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不登校の原因と対応|「行きたいけど行けない」子どもに必要なサポートを児童精神科医が解説
不登校の原因と対応|「行きたいけど行けない」子どもに必要なサポートを児童精神科医が解説
名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック 和光医院
はじめに
「昨日まで普通に学校に行っていたのに、突然行けなくなった」 「毎朝腹痛・頭痛を訴えて、保健室から帰宅してしまう」 「部屋に閉じこもって、もう3ヶ月になる」
不登校のお子さんを持つ保護者の方が抱える不安・焦り・疲弊は、計り知れないものがあります。「どうすれば学校に行けるようになるのか」「このまま将来はどうなるのか」と心配されている方も多いでしょう。
「不登校は甘えだ」「親の育て方の問題だ」という時代は終わっています。
現在の不登校支援の考え方は、「まず子どもの安心・安全を確保し、回復を待ちながら、その子に合った支援につなげる」という方向に大きく転換しています。
今回は、不登校の現状・原因・背景にある疾患・家庭での対応・専門機関への相談について、名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が詳しく解説します。
不登校の現状
文部科学省の調査によると、令和5年度の不登校の小中学生は約34万人(過去最多)に上っており、年々増加し続けています。
- 小学生:約13万人(約1.2%)
- 中学生:約21万人(約6.0%)=中学生の約17人に1人
不登校はもはや「特別なこと」ではなく、どのクラスにも不登校または不登校傾向の子どもがいる時代になっています。
「不登校」の定義
文部科学省の定義では、年間30日以上欠席し、病気や経済的理由以外の欠席が不登校とされています。
しかし実際には、
- 週に数日しか行けない「部分登校」
- 保健室・別室にはいるが教室に入れない
- 朝だけ登校して早退を繰り返す
- 家では元気だが学校の日は体調が悪くなる
という段階的な状態も含めて広い意味での「不登校傾向」として考える必要があります。
不登校の主な原因・背景
不登校の原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っていることがほとんどです。文部科学省の調査では、最も多い要因は「無気力・不安」とされていますが、その背景には様々な問題が隠れています。
① 学校環境に関連する要因
いじめ・友人関係のトラブル 友人関係でのトラブル・仲間外れ・SNSでのトラブルが不登校のきっかけになることは非常に多いです。「いじめ」とはっきり言えない微妙な人間関係のこじれも含まれます。
先生との関係 担任の言葉・態度・対応が傷つきの原因になることがあります。また、クラス替えや担任交代によって環境が変わり、適応できなくなるケースも見られます。
学習の困難・授業についていけない 学習障害(LD)・ADHDによる学習上の困難が蓄積し、「学校=できない自分を確認する場所」になってしまうケースがあります。
部活動のトラブル・プレッシャー 部活での人間関係・顧問との関係・レギュラー争いのプレッシャーが不登校のきっかけになることがあります。
② 本人の特性・精神医学的背景
ASD(自閉スペクトラム症) 暗黙のルール・集団のざわめき・予測できない変化への対応困難が蓄積し、ある日突然「もう限界」という状態になることがあります。「マスキング疲れ(普通のふりをし続けることへの疲弊)」が背景にあることも多いです。
ADHD(注意欠如多動症) 忘れ物・提出物・友人関係のトラブルが積み重なり、「学校で失敗し続ける場所」として認識され、回避が始まります。
不安症・社交不安症 人前での失敗・恥への強い恐怖から、学校という「評価される場所」を避けるようになります。特に発表・体育・給食などの特定の場面への恐怖が強い場合があります。
うつ病・抑うつ状態 気力の低下・朝起きられない・何もしたくないという状態がうつ病の症状として現れ、不登校につながります。子どものうつは「悲しい」より「イライラ」「無気力」「身体症状」として現れやすいため見逃されがちです。
起立性調節障害(OD) 自律神経の機能不全により、朝に体が動かない・頭痛・立ちくらみが出る身体疾患です。「怠け」と誤解されやすいですが、本当に身体的に動けない状態です。午後になると症状が軽快するのが特徴です。
場面緘黙(かんもく) 家では普通に話せるのに、学校など特定の場面では話せなくなる状態です。不安が背景にあることが多く、適切な支援が必要です。
③ 家庭環境に関連する要因
- 家庭内の不和・親の離婚・家族の病気などのストレス
- 過度なプレッシャー(勉強・進路等)
- 引越し・転校による環境変化
- きょうだいの誕生・家族構成の変化
④ 複合的な要因
多くの場合、上記の複数の要因が絡み合っています。「これが原因だ」と一つに決めようとするよりも、子どもをとりまく複合的な状況を丁寧に理解することが重要です。
不登校の子どもが学校に行けない理由
「行きたいけど行けない」——これが不登校の子どもの多くが感じていることです。
朝になると身体が動かなくなる・お腹が痛くなる・涙が出てくる——これは「仮病」ではなく、強いストレスや不安が身体症状として現れているものです(身体化)。
不登校の子どもを責めることは状況をさらに悪化させます。 本人は「行けない自分」に最も強い罪悪感・自己嫌悪感を感じています。そこに「なぜ行けないの」「みんなは行っている」という言葉は、さらに深い傷を与えます。
不登校への対応:段階別のアプローチ
不登校への対応は、お子さんの状態の段階によって異なります。
第1段階:回避・混乱期(不登校が始まったばかり)
この時期にやること
- まず安全な場所を確保する(家が安心できる場所であることが最優先)
