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2026.08.28ブログ

子どもの強迫症(OCD)——「手洗いがやめられない」「何度も確認する」。ご家族の対応が症状を左右します。名古屋市千種区の児童精神科・和光医院が詳しく解説

子どもの強迫症(OCD)——「手洗いがやめられない」「何度も確認する」。ご家族の対応が症状を左右します。名古屋市千種区の児童精神科・和光医院が詳しく解説

「手を洗い始めると10分以上やめられず、手が荒れてしまっている」「戸締まりや持ち物を何度も何度も確認する」「『大丈夫だよね?』と一日に何十回も同じ質問を繰り返す」「物の置き方や順番に強くこだわり、崩れるとパニックになる」「特定の数字を避ける、決まった手順を踏まないと次に進めない」「本人もつらそうなのに、やめられずに苦しんでいる」——こうしたお子さまの様子に、どう対応すればよいか分からず悩まれている保護者の方は少なくありません。

これらは、**強迫症(OCD:Obsessive-Compulsive Disorder)**の症状である可能性があります。

強迫症は、子どもの1〜3%程度にみられるとされ、成人の強迫症の約半数が18歳以前に発症していることが知られています。つまり、多くは子ども時代に始まっているのです。

そして、この病気には非常に大きな特徴があります。ご家族の対応が、症状の経過を強く左右するという点です。良かれと思って行っている対応が、実は症状を維持・悪化させていることが少なくありません。

名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、強迫症の症状パターン、「几帳面」やASDのこだわりとの違い、ご家族の「巻き込み」という重要な問題、そして治療法まで、詳しく解説します。


目次

  1. 強迫症(OCD)とは——強迫観念と強迫行為
  2. 子どもによくある症状パターン【比較表】
  3. 「几帳面」「きれい好き」との違い【比較表】
  4. 【重要】子ども特有の特徴——大人との違い
  5. どのくらいの子どもにみられるのか
  6. 原因——性格でも育て方でもありません
  7. ASDの「こだわり」との違い【比較表】
  8. 併存しやすい状態——チック症・ADHDなど
  9. 【最重要】ご家族の「巻き込み」という問題
  10. なぜ「やめさせる」だけではうまくいかないのか
  11. 治療①:心理教育——まず全員が仕組みを理解する
  12. 治療②:曝露反応妨害法(ERP)——治療の中心
  13. 治療③:薬物療法【比較表】
  14. ご家庭での関わり方——してよいこと・避けたいこと【比較表】
  15. 学校との連携
  16. よくある心配事Q&A
  17. 和光医院での診療について

1. 強迫症(OCD)とは——強迫観念と強迫行為

強迫症は、強迫観念強迫行為という2つの要素から成り立っています。

強迫観念

本人の意思に反して、繰り返し頭に浮かんでくる考え・イメージ・衝動です。強い不安や不快感を伴います。

  • 「手が汚れている。ばい菌がついている」
  • 「鍵を閉め忘れて、泥棒が入るかもしれない」
  • 「自分のせいで誰かが不幸になるのではないか」
  • 「縁起の悪い数字を見てしまった。悪いことが起きる」

強迫行為

強迫観念による不安を打ち消すために、繰り返してしまう行動です。

  • 何度も手を洗う
  • 何度も確認する
  • 決まった手順・回数を守る
  • 家族に「大丈夫だよね?」と確認する(保証を求める行為
  • 頭の中で数を数える、言葉を唱える(目に見えない強迫行為

悪循環の構造

強迫症は、次のループから抜け出せなくなる病気です。

  1. 強迫観念が浮かぶ → 強い不安
  2. 強迫行為をする → 一時的に不安が下がる
  3. 「行為をしたから大丈夫だった」と脳が学習する
  4. 次はもっと強い不安が来る
  5. 強迫行為がさらに増える・複雑になる

