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限局性学習症(LD・ディスレクシア)——「努力が足りない」のではありません。読み書き・計算の困難と、いま使える支援を名古屋市千種区の児童精神科・和光医院が詳しく解説
限局性学習症(LD・ディスレクシア)——「努力が足りない」のではありません。読み書き・計算の困難と、いま使える支援を名古屋市千種区の児童精神科・和光医院が詳しく解説
「音読がたどたどしく、行を飛ばしてしまう」「何度練習しても漢字が覚えられない」「板書を写すのが極端に遅い」「作文になると、数行しか書けない」「九九がどうしても定着しない」「他の教科はできるのに、特定のことだけができない」「毎日練習させているのに、まったく身につかない」「担任からは『集中していない』『家で練習が足りない』と言われる」——お子さまのこうした様子に、途方に暮れている保護者の方は少なくありません。
文部科学省の調査では、**通常の学級に在籍する児童生徒のうち、学習面で著しい困難を示す子どもは約6.5%**と報告されています。35人学級であれば、2人程度という計算になります。
そして、この記事で最もお伝えしたいことがあります。
これは、努力の問題ではありません。
**限局性学習症(LD)**は、全体的な知的発達に遅れがないにもかかわらず、読む・書く・計算するといった特定の領域だけが著しく困難な状態です。
練習量を増やしても、思ったようには改善しません。 そして、「やればできるはず」という前提での指導が続くと、お子さまの自己肯定感は深く傷つきます。
一方で、適切な配慮と道具があれば、学べるようになります。 現在は、以前とは比べものにならないほど支援の手段が増えています。
名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、LDの3つのタイプ、年齢別のサイン、そして今すぐ使える支援まで、詳しく解説します。
目次
- 限局性学習症(LD)とは
- 3つのタイプ【比較表】
- 【最重要】「努力不足」と誤解される構造
- 年齢別に気づきたいサイン【比較表】
- 読みの困難(ディスレクシア)——日本語での現れ方
- 書きの困難——「覚えられない」のではありません
- 算数の困難
- 併存しやすい状態【比較表】
- 鑑別すべきこと【比較表】
- 診断の進め方
- 【重要】「練習すれば治る」ではありません
- 支援①:合理的配慮【比較表】
- 支援②:ICTの活用——学び方を変える【比較表】
- 読み書きの指導について
- 【重要】二次障害を防ぐことが最優先です
- 学校との連携——通級・支援計画・配慮の依頼
- ご家庭での関わり方【比較表】
- 進路について
- よくある心配事Q&A
- 和光医院での診療について
1. 限局性学習症(LD)とは
**限局性学習症(SLD:Specific Learning Disorder)**は、現行の診断基準DSM-5-TRにおける名称です。
日本では従来から**「学習障害(LD)」**と呼ばれてきました。
定義の要点
- 全体的な知的発達に遅れがない
- しかし、読む・書く・計算するなど、特定の領域だけが著しく困難
- 適切な指導を受けているにもかかわらず、6か月以上続く
- 学業や日常生活に明らかな支障が出ている
「限局性」という言葉の意味
すべてができないのではありません。 特定の領域「だけ」が困難なのです。
- 話す内容は年齢相応、むしろ豊か
- 理解力はある
- 図工や体育、実験は得意
- でも、教科書が読めない
この「ちぐはぐさ」こそが、LDの特徴であり、同時に誤解を招く原因でもあります。
2. 3つのタイプ【比較表】
| タイプ | 困難の内容 | 具体的な様子 |
|---|---|---|
| 読字の困難(ディスレクシア) | 文字を正確・流暢に読むこと | 音読がたどたどしい、行を飛ばす、読み間違いが多い、読むのに時間がかかる、内容が頭に入らない |
| 書字表出の困難(ディスグラフィア) | 文字を書くこと、文章で表現すること | 漢字が覚えられない、鏡文字、書き順が定着しない、板書が写せない、作文が極端に短い |
