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選択性緘黙(場面緘黙)——「家では話せるのに学校では声が出ない」子どもへの正しい理解と支援を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説
選択性緘黙(場面緘黙)——「家では話せるのに学校では声が出ない」子どもへの正しい理解と支援を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説
「家ではよくしゃべるのに、学校では一言も声が出ない」「先生に名前を呼ばれても返事ができない」「グループ活動で固まってしまう」「発表会・授業参観・発表の場になると声が出なくなる」「しゃべれないのに、よく観察すると楽しそうにはしている」「緊張しているだけ・恥ずかしがりやなだけと言われて受診をためらっている」——選択性緘黙(場面緘黙)は、家庭では自然に会話できるにもかかわらず、学校・特定の場面では継続して声が出なくなる疾患です。「わざとしゃべらない・恥ずかしがりなだけ」と誤解されやすく、適切な支援が届かないまま年齢が上がることで二次障害(不登校・うつ病・社交不安症)に発展するリスクがあります。名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、選択性緘黙の正確な理解・診断・支援のアプローチ・学校との連携まで、わかりやすく詳しく解説します。
目次
- 選択性緘黙(場面緘黙)とは——「わざとではなく、声が出ない」
- 【最新2026年】ICD-11・DSM-5-TRでの位置づけ
- 選択性緘黙の症状——具体的にどんな状態か
- 選択性緘黙の原因——なぜ特定の場面で話せなくなるのか
- 好発年齢・有病率——意外と多い
- 選択性緘黙とASD・ADHDの関係
- 選択性緘黙の診断——何科を受診するか
- 「恥ずかしがり」「わがまま」との見分け方
- 放置するとどうなるか——二次障害の予防が最重要
- 【支援①】不安を下げる環境調整——最も重要な第一歩
- 【支援②】段階的な話す練習——スライディングイン技法・刺激フェイディング
- 【支援③】SST・CBT・心理療法
- 【支援④】薬物療法——SSRI
- 学校・保育園との連携——合理的配慮の具体例
- 保護者の正しい関わり方
- よくある質問(FAQ)
- 和光医院での診療について
1. 選択性緘黙(場面緘黙)とは——「わざとではなく、声が出ない」
定義
**選択性緘黙(Selective Mutism:SM)**は、家庭など特定の場面では自然に発話できるにもかかわらず、学校・公共の場・特定の人の前など別の場面では継続して話せなくなる疾患です。
「選択的(Selective)」という言葉から「話したい場所だけ選んで話している・わざとしゃべらない」と誤解されますが、これは誤りです。本人は話したいと思っていても、特定の場面では声が出ないというのが正確な状態です。
「場面緘黙」という呼び方
日本では「場面緘黙」という呼び方が広く普及しています。支援者・教育者の間では「場面緘黙」、医学的な診断名としては「選択性緘黙」が使われます。本稿では両方を使います。
2. 【最新2026年】ICD-11・DSM-5-TRでの位置づけ
DSM-5-TR(2022)の分類
<cite index=”23-1″>DSM-5-TR(2022)では「場面緘黙」は不安症群に分類されています。</cite>
選択性緘黙は社交不安症・分離不安症・特定の恐怖症などと同じ「不安症群」に位置づけられており、根本にある「不安」へのアプローチが支援の中心になります。
ICD-11(2022)での重要な変更
<cite index=”23-1″>ICD-10(1992)の場面緘黙(F94.0)の診断基準には、広汎性発達障害(ASD)で説明できる場合は診断しないという記述があり、臨床的にASDがあると場面緘黙とは診断しない運用が一般的でした。しかし、ICD-11(2022)ではASDは除外基準として扱われておらず、場面緘黙とASDの併存が可能であると整理されました。</cite>
この変更により、ASDがある子どもが同時に場面緘黙の診断を受けられるようになり、両方の特性を考慮した支援が受けられるようになりました。
教育・法令上の位置づけ
<cite index=”23-1″>学校教育においては「情緒障害」に分類されており、「特別支援教育」の対象です。法令上は「発達障害者支援法」の対象として省令に含まれています。</cite>
3. 選択性緘黙の症状——具体的にどんな状態か