強迫行為は、不安を一時的に下げる代わりに、長期的には強迫症を育ててしまいます。 この構造を理解することが、治療の出発点です。

診断分類上の位置づけ

現行の診断基準DSM-5-TRでは、強迫症は不安症とは別の**「強迫症および関連症群」**というカテゴリーに分類されています。


2. 子どもによくある症状パターン【比較表】

強迫症の症状は多様です。子どもによくみられるパターンを整理します。

タイプ 強迫観念 強迫行為
洗浄・汚染 ばい菌、汚れ、病気への恐怖 過剰な手洗い、入浴の長時間化、特定の物に触れない
確認 鍵、火の元、忘れ物への不安 何度も確認する、家族に確認させる
順序・対称性 「ちょうどよい感じ」でないと落ち着かない 物を並べ直す、左右対称にする、やり直す
数字・儀式 特定の数字が不吉、決まった回数でないとダメ 数を数える、決まった手順を繰り返す
加害恐怖 「自分が誰かを傷つけてしまうのでは」 危険物を避ける、確認を求める
縁起・不吉 悪いことが起きるという予感 特定の言葉を唱える、特定の行為を避ける
保証を求める 不安が自分で処理できない 家族に何度も同じ質問をする
ため込み 捨てると悪いことが起きる 物を捨てられない

見えにくい症状もあります

強迫行為は、必ずしも目に見えるとは限りません。

頭の中で数を数える、決まった言葉を唱える、記憶を何度も反芻して確認する——これらは**「精神内での強迫行為」**であり、外からはまったく分かりません。

「ぼんやりしている」「反応が遅い」と見えるお子さまが、実は頭の中で強迫行為に時間を費やしていることがあります。


3. 「几帳面」「きれい好き」との違い【比較表】

保護者の方が最も判断に迷うのが、この点です。

観点 几帳面・きれい好き(性格) 強迫症
本人の感覚 心地よい、満足感がある 苦痛。やめたいのにやめられない
時間 常識的な範囲 1日1時間以上を費やす(診断の目安)
柔軟性 状況に応じて省略できる 省略できない。省略すると強い不安
生活への影響 支障はない、むしろ役立つ 遅刻、学業低下、外出困難など明らかな支障
中断されたとき 気にならない、少し不快な程度 強い不安・パニック・怒り
周囲の巻き込み ない 家族に確認・協力を求める
本人の意思 自分でやりたくてやっている やりたくないのにやってしまう

判断の軸

「本人が苦しんでいるかどうか」「生活に支障が出ているかどうか」——この2点です。

きれい好きな子は、手洗いを楽しんでいます。強迫症の子は、手を洗いたくないのに洗わずにいられず、荒れた手を見て自分を責めています。


4. 【重要】子ども特有の特徴——大人との違い

大人の強迫症と子どもの強迫症には、いくつか重要な違いがあります。

① 「ばかげている」という自覚が乏しい

大人の強迫症では、多くの場合「こんなことは無意味だと分かっている。でもやめられない」という自覚(洞察)があります。

しかし子どもでは、この自覚が乏しいことがあります。 「本当にばい菌がいるから洗っている」と信じている場合、周囲が説得しても通じません。

② 症状を隠すことがある

「変だと思われたくない」という気持ちから、学校では症状を抑え、家に帰ってから激しく出るというパターンがよくあります。

「家でだけひどい」のは、家庭が安全な場所である証拠でもあります。学校で出ないからといって、軽症とは限りません。

③ 家族を巻き込む

これが最大の特徴です。子どもは、自分だけで不安を処理できないため、家族を強迫行為に参加させます。(第9章で詳述)

④ 症状が変化しやすい

手洗いが中心だったのが、いつの間にか確認に変わる——症状の内容は時期によって移り変わります。新しい症状が出ることは、悪化ではなく強迫症の通常の経過です。

⑤ 急に発症することがある

多くはゆっくり始まりますが、まれにある日を境に突然、激しい強迫症状が出現することがあります。この場合、感染症などをきっかけとする特殊な病態が想定されることがあり、経過の確認が必要です。


5. どのくらいの子どもにみられるのか

  • 子どもの有病率は1〜3%程度
  • 成人の強迫症の約半数が18歳以前に発症しています
  • 小児期発症では男児にやや多い(思春期以降は男女差が縮まります)
  • 発症のピークは10歳前後思春期後半の二峰性

クラスに1人はいる計算になりますが、症状を隠すお子さまが多いため、周囲には気づかれにくい疾患です。

受診までの遅れ

強迫症は、発症から治療開始までに長い時間がかかることで知られています。

  • 本人が「変だと思われる」と隠す
  • 家族が「几帳面なだけ」と考える
  • 家族が対応に慣れてしまい、日常の一部になる

気づいたときには、家族全員の生活が強迫症に合わせて組み替えられていた——こうしたご家庭は珍しくありません。


6. 原因——性格でも育て方でもありません

まずお伝えします。強迫症は、育て方や性格の問題ではありません。

脳の機能の関与

強迫症では、**前頭葉と大脳基底核を結ぶ神経回路(皮質-線条体-視床-皮質回路)**の働き方が関与していると考えられています。

この回路は「行動を終わらせる」「もう十分だと判断する」ことに関わっています。ここがうまく働かないと、「まだ足りない」という感覚が消えない——これが強迫症の生物学的な側面です。