| 算数の困難(ディスカリキュリア) | 数の概念、計算、推論 | 数の大小が分かりにくい、繰り上がり・繰り下がり、九九が覚えられない、文章題、時計、お金 |
重複することが多くあります
読みの困難があると、書きにも困難が生じることが一般的です。
また、文章題が解けないのは、算数の問題ではなく読みの困難が原因であることもあります。
どこにつまずきの本体があるのかを見極めることが、支援の出発点です。
3. 【最重要】「努力不足」と誤解される構造
この章が、この記事の核心です。
なぜ誤解されるのか
① 他のことはできるから
会話は普通にできる。話す内容は面白い。理解力もある。運動も得意。
「それなのに、なぜ漢字だけ覚えられないの?」
——周囲はそう考えます。そして、**「やる気の問題」**という結論に至ります。
② 見た目に分からないから
視力や聴力の問題は、検査で明らかになります。
しかしLDは、外から見えません。
③ 本人も説明できないから
「なぜ読めないのか」を、子ども自身が説明できません。
「他の子には読めているのに、自分だけ読めない」——その理由が分からないまま、「自分は頭が悪い」と結論づけてしまいます。
そして、こう言われ続けます
- 「集中していない」
- 「家で練習が足りない」
- 「もっと丁寧に書きなさい」
- 「何回言えば分かるの」
- 「やる気がない」
本人は、人一倍努力しています
LDのお子さまの多くは、実際には非常に努力しています。
同じ漢字を何十回も書き、音読を毎日繰り返し、それでも身につかない。
努力しても結果が出ない——この経験の積み重ねが、学習性無力感を生みます。
「どうせやっても無駄だ」
そして、努力そのものをやめてしまう。その姿が、さらに「やる気がない」と評価される。
この悪循環を断つことが、支援の目的です。
4. 年齢別に気づきたいサイン【比較表】
| 時期 | 気づきたいサイン |
|---|---|
| 幼児期 | しりとりが苦手、言葉の音を分けられない(「りんご」が「り・ん・ご」と分からない)、単語の言い間違いが多い、絵本に興味を示さない |
| 小学校低学年 | ひらがなの習得が遅い、似た文字の混同(め/ぬ、わ/ね)、逐次読み(一文字ずつ拾って読む)、鏡文字、音読を嫌がる |
| 小学校中学年 | 漢字が定着しない、板書が写せない、読むのに時間がかかる、行を飛ばす、作文が極端に短い、九九が覚えられない |
| 小学校高学年 | 教科書の内容が頭に入らない、読解問題ができない、文章題が解けない、ノートが取れない、宿題に異常に時間がかかる |
| 中学生以降 | 英語で大きくつまずく、定期テストの点が取れない、板書に追いつけない、自信の喪失、登校しぶり |
「音読の宿題を嫌がる」は重要なサインです
低学年で音読を極端に嫌がるお子さまは、読みの困難がある可能性があります。
「面倒だから」ではなく、「読むこと自体が非常に負担だから」かもしれません。
中学の英語でつまずくケース
日本語ではなんとかなっていたお子さまが、英語で顕在化することがあります。
英語は日本語より文字と音の対応が複雑なため、読みの困難が表面化しやすいのです。
「中学生になってから急に成績が落ちた」——この背景に、それまで気づかれていなかった読みの困難があることがあります。
5. 読みの困難(ディスレクシア)——日本語での現れ方
日本語には特徴があります
ひらがなは、文字と音がほぼ1対1に対応するため、英語圏に比べると習得しやすいとされています。
そのため、日本語圏では困難が目立ちにくく、発見が遅れやすいという問題があります。
つまずきやすいポイント
| つまずき | 具体例 |
|---|---|
| 特殊音節 | 拗音(きゃ・しゅ)、促音(がっこう)、長音(おかあさん)の読み書き |
| 似た文字の混同 | め/ぬ、わ/ね、シ/ツ、ソ/ン |
| 逐次読み | 一文字ずつ拾って読み、単語としてまとまらない |
| 行の読み飛ばし | どこを読んでいるか分からなくなる |
| 漢字 | 画数が増えると急激に困難に。日本語での最大のつまずき |
| 英語 | 文字と音の対応が複雑。中学で顕在化 |
「読めているが、内容が入らない」
声に出して読むこと自体に労力を使い果たしてしまい、内容の理解にまで回らない——これが読字困難の本質です。
