の量・提出方法などの合理的配慮
  • 通級指導教室・特別支援学級の活用

③ 環境調整・学校との連携

  • 担任・スクールカウンセラーへの情報提供
  • 座席配置の工夫(黒板前・刺激が少ない場所)
  • 課題を短く区切る・提出期限を明確にする
  • 忘れ物対策(チェックリスト・複数セット購入)
  • 試験での配慮(別室・時間延長)の申請

家庭でできるサポート

「できない」に注目せず「できた」に注目する

ADHDの子どもは、日常的に叱られる経験が多く、自己否定感が非常に強くなりやすいです。小さな「できた」を積極的に褒めることで、自己肯定感を育てます。

環境を整える

  • 勉強スペースは余分なものを置かず、シンプルにする
  • 宿題・持ち物はチェックリストを使う
  • 大事なものの定位置を決める
  • タイマーを使って時間を視覚化する

指示の出し方を工夫する

  • 一度に複数の指示を出さない(「○○してね」と1つずつ)
  • 具体的・短く・はっきりと伝える
  • 視覚的な手がかり(メモ・ホワイトボード)を活用する

得意なことを伸ばす

ADHDの子どもは、好きなことへの**過集中(ハイパーフォーカス)**という特性を持つことがあります。この集中力を活かせる分野を見つけ、伸ばすことが将来の自信につながります。

睡眠・食事・運動を整える

睡眠不足はADHDの症状を著しく悪化させます。規則正しい睡眠、適度な運動(特に有酸素運動は脳に好影響)、バランスのとれた食事を心がけましょう。


こんな場合は早めにご相談ください

✔ 忘れ物・なくし物が毎日のように続いている

✔ 授業中に席を立つ・落ち着きなく動き回る

✔ 衝動的な言動でクラスでのトラブルが続いている

✔ 宿題・提出物が出せない・締め切りを守れない

✔ 成績が不安定・頑張っているのに結果が出ない

✔ 友人関係でのトラブルが繰り返される

✔ 「やる気がない」「怠けている」と言われ続けている

✔ 不登校・二次障害(うつ・不安)の兆候がある

✔ ASDや学習障害も合わせて心配している

✔ 「もしかしてADHDかも」と感じているが診断を受けたことがない


和光医院での診療

和光医院は、名古屋市千種区の児童精神科専門クリニックです。

ADHD(注意欠如多動症)について、以下の診療を行っています。

診断・評価

  • ADHDの診断・評価(問診・行動観察・評価スケール)
  • ASD・学習障害との合併評価
  • 知能検査(WISC-Ⅴ)・認知プロファイルの把握

治療・支援

  • 薬物療法(コンサータ・ビバンセ・ストラテラ・インチュニブ)
  • 心理療法(認知行動療法・SSTなど)
  • ペアレントトレーニング・保護者へのアドバイス
  • 二次障害(うつ病・不安症)への対応
  • 学校との連携・配慮依頼の文書作成
  • 放課後等デイサービス利用のための診断書・意見書作成

「うちの子、ADHDかも」と感じたら、まずお気軽にご相談ください。保護者の方だけの相談から始めることも可能です。


まとめ

ADHD(注意欠如多動症)は、

  • 子どもの**約5〜7%**に見られる、クラスに1〜2人はいる発達障害
  • 不注意・多動性・衝動性を主な特徴とし、3つのタイプがある
  • 遺伝的要因が最も強く(遺伝率約70〜80%)、育て方のせいではない
  • 症状は年齢とともに変化し、思春期・成人期にも続くことが多い
  • ASD・学習障害・不安症・うつ病などと合併しやすい
  • 薬物療法と心理社会的支援の組み合わせが最も効果的
  • 早期に診断・支援を開始することで、困りごとを大幅に軽減できる
  • 「得意なこと」「過集中できること」などADHDならではの強みも存在する

「怠けている」「やればできる」「親のしつけが悪い」——これらはすべて誤解です。ADHDは適切な支援があれば、その子の可能性を大きく広げられる特性です。

気になることがあれば、一人で抱え込まずにまずご相談ください。

 


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子どものためのメンタルクリニック|医療法人永朋会 和光医院

診療科目: 児童精神科・精神科・心療内科

発達障害(ASD・ADHD)、不登校、起立性調節障害、不安症、パニック症、チック症、強迫症、うつ症状など、お子さまから成人の方まで幅広く診療しております。

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