- 登校刺激を一時的に控える
- 「学校のことは今は考えなくていい」と伝える
- 十分な睡眠・食事・身体の休養を確保する
やってはいけないこと
- 毎朝「今日は学校行けそう?」と聞き続ける
- 登校を無理強いする
- 「なぜ行けないの?」と問い詰める
- ゲーム・スマホを取り上げる(唯一の逃げ場・居場所を奪う)
第2段階:安定・充電期(少し落ち着いてきた)
この時期にやること
- 生活リズムを少しずつ整える
- 好きなこと・やりたいことができる環境を作る
- 外に出る機会を少しずつ作る(買い物同行・散歩等)
- 学校以外の居場所を探す(フリースクール・支援センター・習い事等)
- 本人の話を聞く・気持ちを受け止める
第3段階:回復・活動期(外に出られるようになってきた)
この時期にやること
- 学校への段階的な復帰を考える(保健室・別室・放課後登校・週1回等)
- 担任・スクールカウンセラーとの連携
- 本人が「行きたい」と思えるきっかけを大切にする
- 焦らず、後退しても責めない
不登校の子どもへの関わり方の基本
「いてくれるだけでいい」を伝える
不登校になったとき、子どもは「家族に迷惑をかけている」「自分はダメだ」という強い罪悪感を抱えています。「学校に行かなくてもいい、あなたがいてくれるだけでいい」という言葉が、安心の土台になります。
「共感する」
「つらかったんだね」「それは嫌だったね」と、アドバイスや解決策より先に気持ちを受け止めることが重要です。「でも○○でしょ」と言い返したくなる気持ちをこらえて、まず聴くことが大切です。
ゲーム・スマホとの付き合い方
不登校中にゲーム・スマホに没頭することを「怠けている」と見がちですが、これは現実から逃れるための手段・唯一の楽しみ・オンラインでの社会参加であることが多いです。完全に禁止することは逆効果になりやすいため、まず理由を理解したうえで対応を考えることが重要です。
学校と連携する
担任・スクールカウンセラーに状況を伝え、以下の配慮を求めましょう。
- 毎日の欠席連絡のプレッシャーを減らす
- 宿題・課題の量を調整する
- 復帰する際の段階的な対応(別室・保健室・時間短縮等)
- 配慮が必要な場合の合理的配慮の申請
「勉強の遅れ」はどうする?
不登校の保護者の方が最も心配することのひとつが「勉強の遅れ」です。
しかし、今最も優先すべきことは子どもの心身の回復です。 勉強の遅れは後から取り戻せますが、心が深く傷ついた場合の回復には長い時間がかかります。
また、ICTを活用した学習(オンライン教材・スタディサプリ等)や、フリースクール・学習支援センターなど、学校以外で学ぶ選択肢が充実してきています。焦りすぎず、回復を最優先にしながら、本人のペースで学習に向き合える環境を整えることが大切です。
専門機関への相談が必要なサイン
以下に当てはまる場合は、早めに児童精神科・小児科への相談をおすすめします。
✔ 不登校が1ヶ月以上続いている
✔ 「消えたい」「死にたい」という言葉が出ている
✔ 自傷行為(リストカット等)が見つかった
✔ 食欲の急激な変化・体重の著しい変化がある
✔ 昼夜逆転が固定化している
✔ 毎朝の頭痛・腹痛・立ちくらみが続く(起立性調節障害の疑い)
✔ ASD・ADHD・学習障害の診断がある・または疑われる
✔ 家族との会話がほぼなくなった・完全にひきこもり状態になっている
✔ 保護者自身が精神的に限界を感じている
和光医院での不登校サポート
和光医院は、名古屋市千種区の児童精神科専門クリニックです。
不登校のお子さん・保護者の方に対して、以下のサポートを行っています。
診断・評価
- 不登校の背景にある疾患の評価(ASD・ADHD・うつ病・不安症・起立性調節障害等)
- 知能検査(WISC-Ⅴ)・発達評価
- 心理状態の評価
治療・支援
- 薬物療法(うつ・不安症・ASD・ADHDの合併がある場合)
- 心理療法(認知行動療法・遊戯療法等)
- 保護者へのアドバイス・具体的な関わり方の提案
- 学校・スクールカウンセラーとの連携・配慮依頼の文書作成
- フリースクール・支援機関へのつなぎ
- 放課後等デイサービス利用のための書類作成
保護者の方だけの相談から始めることも可能です。 「どこに相談すればいいかわからない」という段階でも、お気軽にご連絡ください。
まとめ
不登校は、
- 令和5年度に約34万人(過去最多)に上る、決して珍しくない状態
- 「甘え」「親の育て方のせい」ではなく、複合的な要因が絡み合っている
- 背景にASD・ADHD・うつ病・不安症・起立性調節障害などが隠れていることが多い
- 「行きたいけど行けない」という子どもの苦しみを理解することが最初の一歩
- 対応は段階によって異なり、最初は登校刺激を控えて安心できる環境を整えることが最優先
- 早期に専門機関と連携することで、回復の可能性が高まる
- 学校だけが選択肢ではなく、フリースクール・オンライン学習など多様な道がある
子どもが不登校になったとき、保護者の方が一番つらいのはよくわかります。一人で抱え込まず、まず専門家に相談してください。
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子どものためのメンタルクリニック|医療法人永朋会 和光医院
診療科目: 児童精神科・精神科・心療内科
発達障害(ASD・ADHD)、不登校、起立性調節障害、不安症、パニック症、チック症、強迫症、うつ症状など、お子さまから成人の方まで幅広く診療しております。
名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院では、お子さまのこころの健康を専門スタッフが丁寧にサポートします。受診のご相談・ご予約はホームページまたは公式LINEより承っております。
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