セロトニンという神経伝達物質の関与も指摘されており、これが治療薬の根拠になっています。

遺伝的な要因

家族内で発症しやすい傾向が知られています。ご家族に強迫症、チック症、不安症の方がいるケースは少なくありません。

ストレスの位置づけ

ストレスは「原因」ではなく「きっかけ・増悪因子」です。

進学、転校、家庭内の変化などをきっかけに症状が顕在化することはありますが、それがなければ発症しなかったわけではありません。

保護者の方がご自身を責める必要は、まったくありません。


7. ASDの「こだわり」との違い【比較表】

これは児童精神科で特に重要な鑑別です。対応がまったく異なるためです。

観点 強迫症の強迫行為 ASDのこだわり
動機 不安を打ち消すため 心地よいから、安心するから
本人の感覚 苦痛。やめたい 快適。やめたくない
中断されると 不安が高まる 不快・混乱するが、質が異なる
内容 汚染、確認、対称性など不安に関連 興味の対象(電車、数字、手順など)
発症 ある時期から始まる 幼少期から一貫している
治療の方向 曝露反応妨害法で減らしていく 無理に減らさない。 環境調整と代替の確保

なぜ区別が重要なのか

ASDのこだわりに対して、強迫症と同じ治療(無理にやめさせる)を行うと、お子さまを著しく追い詰めます。

こだわりは、ASDのお子さまにとって世界を予測可能にし、安心を確保する手段です。奪うべきものではありません。

一方、強迫症の強迫行為は、放置すると増え続けます。減らしていく方向の介入が必要です。

両者が併存することもあります

ASDのあるお子さまが強迫症を併発することは、しばしばあります。この場合、「どの行動がこだわりで、どの行動が強迫行為か」を丁寧に切り分ける必要があります。

この見極めこそが、児童精神科の専門性が問われる部分です。


8. 併存しやすい状態——チック症・ADHDなど

強迫症は、他の状態を併存する頻度が高いことが知られています。

併存状態 特徴
チック症・トゥレット症 特に小児期発症の男児に多い。「ちょうどよい感じ」を求める症状が目立つタイプ
ADHD 不注意・多動との併存。両方への対応が必要
ASD こだわりとの鑑別・併存の見極めが必要
不安症(分離不安・社交不安) 高頻度で併存
抑うつ状態 症状が長引くと二次的に生じる
抜毛症・皮膚むしり症 強迫症関連症群として分類される

チック関連の強迫症

チック症を伴う強迫症では、「汚染への恐怖」よりも**「ちょうどよい感じ(just right feeling)になるまで繰り返す」**というタイプの症状が多くみられます。

このタイプは、不安よりも身体感覚に近い違和感が動機になっており、治療のアプローチも少し異なります。

チック症については、別記事「子どものチック症・トゥレット症」もあわせてご覧ください。


9. 【最重要】ご家族の「巻き込み」という問題

この章が、この記事で最もお伝えしたい内容です。

強迫症のお子さまは、多くの場合家族を強迫行為に巻き込みます。 これを専門的には**「家族の巻き込まれ(family accommodation)」**と呼びます。

具体例

  • 「大丈夫だよね?」という質問に、その都度答える
  • 本人の代わりに手を洗う、消毒する
  • 本人が触れない物を、家族が代わりに触る
  • 「もう一度確認して」と言われ、確認しに行く
  • 本人の決めた手順に、家族全員が従う
  • 特定の言葉を家族が言わないようにする
  • 外出や行事を、症状に合わせて取りやめる