耳で聞けば理解できるのに、読むと分からない。 この差が大きい場合、読みの困難を疑います。
6. 書きの困難——「覚えられない」のではありません
よくある様子
- 漢字を何十回書いても覚えられない
- 書き順が定着しない
- 形のバランスが取れない
- マス目からはみ出す
- 板書を写すのが極端に遅い(授業についていけない)
- 消しゴムで消してばかりで進まない
- 作文が2〜3行で終わる
「書けない」ことと「考えられない」ことは別です
これが最も重要な点です。
口で説明させると、豊かな内容を語れるお子さまが、書かせると数行しか書けない——これは頻繁に見られます。
書くという作業に労力を奪われ、考える余力がなくなるのです。
つまり、「書けないから内容が乏しい」のではなく、「書くことに阻まれて、内容を出せない」のです。
だから、代替手段が有効です
タイピング、音声入力を使うと、同じ子が驚くほど豊かな文章を書けることがあります。
これは「ずるい」ことではありません。 本来持っている力を、出せるようにするだけのことです。
7. 算数の困難
つまずきの内容
- 数の概念(数の大小、量のイメージ)
- 数の分解・合成
- 繰り上がり・繰り下がり
- 九九の暗記
- 筆算の桁がずれる
- 文章題(ただし読みの困難が原因のことも)
- 時計、お金、単位
- 図形の理解
「読み」との切り分けが必要です
文章題ができない場合、算数の問題とは限りません。
- 文章が読めていない(読字困難)
- 文章は読めるが、式に置き換えられない(算数の困難)
この区別によって、必要な支援が変わります。
生活への影響
算数の困難は、日常生活に直結します。
- 買い物での計算
- 時間の管理
- お金の管理
そのため、学習面だけでなく生活面の支援も視野に入れる必要があります。
8. 併存しやすい状態【比較表】
LDは、単独で存在することのほうが少ないと言えます。
| 併存する状態 | 関係 |
|---|---|
| ADHD | 高頻度で併存。 不注意による困難と、LDによる困難が重なる |
| ASD | 併存することがある。こだわりや対人面の困難が加わる |
| 発達性協調運動症(DCD) | 不器用さ。書字の困難と重なる |
| 吃音・言語の困難 | 音韻の処理の困難が共通する場合がある |
| 不安症 | 二次的に生じやすい。 授業や音読への強い不安 |
| 抑うつ状態 | 繰り返される失敗体験の結果 |
| 不登校 | 学習の困難が背景になっていることがある |
ADHDとの併存が最も多くみられます
「不注意でミスが多い」のか「読めていない」のか——両方が重なっていることが実際には多く、それぞれに応じた支援が必要になります。
発達特性全般については、当院ブログ「『発達障害かもしれない』と思ったら」もあわせてご覧ください。
9. 鑑別すべきこと【比較表】
「読めない・書けない」の背景が、LD以外にあることもあります。
| 確認すべきこと | 内容 |
|---|---|
| 視力・視機能 | まず確認します。 遠視、乱視、両眼のチームワークの問題 |
| 聴力 | 聞こえの問題により、音の習得が困難になることがある |
| 知的発達症 | 全般的な発達の遅れがある場合は、LDとは分けて考えます |
| ADHDの不注意 | 読めるが、注意が続かない |
| 教育機会の不足 | 長期欠席、環境要因 |
| 不安・抑うつ | 心理的な状態により集中できない |
| 日本語以外の言語背景 | 家庭の言語環境 |
眼科的な確認は、最初に行います
「単なる視力の問題だった」というケースもあります。
学校の視力検査では分からない、両眼の使い方(輻輳)の問題が読みにくさの原因になっていることもあります。
必要に応じて、眼科的な評価をおすすめすることがあります。
10. 診断の進め方
① 問診
いつから、どのような困難があるか。生育歴、家庭・学校での様子、これまでの指導内容を伺います。
② 情報の収集
以下があると、評価の精度が大きく上がります。
- ノート、テストの答案、作文(実際の書字が分かるもの)
- 通知表(複数学年分)
- 音読の様子(動画があると非常に有用です)
- 学校からの情報
③ 知能検査
