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発達性協調運動症(DCD)——「ただの不器用」ではありません。縄跳び・箸・字が書けない背景と支援を名古屋市千種区の児童精神科・和光医院が詳しく解説
発達性協調運動症(DCD)——「ただの不器用」ではありません。縄跳び・箸・字が書けない背景と支援を名古屋市千種区の児童精神科・和光医院が詳しく解説
「何年練習しても、縄跳びが跳べない」「自転車に乗れるようになるまで、周りの何倍もかかった」「箸がうまく使えず、こぼしてばかり」「靴紐が結べない」「字がマス目からはみ出し、何度書き直しても整わない」「体育の時間を極端に嫌がる」「ボールが顔に当たる」「よく転び、物にぶつかる」——こうした様子は、しばしば**「不器用な子」「運動が苦手な子」**として片づけられます。
しかし、これは発達特性のひとつかもしれません。
**発達性協調運動症(DCD)**は、知的な発達に遅れがないにもかかわらず、身体を協調して動かすことが著しく困難な状態です。
**学齢期の子どものおよそ5〜6%**にみられるとされ、35人学級であれば1〜2人という計算になります。
そして、この記事で最もお伝えしたいことがあります。
「練習すればできるようになる」——この前提が、当てはまりません。
人一倍練習しても、思うようにできない。 そして、「努力が足りない」と評価される。
さらに、もうひとつ重要な点があります。
「大人になれば治る」わけではありません。
適切な支援がないまま成人期を迎える方が、実際に多くいらっしゃいます。
名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、DCDの特徴、ADHDとの関係、そして具体的な支援方法まで、詳しく解説します。
目次
- 発達性協調運動症(DCD)とは
- 【最重要】「ただの不器用」ではありません
- 3つの領域での困りごと【比較表】
- 年齢別に気づきたいサイン【比較表】
- どのくらいの子どもにみられるのか
- 原因——脳の「運動プログラム」の問題です
- 【最重要】「練習すればできる」ではありません
- 併存しやすい状態【比較表】
- 【重要】ADHDとの関係
- 鑑別すべきこと【比較表】
- 【最重要】大人になっても続きます
- 二次的な問題——最も避けたいこと
- 診断・評価の進め方
- 支援①:課題を絞って、方略を教える
- 支援②:道具の工夫【比較表】
- 支援③:学校での配慮【比較表】
- 【重要】体育の授業をどうするか
- ご家庭での関わり方【比較表】
- よくある心配事Q&A
- 和光医院での診療について
1. 発達性協調運動症(DCD)とは
**DCD(Developmental Coordination Disorder)**は、現行の診断基準DSM-5-TRにおいて、神経発達症群のひとつに位置づけられています。
定義の要点
- 協調運動技能の獲得と遂行が、年齢に比べて明らかに劣る
- 日常生活や学業に、持続的に支障をきたしている
- 発達の早期から認められる
- 知的発達症や、他の神経疾患(脳性麻痺など)では説明できない
「協調運動」とは
複数の身体の部位を、同時に、順序よく動かすことです。
たとえば——
- 縄跳び:手で縄を回しながら、タイミングを合わせて跳ぶ
- 箸:指を別々に動かしながら、力加減を調整する
- 字を書く:紙を押さえながら、筆圧を調整し、形を整える
- 自転車:バランスをとりながら、ペダルをこぎ、ハンドルを操作する
これらは、「複数の動きを同時にまとめる」作業です。
DCDでは、この「まとめる」ことが困難になります。
2. 【最重要】「ただの不器用」ではありません
この章が、この記事で最も重要な部分です。
日本での認知度が、まだ低い
ASD(自閉スペクトラム症)やADHDは広く知られるようになりました。