なぜ問題なのか

これらは、すべて善意から行われています。 目の前で苦しんでいる子どもを楽にしてあげたい——当然のお気持ちです。

しかし、巻き込みは強迫症を確実に維持・悪化させます。

理由は、第1章の悪循環にあります。家族が保証を与えたり代わりに行為をしたりすると、

  1. 一時的に不安が下がる
  2. 「確認すれば安心できる」と脳が学習する
  3. 次はもっと確認が必要になる
  4. 要求がエスカレートする

巻き込みが多い家庭ほど、強迫症の症状が重く、治療の効果も出にくいことが研究で示されています。

しかし、いきなりやめてはいけません

ここが極めて重要です。

「巻き込みが悪いなら、明日から一切応じない」——これは非常に危険です。

急に対応を変えると、

  • 強いパニック、激しい怒り
  • 家庭内暴力
  • 「見捨てられた」という不信感
  • 治療への拒否

こうした事態を招きます。

巻き込みは、治療の枠組みの中で、本人と話し合いながら、段階的に減らしていくものです。自己流で急に断ち切ってはいけません。

だからこそ、ご家族が受診してください

強迫症の治療では、ご家族への支援が治療そのものの一部です。

「どの対応をやめるか」「どの順番で」「本人にどう説明するか」——これらを一緒に組み立てていきます。ご家族だけでのご相談も承っています。


10. なぜ「やめさせる」だけではうまくいかないのか

「そんなに洗わなくていい」「もう確認したでしょう」——こう言いたくなるのは自然なことです。しかし、これだけでは改善しません。

理由①:本人はやめたくてもやめられない

強迫症の本質は「意志の問題ではない」ことです。叱責は自己否定を強めるだけです。

理由②:不安への対処法を教えていない

強迫行為は、本人にとって唯一の不安対処法です。代わりの方法を身につけないまま取り上げれば、不安に丸腰で立ち向かうことになります。

理由③:隠れて行うようになる

止められれば、見えないところで行うようになります。把握できない状態のほうが、対応は困難になります。

必要なのは、構造化された治療です

「やめさせる」のではなく、**「不安に耐えられるようになる訓練」**を段階的に行います。それが次章の曝露反応妨害法です。


11. 治療①:心理教育——まず全員が仕組みを理解する

治療は、本人・ご家族が強迫症の仕組みを理解することから始まります。

共有すべき内容:

  • 強迫症は脳の働きに関連した病気で、性格や育て方の問題ではないこと
  • 強迫行為は不安を一時的に下げるが、長期的には症状を育てること
  • 家族の巻き込みが症状を維持すること
  • 「不安は、何もしなくても時間とともに下がる」こと
  • 治療は段階的に進めること

「病気に名前をつける」という方法

子どもの治療でよく用いられるのが、強迫症に本人がニックネームをつけるという方法です。

「またオバケが言ってきた」「変な虫がうるさい」——このように症状を本人自身から切り離して外在化することで、

  • 「自分が悪い」という自責感が減る
  • 本人と家族が「症状と一緒に戦う」構図になる
  • 対立ではなく協力の関係になる

これは治療の入り口として、非常に有効な工夫です。


12. 治療②:曝露反応妨害法(ERP)——治療の中心

強迫症に対して、国際的に有効性が確立している心理療法が**曝露反応妨害法(ERP:Exposure and Response Prevention)**です。認知行動療法の一種で、強迫症治療の第一選択とされています。

仕組み

① 曝露(Exposure) 不安を感じる状況に、あえて向き合います。(例:ドアノブに触る)

② 反応妨害(Response Prevention) そのとき、強迫行為をあえて行いません。(例:手を洗わない)

③ 不安が自然に下がることを体験する 最初は強い不安が来ますが、何もしなくても時間とともに不安は下がっていきます。 これを繰り返し体験することで、脳が「強迫行為をしなくても大丈夫だ」と学習し直します。

段階的に進めます

いきなり最も怖いことに挑戦するわけではありません。

  1. 不安の程度を点数化し、低いものから順に並べたリストを作る
  2. 本人が「これならできそう」と思えるものから始める
  3. 成功体験を積みながら、少しずつ難易度を上げる

「本人が納得して選ぶ」ことが決定的に重要です。 押しつけられた課題は続きません。

ご家族の役割

ERPでは、巻き込みを減らすことも治療課題に含まれます。 ご家族も治療チームの一員として参加していただきます。


13. 治療③:薬物療法【比較表】

症状が中等症以上の場合、あるいはERPだけでは不十分な場合、薬物療法を併用します。

一般名 主な商品名 位置づけ 注意点
フルボキサミン デプロメール®/ルボックス® 日本で小児の強迫性障害に適応がある薬剤(8歳以上)。 第一選択となることが多い 吐き気、眠気、頭痛。開始初期に注意
パロキセチン パキシル® 成人の強迫性障害に適応。小児への使用は慎重に判断 中止時の症状に注意。減量は緩やかに
セルトラリン ジェイゾロフト® 国際的に用いられるが、日本では強迫症への適応はない(適応外)
クロミプラミン アナフラニール® 国際的に有効性が確立。日本では強迫症への適応はない(適応外) 口渇、便秘、眠気などが出やすい
アリピプラゾール等 エビリファイ®など SSRIで効果不十分な場合の増強療法として用いられることがある(適応外) 眠気、体重増加、アカシジア

