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子どものPTSD(心的外傷後ストレス障害)——トラウマ体験後のフラッシュバック・回避・過覚醒の正しい理解とTF-CBT・EMDR治療を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説
子どものPTSD(心的外傷後ストレス障害)——トラウマ体験後のフラッシュバック・回避・過覚醒の正しい理解とTF-CBT・EMDR治療を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説
「いじめや暴力を受けてから別人のように変わってしまった」「夜中に突然叫んで目が覚める・悪夢が続く」「あのときのことが突然頭の中で映像のよみがえる(フラッシュバック)」「特定の場所・音・においで急にパニックになる」「虐待を受けた後から子どもの様子がおかしい」——(cite index=”47-1″>PTSDは実際にまたは危うく死ぬ、深刻な怪我を負う、性的暴力などの心が傷付けられる体験にあったことで様々な症状が出てくる疾患です。主な症状はフラッシュバック、悪夢、トラウマに関係する場所を避けたり思い出さないようにする、ちょっとした刺激にもおびえる、集中困難、イライラ、興味や関心の喪失、不眠などがあります。</cite>(cite index=”46-1″>子どもは大人のように自分の状態を言葉でうまく説明できないので、支援者側がうまく子どもの状態をキャッチして見逃さないことが肝心です。腹痛や頭痛、発熱など身体にストレス反応が出ることもよくあります。</cite>(cite index=”45-1″>子どものPTSDに対して、TF-CBT(トラウマ・フォーカスト認知行動療法)が最も高い評価を得ており、日本の子どもとその養育者を対象としたランダム化比較試験においても、子どものPTSD症状とうつ症状が有意に改善されたことが報告されています。</cite>名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、子どものPTSDの正しい理解・症状・診断・TF-CBT・EMDR・薬物療法まで、わかりやすく詳しく解説します。
目次
- 子どものPTSDとは——「トラウマ体験」と「PTSD」の違い
- 子どものトラウマ体験になりやすい出来事
- PTSDの4つの症状群——フラッシュバック・回避・認知変化・過覚醒
- 子どものPTSDが見えにくい理由——言語化の困難と「問題行動」として現れる
- 複雑性PTSD(C-PTSD)——繰り返すトラウマの影響
- PTSDと解離——「ボーッとする・記憶が飛ぶ」との関係
- 子どものPTSDの診断——DSM-5・6歳以下の特別基準
- PTSDに似た疾患との鑑別——ASD・ADHD・うつ・愛着障害
- 【治療①】TF-CBT(トラウマ・フォーカスト認知行動療法)——子どものPTSD第一選択
- TF-CBTの構成要素——PRACTICE
- 【治療②】EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)
- 【治療③】薬物療法——SSRI・睡眠薬
- 保護者の正しい関わり方——「忘れなさい」は逆効果
- 学校との連携——安全な環境を作る
- よくある質問(FAQ)
- 和光医院での診療について
1. 子どものPTSDとは——「トラウマ体験」と「PTSD」の違い
トラウマとは
**トラウマ(心的外傷)**とは、生命の脅威・重大な怪我・性的暴力等の圧倒的な出来事を体験・目撃・知らされることで生じる、強烈な恐怖・無力感・恐慌を伴う心理的ダメージです。
PTSDとは
**PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)**は、トラウマ体験の後に特定の症状群(フラッシュバック・回避・認知の変化・過覚醒)が1か月以上続き、日常生活に著しい支障をきたす疾患です。
トラウマ体験者の全員がPTSDになるわけではない
トラウマ体験をしても、PTSDになるのは一部の方です。PTSDの発症には、トラウマの重篤さ・繰り返しの有無・周囲のサポート・個人の脆弱性等が関わります。
2. 子どものトラウマ体験になりやすい出来事
子どもに多いトラウマ体験:
- 身体的虐待・性的虐待・ネグレクト(最も多い原因のひとつ)
- いじめ・暴力被害(学校・地域)
- 目撃体験: 家庭内暴力(DV)・事故・犯罪を目撃する
- 交通事故・自然災害
- 性被害
- 親や大切な人の突然の死(グリーフ+トラウマ)
- 医療トラウマ: 手術・入院・侵襲的な医療処置
3. PTSDの4つの症状群——フラッシュバック・回避・認知変化・過覚醒
①侵入症状(フラッシュバック・悪夢)
(cite index=”47-1″>フラッシュバックとはトラウマ体験に関することが今、目の前で起こっているかのように感じることです。</cite>
- フラッシュバック: 突然・意図せずトラウマ体験の映像・感覚が「今ここで起きている」かのようによみがえる
