名古屋市千種区 児童精神科のカウンセリング・精神科・心療内科 名古屋市千種区 児童精神科のカウンセリング・精神科・心療内科 和光医院

診療のご相談・ご予約はお気軽に 052-712-1777 【受付時間】9:00〜18:00 【休診日】火・日・祝日

ブログ

2024.11.06ブログ

強迫性障害、子どもと大人の違いについて、名古屋の児童精神科医が解説

強迫性障害、子どもと大人の違いについて、名古屋の児童精神科医が解説

 

こんにちは、名古屋市千種区 児童精神科専門クリニック、医療法人永朋会 和光医院、加藤晃司です。

 

今回は、強迫性障害、子どもと大人の違いについて、解説します。

 

強迫性障害(OCD: Obsessive-Compulsive Disorder)は、子どもと大人の両方に見られる心理的な疾患ですが、症状の現れ方や認識、対応の仕方に違いがあります。OCDは、強迫観念(繰り返し考えてしまう不安や恐怖)と、それに対する強迫行為(不安を和らげるために繰り返す行動や思考)を特徴とし、生活に支障をきたすことがあります。

 

以下に、子どものOCDと大人のOCDの違いについて、具体的に説明します。

 

  1. 症状の発現の仕方
  2. 子どもの強迫性障害

症状の認識が難しい:子どもは自分の思考や行動に対して、何が「正常」で何が「異常」かを大人ほど理解していないため、強迫観念や強迫行為を持っていても、それを自覚できないことがあります。大人のように「自分の考えが不合理だ」と気づくことが少なく、強迫行為が自然な行動だと思っていることが多いです。

 

症状が遊びに見えることがある:子どもの強迫行為は、大人から見ると一見遊びや癖のように見えることがあるため、OCDの診断が遅れる場合があります。例えば、物を繰り返し並べたり、特定の順序で物事を行わないと不安になる行動などです。

家族や環境への依存が強い:子どもは、強迫行為に対して自分一人で対処することが難しいため、親や周囲の人に依存することがあります。たとえば、「これが汚れているかどうか教えて」といった形で確認を繰り返すことがあります。親がその確認を手伝うことで、症状が強化されることもあります。

 

  1. 大人の強迫性障害

自分の症状に気づきやすい:大人は強迫観念や強迫行為が「不合理だ」と感じることが多く、自分の考えや行動が過度であると自覚しています。しかし、それでも不安を抑えるために強迫行為をやめられないという苦しみを抱えています。

 

社会生活に大きな影響を及ぼす:大人のOCDは、職場や家庭での役割を果たす際に支障をきたすことが多く、生活の質に大きな影響を与えます。特に、時間を大量に費やす強迫行為があると、日常生活が機能しなくなる場合があります。

隠す傾向がある:大人は、自分の行動が他人にどう見られるかを気にするため、強迫行為を隠そうとすることが多いです。その結果、治療が遅れることがあります。

 

  1. 症状の種類
  2. 子どもの場合

子どものOCDの強迫観念は、大人と同様に多岐にわたりますが、特に汚染恐怖や確認行為、対称性の追求が目立ちます。具体的には、手が汚れていると感じて何度も手を洗ったり、物の配置が「正しい位置」でないと不安になったりします。

子どもは、強迫観念が「魔法的思考」と結びつくことがあり、「もしこの順序で行動しないと、家族が病気になる」などの考えにとらわれることがあります。

 

  1. 大人の場合

大人のOCDでは、子どもの症状に加え、攻撃的な思考や道徳的な問題に関連する強迫観念が見られることがあります。たとえば、「自分が他人に危害を加えてしまうのではないか」や「不道徳なことを考えてしまっている」という不安が強くなることがあります。

性的な強迫観念も大人に多い症状の一つです。これは、不安を引き起こす強迫観念が性的な内容を含むことがあり、これに関連した強迫行為が生じることがあります。

 

  1. 治療への反応やアプローチの違い
  2. 子どもの治療

行動療法が効果的:子どもに対しては、認知行動療法(CBT)、特に**曝露反応妨害法(ERP)**が有効です。この治療法では、子どもを強迫観念に曝露させ、強迫行為を行わずに不安に対処する方法を学びます。子どもは行動ベースで治療に取り組むことが多いため、保護者の協力が重要です。

親や家族の協力が必要:子どもの場合、親が子どもの強迫行為を助長してしまうことが多いです(例えば、子どもが汚染を恐れている場合に、親が頻繁に清潔なタオルを用意するなど)。そのため、親も治療の一環として、子どもが強迫行為に頼らないようにサポートする方法を学ぶことが重要です。

