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2023.04.24

世代間伝達、について

世代間伝達、について

当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、母子関係、養育者との関係、が型を変えながらも、世代間にわたって伝達していくことの方が多い、です。

特に極端な場合、それが顕著にあらわれることがあります。

例えば、境界性パーソナリティ障害の場合、母子関係に不認証環境があるといわれています。

読んで字のごとく、認証されない環境、です。

無条件では愛されない、認めされない環境、という感じです。

そういう書くと、なんて悪い親なんだ、と思うかもしれません。

しかし親にも親がいるわけです。生育歴の型は、世代間伝達をします。祖母と母、母と子ども、の関係は連続性があることが多いのです。

単純に養育者との関係性が原因の一つですね、と伝えるだけでは問題は解決しないのです。

例えば養育者が母親だとしたら、母親自身も自身の生育歴を振り返るなかで、自分と親との関係が、自分と子どもの関係に連続していることに気がつく必要があります。そうでなければ、世代間伝達を断ち切ることが、結構難しいからです。

本人と主治医との2者関係だけの中で、世代間伝達に気がつき、母親自身も大変だったのだな、と思えることはもちろんあります。

しかし実際に母親自身もそのことに気が付き、お互いにそのことを感じて、今の世界での本人⇔母親の関係がリアルに変化していった方が、より治療の進展は早い。

というのが理想ですが、実際の臨床画面では、受診した本人が大人になっている場合、親がついてくることはほとんどありませんし、呼んできてくれることも少ない、です。母子関係が長期間こじれていれば、そうなるのも想像していただけると思います。

その点、子どもの時の受診であれば、養育者がついてくる可能性が高いので、本質的なところまで治療が展開しやすくはなります。

世代間伝達、難しいのはある程度のパターン化はできますが、100人いれば、100通りです。こればかりは数をこなすしか、セラピスト側の腕は上がらないのは間違いないです。

どれほど本で知識を入れても、生の経験には勝つことはできません。

そういう意味では基本的に治療者側は、自分の生育歴を最低でも可能であれば3世代は振り返っておいた方がいいでしょう。これがまた結構つらい作業なのですが、自分がやったことないことを他人にやれるわけないので、確実に必要です。


加藤晃司