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かんしゃくが激しい子どもの原因とは?発達障害・感情調節の問題を児童精神科医が詳しく解説 名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック 和光医院
かんしゃくが激しい子どもの原因とは?発達障害・感情調節の問題を児童精神科医が詳しく解説
名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック 和光医院
はじめに
「ちょっとしたことで大爆発する」「一度泣き始めると1時間以上止まらない」「叩く・蹴る・物を投げる」「切り替えができず、いつまでもパニック状態が続く」——
お子さんのかんしゃく(癇癪)の激しさに、毎日消耗してしまっている保護者の方は少なくありません。
「育て方が悪いのでは」「自分の対応が間違っているのでは」と自分を責めてしまう方もいらっしゃいます。
しかし、かんしゃくが著しく激しい・頻度が多い・年齢の割に収まりが悪いという場合、その背景に発達特性・精神医学的な状態・神経発達の問題が隠れていることがあります。
今回は、かんしゃくが激しい子どもの原因・背景・対応・受診の目安について、名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が詳しく解説します。
かんしゃく(癇癪)とは?正常な発達との違い
かんしゃくとは
かんしゃくとは、強い感情(怒り・欲求不満・不安・悲しみ)が爆発的に表出される状態です。
泣き叫ぶ・怒鳴る・床に転がる・物を投げる・叩く・蹴るなどの行動として現れます。
「普通のかんしゃく」はいつまで?
かんしゃくは、1〜3歳(イヤイヤ期)にピークを迎えることが多く、これは正常な発達のひとつです。
自分の気持ちや欲求はあるのに、それをうまく言葉で表現できないもどかしさ・脳の前頭前野(感情コントロールを担う部位)の発達が未熟なことが原因で起こります。
一般的には、言語能力の発達・前頭前野の成熟とともに、3〜4歳ごろから徐々に落ち着いていくのが典型的な経過です。
「激しすぎるかんしゃく」のサイン
以下に当てはまる場合、背景に何らかの問題が隠れている可能性を考える必要があります。
✔ 頻度が多い:週に何度も激しいかんしゃくが起きる
✔ 持続時間が長い:1回のかんしゃくが30分〜1時間以上続く
✔ 強度が強い:自傷(頭を壁に打ちつける・自分を叩く)・他害(親や兄弟を激しく攻撃する)・物の破壊が伴う
✔ 年齢の割に改善しない:4〜5歳以降もかんしゃくの激しさが変わらない・むしろ悪化している
✔ 切り替えができない:一度スイッチが入ると、なだめても・環境を変えても収まらない
✔ きっかけが読めない:周囲には些細に見えることで突然大爆発する
✔ 日常生活・学校生活に大きな支障が出ている
かんしゃくが激しくなる主な原因
かんしゃくの激しさの背景には、様々な要因が単独で、あるいは複数組み合わさって関与しています。
① 発達特性(ASD・ADHD)
発達障害は、かんしゃくが激しくなる最も多い背景のひとつです。
ASD(自閉スペクトラム症)とかんしゃく
ASDのあるお子さんでかんしゃくが激しくなりやすい主な理由は以下の通りです。
こだわり・同一性へのこだわり ASDでは、特定の手順・配置・ルーティンへの強いこだわりがあります。「いつもと違う」「予定が変わった」「自分のルール通りにならなかった」という状況が、強烈な不安・パニック・かんしゃくにつながります。
感覚過敏 特定の音・光・触覚・匂いへの過敏さが、常にストレスとなって蓄積し、ちょっとしたことで爆発するという形で現れます。「なぜそんなことで?」と周囲には見えますが、本人には深刻な苦痛があります。
言語コミュニケーションの困難 自分の不快・要求・気持ちをうまく言葉にできないもどかしさが、かんしゃくという形で噴出します。