 

  1. 大人の治療

認知行動療法と薬物療法の併用:大人のOCD治療でも**認知行動療法(CBT)や曝露反応妨害法(ERP)**が有効です。しかし、大人の場合は、症状が慢性化していることが多いため、**抗うつ薬(SSRI)**などの薬物療法を併用することが一般的です。薬物療法は、不安を軽減し、認知行動療法を受けやすくするために役立ちます。

認知の修正が重要:大人は強迫観念が不合理だと理解している場合でも、強迫行為をやめられないというジレンマを抱えています。認知行動療法では、このような思考の歪みを修正するためのアプローチが重要です。

 

  1. 進行や重症度の違い
  2. 子どもの場合

子どものOCDは、早期に適切な治療を受けることで、症状が大幅に軽減することがあります。特に、環境的要因(学校や家庭のストレス)によって一時的に症状が悪化することもありますが、適切な対応が早ければ早いほど、長期的な悪化を防ぐことができます。

 

  1. 大人の場合

大人のOCDは、慢性化しやすく、適切な治療を受けない場合、長期間にわたって生活に大きな影響を与えることがあります。長期間強迫行為を繰り返すことによって、仕事や人間関係に支障をきたし、うつ病などの二次的な問題を引き起こすこともあります。

 

  1. 周囲のサポートの違い
  2. 子どもの場合

子どもの場合、家族、特に親のサポートが不可欠です。親が子どもの強迫行為を理解し、適切に対応することで、症状を緩和することが可能です。また、学校でのサポートも重要で、教師やカウンセラーが子どもの症状に気づき、適切な環境を提供することが求められます。

 

  1. 大人の場合

大人の場合、家族やパートナーの理解が重要ですが、周囲の人に対して自分の症状をオープンに話すことが難しい場合があります。そのため、家族が強迫行為の悪循環に巻き込まれないよう、支援のバランスが大切です。また、職場や日常生活での支援を得ることも重要ですが、OCDを隠そうとする傾向があるため、早期の治療がカギとなります。

 

まとめ

子どものOCDと大人のOCDには、症状の認識、表現、治療法への反応に違いがあります。子どもは自分の症状に気づきにくく、家族や周囲のサポートが重要なのに対し、大人は自分の症状を自覚しているものの、隠す傾向が強いことがあります。また、治療法においても、子どもは行動療法が主流で、親の協力が欠かせないのに対し、大人は薬物療法と認知行動療法の併用が効果的です。

 

いずれの場合も、早期の発見と適切な治療が、長期的な症状の軽減や改善に大きく貢献します。

 

当院ホームページはこちらより

https://wako-psy-clinic.com

ご予約は公式ライン、ホームページから可能です。

友達追加はこちらから↓

https://lin.ee/HorvYiv

当院インスタグラムはこちら

https://www.instagram.com/wako_iin/

 

子どものためのメンタルクリニック

医療法人永朋会  和光医院

児童精神科・精神科・心療内科

 

〒464-0092 愛知県名古屋市千種区茶屋が坂1丁目12番2号

電話 : 052-712-1777

地下鉄名城線「茶屋ヶ坂」駅 1番出口より徒歩3分

地下鉄名城線「砂田橋」駅 1番出口より徒歩10分

 

 

 

Differences Between Childhood and Adult Obsessive-Compulsive Disorder: A Child Psychiatrist’s Explanation

 

Hello, this is Koji Kato, a child psychiatrist at Nagoya’s Wako Clinic, specializing in child and adolescent mental health.

 

Today, I’ll be explaining the differences between childhood and adult obsessive-compulsive disorder (OCD).

 

OCD, or obsessive-compulsive disorder, is a psychological condition seen in both children and adults, but the way it presents, is understood, and is managed can differ across age groups. OCD is characterized by obsessions—recurrent thoughts or fears—and compulsions, the actions or mental rituals performed to relieve those anxieties. These symptoms often interfere with daily life, but they vary between children and adults.

 

  1. Manifestation of Symptoms
  2. Childhood OCD

 

Difficulty Recognizing Symptoms: Children may not understand which thoughts or behaviors are “normal” or “abnormal.” While adults often recognize the irrationality of their obsessions, children may not see their compulsions as unusual.

Symptoms May Resemble Play: A child’s compulsions might look like quirks or games to adults, making it challenging to identify OCD early on. For example, repeated arranging of objects or performing tasks in a specific order to avoid anxiety may seem like a simple habit.