- 悪夢: トラウマに関連した夢で繰り返し目を覚ます
- 心理的苦痛: トラウマを想起させる手がかりへの強烈な苦痛反応
- 身体的反応: トラウマの手がかりで動悸・発汗・震えが起きる
②回避症状
- トラウマを思い出させる場所・人・活動・物を避ける
- トラウマに関する思考・感情・会話を避ける
- 「あのことは考えたくない・話したくない」
③認知と気分の変化
- 「自分が悪かった・自分がダメだから被害にあった」という歪んだ自己認知
- 強い罪悪感・恥・自己責任感
- 以前楽しんでいたことへの興味・喜びの消失
- 他者や世界への不信感
- 離人感(自分が自分でない感じ)
④過覚醒症状
- 些細な物音・動きに過剰に反応して飛び上がる(びっくり反応の増大)
- 眠れない・眠りが浅い
- 集中困難
- イライラ・怒りの爆発
- 常に危険を警戒している(過警戒)
4. 子どものPTSDが見えにくい理由——言語化の困難と「問題行動」として現れる
(cite index=”46-1″>子どもは大人のように自分の状態を言葉でうまく説明できないので、支援者側がうまく子どもの状態をキャッチして見逃さないことが肝心です。腹痛や頭痛、発熱など身体にストレス反応が出ることもよくあります。</cite>
子どものPTSDが「問題行動」として現れるパターン
幼児:
- 退行(おねしょの再発・指しゃぶり・赤ちゃん返り)
- 分離不安の急激な増悪
- 繰り返しトラウマを反映した遊び(トラウマ遊び)
学童期:
- 急激な成績低下・集中困難(ADHDと誤診されやすい)
- 突然の暴力・かんしゃく(過覚醒のイライラ)
- 登校拒否(トラウマ場所の回避)
思春期:
- 自傷行為・自殺企図
- 飲酒・薬物使用(感情麻痺のための自己治療)
- 解離・ボーッとする(授業に集中できない)
5. 複雑性PTSD(C-PTSD)——繰り返すトラウマの影響
**複雑性PTSD(C-PTSD:Complex PTSD)**は、慢性的・反復的なトラウマ(長期の虐待・DV・監禁等)によって生じる、PTSDの症状に加えて自己組織化の障害(感情調節の困難・否定的な自己概念・対人関係の困難)を伴う状態です。
C-PTSDが特に多い背景:
- 長期的な虐待(身体的・性的・情緒的)
- 長期にわたるいじめ
- 家庭内暴力(DV)への長期暴露
6. PTSDと解離——「ボーッとする・記憶が飛ぶ」との関係
PTSDと解離は密接に関連しています。強烈なトラウマ体験の際に脳が「切り離し(解離)」を行い、以後のフラッシュバック時にも解離が起きることがあります。
解離の症状例:
- 授業中に突然ボーッとなり、記憶がない(解離性健忘)
- 自分が体の外から自分を見ているような感覚(離人感)
- 「別の自分」がいるような感覚
解離を伴うPTSDは治療が複雑になるため、専門的な評価が重要です。
7. 子どものPTSDの診断——DSM-5・6歳以下の特別基準
DSM-5によるPTSDの診断
PTSDの診断には以下がすべて必要です:
- Aトラウマ体験: 死・重傷・性的暴力に関わる出来事の体験・目撃・伝聞
- B侵入症状: フラッシュバック・悪夢等(1項目以上)
- C回避: トラウマ想起の回避(1項目以上)
- D認知・気分の変化:(2項目以上)
- E過覚醒:(2項目以上)
- 期間: 1か月以上
- 機能障害: 日常生活への著しい支障
6歳以下の子どもへの特別基準
DSM-5では、6歳以下の幼小児に対して別の診断基準サブタイプが設けられており、言語化できない幼児の症状(退行・トラウマ遊び等)が考慮されています。
8. PTSDに似た疾患との鑑別——ASD・ADHD・うつ・愛着障害
| 疾患 | PTSDと共通する症状 | 鑑別のポイント |
|---|---|---|
| ADHD | 集中困難・衝動性 | ADHDはトラウマ体験前から症状あり |
| ASD | 感覚過敏・社会的困難 | ASDは生まれつきの特性・トラウマと無関係 |
| うつ病 | 無気力・興味喪失 | PTSDはフラッシュバック・回避が特徴的 |
| 愛着障害 | 対人関係の困難 | 早期の養育者との関係の問題・トラウマとは別 |
| 適応障害 | ストレス後の症状 | 適応障害はフラッシュバック・過覚醒なし |
重要: PTSDとASD・ADHD・うつ病・愛着障害は合併することが非常に多く、単独の疾患として切り分けられないことがあります。
9. 【治療①】TF-CBT(トラウマ・フォーカスト認知行動療法)——子どものPTSD第一選択
(cite index=”44-1″>TF-CBTは、Deblinger博士らにより開発された、3〜18歳の子どものトラウマに焦点化した認知行動療法です。いくつかの治療ガイドラインにおいて、子どものトラウマ治療の第一選択として推奨されているプログラムです。</cite>
(cite index=”45-1″>日本の子どもとその養育者を対象としたランダム化比較試験においても、子どものPTSD症状とうつ症状が有意に改善されたことが報告されました。</cite>
TF-CBTの特徴:
- 対象年齢:3〜18歳
- 実施形式:週1回・60〜90分・8〜16週