感情認識・調節の困難 自分が今どのような感情状態にあるかを認識すること自体が難しく、感情が高まってもセルフコントロールが効きにくい傾向があります。
ADHD(注意欠如多動症)とかんしゃく
ADHDのあるお子さんでかんしゃくが激しくなりやすい主な理由は以下の通りです。
衝動性の高さ ADHDの中核症状のひとつである衝動性により、感情が高まると「待つ」「落ち着く」「考える」ができず、即座に爆発的な行動として現れます。
感情調節困難(Emotional Dysregulation) ADHDでは、感情の波が大きく・急激で、コントロールが難しいことが多いです。これは「気分の波が激しい」という形で、些細なことで激しく怒る・すぐに泣く・興奮しやすいとして現れます。
フラストレーション耐性の低さ 「思い通りにならない」「うまくできない」という状況への耐性が低く、すぐに爆発してしまいます。
脳の前頭前野機能の弱さ 感情のブレーキ役を担う前頭前野の機能的弱さが、感情調節の困難に直接つながっています。
ASD+ADHDの合併
ASDとADHDは約50〜70%の割合で合併するとされています。両方の特性が重なることで、かんしゃくはさらに激しく・複雑になりやすいです。
② 感情調節障害(Emotional Dysregulation)
感情調節障害とは、感情の認識・表現・コントロールに困難を抱える状態です。
ASD・ADHDに伴うものが多いですが、それ以外の要因でも生じることがあります。
感情調節の困難が引き起こすかんしゃくの特徴
- 感情が高まると「0か100か」という極端な状態になる
- 一度高まると、自分では落ち着かせることができない
- 感情の「嵐」が過ぎると、本人も何が起きたかよく覚えていないことがある
- 「なぜ怒ったのか」を後から振り返ることが難しい
③ 感覚処理の問題(感覚統合の困難)
感覚処理とは、目・耳・皮膚・前庭感覚(平衡感覚)・固有感覚(筋肉・関節からの感覚)などの感覚情報を脳が適切に処理する機能です。
この機能に困難があると、特定の感覚刺激に対して過剰反応・過少反応が生じます。
感覚過敏がかんしゃくにつながる例
- 特定の衣類の縫い目・素材が「痛い・気持ち悪い」と感じ、着替えを求められるたびにかんしゃくになる
- 給食の特定の食感・匂いが苦痛で、食事のたびに爆発する
- 体育館の大きな音・突然の音がパニックを引き起こす
- 人混み・光・においの刺激が蓄積し、帰宅後に爆発(学校では我慢しているため)
④ 言語発達の遅れ・コミュニケーションの困難
言葉でうまく自分の気持ち・要求・不快を伝えられない場合、かんしゃくは「伝える手段」として機能します。
これは乳幼児期に典型的ですが、言語発達の遅れがある場合・ASDによりコミュニケーションに困難がある場合は、年齢が上がってもこのパターンが続くことがあります。
**「言葉が増えるとかんしゃくが減る」**というのは、まさにこのメカニズムです。言語療法・コミュニケーション支援がかんしゃくの軽減につながることがあります。
⑤ 不安・精神的なストレス
子どもの不安は、大人のような「心配する」という形ではなく、かんしゃく・身体症状・退行(赤ちゃん返り)・夜泣きとして現れることがよくあります。
不安がかんしゃくにつながる場面の例
- 幼稚園・学校での人間関係のストレスが帰宅後のかんしゃくとして出る
- 環境の変化(入学・転校・引越し・弟妹の誕生)の後からかんしゃくが激しくなった
- 先生・特定の友達への恐怖・不安が「登園拒否+かんしゃく」として現れる
不安症・分離不安障害・社交不安症などが背景にあることもあります。
⑥ 睡眠の問題
睡眠不足・睡眠の質の低下は、子どもの感情調節に直接影響します。
睡眠が不十分な状態では、前頭前野の機能が低下し、感情の爆発が起きやすくなります。
睡眠とかんしゃくの関係
