名古屋市千種区 児童精神科のカウンセリング・精神科・心療内科 名古屋市千種区 児童精神科のカウンセリング・精神科・心療内科 和光医院

診療のご相談・ご予約はお気軽に 052-712-1777 【受付時間】9:00〜18:00 【休診日】日・祝日

ブログ

2026.07.19ブログ

愛着障害とは?ならないための予防・親子の絆を育てる関わり方を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説

愛着障害とは?ならないための予防・親子の絆を育てる関わり方を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説

「愛着障害にならないためにどうすればいい?」「子育てのどこに気をつければいいの?」「スマホを見ながらの授乳はいけないの?」「愛着障害って虐待をした親の子どもだけがなるもの?」——愛着障害という言葉を耳にすることが増えましたが、その正しい理解と予防について正確に知っている方は多くありません。愛着障害は特別な悪意ある親だけが引き起こすものではなく、すべての子育てにおいて「愛着の育ち方」は非常に重要なテーマです。名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、愛着とは何か・愛着障害の正確な理解・予防のための関わり方・専門家に相談すべきタイミングまで、保護者の方にわかりやすく詳しく解説します。


目次

  1. 愛着(アタッチメント)とは何か
  2. 愛着の発達——生後どのように育まれるか
  3. 愛着スタイルの4タイプ
  4. 愛着障害とは何か——正確な定義と誤解
  5. 愛着障害の2つのタイプ(反応性愛着障害・脱抑制型対人交流障害)
  6. 愛着障害の原因——何が「不十分な養育」に当たるのか
  7. 愛着障害のサインと症状
  8. 「愛着障害」という言葉の誤用に注意
  9. 愛着障害を予防するための関わり方——基本原則
  10. 【予防①】感受性の高い応答(センシティブ・レスポンシブネス)
  11. 【予防②】「安全基地」としての存在になる
  12. 【予防③】スキンシップ・ボディコンタクトの重要性
  13. 【予防④】感情のコーチング——感情を言語化して共有する
  14. 【予防⑤】修復の力——失敗したときの取り戻し方
  15. 【予防⑥】保護者自身のアタッチメント(親の愛着スタイル)
  16. こんな状況で愛着に影響するリスクが上がる
  17. 「良い親」でなければいけないというプレッシャーへの対応
  18. よくある質問(FAQ)
  19. 和光医院での診療について

1. 愛着(アタッチメント)とは何か

**愛着(アタッチメント:Attachment)**とは、乳幼児が特定の養育者(多くは親)との間に形成する、深くて特別な情緒的絆です。英国の精神科医・精神分析家のジョン・ボウルビィ(John Bowlby)が提唱したアタッチメント理論が基盤となっています。

愛着の本質——「安全の港」と「安全基地」

愛着の最も重要な機能は2つあります。

「安全の港(Safe Haven)」: 子どもが怖い・不安・傷ついたときに、養育者のもとへ近づいて慰めを求めること。「怖かったらお母さんのところに来れば大丈夫」という確信。

「安全基地(Secure Base)」: 養育者の存在を後ろ盾にして、安心して世界を探索・冒険すること。「お母さんがいるから遠くまで行って探索できる」という感覚。

愛着は生存のための本能的なシステム

愛着行動(泣く・しがみつく・後追い)は、子どもが生物学的・進化的に備えているサバイバルシステムです。弱い子どもが養育者の近くにとどまることで危険から守られるという進化的な意味があります。


2. 愛着の発達——生後どのように育まれるか

愛着は生まれながらに固定されているものではなく、養育者との繰り返しの相互作用(やりとり)の積み重ねによって育まれます。

愛着の発達段階

第1段階(0〜2ヶ月):無差別的な社会的応答 誰に対しても笑う・泣くなどの社会的反応を示しますが、特定の人物への選好は明確ではありません。

第2段階(2〜7ヶ月):選好的な社会的応答 よく関わる特定の人物(主要な養育者)を識別し、その人により強く反応するようになります。

第3段階(7〜24ヶ月):特定の人物への能動的な近接探求 特定の養育者(愛着対象)に積極的にしがみつき・後追いをするようになります。「人見知り」「後追い」が始まるのはこの段階です。愛着が確立した証拠です。