話せない場面の特徴
<cite index=”23-1″>場面緘黙のみの場合、家庭では自然に話せ、日常のやり取りや遊びも安定していることが多く、学校など特定の場面では継続的に話せず不安が高まると動作が固まることもありますがそれは一時的です。</cite>
典型的な状態:
- 家庭・家族とは普通に会話できる
- 学校では先生・友人に声を出して話せない
- 返事・発表・朗読・電話応答ができない
- 話せない場面では体が固まる・表情が消える
- 話せない場面でも、身振り・うなずきなどで意思疎通はできることがある
「話せない」以外のサイン
- 体が固まる・フリーズする
- 表情がなくなる・ぼーっとして見える
- トイレに行けない・給食を食べられない(機能的な緘黙)
- 特定の場面で泣く・パニックになる
4. 選択性緘黙の原因——なぜ特定の場面で話せなくなるのか
不安による「声が出ない」メカニズム
<cite index=”20-1″>場面緘黙にはどのような原因があるのでしょうか?その多くは「不安」から身体を守るメカニズムに起因しています。</cite>
特定の場面(学校・公共の場)に入ると、脳が「危険・脅威」と判断し、交感神経が急激に活性化します。このとき「戦うか・逃げるか・固まる(フリーズ)」という生存本能的な反応のひとつとして、**声が出なくなる(フリーズ反応)**が起きると考えられています。
これは意識的な選択ではなく、自律神経・脳の反射的な反応です。「話したいのに声が出ない」という状態は、本人にとって非常に苦痛です。
発症に関わる要因
気質的要因:
- 行動抑制傾向(新しい状況・人に対して慎重・引っ込み思案になりやすい気質)
- 感覚処理の過敏性(ASD・感覚過敏の特性と重なることがある)
環境的要因:
- 幼稚園・保育園・学校という「新しい環境への移行」をきっかけに発症することが多い
- 不安を高めるような環境(大きな声・突然の変化・人が多い場所)
遺伝的要因: 家族に社交不安症・緘黙の既往がある場合にリスクが高まります。
5. 好発年齢・有病率——意外と多い
- 好発年齢: 2〜5歳(就園・就学をきっかけに発症することが最も多い)
- 有病率: 学齢期の子どもの約0.5〜1%(100〜200人に1人)
- 性差: 女子にやや多い(男女比約1:2)
就園・就学前後に発症することが多く、「新しい環境に慣れれば自然に治るだろう」と様子を見ているうちに慢性化するケースが非常に多いです。早期介入が回復を早める最大の鍵です。
6. 選択性緘黙とASD・ADHDの関係
<cite index=”23-1″>家庭でも話すことに苦手があったり、関わり方の特徴や感覚の敏感さ、こだわり、かんしゃくといった行動傾向が継続して見られる場合は、ASDなどの神経発達症が併存する可能性があります。ASDをもつ子どもは、学校で不安に加えて社会的理解の難しさや動作の切り替えの困難が重なるため、フリーズやシャットダウンがより広い場面で起こりやすく、回復にも時間がかかる傾向があると考えられます。</cite>
ASDと場面緘黙の関係
- ASDの特性(社会的コミュニケーションの困難・感覚過敏・変化への抵抗)が、特定の場面での不安を高め、緘黙を引き起こすことがある
- ICD-11以降、ASD+場面緘黙の両方の診断が可能になり、両面からの支援ができるようになった
ADHDと場面緘黙
ADHDと場面緘黙の合併もみられます。ADHDの衝動性・注意の問題が場面緘黙を「見逃させる」原因になることがあります(多動な側面があるとより目立ちやすい)。
7. 選択性緘黙の診断——何科を受診するか
受診先
選択性緘黙は、児童精神科・小児精神科・子どもの発達専門外来での評価が最も適切です。
診断の評価内容
- 発達歴・生育歴の詳細な聴取: いつから・どんな場面で・どの程度話せないか
- 家庭での発話の確認: 「家では話せる」「特定の家族とだけ話せる」等の確認
- 行動観察: 診察場面での様子の観察(緊張・フリーズの様子等)
- 保護者・担任からの情報収集
- 合併疾患の評価: ASD・ADHD・不安症の評価(発達検査を含む)
鑑別診断
- 社交不安症(社会恐怖): 話せない・恥ずかしいが、場面選択性がやや異なる
- 言語発達障害: 言語能力そのものの問題
- ASDによる発話困難: ASD特性による対人場面の回避
8. 「恥ずかしがり」「わがまま」との見分け方
保護者・教師が最も迷うのが「ただの恥ずかしがりや・内気な性格なのか」という判断です。
選択性緘黙を示すポイント
| サイン | 詳細 |
|---|---|
| 家と学校の差が明確・大きい | 家では普通に話すのに、学校では全く声が出ない |
