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2026.06.03ブログ

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断と治療 ~子どものPTSDに対するプレイセラピーの有効性について~

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断と治療

~子どものPTSDに対するプレイセラピーの有効性について~

名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック 和光医院

「事故のあとから夜泣きがひどくなった」
「いじめを受けてから学校へ行けなくなった」
「親の離婚や家庭内トラブル以降、以前と様子が違う」

このような症状の背景に、PTSD(心的外傷後ストレス障害)が隠れていることがあります。

PTSDは大人だけの病気ではありません。子どもも強いストレスや恐怖体験によってPTSDを発症することがあります。しかし、子どもは自分の気持ちを言葉で表現することが難しいため、周囲が気づきにくいことも少なくありません。

今回は、子どものPTSDの症状や診断、治療法、そして児童精神科で行われるプレイセラピーの有効性について詳しく解説します。

PTSDとは?

PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)とは、命の危険を感じるような体験や強い恐怖を伴う出来事の後に発症する精神疾患です。

子どもの場合、

  • 交通事故
  • 災害
  • いじめ
  • 虐待
  • 家庭内暴力(DV)
  • 親との死別
  • 重い病気や入院
  • 犬に襲われるなどの恐怖体験

などが原因になることがあります。

本来であれば時間とともに心の傷は回復していきますが、一部の子どもではストレス反応が長期間続き、日常生活に支障をきたすようになります。

子どものPTSDの症状

1. 再体験症状

つらい出来事を何度も思い出してしまう症状です。

  • 悪夢を見る
  • 急に怖い記憶がよみがえる
  • 事故や災害の場面を繰り返し遊びで再現する
  • 音や場所をきっかけに強い恐怖を感じる

小児では「遊び」の中でトラウマ体験を再現することがあります。

2. 回避症状

嫌な記憶を思い出さないように避ける行動です。

  • 学校へ行けなくなる
  • 特定の場所を避ける
  • 話題にしたがらない
  • 人との関わりを避ける

3. 過覚醒症状

常に緊張状態が続く症状です。

  • 眠れない
  • 些細な音で驚く
  • イライラする
  • 集中力低下
  • 落ち着きがない

ADHDと似た症状に見えることもあります。

4. 気分や認知の変化

  • 自分を責める
  • 将来への希望を失う
  • 自己肯定感の低下
  • 抑うつ症状

などがみられます。

PTSDの診断

児童精神科では、

  • トラウマ体験の有無
  • 症状の種類
  • 症状の持続期間
  • 学校や家庭生活への影響

を総合的に評価します。

子どもの場合は本人だけでなく、

  • 保護者面談
  • 学校からの情報
  • 心理検査

などを組み合わせて診断します。

特に小児では、

  • ASD(自閉スペクトラム症)
  • ADHD
  • 不安症
  • うつ病

との鑑別が重要になります。

PTSDの治療

環境調整

まず最も重要なのは安心できる環境づくりです。

  • 安全な家庭環境
  • 学校との連携
  • 過度なストレスの軽減

が治療の土台になります。

心理療法

PTSD治療の中心です。

代表的なものとして

  • トラウマフォーカスト認知行動療法(TF-CBT)
  • プレイセラピー
  • 支持的精神療法

があります。

薬物療法

補助的に用いられることがあります。

  • 不安が強い
  • 不眠が強い
  • 抑うつ症状を伴う

場合には薬物療法を併用することがあります。

ただし小児PTSDでは心理療法が治療の中心です。

プレイセラピーとは?

プレイセラピー(遊戯療法)は、遊びを通して子どもの心を理解し支援する心理療法です。

大人は言葉で気持ちを表現できますが、子どもは難しいことがあります。

そのため、

  • おもちゃ
  • 人形
  • ブロック
  • ごっこ遊び

などを用いて、遊びの中で感情を表現していきます。

PTSDに対するプレイセラピーの有効性

1. 言葉にできない感情を表現できる

トラウマ体験を受けた子どもは、

  • 怖かった
  • 悲しかった
  • 怒っている

という感情を言葉で整理できないことがあります。

プレイセラピーでは遊びを通じて自然に感情を表現できます。

2. 安全な形で体験を整理できる

子どもは遊びの中でトラウマ体験を繰り返し再現することがあります。

これは単なる遊びではなく、

心の中で出来事を整理し回復しようとする過程と考えられています。

3. 安心できる対人関係を経験できる

PTSDを持つ子どもは他者への信頼感が低下していることがあります。

プレイセラピーでは心理士との安定した関係を築くことで、

  • 安心感
  • 自己肯定感
  • 他者への信頼

を回復していきます。

4. ストレス対処能力が向上する

遊びを通じて感情調整や問題解決能力を学ぶことで、

将来的なストレスへの耐性向上も期待できます。

プレイセラピーだけで治るの?

症状の程度によります。

軽症〜中等症ではプレイセラピーのみで改善することもあります。

一方で、

  • 重度PTSD
  • 虐待関連トラウマ
  • うつ病併発
  • 不登校

などを伴う場合には、

  • 家族支援
  • 学校連携
  • CBT
  • 薬物療法

を組み合わせることが重要です。

まとめ

PTSDは子どもにも起こる心の病気です。

事故や災害、いじめ、虐待などの体験の後に、

  • 不眠
  • 悪夢
  • 不安
  • イライラ
  • 不登校

などが続く場合はPTSDの可能性があります。

プレイセラピーは、言葉で表現することが難しい子どもにとって非常に有効な治療法の一つです。

遊びを通じて感情を表現し、トラウマを整理し、安心できる人間関係を築くことで回復を支援します。

和光医院では、児童精神科専門クリニックとして、PTSDや不安症、不登校、発達障害などの診療を行っています。お子さまの心の不調でお困りの際はお気軽にご相談ください。

 

 

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