第4段階(24ヶ月以降):目標修正的な協調関係 子どもが親の視点・計画を理解し、物理的な近接なしでも安心感を保てるようになります。言語・認知の発達が愛着の質に影響します。

「内的作業モデル(Internal Working Model)」の形成

繰り返しの養育者との相互作用の中で、子どもは「自分は愛される価値があるか」「他者は信頼できるか」「世界は安全か」という**内的な期待・信念(内的作業モデル)**を形成します。この内的作業モデルが、その後の対人関係・自己像・感情調節のあり方を大きく規定します。


3. 愛着スタイルの4タイプ

心理学者メアリー・エインズワースの「ストレンジ・シチュエーション法」の研究から、子どもの愛着スタイルが4つに分類されることが明らかになりました。

①安定型(Secure)

養育者が近くにいるとき安心して探索し、離れると不安になるが、再会時に素早く安心を回復します。

形成される養育の特徴: 養育者が子どものシグナルに敏感・一貫して応答する。

成人後の特徴: 他者を信頼でき、安定した対人関係を築ける。感情調節が比較的得意。

②回避型(Avoidant/Insecure)

養育者の不在にあまり動揺せず、再会時も養育者に近づこうとしない。感情を表に出さない。

形成される養育の特徴: 養育者が子どもの感情的なニーズへの応答が少ない・感情表現を却下されやすい。

成人後の特徴: 親密な関係を避けがち・感情を表現しにくい。

③不安型(Ambivalent/Anxious)

養育者の不在に強く動揺し、再会時も怒りと接触を求める行動が混在する。慰めで安心しにくい。

形成される養育の特徴: 養育者の応答が一貫しない(あるときは応答し、あるときは無視する)。

成人後の特徴: 見捨てられる不安が強い・対人関係で感情が不安定になりやすい。

④無秩序型(Disorganized)

接触を求めながら逃げる・固まる・トランス状態に入るなど矛盾した行動が見られる。

形成される養育の特徴: 養育者が子どもにとっての恐怖源になっている(虐待・養育者自身がトラウマを持つ)。「安全の港」であるはずの存在が「恐怖の源」でもあるという矛盾が生じる。

成人後の特徴: 感情調節の困難・解離・対人関係の混乱が生じやすい。精神疾患リスクが最も高い。


4. 愛着障害とは何か——正確な定義と誤解

医学的な定義

**愛着障害(Attachment Disorder)は、DSM-5(米国精神医学会診断基準)に正式に定義された精神疾患で、「不十分な養育環境(ネグレクト・頻繁な養育者の交代・施設養育など)において、特定の養育者への愛着が形成されなかった、または歪んだ形で形成された状態」**です。

愛着障害は「全員に起こる」ものではない

医学的な愛着障害が生じるのは、主に以下のような極端に不十分な養育環境においてです。

  • ネグレクト(育児放棄): 身体的・情緒的ニーズへの慢性的な無視
  • 施設養育: 多数の子どもに少ない養育者というケア体制での成育
  • 養育者の頻繁な交代: 特定の養育者との継続的な関係が形成されない環境
  • 身体的・性的・心理的虐待

「少し反応が遅れた」「泣いていてもすぐに対応できなかった日があった」「スマホを見ながら授乳したことがある」という程度では愛着障害は生じません。

「愛着の問題」と「愛着障害(医学的診断)」は別物

近年、「うちの子は愛着障害かも」という言葉がSNSで広まっていますが、医学的な愛着障害の診断基準を満たすものはその中のごく一部です。愛着が「不安定型」であることと、「愛着障害(反応性愛着障害・脱抑制型対人交流障害)」という医学的診断は異なります。


5. 愛着障害の2つのタイプ(反応性愛着障害・脱抑制型対人交流障害)