| 1か月以上持続している | 慣れれば話すだろうという経過をたどらない |
| 苦痛・緊張が明らか | 固まる・表情が消える・体が硬くなる |
| 話せないことで生活に支障 | 授業参加・友人関係・給食・トイレに影響 |
| 話そうとしているのに出ない | 「わざと話さない」ではなく「話そうとしても出ない」と本人が訴える |
9. 放置するとどうなるか——二次障害の予防が最重要
放置した場合のリスク
選択性緘黙を「様子を見る・慣れれば治る」と放置すると、以下の二次障害が生じるリスクが高くなります。
- 不登校・引きこもり: 学校での緘黙状態の継続→登校自体の回避
- 社交不安症の慢性化: 大人になっても対人場面での強い不安が続く
- うつ病・抑うつ状態: 「なぜ自分は話せないのか」という自己嫌悪・孤立感から
- 自己評価の低下: 「話せないダメな自分」という固定した自己像の形成
早期介入の重要性
就学前・小学校低学年のうちに適切な支援を開始することで、多くのケースで改善が期待できます。「まだ小さいから」「中学になれば話すだろう」という先送りは、慢性化リスクを高めます。
10. 【支援①】不安を下げる環境調整——最も重要な第一歩
支援の基本原則
選択性緘黙の支援で最も重要な考え方は、「話せるようにする」のではなく「不安を下げる」ことです。不安が下がれば、自然に話が出るようになります。逆に「話しなさい・声を出して」と強制することは、不安をさらに高め逆効果になります。
環境調整の具体例
- プレッシャーをかけない: 発言を求めない・返事を強要しない
- 少人数・安心できる場所から始める: 先生との1対1の場面など不安の低い場面を作る
- 身体的なリラックスを促す: 緊張を高める場所・状況から少し離れる機会を作る
- 好きな活動で関わる: 一緒に絵を描く・ゲームをする等、言葉なしで関われる場面から
- ノンバーバル(非言語)のコミュニケーションを認める: うなずき・指さし・筆談・ホワイトボードの活用
11. 【支援②】段階的な話す練習——スライディングイン技法・刺激フェイディング
スライディングイン技法
緘黙が生じない安全な場面(家庭・特定の友人との1対1)から、段階的に学校・複数の人がいる場面に話せる状況を「スライドさせていく」技法です。
例:家庭で録音した音声を学校で再生する→次は親が同席した上で先生の前で話す→次は先生と1対1で話す……というように、安全な状況から少しずつ拡大します。
刺激フェイディング(Stimulus Fading)
安心できる人・場面を「アンカー」として、そこから少しずつ新しい人・場面を加えていく方法です。
例:保護者と一緒に来院→保護者がいる前でセラピストと話す→保護者が少し離れた場所に移動→最終的に保護者なしでセラピストと話す、というように段階的に不安の対象を拡大します。
重要な原則
- 無理をしない・急がない(失敗体験が蓄積すると支援が困難になる)
- 小さな成功体験を積み重ねる(「できた」という経験が次のステップの力になる)
- 子ども自身がペースを決める
12. 【支援③】SST・CBT・心理療法
認知行動療法(CBT)
特定の場面への不安・「話したら変に思われる」という認知の歪みへのアプローチに有効です。子ども向けに適応されたCBTで、話すことへの恐怖を段階的に和らげます。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)
言語以外のコミュニケーションスキル・社会的スキルの練習が、選択性緘黙の子どもの自信と社会参加を助けます。
プレイセラピー(遊戯療法)
特に幼い子ども(就学前〜小学校低学年)には、言語を必要としない遊び・描画・人形遊び等を通じた心理的アプローチが有効です。
13. 【支援④】薬物療法——SSRI
重症例・長期化したケース・不安症が強い場合には、**SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)**が補助的に使用されることがあります。
- SSRI単独では選択性緘黙の根本的な解決にはなりませんが、不安のベースラインを下げることで行動療法・環境調整の効果が出やすくなります
- 子どもへの使用は、少量から開始・副作用の注意深い観察が必要
- 薬物療法単独ではなく、心理的支援・環境調整との組み合わせが原則
14. 学校・保育園との連携——合理的配慮の具体例
担任・養護教諭・スクールカウンセラーへの情報共有
選択性緘黙であることを学校に伝え、正確な理解と適切な配慮を求めることが支援の基盤です。
具体的な合理的配慮の例:
- 返事・発言を強要しない: 手を挙げる・うなずく・ホワイトボードでの回答を認める
- 音読・発表の代替: 筆記での回答・事前録音の活用
- 少人数でのグループ活動: 友人1〜2人との小グループから参加
- トイレへの配慮: 保健室のトイレを使う・別の時間帯に行けるよう配慮
- 給食・昼食の配慮: 少人数の場所での食事
- 評価の配慮: 発言による評価ではなく筆記・別の方法での評価
「話させようとしない」が最重要
教師が「なんで話さないの」「返事くらいしなさい」と強制することは、不安を高め緘黙を悪化させます。担任への心理教育と適切な対応の共有が回復への鍵です。
15. 保護者の正しい関わり方
✅ 正しいアプローチ
- 家庭での発話を大切にする(家庭は「安全な場所」として維持する)
- 「学校で話せなくても大丈夫」という安心感を伝え続ける
- 話せた場面・少し声が出た場面を自然に肯定する(大げさに褒めすぎない)
- 専門家(児童精神科・スクールカウンセラー)と連携して支援方針を共有する
❌ やってはいけないこと
- 「なんで話せないの・頑張れば話せるでしょ」というプレッシャー
- 「早く治しなさい・恥ずかしい」という叱責
- 話せないことを強調・比較(「◯◯ちゃんは話せるのに」)
- 無理に発言させる場面に連れ出す
16. よくある質問(FAQ)
Q. 「恥ずかしがりな性格だから」と先生に言われています。受診は必要ですか?
A. 「1か月以上・家では話せるのに学校では全く話せない・生活に支障が出ている」という状態であれば、選択性緘黙の可能性があります。「恥ずかしがり・慣れれば治る」と様子を見ているうちに慢性化するケースが非常に多いです。早期に児童精神科で評価を受けることをお勧めします。
Q. 「話させようとしてはいけない」と言われましたが、では何もしなくていいですか?
A. 「話させようとしない」と「何もしない」は異なります。不安を下げる環境調整・段階的な練習・心理的サポートという積極的な支援が必要です。ただし、支援の方向性はすべて「話すことへのプレッシャーを与えない」を原則としてください。
Q. 大人になっても緘黙は続きますか?
A. 早期に適切な支援を受けた場合、多くのケースで改善が見られます。しかし支援がないまま長期化すると、社交不安症・うつ病等の二次障害が固定化するリスクがあります。「大人になれば自然に治る」とは限らないため、早期支援が最も重要です。
17. 和光医院での診療について
名古屋市千種区にある和光医院は、児童精神科を専門とするクリニックです。選択性緘黙(場面緘黙)の評価・支援・学校連携に専門的に対応しています。
当院が大切にしていること
「なんで話さないの」と叱られ続け、傷ついてきた子どもと、「どうすればいいかわからない」と悩んできた保護者の方を丁寧に受け止めます。選択性緘黙は適切な支援で必ず改善できます。
当院での対応内容
- 選択性緘黙の評価・診断(発達歴・行動観察・発達検査)
- ASD・ADHD・不安症の合併評価
- 不安を下げる環境調整のアドバイス
- 段階的な話す練習(スライディングイン技法・刺激フェイディング)
- 認知行動療法(CBT)・遊戯療法
- SSRI薬物療法(重症例・補助的使用)
- 学校・保育園との連携・合理的配慮の相談・診断書の作成
- 保護者への心理教育・正しい関わり方の支援
こんな方はぜひご相談ください
- 家では話すのに学校では全く声が出ない
- 1か月以上、学校で話せない状態が続いている
- 先生に名前を呼ばれても返事ができない
- 「恥ずかしがりなだけ」と言われているが受診を考えている
- ASD・ADHDがあって、学校での発話も困難
- 選択性緘黙の支援の方法がわからない
「話せないのは、わがままでも恥ずかしがりでもありません。正しい支援で、声は出るようになります。まずご相談ください。」
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子どものためのメンタルクリニック|医療法人永朋会 和光医院
診療科目: 児童精神科・精神科・心療内科
発達障害(ASD・ADHD)、不登校、起立性調節障害、不安症、パニック症、チック症、強迫症、うつ症状など、お子さまから成人の方まで幅広く診療しております。
名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院では、お子さまのこころの健康を専門スタッフが丁寧にサポートします。受診のご相談・ご予約はホームページまたは公式LINEより承っております。
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