しかし、DCDは「発達障害のひとつ」として認識されていないことが多いのが実情です。
だから、こう言われます
- 「不器用な子だね」
- 「運動音痴だから」
- 「練習が足りない」
- 「もっと丁寧にやりなさい」
- 「やる気がないだけ」
本人は、努力しています
DCDのお子さまの多くは、実際には人一倍練習しています。
縄跳びを何百回も練習し、字を何度も書き直し、それでも思うようにできない。
そして、その努力は誰にも見えません。
見えるのは「できていない結果」だけです。
「見えない障害」です
知的な遅れはありません。
話す内容は年齢相応、むしろ豊かなことも多くあります。
だからこそ、「できないのは努力不足」と結論づけられてしまいます。
3. 3つの領域での困りごと【比較表】
| 領域 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 粗大運動 | 全身を使う動き | 走る、跳ぶ、投げる、捕る、縄跳び、鉄棒、跳び箱、水泳、自転車、球技、バランス |
| 微細運動 | 手先の細かい動き | 箸、はさみ、ボタン、ファスナー、靴紐、折り紙、定規、コンパス、リコーダー、裁縫 |
| 書字 | 文字を書く動作 | 筆圧の調整、字形、マス目に収める、板書の速さ、消しゴムで消す |
「日常生活動作」にも影響します
- 着替えに時間がかかる
- 食事でこぼす
- 顔や身体を洗うのが苦手
- よく転ぶ、物にぶつかる
- 階段の上り下り
- 姿勢が保てない、椅子からずり落ちる
「学校のあらゆる場面」に関わります
体育、図工、家庭科、書写、理科の実験、給食、掃除、着替え——
学校生活の多くの場面で、困難が生じます。
そして、そのたびに「できない自分」を突きつけられます。
4. 年齢別に気づきたいサイン【比較表】
| 時期 | 気づきたいサイン |
|---|---|
| 乳幼児期 | 首すわり・歩行がやや遅い、転びやすい、階段を怖がる、スプーンが使えない、ボタンができない |
| 就学前 | 三輪車・自転車が乗れない、はさみが使えない、折り紙が苦手、お絵かきを嫌がる、着替えに時間がかかる |
| 小学校低学年 | 縄跳びが跳べない、鉄棒ができない、箸がうまく使えない、字が整わない、マス目からはみ出す |
| 小学校中〜高学年 | 球技が極端に苦手、跳び箱・マット運動、リコーダーの穴が塞げない、板書が写せない、定規・コンパスが使えない |
| 中学生以降 | 体育を避ける、実技教科の成績、自転車通学の不安、部活の選択に制限、「運動嫌い」として定着 |
「一つだけ苦手」ではありません
特定の種目だけが苦手なのではなく、複数の領域にわたって困難がある——これがDCDの特徴です。
「縄跳びだけできない」ではなく、「縄跳びも、箸も、字も」というパターンです。
「不器用」と言われ続けてきたか
保護者の方が、「そういえば昔から不器用だった」と振り返られることがよくあります。
幼児期からの経過を確認することが、評価において重要です。
5. どのくらいの子どもにみられるのか
- 学齢期の子どもの、およそ5〜6%
- 男児に多いとされています
- 35人学級であれば、1〜2人
決して珍しくありません
ASDやADHDと同程度、あるいはそれ以上の頻度でみられます。
にもかかわらず、診断されている子どもは、ごく一部です。
「診断されない発達障害」
DCDは、最も見過ごされている発達特性のひとつと言えます。
6. 原因——脳の「運動プログラム」の問題です
筋力の問題ではありません
DCDのお子さまは、筋力が弱いわけではありません。
「動きの設計図」がうまく作れない
身体を動かすとき、脳は無意識のうちに、
- どの筋肉を
- どの順番で
- どのくらいの強さで
——動かすかという「プログラム」を作っています。
DCDでは、このプログラムを作り、実行し、修正することが困難と考えられています。
練習しても自動化されにくい
通常、運動は繰り返すうちに「考えなくてもできる」ようになります(自動化)。