DSM-5では愛着障害を以下の2タイプに分類しています。

反応性愛着障害(RAD:Reactive Attachment Disorder)

症状:

  • 苦痛なときも養育者への愛着行動を示さない(求めない)
  • 社会的・感情的な応答の最小化
  • ポジティブな感情の少なさ
  • 大人とのやりとりの中での根拠のない怒り・悲しみ・恐怖

外見上の特徴: 感情が乏しく・表情が少なく・養育者との関係を避けるように見える。

脱抑制型対人交流障害(DSED:Disinhibited Social Engagement Disorder)

症状:

  • 見知らぬ大人に近づき・交流することへの抵抗の減少または欠如
  • 過度に親しい言語的・身体的行動(見知らぬ大人に抱きつく・ついていく)
  • 離れた後での養育者への確認の少なさ
  • 見知らぬ大人と一緒に行くことへの少ないまたはない抵抗

注意: 一見「人懐っこい」「愛想のいい子」に見えるが、特定の愛着対象がいないため誰にでも同様に接するという問題があります。


6. 愛着障害の原因——何が「不十分な養育」に当たるのか

愛着障害の発症に関連する環境因子は以下の通りです。

明確なリスク因子

ネグレクト(最大のリスク因子): 身体的ニーズ(食事・清潔・医療)だけでなく、**情緒的なニーズへのネグレクト(泣いても応じない・抱っこしない・話しかけない)**が愛着障害の最も重要な原因とされています。

施設養育(孤児院・乳児院等での成育): 多くの子どもに対して少数の養育者しかいない環境では、特定の養育者との継続的な一対一の関係が形成されにくいです。

養育者の頻繁な交代: 里親・養親の頻繁な変更・入退院の繰り返しなど、特定の愛着対象との継続的な関係が断ち切られる状況。

養育者自身の深刻な精神疾患・物質依存: 養育者がうつ病・解離性疾患・アルコール依存症などにより、子どもへの安定した関与が困難な場合。

愛着障害のリスクにはならないもの

  • 一時的な育児困難・育児の不完全さ
  • 保育園への入園・一時的な分離
  • 両親共働き
  • スマホの使用・「完璧でない」子育て

7. 愛着障害のサインと症状

以下は愛着障害が疑われるサインですが、これらだけで診断はできません。複数の専門的な評価が必要です。

乳幼児期(0〜3歳):

  • 泣いても養育者に近づこうとしない
  • 抱かれても安心しない・身体を緊張させる
  • 人見知りが全くない・誰にでも愛着行動を示す
  • 表情が乏しい・笑いかけても反応が少ない

学童期:

  • 見知らぬ大人にも過剰に親しい・抱きつく
  • 養育者との関係を避ける・距離を置く
  • 感情表現が乏しい・または極端
  • 学習・対人関係に著しい困難

思春期:

  • 対人関係の著しい困難
  • 感情調節の困難・衝動性
  • 自己像の不安定さ

8. 「愛着障害」という言葉の誤用に注意

近年、インターネット・SNS・書籍で「愛着障害」という言葉が非常に広く使われるようになりましたが、その多くが医学的な定義と乖離した使われ方をしています。

よくある誤用パターン

「少し人見知りが強い=愛着障害」 「うちの子は人見知りが強くて愛着障害なのかも」という使われ方ですが、人見知りは正常な愛着の発達(第3段階)の証拠です。

「反抗が強い・かんしゃくが激しい=愛着障害」 反抗・かんしゃくは発達段階の正常な表現であったり、ADHD・ASDの特性として現れることも多いです。

「愛情が足りなかったから=愛着障害」 愛着障害は「愛情の量」の問題ではなく「養育者との安定した継続的な相互作用の質・機会」の問題です。一生懸命育てていても愛着障害に「なる」わけではありません。

この誤解がもたらす害

「うちの子は愛着障害だ」という自己判断が、不必要な自責・罪悪感を保護者にもたらし、適切な支援(ASD・ADHD・不安症などへの対応)を遅らせることがあります。「愛着障害かも」と思ったら、必ず専門家(児童精神科)に相談してください。