薬物療法で知っておいていただきたいこと

① 効果が出るまでに時間がかかります

強迫症に対するSSRIは、効果の実感まで8〜12週間かかることがあります。うつ病の治療より時間がかかり、またより高い用量が必要になることが多いのが特徴です。

「1か月飲んだが効かない」という理由での自己判断の中止は避けてください。

② 少量から慎重に開始します

特に小児では、開始初期に不安・焦燥感が強まることがあるため、少量から始め、経過を丁寧に確認します。開始後2週間程度は、様子の変化を注意して見ていただきます。

③ 薬だけでは不十分です

薬は不安の水準を下げ、ERPに取り組みやすくする役割を担います。薬とERPの併用が、最も効果的とされています。

④ 中止は慎重に

症状が安定してからも一定期間継続し、医師の管理のもとで段階的に減量します。急な中止は再燃や中止時の症状につながります。


14. ご家庭での関わり方——してよいこと・避けたいこと【比較表】

避けたい対応 なぜ問題か 代わりにできること
「大丈夫?」に何度も答える 保証を与えるほど要求が増える 治療の中で、答え方を段階的に変えていく
代わりに手を洗う・確認する 強迫行為を家族が肩代わりしている 治療計画に沿って、少しずつ手を引く
「やめなさい」と叱る 自己否定を強め、隠すようになる 「つらいね。一緒に取り組もう」と伝える
症状の増減で一喜一憂する 波があるのが通常の経過 長期的な傾向で見る
症状に合わせて生活を変える 強迫症が家庭の中心になる 家族の日常を守る(治療の一部です)
急に一切応じないと決める パニック・暴力・不信を招く 必ず医師と相談して段階的に
本人の前で「この子は病気で」と説明する 本人の尊厳を損なう 本人と一緒に説明の仕方を決める

ご家族自身のケアも大切です

強迫症のお子さまを支えるご家族は、日常的に要求に応え続け、消耗しやすい立場にあります。

「対応を間違えているのではないか」という不安、生活が症状に支配される感覚、きょうだいへの影響——これらも診察の中でお話しいただいて構いません。

ご家族が持ちこたえられることが、治療の前提条件です。


15. 学校との連携

強迫症の症状は、学校生活にも影響します。

学校で起こりやすいこと

  • トイレでの手洗いが長く、授業に遅れる
  • 板書の書き直しを繰り返し、ノートが進まない
  • テストで見直しを繰り返し、時間が足りない
  • 特定の物や場所に触れられない
  • 給食が食べられない(汚染の恐怖から)
  • 体育や実験に参加できない

お願いしたい配慮

  • 症状を「わがまま」「几帳面すぎる」と扱わない
  • 手洗いなどで遅れた場合を責めない
  • テストの時間延長や別室受験
  • 板書の写真撮影やプリント配布の許可
  • 給食などについて、無理強いをしない
  • 治療で取り組んでいる課題を把握し、方針を統一する