DCDでは、この自動化が進みにくいのです。
そのため、
- 毎回、意識して行わなければならない
- 他のことと同時にできない(歩きながら話す、書きながら聞く)
- 非常に疲れる
だから「疲れやすい」
同じ動作をするのに、他の子よりはるかに多くの労力を使っています。
「体育の後、ぐったりしている」——これは、その表れです。
7. 【最重要】「練習すればできる」ではありません
この誤解が、最も子どもを苦しめます。
量を増やしても、比例して伸びません
「毎日100回跳べば、できるようになる」
——DCDのお子さまには、この前提が当てはまりません。
そして、量を増やす指導には副作用があります
- 運動そのものへの強い拒否感
- 「自分はダメだ」という確信
- 親子関係の悪化
- 学習性無力感(どうせやっても無駄)
必要なのは「やり方」です
闇雲な反復ではなく、
- 動きを分解して、順番に教える
- 言葉で手順を言いながら行う
- 一度に一つの課題に絞る
- 道具を工夫する
——こうした方略を用いた練習が有効とされています。
「量」ではなく「方法」を変える。 これが、DCD支援の基本です。
8. 併存しやすい状態【比較表】
DCDは、単独で存在することのほうが少ないと言えます。
| 併存状態 | 関係 |
|---|---|
| ADHD | 約半数に併存するという報告があります。最も多い組み合わせ |
| 限局性学習症(LD) | 書字の困難が重なる |
| ASD | 運動の不器用さは、ASDでもよくみられます |
| 吃音・言語の困難 | 併存することがあります |
| 不安症 | 二次的に生じやすい |
| 抑うつ状態 | 失敗体験の蓄積から |
ADHDとの併存が最も多くみられます
「落ち着きがなく、しかも不器用」——この組み合わせは非常によくあります。
書字の困難は、LDとの区別が必要です
「字が汚い、書けない」の背景には、
- 書く動作そのものの困難(DCD)
- 文字の形を覚えられない(LD)
——という2つの可能性があります。
両方が重なっていることもあります。
限局性学習症については、当院ブログ「限局性学習症(LD・ディスレクシア)」もご覧ください。
9. 【重要】ADHDとの関係
症状が重なって見えます
| 見え方 | ADHDでは | DCDでは |
|---|---|---|
| よく物を落とす | 不注意 | 手先の操作の困難 |
| 転ぶ、ぶつかる | 衝動的に動く | 身体の制御の困難 |
| 書字が乱れる | 急いで書く、注意が続かない | 書く動作そのものの困難 |
| 作業が遅い | 集中が続かない | 動作に時間がかかる |
| 体育が苦手 | ルールを守れない | 動きそのものが難しい |
「どちらか」ではなく「両方」のことが多い
約半数で併存するとされており、それぞれに応じた支援が必要です。
ADHDの治療だけでは足りません
ADHDの治療で不注意が改善しても、協調運動の困難は残ります。
「薬を飲んでいるのに、字がきれいにならない」——これは、DCDが背景にある可能性を示します。
発達特性全般については、当院ブログ「『発達障害かもしれない』と思ったら」もご覧ください。
10. 鑑別すべきこと【比較表】
「不器用さ」の背景に、他の原因があることもあります。
| 確認すべきこと | 内容 |
|---|---|
| 視力・視機能 | 見えていなければ、動きも整いません。 両眼の使い方の問題も |
| 聴力 | 指示が聞き取れていない可能性 |
| 知的発達症 | 全般的な発達の遅れがある場合は、分けて考えます |
| 神経疾患 | 脳性麻痺、筋疾患など。筋力低下や左右差があれば要注意 |
| 関節の柔らかさ | 過度に柔らかい場合、姿勢の保持が困難になることがあります |
| ADHDの不注意 | 動作はできるが、注意が向いていない |
| 経験の不足 | 機会がなかっただけの場合 |