9. 愛着障害を予防するための関わり方——基本原則

愛着障害の予防の観点から最も重要な基本原則は以下の3点です。

①一貫した応答的な養育者の存在 子どもにとって「安全の港」となる特定の養育者(1名以上)との安定した継続的な関係が最重要です。

②敏感で応答的な関わり(センシティビティ) 子どものサインに気づき、適切に・一貫して応答することが愛着の質を決める最も重要な因子です。

③修復(Repair)の力 完璧な養育は不可能です。行き違い・不適切な反応があっても、それを修復する能力が安定した愛着の形成に重要です。


10. 【予防①】感受性の高い応答(センシティブ・レスポンシブネス)

センシティビティとは

**センシティビティ(Sensitivity:感受性の高い応答)**とは、子どものシグナル(泣き・表情・身体の動き・言葉)を正確に読み取り、素早く・適切に応答する能力です。アタッチメント研究において、センシティビティは安定した愛着を予測する最も強力な因子のひとつです。

具体的なセンシティビティの実践

子どものシグナルに気づく:

  • 赤ちゃんの泣き声のバリエーション(空腹の泣き・眠い泣き・痛みの泣き)に気づく
  • 顔の表情・体の向き・手の動きが発するメッセージを読む
  • 「もういい」「飽きた」というシグナルにも気づく

適切なタイミングで応答する: 泣いたらすぐに応答することが重要です。特に生後1年間は「泣いても無視する・すぐに抱かない」ことが愛着に悪影響を与えると多くの研究で示されています。「泣くたびに抱くと甘やかしになる」は科学的に否定されています。乳児期に泣いたらすぐに抱いて応答することが安定した愛着を形成します。

応答の質を意識する:

  • 笑いかけたとき、笑い返す
  • 声を出したとき、声で応える(声の応答・ターンテイキング)
  • 子どもの視線の先に一緒に目を向ける(共同注意)

「完璧な応答」は必要ない

研究では、養育者は子どものシグナルへの応答が「50〜60%」程度適切であれば安定した愛着が形成されるとされています。完璧な応答は不要です。大切なのは「ある程度一貫して応答する」ことです。


11. 【予防②】「安全基地」としての存在になる

安全基地とは

子どもが探索・冒険から帰ってきたとき(または困ったとき)に、安心して戻れる存在になることです。

安全基地の具体的な姿:

  • 子どもが転んで泣いて戻ってきたとき、落ち着いて受け止める
  • 「大したことないよ」「それくらいで泣かないの」と言わず、まず「痛かったね」と感情を受け止める
  • 子どもが怖い思いをして逃げ帰ってきたとき、批判せず受け止める
  • 失敗してきたとき、責めずに「よく戻ってきたね」と受け止める

安全基地は「常に近くにいる」ことではない

安全基地の本質は物理的な近さではなく「困ったときに頼れる」という確信です。保育園・小学校に子どもを送り出しながら「帰ってきたら話を聞く」という姿勢が安全基地としての機能を果たします。


12. 【予防③】スキンシップ・ボディコンタクトの重要性

皮膚接触の神経生物学

スキンシップ(抱っこ・なでる・添い寝)は単なる「かわいがり」ではなく、神経生物学的に重要な愛着形成の要素です。

  • オキシトシン(愛着ホルモン)の分泌: スキンシップによりオキシトシンが放出され、親子の絆・信頼感を強化します
  • ストレス反応の制御: 抱っこによってコルチゾール(ストレスホルモン)が低下します
  • 安心感の身体的な学習: 「この人に抱かれると安心」という身体的な記憶が積み重なります

実践のポイント

  • 抱っこ・授乳時にできる限り子どもの顔を見る・話しかける(スマホを置く)
  • 毎日の生活の中で意識的にスキンシップの時間を作る(お風呂・寝る前の絵本・ハグ)
  • 子どもから求めてきたときは可能な限り応じる
  • 思春期の子どもにも、本人が嫌がらない範囲でのスキンシップは愛着の維持に有効