- 子どもと養育者が並行してセッションに参加(養育者の巻き込みが特徴的)
- PTSDだけでなく、関連するうつ・不安・行動上の問題・恥・罪悪感にも効果
(cite index=”44-1″>TF-CBTは、子どものPTSD症状だけでなく、トラウマに関連したうつや不安症状、行動上の問題、恥や罪悪感といった感情、社会生活能力などの回復が期待できるほか、養育者の抑うつやPTSD症状、養育能力や子どものサポート機能の向上にも効果を発揮します。</cite>
10. TF-CBTの構成要素——PRACTICE
TF-CBTの主な治療要素はPRACTICEという頭字語で表されます:
| 頭文字 | 内容 |
|---|---|
| P | Psychoeducation(心理教育):トラウマとPTSDについて学ぶ |
| R | Relaxation(リラクセーション):呼吸法・筋弛緩法 |
| A | Affect modulation(感情調節):感情を認識・調節するスキル |
| C | Cognitive coping(認知対処):思考・感情・行動のつながりを理解 |
| T | Trauma narrative(トラウマの語り):トラウマ体験を安全な場で語る |
| I | In vivo mastery(実生活での克服):回避している場所・状況への段階的接近 |
| C | Conjoint child-parent sessions(親子合同セッション):子どもと養育者が一緒に取り組む |
| E | Enhancing safety(安全の強化):今後のトラウマ予防のスキル |
11. 【治療②】EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)
(cite index=”48-1″>EMDRは1989年、アメリカのフランシーヌ・シャピロ博士によって開発された治療法であり、主にPTSDやトラウマによる心の苦しみに効果的とされています。WHO(世界保健機関)や米国精神医学会でもその有効性が認められ、エビデンスに基づいたトラウマ治療のひとつとして、世界中で活用されています。</cite>
EMDRの仕組み
セラピストの指の動き等の二重注意刺激(眼球運動等)を行いながら、トラウマ記憶を想起することで、脳内でのトラウマ記憶の再処理を促します。REM睡眠中の情報処理と類似したメカニズムと考えられています。
EMDRの特徴:
- トラウマを「言葉で詳しく語る」必要が少ない(言語化が苦手な子どもに向く)
- 単回性トラウマにより効果が高い
- 子どもへの適用も確立されている
12. 【治療③】薬物療法——SSRI・睡眠薬
(cite index=”46-1″>近年、海外のPTSD治療ガイドラインで推奨されている薬物療法はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)です。</cite>
子どものPTSDへのSSRI
TF-CBT・EMDRを中心とした心理療法と並行して、以下の場合に薬物療法が検討されます:
- 不安・うつ症状が重篤で心理療法への取り組みを妨げている
- 過覚醒・不眠が著しく日常生活に支障をきたしている
主なSSRI:
- フルボキサミン(デプロメール・ルボックス®)
- エスシタロプラム(レクサプロ®)
睡眠補助: 悪夢・過覚醒による睡眠障害が著しい場合、クロニジン・プラゾシン等が補助的に使用されることがあります。
13. 保護者の正しい関わり方——「忘れなさい」は逆効果
✅ 大切にしてほしいこと
- 「あなたが悪かったのではない」と繰り返し伝える(自己責任感・罪悪感の軽減)
- 子どもが話したいときに話を聴く(無理に聞き出さない)
- 安全な日常生活のルーティンを取り戻す(予測可能性がPTSDの回復に重要)
- フラッシュバックが起きたときの「グラウンディング」技法を一緒に練習する
グラウンディングとは
フラッシュバック時に「今・ここ・安全」という現実に戻るための技法です:
- 5つのものを目で見る→4つのものを触る→3つの音を聞く→2つのにおいを嗅ぐ→1つの味を感じる(5-4-3-2-1法)
- 足の裏を地面にしっかりつけて「今ここにいる」と確認する
❌ やってはいけないこと
- 「もう忘れなさい・過去のことだ」(PTSDは意志の力では忘れられない)
- 「なぜ早く立ち直れないの」という叱咤
- トラウマ体験の詳細を繰り返し聞き出す(再トラウマのリスク)
- 「大丈夫・たいしたことない」と過小評価する
14. 学校との連携——安全な環境を作る
PTSDの回復には「安全で予測可能な環境」が最重要です。学校との連携ポイント:
- トラウマを知られていない環境の整備: いじめ等によるPTSDの場合、加害者との分離
- フラッシュバックのトリガー対策: 特定の音・場所・科目を避ける等の配慮
- 保健室の活用: パニック・フラッシュバック時の避難場所の確保
- 診断書・医師の意見書: 欠席・遅刻への柔軟な対応を学校に正式に依頼
当院では学校への意見書作成に対応しています。
15. よくある質問(FAQ)