医学的な評価を行います
当院では、まず「他の原因がないか」を確認します。
筋力の左右差、反射、姿勢——これらに異常があれば、小児神経科などへご紹介します。
「発達特性」と決めつける前に、確認すべきことを確認する——これが安全な進め方です。
11. 【最重要】大人になっても続きます
この点は、正確にお伝えする必要があります。
「そのうち治る」ではありません
かつては「成長すれば自然に改善する」と考えられていました。
しかし現在では、
相当の割合で、青年期・成人期以降も困難が持続する
——ということが分かっています。
成人期の困りごと
- 車の運転
- 書類の記入
- 職場での実技的な作業
- 料理、家事
- スポーツや余暇活動からの疎外
- 「不器用な人」という評価
だからこそ、早期の支援に意味があります
「治す」ことは難しくても、
- 道具や環境の工夫を身につける
- 自分の特性を理解する
- 得意な分野を伸ばす
- 二次的な自己否定を防ぐ
——これらは、早いほど効果があります。
「大人になれば大丈夫」と待つのではなく、今できることを始めることが大切です。
12. 二次的な問題——最も避けたいこと
DCDの支援において、運動能力の向上と同じか、それ以上に重要です。
起こりうること
- 自己肯定感の著しい低下
- 運動嫌い(そして運動不足、肥満)
- 体育・図工・音楽への強い拒否
- 「どうせできない」という学習性無力感
- からかい、いじめの対象になる
- 友人関係からの疎外(球技、遊び)
- 不安症、抑うつ状態
- 不登校
体育の時間が、毎週の苦痛になります
「できない自分」を、クラス全員の前で晒される時間——それが、体育の授業です。
週に何回も、それが訪れます。
運動嫌いは、生涯の健康に影響します
幼少期に「運動=つらいもの」と学習すると、生涯にわたって運動を避けるようになります。
その結果、肥満や生活習慣病のリスクが高まることも指摘されています。
だから、早期の理解が重要です
「あなたのせいではない」 「やり方を変えればできる」 「他に得意なことがある」
——これを伝えることが、支援の中心です。
13. 診断・評価の進め方
① 問診
現在の困りごと、生育歴(いつ歩いたか、自転車、箸など)、学校での様子を伺います。
「昔から不器用だった」というエピソードが、重要な情報になります。
② 情報の収集
あると評価の精度が上がるもの
- 母子健康手帳(発達の記録)
- ノート、作品、テストの答案(書字が分かるもの)
- 通知表(体育・図工・書写の評価)
- 動画(縄跳び、字を書く様子など。無理のない範囲で)
③ 知能検査
知的発達に遅れがないことを確認します。
あわせて、能力のバランス(凸凹)を評価します。
④ 協調運動に関する評価
質問紙や、実際の動作の観察によって評価します。
⑤ 他の要因の確認
視力、聴力、筋力、神経学的な所見を確認し、必要に応じて他科へご紹介します。
⑥ 併存する特性の評価
ADHD、ASD、LDの評価をあわせて行います。
14. 支援①:課題を絞って、方略を教える
DCDの支援において、有効性が示されているアプローチです。
「全体的な運動能力を上げる」ではありません
闇雲に体力トレーニングをしても、目的の動作ができるようにはなりにくいとされています。
「その課題」を、直接練習します
本人が「できるようになりたい」と思う具体的な課題を選びます。
- 自転車に乗る
- 縄跳びを跳ぶ
- 靴紐を結ぶ
- 字をマス目に収める
方略(やり方)を言葉にします
動作を分解し、手順を言葉で確認しながら行います。
例:縄跳び
- 縄を後ろに置く
- 「回す」と言いながら、手首を回す
- 縄が足元に来たら
- 「跳ぶ」と言いながら、両足で跳ぶ
「考えながら」やることで、身につきやすくなります。
一度に一つだけ
複数の課題を同時に練習しません。
一つできるようになってから、次へ進みます。
作業療法(OT)