13. 【予防④】感情のコーチング——感情を言語化して共有する

なぜ感情の言語化が愛着に重要か

愛着の質は「感情の共有(情動調律:Affect Attunement)」によって大きく影響されます。子どもの感情状態を親が正確に読み取り・言語化・共有することが、子どもの感情調節能力・自己理解・対人関係の発達の基盤になります。

感情のコーチングの実践

①子どもの感情に気づく 子どもの表情・行動から「今どんな気持ちか」を読み取ります。

②感情を名前で呼ぶ(ラベリング) 「悲しいんだね」「悔しかったんだね」「怖かったんだね」と感情に言葉を与えます。感情が言語化されることで、子どもの脳は「これは○○という気持ちだ」と整理でき、感情調節が容易になります(神経科学的にも扁桃体の活動が低下することが示されています)。

③感情を受け入れる(バリデーション) 「そう感じるのは当然だよ」「そう感じていいんだよ」と感情そのものを受け入れます。「そんなことで怒るの?」「泣かないの」という感情の否定は愛着に悪影響を与えます。

④問題解決は感情の受け止めの後で 感情を受け止めてから「どうしたらよかったかな」という問題解決の話し合いへ移ります。順番が逆になると(感情を無視して解決策だけ言う)、子どもは「気持ちをわかってもらえない」と感じます。


14. 【予防⑤】修復の力——失敗したときの取り戻し方

「修復」こそが愛着を強化する

愛着研究の重要な知見のひとつは、親子関係における「行き違い(misattunement)と修復(repair)」のサイクルが愛着の質を決めるということです。

完璧に合わせ続けることよりも、行き違いが生じたときに気づいて・謝って・つながり直すという修復のプロセスが安定した愛着を育てます。

修復の具体的な方法

①行き違いに気づく 「さっき怒りすぎた」「子どもの話を聞けていなかった」という気づき。

②子どもに向き直る・謝る 「さっきはひどいことを言ってごめんね」「あのときちゃんと聞いてあげられなかった。今話を聞くね」

③つながり直す 謝った後に、スキンシップ・一緒に遊ぶ・目を見て話すなど、関係を再接続します。

④完璧である必要はない 「修復」ができることが「行き違い」がなかったことより愛着に良い影響を与えることがあります。「また怒っちゃった」と落ち込むより「修復しよう」と前を向くことが大切です。


15. 【予防⑥】保護者自身のアタッチメント(親の愛着スタイル)

親の愛着スタイルが子どもに伝わる

愛着研究の重要な発見のひとつは、親自身の愛着スタイル(安定型か不安定型か)が、子どもの愛着スタイルの形成に大きく影響するというものです。

不安定な愛着スタイルを持つ親(自分自身が不安定な養育を受けた)は、意図せずとも子どもへの応答に困難が生じやすい傾向があります。

「獲得された安全感(Earned Security)」という希望

自分が不安定な愛着スタイルで育ったとしても、**心理療法・自己理解・パートナーとの安定した関係・支持的な人間関係を通じて、成人後に「安定した愛着」を獲得できる(Earned Security:獲得された安全感)**ということが研究で示されています。

「自分が不安定な愛着で育ったから子どもにも悪影響が出る」という悲観的な見方は必ずしも正しくありません。自分自身の愛着の歴史を理解し・心理療法等で取り組むことが子育てへのポジティブな影響をもたらします。

保護者自身のケアの重要性

保護者が精神的に疲弊・消耗している状態では、センシティブな応答が難しくなります。保護者自身のメンタルヘルスのケア(十分な休息・サポートを求める・心理療法・精神科受診)が子育ての質を保つために不可欠です。「自分を後回しにして子どもだけを優先する」という姿勢は長期的には逆効果になることがあります。