- 睡眠不足が続くと、些細なことで爆発しやすくなる
- 入眠困難・夜間覚醒・早朝覚醒が続いている場合は要注意
- ASD・ADHDでは睡眠障害の合併が多く、睡眠の問題とかんしゃくが悪循環を起こすことがある
⑦ うつ病・気分障害
子どものうつ病は、大人のような「ずっと落ち込んでいる」という形だけでなく、イライラ・怒りっぽさ・かんしゃくの激化として現れることがあります。
特に思春期以降のかんしゃく・感情の不安定さが続く場合は、うつ病・双極性障害などの気分障害を視野に入れた評価が必要です。
⑧ 双極性障害(躁うつ病)
双極性障害では、気分の波(躁・うつ)が激しく、躁状態・混合状態では強い易刺激性(些細なことでの激しい怒り)が現れます。
子ども・思春期の双極性障害は、大人と異なり急速交代型(気分の波が短時間で激しく変動する)が多く、「かんしゃくが突然激しくなる・何をしても収まらない・その後急に穏やかになる」というパターンをたどることがあります。
⑨ トラウマ・愛着の問題
虐待・ネグレクト・家庭内の不和・親の精神疾患などのトラウマ体験や、乳幼児期の養育者との安定した愛着関係が築けなかった場合、感情調節の基盤が不安定になります。
「安全でない」「信頼できない」という根本的な不安が慢性的なストレスとなり、かんしゃくとして現れることがあります。
⑩ 身体的な要因
かんしゃくの背景として、見落とされがちな身体的要因もあります。
- 空腹・低血糖:食事前・食事間隔が長い時に爆発しやすい(いわゆる「ハングリー」状態)
- 疲労・過活動:活動量が多すぎる・休息が不十分な場合
- 便秘・腹痛・頭痛:身体の不快を言葉で表現できず、かんしゃくとして出る
- 鉄欠乏性貧血:集中力低下・イライラに関与することがある
- 甲状腺機能異常:情緒の不安定さに関与することがある
- 中耳炎・歯痛などの慢性的な痛み:不快を言語化できない場合、かんしゃくとして現れる
かんしゃくが激しい場合の背景別チェックポイント
ASDが背景にある場合の特徴
- 「いつもと違う」「予定変更」でのかんしゃくが多い
- 特定の感覚(音・触感・食感)がきっかけになることが多い
- こだわりの対象が妨げられるとパニック状態になる
- 言葉はあるが、感情の表現・共有が難しい
- 家族以外の前では我慢できることが多い(帰宅後に爆発)
ADHDが背景にある場合の特徴
- きっかけは些細だが、感情の高まりが急激
- 「待てない」「後でね」が極端に苦手
- 怒った後で本人も後悔・自己嫌悪していることが多い
- 日によって波がある(調子が良い日・悪い日がはっきりしている)
- 刺激の多い場所・疲れているときに悪化しやすい
不安が背景にある場合の特徴
- 環境の変化・新しい状況の前後にかんしゃくが激化する
- 特定の場所・人・状況への拒否に伴うかんしゃくが多い
- 夜・就寝前に不安が高まりかんしゃくになりやすい
- 腹痛・頭痛など身体症状を伴うことが多い
かんしゃくへの基本的な対応
やってはいけない対応
叱る・怒鳴る・体罰 かんしゃく中の子どもの脳は「感情の嵐」の状態にあり、言葉による論理的な説明はほとんど入りません。叱ることは状況を悪化させるだけで、かんしゃくを減らす効果はありません。
その場でかんしゃくに屈する 毎回かんしゃくで要求が通る経験を積み重ねると、「かんしゃくは有効な手段」として学習される可能性があります(ただし、発達特性のある場合はこの解釈だけでは不十分です)。
「なぜ怒っているの!」と問い詰める かんしゃく中は感情の渦中にあり、自分の感情を説明することは不可能に近いです。
基本的な対応の原則
① 安全を確保する 本人・周囲の人・物への危険がないよう、まず安全な環境に移動させます。
② 刺激を減らす 静かな場所・薄暗い場所・落ち着ける空間に移動することで、感覚の刺激を減らします。