Reliance on Family: Children may rely on their parents or others for reassurance, frequently asking if something is “clean” or “safe.” Parents who respond to these requests can unintentionally reinforce the OCD behaviors.

  1. Adult OCD

 

Increased Awareness of Symptoms: Adults are more likely to see their thoughts and behaviors as irrational but feel trapped by their need to perform compulsions.

Impact on Social Life: OCD in adults can disrupt work, family life, and social relationships, affecting overall quality of life.

Tendency to Hide Symptoms: Concerned about how others perceive their behavior, adults may attempt to hide compulsions, which can delay treatment.

  1. Types of Symptoms
  2. In Children

 

Common obsessions in children include contamination fears, the need for symmetry, and repeated checking behaviors, like washing hands multiple times or being overly concerned with order.

Magical Thinking: Children’s obsessions often connect to “magical thinking,” where they feel that if they don’t complete an action, something bad will happen to someone they love, such as illness affecting a family member.

  1. In Adults

 

Adults may experience additional types of obsessions, including fears of harming others or moral concerns.

Aggressive or Sexual Thoughts: Some adults experience intrusive thoughts related to harming others or morally inappropriate thoughts, leading to related compulsions and added stress.

  1. Differences in Treatment Approaches and Response
  2. Treatment in Children

 

Behavioral Therapy: Exposure and Response Prevention (ERP), a form of cognitive-behavioral therapy (CBT), is highly effective in children. Children learn to face their anxieties without relying on compulsions.

Parental Involvement: Since children depend on their parents for reassurance, part of the treatment often includes coaching parents to help their children reduce reliance on compulsions.

  1. Treatment in Adults

 

Combination of CBT and Medication: CBT and ERP are also effective for adults, often combined with medication such as SSRIs (selective serotonin reuptake inhibitors), which can reduce anxiety and make therapy more effective.

Cognitive Restructuring: Therapy often includes addressing and reframing unhelpful thinking patterns, helping adults overcome the recognition that their compulsions are irrational but challenging to control.

  1. Progression and Severity of Symptoms
  2. In Children

 

Early and appropriate treatment can significantly improve symptoms in children. Symptoms may worsen with external stressors, such as school, but timely intervention helps prevent long-term progression.

  1. In Adults

 

Adult OCD often becomes chronic without treatment, with compulsions significantly impacting work and relationships. Long-term OCD can also lead to secondary issues like depression if untreated.

  1. Differences in Support Needs
  2. For Children

 

Family involvement is crucial in a child’s treatment. Parental understanding and appropriate responses to symptoms can significantly help children manage OCD. School support is also essential to create a positive and understanding environment.

  1. For Adults

 

Family and partner support are helpful, but adults may find it challenging to share their symptoms with others. Balancing support without enabling compulsions is vital. Understanding colleagues or minor adjustments at work can also make a difference in managing OCD.

Summary

Childhood and adult OCD differ in symptom awareness, expression, and treatment response. Children may not recognize their symptoms, making family support essential, while adults tend to be aware of their compulsions yet may try to hide them, delaying treatment. Behavior therapy is typically effective for children, with parental involvement essential. In adults, a combination of medication and CBT often yields the best results.

 

Early diagnosis and tailored treatment approaches can significantly improve outcomes for both children and adults, emphasizing the importance of specialized support and understanding.

受診される方へ

初めて受診される方

当院は完全予約制をとっておりますが、初診の場合は若干のお時間をいただくこととなり、お待ちいただくことがあります。スムーズにご案内する為に、WEB問診のご利用をおすすめいたします。
WEB問診はこちら >

初診予約は電話にてお願いします。

再診される方

お電話もしくは予約システム(チェック・オン)から予約を取ることもできます。予約の変更や取り消しをご希望の場合には、診療時間内に受付にお電話いただくか、予約システムから変更・取り消しを行ってください。

パソコン・携帯から簡単にご予約できます。

和光医院 診療時間のご案内

診療時間のご案内

【診療時間】
午前 9:00〜13:00
 午後 15:00〜18:00 
土曜 9:00〜14:00

【休診日】 火・日・祝日

患者様へのご案内

  • 明細書について:当院では、療養費規則に基づき明細書の発行を無料で行っています。
  • 一般名による処方について:後発医薬品が存在する場合は、商品名ではなく一般名(有効成分名)で処方することがあります。
  • 医療情報の活用について:当院では、安心な医療を提供する為、オンライン資格確認や電子処方箋データ等の情報を活用して診療を行っています。