16. こんな状況で愛着に影響するリスクが上がる

以下の状況では、意識的なサポートを求めることが重要です。

保護者側のリスク因子

  • 産後うつ・産後精神障害: うつ状態では子どもへの応答が低下します。産後のメンタルヘルスのサポートを早めに求めてください
  • 保護者自身の未解決のトラウマ: 過去の虐待・喪失体験が子育てに影響することがあります
  • 社会的孤立・サポートのなさ: 支援なしの育児は養育者の疲弊につながります
  • DV(ドメスティックバイオレンス)・家庭内不和: 子どもへの影響に加え、養育者の安定した関与が困難になります

子ども側のリスク因子

  • 早産・低出生体重: 親子の早期接触が制限される・子どもが養育に応答しにくい
  • 医療的なケアが必要な状態: 入退院の繰り返しが親子の接触を制限する
  • 気質的に「育てにくい」子ども: 激しく泣く・寝ない・抱っこを嫌がる子どもへの応答が難しくなりやすい

環境的なリスク因子

  • 養育者の交代・変化(離婚・再婚・預け先の変更)
  • 経済的な困難
  • 社会的なサポートの不足(孤育て)

17. 「良い親」でなければいけないというプレッシャーへの対応

「完璧な親」は存在しない

愛着研究の最も重要なメッセージのひとつは「完璧な親である必要はない」ということです。「十分に良い親(Good Enough Parent)」で十分であり、完璧な応答でなくても安定した愛着は形成されます。

「愛着を壊してしまった」という恐れについて

「スマホを見ながら授乳した」「たくさん泣かせてしまった」「怒りすぎた」という経験は、ほとんどすべての保護者が持っています。これらは愛着障害の原因ではありません。

愛着は一つの出来事で壊れるものではなく、長期にわたる養育パターンの積み重ねによって形成されます。

自分自身を責めすぎないために

  • 「今日もできなかった」より「今日は修復できた」と考える
  • 助けを求めることは弱さではなく、子どものための勇気ある行動
  • 保護者自身も「安全基地」を必要としている人間です
  • 「子どものために完璧にならなければ」という強迫的な思考は、むしろ余裕をなくして愛着の質を下げることがあります

18. よくある質問(FAQ)

Q. 「泣かせたままにすると愛着障害になる」は本当ですか?

A. 一時的に泣かせてしまうことが愛着障害になるわけではありません。ただし、乳児期(特に生後1年間)に泣いても繰り返し応答されない状況が長期継続すると愛着の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。「ネントレ(ねんねトレーニング)」については、方法と時期(生後6ヶ月以降が多い)・程度によって意見が分かれるため、かかりつけ医や専門家に相談することをお勧めします。

Q. 保育園に預けることは愛着に悪いですか?

A. 保育園への入園が愛着障害の原因になるというエビデンスはありません。保育園の質(保育者との安定した関係・ケアの質)と、家庭に帰ってからの親子の関わり方が重要です。帰宅後に子どもとのつながり・スキンシップ・話を聞く時間を大切にすることが愛着の維持・強化につながります。

Q. 自分は不安な子育てをされたと感じています。子どもに同じことをしてしまいますか?

A. 必ずしもそうではありません。自分の養育歴を理解し(内省)、心理療法等で取り組むことで「獲得された安全感」が得られ、次世代への伝達を断ち切ることができます。「自分がされたことを繰り返すかもしれない」という不安がある方こそ、早めに専門家に相談してください。