WISC-Vなどで、全体的な知的水準と能力のバランスを確認します。
LDでは、全体の知的水準が保たれていることが前提となるため、この確認は不可欠です。
④ 読み書きの検査
音読の速度・正確性、書字、語彙などを評価する検査を行います。
⑤ 総合的な判断
検査結果だけでは決めません。 実際の学習場面での困難、指導への反応、他の要因の除外を含めて判断します。
数回の通院が必要になることが一般的です。
11. 【重要】「練習すれば治る」ではありません
この点を、はっきりお伝えします。
量を増やしても、比例して伸びません
同じ漢字を100回書けば覚えられる——LDのお子さまには、この前提が当てはまりません。
そして、量を増やす指導には副作用があります。
- 学習そのものへの強い拒否感
- 自己肯定感の低下
- 親子関係の悪化
- 「自分は頭が悪い」という確信
「やり方を変える」ことが必要です
必要なのは、量ではなく方法です。
- その子に合った覚え方(部首で分ける、意味づけをする、語呂合わせ、書く以外の方法)
- 読める形にする(分かち書き、拡大文字、ルビ、行を指で追う)
- 代替手段を使う(音声、タイピング)
ただし、指導が無意味ではありません
年少のうちは、音韻認識の訓練や、体系的な読み書き指導が有効なことがあります。
「訓練か、配慮か」ではなく、「両方を、その子に合った形で」——これが現在の考え方です。
大切なのは、無理な反復で子どもを消耗させないことです。
12. 支援①:合理的配慮【比較表】
障害者差別解消法により、学校では合理的配慮の提供が求められています。(2024年4月からは、民間事業者も義務化されています)
| 場面 | 配慮の例 |
|---|---|
| 読み | ルビをふる、拡大文字、分かち書き、読み上げの許可、リーディングスリット(行を追う補助具) |
| 書き | 板書の写真撮影、プリントの配布、タブレット・パソコンの使用、記入欄の拡大、代筆 |
| テスト | 時間延長、別室受験、問題文の読み上げ、解答用紙の拡大、口頭での解答 |
| 算数 | 電卓の使用、九九表の参照、マス目のあるノート |
| 宿題 | 量の調整、代替課題、音読の免除・軽減 |
| 評価 | 過程の評価、口頭での確認 |
「特別扱い」ではありません
眼鏡をかけることが「ずるい」と言われないのと同じです。
合理的配慮は、公平な条件で学ぶための調整であり、有利にするためのものではありません。
この理解を、学校と、そして本人・周囲の子どもたちと共有することが重要です。
13. 支援②:ICTの活用——学び方を変える【比較表】
ICTの活用によって、LDのお子さまの学習環境は劇的に変わりました。
| 困難 | 活用できる手段 |
|---|---|
| 読めない | 音声教材、読み上げ機能、デジタル教科書、音声読み上げアプリ |
| 書けない | タイピング、音声入力、写真での記録 |
| 板書が写せない | タブレットで撮影 |
| 計算ができない | 電卓、計算アプリ |
| 漢字が書けない | 変換機能の活用 |
| ノートが取れない | 録音、写真、プリント |
「耳で聞けば分かる」子は多くいます
読字困難のお子さまの多くは、聞いて理解する力は保たれています。
音声教材を使うことで、同学年の内容を理解できるようになることは珍しくありません。
「読めないから学べない」のではなく、「読む以外の方法なら学べる」のです。
使えるものを、遠慮なく使ってください
「甘えでは」「本人のためにならないのでは」——そうお考えになる保護者の方は少なくありません。
しかし、
- 学習内容を理解できること
- 自分の考えを表現できること
- 「できた」という経験を積めること
これらのほうが、はるかに大切です。
社会に出れば、パソコンも電卓も音声入力も使います。 手書きで漢字を書けることが、その子の将来を決めるわけではありません。
14. 読み書きの指導について
代替手段を使うことと、読み書きの力を伸ばすことは、両立します。
有効とされるアプローチの例
- 音韻認識の訓練(言葉を音に分ける、つなげる)
- 体系的な音と文字の対応の指導
- 漢字の覚え方の工夫(部首・意味での分解、視覚的な手がかり、語呂合わせ)