専門的な支援として、作業療法が有効な場合があります。
当院では、必要に応じて実施可能な機関へのご紹介を行います。
15. 支援②:道具の工夫【比較表】
「できるようにする」だけでなく、「できる道具を使う」ことも重要な支援です。
| 困りごと | 工夫の例 |
|---|---|
| 箸が使えない | 補助箸、握りやすいスプーン・フォーク、滑り止めマット、縁のある食器 |
| ボタン・ファスナー | 大きめのボタン、マジックテープ、かぶりタイプの服 |
| 靴紐が結べない | マジックテープの靴、ゴム紐(結ばなくてよい紐) |
| 鉛筆が持てない | 太い鉛筆、三角鉛筆、鉛筆グリップ |
| マス目に収まらない | 大きめのマス、罫線の工夫 |
| 紙がずれる | 滑り止めシート、クリップボード |
| 定規がずれる | 滑り止め付き定規、押さえやすい形状 |
| 板書が写せない | タブレットで撮影、プリント配布 |
| 書字全般 | タイピング、音声入力 |
| リコーダー | 穴を塞ぎやすい補助シール |
「道具に頼るのは甘え」ではありません
眼鏡をかけることが甘えではないのと同じです。
大切なのは、
- その活動に参加できること
- 本来の能力を発揮できること
- 「できた」という経験を積めること
手先の器用さが、その子の将来を決めるわけではありません。
16. 支援③:学校での配慮【比較表】
| 場面 | 配慮の例 |
|---|---|
| 体育 | できない種目の代替、部分参加、個人での取り組み、記録の伸びで評価 |
| 書字 | 時間延長、板書の撮影、プリント配布、タブレット使用、マス目の拡大 |
| 図工・家庭科 | 補助具の使用、支援員の配置、作業手順の視覚化 |
| 給食 | 補助具の使用、こぼしても責めない、時間の確保 |
| 着替え | 時間の確保、急かさない |
| テスト | 時間延長、解答欄の拡大 |
| 移動・掃除 | 安全への配慮 |
| 評価 | 他者との比較ではなく、本人の伸びで評価 |
「みんなと同じ」を求めないこと
同じ方法で、同じ速さで、同じ出来を求めることが、この子たちを追い詰めます。
診断書・意見書
医師の意見書があることで、学校が配慮の根拠を持てます。
当院では、具体的な配慮内容を記載した書類を作成しています。
17. 【重要】体育の授業をどうするか
保護者の方から、最もご相談の多い点です。
「見学」を続けることの問題
確かに、つらい時間を避けられます。
しかし、
- 「自分は参加できない人」という認識が強まる
- 運動の機会がさらに減る
- クラスから疎外される
——という問題があります。
「参加できる形」を探します
| 工夫 | 内容 |
|---|---|
| 部分参加 | できる部分だけ参加する |
| 役割の工夫 | 審判、記録、準備係 |
| 課題の調整 | ボールを大きく・柔らかく、距離を短く、ハードルを低く |
| 個人種目を選ぶ | 球技より、走る・泳ぐ・鉄棒など、他者と競わない種目 |
| 評価の変更 | 他者との比較ではなく、前回の自分と比べる |
| 事前練習 | 授業の前に、個別に練習しておく |
「できない場面を、人前で晒さない」
これが、最も重要な配慮です。
順番に一人ずつ跳ぶ、全員が見ている前で発表する——こうした場面が、最もつらいのです。
同時に行う、少人数で行う、といった工夫が有効です。
本人の意向を最優先に
「参加させるべき」と一律に決めることも、適切ではありません。
本人がどうしたいのか、どこまでなら耐えられるのか——必ず確認してください。
18. ご家庭での関わり方【比較表】
| 避けたい対応 | なぜ問題か | 代わりにできること |
|---|---|---|
| 「もっと練習しなさい」 | 量では改善しません | やり方を分解して教える |
| 「集中していないから」 | 事実と異なります | 特性であると理解する |
| できない場面を人前で話す | 自尊心を傷つけます | 本人の同意なく話さない |
| きょうだいと比べる | 自己否定を強めます | その子の中での変化を見る |
| 急かす | 焦るとさらにできなくなります | 時間に余裕を持つ |
| 代わりに全部やってあげる | できる機会を奪います | 一部は本人に任せる |
| 苦手なことばかり練習させる | 生活が「苦行」になります | 得意なことの時間を確保 |
時間の余裕をつくってください
朝の着替え、食事、支度——
急かされると、余計にできなくなります。
「10分早く起きる」だけで、朝の衝突が減ることがあります。
得意なことを守ってください
DCDのお子さまにも、必ず得意な領域があります。
話すこと、考えること、記憶すること、絵の発想、生き物、機械、パソコン——
そこを伸ばす時間を、苦手の練習で潰さないでください。
「自分にはこれがある」という感覚が、二次的な問題を防ぎます。
19. よくある心配事Q&A
Q. ただの不器用ではないのですか?
A. 複数の領域(運動、手先、書字)にわたって困難があり、日常生活や学業に支障が出ている場合、発達性協調運動症の可能性があります。 学齢期の5〜6%にみられる、決して珍しくない特性です。
Q. 練習すれば、できるようになりますか?
A. 量を増やすだけでは、思うようには伸びません。 動きを分解し、手順を言葉にしながら、一つの課題に絞って取り組む——このやり方の工夫が有効とされています。
Q. 大人になれば治りますか?
A. 相当の割合で、成人期以降も困難が続くことが分かっています。 「そのうち治る」と待つのではなく、道具の工夫や特性の理解を、早いうちから身につけることが大切です。