特に重要なのは、学校が「巻き込み」に参加してしまわないことです。 学校側が善意で保証を与え続けると、家庭での治療努力と矛盾してしまいます。

当院では、必要に応じて学校向けの診断書・意見書を作成し、方針の共有をお手伝いしています。


16. よくある心配事Q&A

Q. 几帳面なだけではないでしょうか?

A. 判断の軸は「本人が苦しんでいるか」「生活に支障が出ているか」です。1日1時間以上を費やしている、遅刻や学業低下がある、中断すると強い不安が出る——これらに当てはまれば、性格の範囲を超えている可能性があります。

Q. 「大丈夫だよ」と答えてあげるのは、いけないことですか?

A. 一度答えることが悪いわけではありません。 問題は、それが繰り返され、日常化していることです。ただし、急にやめるのは危険です。どの対応から、どのように減らしていくかは、治療の中で計画的に進めます。自己流で断ち切らないでください。

Q. 私の育て方が原因でしょうか?

A. 違います。強迫症は脳の働きに関連した病気であり、育て方や愛情不足で生じるものではありません。ストレスは症状を強める要因にはなりますが、原因ではありません。

Q. 放っておいても、成長すれば治りますか?

A. 自然に軽快する例もありますが、多くは持続または悪化します。 成人の強迫症の約半数が子ども時代に発症していることは、多くが持ち越されていることを示しています。早期の治療のほうが、効果が得られやすいことが分かっています。

Q. 薬を飲まないと治りませんか?

A. 軽症であれば、心理教育とERPだけで改善することがあります。薬が必要かどうかは、症状の程度と生活への支障によって判断します。「まず薬」ではありません。

Q. 本人が受診を嫌がります。

A. ご家族だけでのご相談が可能です。 巻き込みへの対応を変えることで、本人の状態が変化することがあります。また、「病院に行く」ではなく「困っていることを相談しに行く」という枠組みにすると、来院しやすくなることもあります。

Q. きょうだいへの影響が心配です。

A. 強迫症のあるお子さまに家族全員が合わせていると、きょうだいの生活が制限され、不満や我慢が蓄積します。きょうだいの日常を守ることも、治療計画に含めるべき重要な要素です。ご相談ください。

Q. ASDと診断されていますが、最近の行動は強迫症でしょうか?

A. 区別が必要です。「心地よくてやっている」のか「苦痛だがやめられない」のかが大きな手がかりになります。両者は併存することもありますので、あらためて評価することをおすすめします。


17. 和光医院での診療について

名古屋市千種区にある**和光医院(児童精神科・精神科・心療内科)**では、子どもの強迫症の診断と治療に対応しています。

当院での対応内容

  • 強迫症の診断と重症度の評価
  • ASDのこだわり・チック症との鑑別
  • ADHD・不安症・抑うつ状態など併存状態の評価
  • 本人・ご家族への心理教育
  • 曝露反応妨害法(ERP)の要素を用いた治療
  • ご家族の「巻き込み」への段階的な対応計画の立案
  • フルボキサミン等による薬物療法と用量調整
  • ご家族のみでのご相談(本人が受診を拒否している場合)
  • きょうだいへの影響を含めた家族全体への支援
  • 学校提出用の診断書・意見書の作成、学校との方針共有
  • 必要に応じた専門医療機関へのご紹介

こんな方はぜひご相談ください

  • 手洗いや入浴が長く、やめられない
  • 何度も確認する、確認させられる
  • 「大丈夫だよね?」と繰り返し聞かれ、対応に困っている
  • 物の順番や配置へのこだわりが強く、崩れるとパニックになる
  • 本人がつらそうにしているのに、やめられずにいる
  • 家族の生活が、症状に合わせて組み替えられてしまっている
  • ASDのこだわりなのか、強迫症なのか判断がつかない
  • チック症と一緒に、確認や繰り返しの行動が出てきた
  • 対応を変えたいが、どうすればよいか分からない
  • 本人が受診を拒否しており、家族だけで相談したい

「強迫症の診察では、まずご家族に『これまでの対応は間違いではなく、当然のことでした』とお伝えします。目の前で苦しむ子どもに手を差し伸べるのは、親として自然な行動だからです。ただ、その優しさが症状を支えてしまう構造がある——だからこそ、ご家族おひとりで抱えるべき問題ではありません。どの対応を、どの順番で、どう変えていくか。ご本人とご家族と一緒に、無理のない道筋を組み立ててまいります。ご家族だけでも構いませんので、まずはご相談ください。」


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子どものためのメンタルクリニック|医療法人永朋会 和光医院

診療科目: 児童精神科・精神科・心療内科

発達障害(ASD・ADHD)、不登校、起立性調節障害、不安症、パニック症、チック症、強迫症、うつ症状など、お子さまから成人の方まで幅広く診療しております。

名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院では、お子さまのこころの健康を専門スタッフが丁寧にサポートします。受診のご相談・ご予約はホームページまたは公式LINEより承っております。

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【休診日】 日・祝日

患者様へのご案内

  • 明細書について:当院では、療養費規則に基づき明細書の発行を無料で行っています。
  • 一般名による処方について:後発医薬品が存在する場合は、商品名ではなく一般名(有効成分名)で処方することがあります。
  • 医療情報の活用について:当院では、安心な医療を提供する為、オンライン資格確認や電子処方箋データ等の情報を活用して診療を行っています。