- 書く量を減らし、質を上げる
- スモールステップで、達成感を確保する
通級指導教室の活用
通常学級に在籍しながら、一部の時間に個別・少人数の指導を受けられる制度です。
読み書きの指導を専門的に受けられる場合があります。学校にご相談ください。
大切なこと
「みんなと同じ量を、同じ方法で」を求めないことです。
その子に合ったやり方で、無理のない量を、継続する。 これが結果的に最も伸びます。
15. 【重要】二次障害を防ぐことが最優先です
LDの支援において、学力の向上と同じかそれ以上に重要なのが、これです。
起こりうる二次障害
- 自己肯定感の著しい低下(「自分は頭が悪い」)
- 学習性無力感(「どうせやっても無駄」)
- 学習全般への拒否
- 不安症、抑うつ状態
- 不登校
- からかい、いじめの対象になる
- 進路の断念
学力より先に、自尊心が失われます
LDのお子さまは、毎日、教室で「できない自分」を突きつけられています。
音読の順番が回ってくる。テストが返される。ノートを見られる。
この積み重ねが、学力の遅れよりも早く、深く、その子を傷つけます。
だから、早期の対応に意味があります
「もう少し様子を見ましょう」——この判断が、二次障害を招くことがあります。
早く気づき、「あなたのせいではない」と伝え、合った方法を用意すること。
これが、LD支援の最大の目的です。
不登校を伴う場合については、当院ブログ「不登校——『甘え』でも『親のせい』でもありません」もご覧ください。
16. 学校との連携——通級・支援計画・配慮の依頼
相談できる相手
- 担任
- 特別支援教育コーディネーター(各校に配置されています)
- スクールカウンセラー
- 教育委員会の相談窓口
利用できる仕組み
| 仕組み | 内容 |
|---|---|
| 通級指導教室 | 通常学級に在籍しながら、一部の時間に個別指導を受ける |
| 特別支援学級 | 少人数で個別性の高い指導 |
| 個別の教育支援計画・指導計画 | 必要な支援を文書化し、引き継ぐ |
| 合理的配慮 | 上記第12章の内容 |
診断書・意見書の役割
医師の診断書や意見書があることで、学校が配慮を行う根拠になります。
「どのような配慮が、なぜ必要か」を具体的に記載することで、実効性のある支援につながります。
当院では、心理検査の結果を踏まえた具体的な配慮内容を記載した書類を作成しています。
進学時の引き継ぎ
中学、高校と進むたびに、配慮が途切れてしまうことがあります。
個別の教育支援計画を作成しておくと、引き継ぎがスムーズになります。
17. ご家庭での関わり方【比較表】
| 避けたい対応 | なぜ問題か | 代わりにできること |
|---|---|---|
| 「もっと練習しなさい」 | 量では改善しません | やり方を変える |
| 「集中していないからだ」 | 事実と異なり、自責を強める | 特性であると理解する |
| 何度も書かせる | 学習拒否と自己否定を生む | 覚え方を工夫する、量を減らす |
| きょうだいや他の子と比べる | 自己肯定感を損なう | その子の中での変化を見る |
| 音読を無理にさせる | 苦痛の時間になる | 一緒に読む、代読、音声教材 |
| 宿題で毎晩けんかになる | 親子関係が悪化する | 学校に量の調整を相談する |
| できないことばかりに注目 | 全体的な自信を失う | 得意なことを伸ばす時間を確保 |
得意なことを守ってください
LDのお子さまには、必ず得意な領域があります。
絵、工作、運動、実験、機械、生き物、会話、発想——そこを伸ばす時間を、学習の補習で潰さないでください。
「自分にはこれがある」という感覚が、二次障害を防ぐ最大の防波堤になります。
宿題で毎晩けんかになるなら
それは、家庭で抱える問題ではありません。
学校に量や内容の調整を相談してください。 診断書が必要であれば作成します。
親子関係を守ることのほうが、宿題を終わらせることより重要です。
18. 進路について
保護者の方が不安に思われる点です。
進学は可能です
LDがあっても、多くの方が進学し、就職し、社会生活を送っています。
配慮を受けられる場面が増えています
- 高校入試での配慮(時間延長、別室、ルビなど。申請が必要です)