③ 落ち着くのを待つ かんしゃくの嵐が過ぎるまで、静かに側にいます。「大丈夫だよ」「待っているよ」という短い言葉かけで十分です。解説・説教は嵐が完全に過ぎた後で行います。
④ 落ち着いた後に短く振り返る 完全に落ち着いた後で、「何が嫌だったの?」「次はどうしようか?」と短く穏やかに話し合います。
⑤ 予防的なアプローチ かんしゃくが起きやすい場面・時間帯・きっかけを把握し、事前に対策を取ることが大切です。
- 予定変更は事前に伝える(ASD特性がある場合は特に重要)
- 空腹・疲労を避ける
- 感覚過敏がある場合は過剰な刺激を避ける
- 「あと5分で終わりね」など見通しを伝える
専門機関への相談が必要なサイン
以下に当てはまる場合は、早めに児童精神科・発達外来への相談をおすすめします。
✔ かんしゃくが週に複数回あり、日常生活に支障が出ている
✔ 1回のかんしゃくが30分以上続くことがよくある
✔ 自傷(頭を壁に打ちつける・自分を噛む・引っ掻く)を伴う
✔ 他害(親・兄弟・友達への激しい暴力)が繰り返される
✔ 4〜5歳以降もかんしゃくの頻度・強度が改善しない
✔ 言葉の発達が気になる
✔ 集団生活(保育園・幼稚園・学校)への参加が難しい
✔ 特定の感覚(音・触感・食感)への強い過敏さがある
✔ こだわりが強く、変化でパニックになることが多い
✔ 親自身が育児疲弊・精神的限界を感じている
受診したらどんなことをするの?
初診での主な内容
詳細な問診・生育歴の聴取
- かんしゃくの始まった時期・頻度・きっかけ・持続時間
- 言葉・運動発達の経過
- 保育園・幼稚園・学校での様子
- 家庭環境・睡眠・食事・体調
- 家族歴(発達特性・精神疾患)
行動観察 診察場面でのお子さんの様子を丁寧に観察します。
心理検査(必要に応じて)
- 知能検査(WISC-Ⅴ・新版K式発達検査)
- ASD・ADHD評価
保護者へのサポート かんしゃくへの具体的な対応方法・環境調整のアドバイスを行います。
和光医院での診療
和光医院は、名古屋市千種区の児童精神科専門クリニックです。
かんしゃくが激しいお子さん・感情のコントロールが難しいお子さんについて、以下の対応を行っています。
- 発達特性(ASD・ADHD)の評価・診断
- 感情調節の困難・かんしゃくへの心理的支援
- 保護者へのペアレントトレーニング・具体的な対応方法のアドバイス
- 睡眠障害・不安症・うつ病など合併する問題への治療
- 薬物療法(必要に応じて:エビリファイ・インチュニブ・コンサータなど)
- 学校・保育園・幼稚園との連携・情報提供
- 療育・放課後等デイサービスへのつなぎ
「かんしゃくが激しくて、もう限界」と感じているご家族も、まずはご相談ください。保護者の方だけの相談から始めることも可能です。
まとめ
かんしゃくが激しい背景には、
- ASD(自閉スペクトラム症):こだわり・感覚過敏・コミュニケーションの困難
- ADHD(注意欠如多動症):衝動性・感情調節困難
- 感覚処理の問題:感覚過敏による慢性的ストレスの爆発
- 言語発達の遅れ:伝える手段としてのかんしゃく
- 不安・ストレス:環境変化・対人不安
- 睡眠の問題:感情調節機能の低下
- うつ病・双極性障害:気分障害に伴う易刺激性
- トラウマ・愛着の問題
- 身体的要因:空腹・疲労・便秘・貧血など
といった多様な要因が関与している可能性があります。
「育て方のせい」ではなく、お子さんの脳・神経発達・心理的状態に関わる問題であることが多いです。
かんしゃくの激しさ・頻度・持続時間が気になる場合は、一人で抱え込まず、早めに専門機関へご相談ください。
和光医院では、ASD・ADHD・不安症・感情調節の問題・かんしゃくに関するご相談を幅広くお受けしています。名古屋市千種区でお子さまの感情・行動のお悩みがある方は、お気軽にご連絡ください。
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