Q. 愛着障害(反応性愛着障害)が疑われます。治りますか?

A. 適切な養育環境(安全で一貫した応答的な養育者との安定した関係)が提供されれば、特に幼い時期の介入ほど改善が期待できます。治療は薬物療法が中心ではなく、養育者との関係の修復・家族支援・愛着に基づいたアプローチが中心となります。


19. 和光医院での診療について

名古屋市千種区にある和光医院は、児童精神科を専門とするクリニックです。愛着の問題・発達上の心配・子育て相談に専門的に対応しています。

当院が大切にしていること

「これは愛着障害でしょうか」という不安を抱えて来られる保護者の方に、正確な情報を伝え・不要な罪悪感を取り除き・必要な支援につなぐことを大切にしています。

当院での対応内容

  • 愛着の評価・発達上の心配の専門的な評価
  • 愛着障害(反応性愛着障害・脱抑制型対人交流障害)の診断・評価
  • ASD・ADHD・発達障害の診断(愛着問題との鑑別・合併評価)
  • 保護者へのカウンセリング・心理教育(センシティビティ・感情コーチング)
  • 産後うつ・産後精神障害のサポート
  • 子育て困難・育児不安への対応
  • 家族支援・愛着に基づいたアプローチ

こんな方はぜひご相談ください

  • 子どもの愛着が心配・愛着障害かどうか知りたい
  • 泣いても反応しない・抱っこを嫌がるなど愛着のサインが気になる
  • 自分の子育てが心配・罪悪感がある
  • 産後から気分が落ち込んでいる・子育てが辛い
  • 過去の自分の育ちが子育てに影響しているか心配
  • 子どもの発達・行動の問題と愛着の関係を知りたい

「愛着障害になってしまったのでは」という不安は、専門家と一緒に整理することで大きく軽くなります。一人で抱え込まずにご相談ください。本人が来られない場合でも、保護者だけの相談から始めることができます。


まとめ

  • 愛着(アタッチメント)は特定の養育者との繰り返しの相互作用によって育まれる情緒的な絆です
  • 医学的な愛着障害(反応性愛着障害・脱抑制型対人交流障害)は極端に不十分な養育(ネグレクト・施設養育等)によって生じるものです
  • 「スマホを見ながら授乳した」「泣かせてしまった」「怒りすぎた」だけでは愛着障害は生じません
  • 愛着を育む最重要の要素は「センシティブな応答」「安全基地としての存在」「修復の力」です
  • 完璧な親である必要はなく「十分に良い親(Good Enough Parent)」で十分です
  • 保護者自身のメンタルヘルス・サポートを求めることも愛着の予防として重要です
  • 「愛着障害かも」という不安は、専門家への相談で正確に評価できます

和光医院(名古屋市千種区)児童精神科専門クリニック お問い合わせ・ご予約はお電話またはウェブ予約にて承っております。

 

当院ホームページはこちら

https://wako-psy-clinic.com

ご予約はホームページまたは公式LINEより受け付けております。

【公式LINE 友だち追加はこちら】
https://lin.ee/HorvYiv

【Instagramはこちら】
https://www.instagram.com/wako_iin/


子どものためのメンタルクリニック

医療法人永朋会 和光医院

診療科目
児童精神科・精神科・心療内科

発達障害(ASD・ADHD)、不登校、起立性調節障害、不安症、パニック症、チック症、強迫症、うつ症状など、お子さまから成人の方まで幅広く診療しております。

受診される方へ

初めて受診される方

当院は予約制をとっておりますが、初診の場合は若干のお時間をいただくこととなり、お待ちいただくことがあります。スムーズにご案内する為に、WEB問診のご利用をおすすめいたします。
WEB問診はこちら >

初診予約は電話にてお願いします。

再診される方

お電話もしくは予約システム(チェック・オン)から予約を取ることもできます。予約の変更や取り消しをご希望の場合には、診療時間内に受付にお電話いただくか、予約システムから変更・取り消しを行ってください。

パソコン・携帯から簡単にご予約できます。

和光医院 診療時間のご案内

診療時間のご案内

【診療時間】
午前 9:00〜13:00
 午後 15:00〜18:00 
土曜 9:00〜14:00

【休診日】 日・祝日

患者様へのご案内

  • 明細書について:当院では、療養費規則に基づき明細書の発行を無料で行っています。
  • 一般名による処方について:後発医薬品が存在する場合は、商品名ではなく一般名(有効成分名)で処方することがあります。
  • 医療情報の活用について:当院では、安心な医療を提供する為、オンライン資格確認や電子処方箋データ等の情報を活用して診療を行っています。