- 大学入学共通テストでの配慮
- 大学での修学支援
- 就職後の合理的配慮
いずれも、事前の申請と、診断書などの根拠資料が必要になります。
早めに準備を始めることをおすすめします。
得意を活かす進路
読み書きの困難があっても、それが問われない分野は数多くあります。
技術系、芸術系、対人的な仕事、身体を使う仕事——その子の強みが活きる場所を、一緒に考えていきましょう。
19. よくある心配事Q&A
Q. 練習が足りないだけではないでしょうか?
A. 量を増やしても、比例して伸びないのがLDの特徴です。 むしろ無理な反復は、学習拒否や自己否定を招きます。必要なのは量ではなく、やり方の変更です。
Q. 知能に問題があるのでしょうか?
A. LDは、全体的な知的発達に遅れがないことが前提です。 知的な力はあるのに、特定の領域だけができない状態です。むしろ理解力が高いお子さまも多くいらっしゃいます。
Q. 何歳から診断できますか?
A. 読み書きの学習が始まってからでないと、判断が難しい面があります。一般的には小学校入学以降ですが、幼児期のサイン(しりとりが苦手、音を分けられない)で相談いただくことも可能です。早めの相談は無駄になりません。
Q. タブレットや電卓を使うのは、甘えではないですか?
A. 甘えではありません。 眼鏡や補聴器と同じで、公平に学ぶための道具です。社会に出れば誰もが使うものです。 大切なのは、内容を理解し、自分の考えを表現できることです。
Q. 診断を受けると、将来に不利になりませんか?
A. 医療機関の診断が、自動的に学校や就職先に伝わることはありません。 一方で、診断があることで入試や就職での配慮を受けられます。 使うかどうかは選べます。
Q. 学校に相談しても、あまり対応してもらえません。
A. 特別支援教育コーディネーターにご相談ください。また、医師の診断書・意見書があると、配慮の根拠として機能します。当院で作成できますので、ご相談ください。
Q. 宿題を巡って毎晩けんかになります。
A. 家庭だけで抱える問題ではありません。 学校に量や内容の調整を依頼してください。親子関係を守ることのほうが優先されます。
Q. 中学生ですが、いま気づいても遅いでしょうか?
A. 遅くありません。 中学以降でも、配慮とICTの活用によって学習環境は大きく変わります。また、入試での配慮申請にも間に合う可能性があります。ご相談ください。
Q. 本人にどう伝えればよいですか?
A. **「あなたのせいではない」「やり方を変えれば学べる」**という枠組みで伝えることが大切です。年齢と理解力に応じた伝え方を、診察の中で一緒に考えます。
20. 和光医院での診療について
名古屋市千種区にある**和光医院(児童精神科・精神科・心療内科)**では、限局性学習症(LD)の評価と支援に対応しています。
当院での対応内容
- 読み書き・計算の困難に関する詳細な問診
- 知能検査(WISC-V等)による能力バランスの評価
- 読み書きに関する検査
- ADHD・ASD・DCDなど併存する発達特性の評価
- 視覚・聴覚など他の要因の確認、必要に応じた眼科等へのご紹介
- 不安症・抑うつ状態など二次障害の評価と治療
- 心理検査の結果に基づく、具体的な支援方法のご提案
- 学校提出用の診断書・意見書の作成(配慮内容を具体的に記載)
- 学校・特別支援教育コーディネーターとの連携
- 通級指導教室・支援機関に関する情報提供