Q. フラッシュバックが起きたとき、どう対応すればいいですか?
A. フラッシュバックが起きているとき、子どもは過去のトラウマ体験が「今ここで起きている」と感じています。「大丈夫、今は安全だよ」と穏やかに声をかけ、グラウンディング技法(足を地面につける・周りを見渡す等)を一緒に行ってください。無理に話させず、安全を確保することが最優先です。
Q. トラウマ体験から何年もたっていますが、今からでも治療できますか?
A. はい。PTSDはトラウマ体験から年月が経過していても治療効果が期待できます。TF-CBT・EMDRは慢性PTSDにも有効とされています。「もう遅い」ということはありません。まずご相談ください。
Q. 「PTSDではなく、性格の問題では?」と言われました。
A. PTSDは医学的な疾患であり、性格や意志の問題ではありません。フラッシュバック・過覚醒・回避という特徴的な症状パターンがあれば、専門的な評価を受けることを強くお勧めします。
16. 和光医院での診療について
名古屋市千種区にある和光医院は、児童精神科を専門とするクリニックです。子どものPTSD・トラウマ反応の評価・TF-CBT・EMDR・薬物療法・学校連携に対応しています。
当院での対応内容
- PTSDの診断・重症度評価(CPSS等のスクリーニング)
- 虐待・いじめ・性被害等のトラウマ評価
- 複雑性PTSD・解離の評価
- TF-CBT(トラウマ・フォーカスト認知行動療法)
- EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)
- SSRI等の薬物療法の処方・管理
- 保護者への心理教育・グラウンディング技法の指導
- フラッシュバック・自傷・希死念慮への危機対応
- 学校への診断書・意見書の作成
こんな方はぜひご相談ください
- いじめ・暴力・虐待・性被害の後から様子がおかしい
- 突然のフラッシュバック・悪夢・パニックが繰り返す
- 特定の場所・音で急に固まる・泣き出す
- 以前と別人のようになった(無気力・引きこもり・暴言等)
- 自傷・「死にたい」という言葉が出てきた
- 「PTSDかもしれない」と思っているが受診するべきか迷っている
「子どものPTSDは適切な治療で必ず回復できます。一人で・家族だけで抱え込まずに、まずご相談ください。」
当院ホームページはこちら ご予約はホームページまたは公式LINEより受け付けております。 【公式LINE 友だち追加はこちら】 【Instagramはこちら】
子どものためのメンタルクリニック|医療法人永朋会 和光医院
診療科目: 児童精神科・精神科・心療内科
発達障害(ASD・ADHD)、不登校、起立性調節障害、不安症、パニック症、チック症、強迫症、うつ症状など、お子さまから成人の方まで幅広く診療しております。
名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院では、お子さまのこころの健康を専門スタッフが丁寧にサポートします。受診のご相談・ご予約はホームページまたは公式LINEより承っております。
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患者様へのご案内
- 明細書について:当院では、療養費規則に基づき明細書の発行を無料で行っています。
- 一般名による処方について:後発医薬品が存在する場合は、商品名ではなく一般名(有効成分名)で処方することがあります。
- 医療情報の活用について:当院では、安心な医療を提供する為、オンライン資格確認や電子処方箋データ等の情報を活用して診療を行っています。