- ICT活用に関するご相談
- 入試等における配慮申請に必要な書類のご相談
- 本人への伝え方に関するご相談
- 保護者の方の心理的サポート
こんな方はぜひご相談ください
- 音読がたどたどしい、行を飛ばす
- 何度練習しても漢字が覚えられない
- 板書を写すのが極端に遅い
- 作文が数行しか書けない
- 九九が定着しない
- 他の教科はできるのに、特定のことだけができない
- 宿題に異常に時間がかかる
- 毎晩、宿題を巡ってけんかになる
- 学校から「集中していない」「練習不足」と言われている
- 中学の英語で急につまずいた
- 「自分は頭が悪い」と言うようになった
- 学校に行きたがらなくなってきた
- 入試での配慮を検討している
「LDのお子さまは、努力していないのではありません。人一倍努力して、それでも結果が出ないという経験を、毎日積み重ねています。そして『やる気がない』と評価される。この構造が、学力の遅れよりも早く、その子の自尊心を削っていきます。私たちが最初にお伝えしたいのは、『あなたのせいではない』ということ。そして、やり方を変えれば学べるということです。音声で読み、タイピングで書く。それは甘えではなく、本来持っている力を出すための手段です。困難に気づいた今が、最も早いタイミングです。どうぞご相談ください。」
当院ホームページはこちら ご予約はホームページまたは公式LINEより受け付けております。 【公式LINE 友だち追加はこちら】 【Instagramはこちら】
子どものためのメンタルクリニック|医療法人永朋会 和光医院
診療科目: 児童精神科・精神科・心療内科
発達障害(ASD・ADHD)、不登校、起立性調節障害、不安症、パニック症、チック症、強迫症、うつ症状など、お子さまから成人の方まで幅広く診療しております。
名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院では、お子さまのこころの健康を専門スタッフが丁寧にサポートします。受診のご相談・ご予約はホームページまたは公式LINEより承っております。
受診される方へ
初めて受診される方
当院は予約制をとっておりますが、初診の場合は若干のお時間をいただくこととなり、お待ちいただくことがあります。スムーズにご案内する為に、WEB問診のご利用をおすすめいたします。
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初診予約は電話にてお願いします。
再診される方
お電話もしくは予約システム(チェック・オン)から予約を取ることもできます。予約の変更や取り消しをご希望の場合には、診療時間内に受付にお電話いただくか、予約システムから変更・取り消しを行ってください。
パソコン・携帯から簡単にご予約できます。
和光医院 診療時間のご案内
【診療時間】
午前 9:00〜13:00
午後 15:00〜18:00
土曜 9:00〜14:00
【休診日】 日・祝日
患者様へのご案内
- 明細書について:当院では、療養費規則に基づき明細書の発行を無料で行っています。
- 一般名による処方について:後発医薬品が存在する場合は、商品名ではなく一般名(有効成分名)で処方することがあります。
- 医療情報の活用について:当院では、安心な医療を提供する為、オンライン資格確認や電子処方箋データ等の情報を活用して診療を行っています。