Q. 体育を見学させたほうがよいですか?
A. 見学が続くと、「自分は参加できない人」という認識が強まります。 できる部分だけ参加する、役割を持つ、課題を調整する——「参加できる形」を探すことをおすすめします。 ただし、本人の意向を最優先にしてください。
Q. ADHDと診断されていますが、不器用さも気になります。
A. 約半数で併存するとされています。 ADHDの治療で不注意が改善しても、協調運動の困難は残ります。「薬を飲んでいるのに字がきれいにならない」場合、DCDが背景にある可能性があります。
Q. 補助具を使わせるのは、甘やかしですか?
A. 甘やかしではありません。 眼鏡と同じで、活動に参加し、力を発揮するための道具です。大切なのは、手先の器用さではなく、「できた」という経験を積むことです。
Q. 何歳から相談できますか?
A. 年齢制限はありません。 就学前でも、「三輪車に乗れない」「はさみが使えない」といったご相談は可能です。早いほど、環境調整の効果が得られやすくなります。
Q. 診断がつくと、将来に不利になりませんか?
A. 医療機関の診断が、自動的に学校や就職先に伝わることはありません。 一方で、診断があることで学校の配慮を受けられます。 使うかどうかは選べます。
Q. 運動を嫌がるので、無理にさせないほうがよいですか?
A. 無理強いは逆効果です。 ただし、運動をまったくやめてしまうと、運動不足や肥満につながります。競争を伴わない、本人が楽しめる運動(散歩、水泳、トランポリン、ダンスなど)を探すことをおすすめします。
20. 和光医院での診療について
名古屋市千種区にある**和光医院(児童精神科・精神科・心療内科)**では、発達性協調運動症(DCD)のご相談に対応しています。
当院での対応内容
- 協調運動の困難に関する詳細な問診と生育歴の聴取
- 知能検査による、知的発達と能力バランスの評価
- 協調運動に関する評価
- 視力・聴力・神経学的な所見の確認、必要に応じた他科へのご紹介
- ADHD・ASD・限局性学習症など、併存する特性の評価
- 不安症・抑うつ状態など二次障害の評価と治療
- 具体的な支援方法のご提案(課題の絞り込み、方略の指導)
- 道具・環境の工夫に関する助言
- 学校提出用の診断書・意見書の作成(体育・書字の配慮を含む)
- 学校・特別支援教育コーディネーターとの連携
- 作業療法などが受けられる機関に関する情報提供
- 本人への伝え方に関するご相談
- 保護者の方の心理的サポート
こんな方はぜひご相談ください
- 何年練習しても、縄跳びが跳べない
- 自転車に乗れるまで、非常に時間がかかった
- 箸がうまく使えず、こぼしてばかり
- 靴紐が結べない、ボタンが留められない
- 字がマス目からはみ出し、何度書いても整わない
- 板書が写せない
- 体育の時間を極端に嫌がる
- よく転ぶ、物にぶつかる
- 着替えや支度に、とても時間がかかる
- 「不器用」「練習不足」と言われ続けてきた
- ADHDの治療をしているが、不器用さは変わらない
- 「どうせできない」と言うようになった
「DCDは、日本ではまだあまり知られていない発達特性です。ASDやADHDは広く認識されるようになりましたが、『不器用』は今も性格や努力の問題として扱われがちです。けれど、この子たちは人一倍練習しています。縄跳びを何百回も跳び、字を何度も書き直し、それでもできない。そして『努力が足りない』と言われる。学力の遅れよりも早く、自尊心が削られていきます。私たちがまずお伝えしたいのは、『あなたのせいではない』ということ。そして、やり方を変えれば、道具を工夫すれば、できることは増えるということです。『不器用な子』で終わらせないために、一度ご相談ください。」
当院ホームページはこちら ご予約はホームページまたは公式LINEより受け付けております。 【公式LINE 友だち追加はこちら】 【Instagramはこちら】
子どものためのメンタルクリニック|医療法人永朋会 和光医院
診療科目: 児童精神科・精神科・心療内科
発達障害(ASD・ADHD)、不登校、起立性調節障害、不安症、パニック症、チック症、強迫症、うつ症状など、お子さまから成人の方まで幅広く診療しております。
名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院では、お子さまのこころの健康を専門スタッフが丁寧にサポートします。受診のご相談・ご予約はホームページまたは公式LINEより承っております。
受診される方へ
初めて受診される方
当院は予約制をとっておりますが、初診の場合は若干のお時間をいただくこととなり、お待ちいただくことがあります。スムーズにご案内する為に、WEB問診のご利用をおすすめいたします。
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再診される方
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パソコン・携帯から簡単にご予約できます。
和光医院 診療時間のご案内
【診療時間】
午前 9:00〜13:00
午後 15:00〜18:00
土曜 9:00〜14:00
【休診日】 日・祝日
患者様へのご案内
- 明細書について:当院では、療養費規則に基づき明細書の発行を無料で行っています。
- 一般名による処方について:後発医薬品が存在する場合は、商品名ではなく一般名(有効成分名)で処方することがあります。
- 医療情報の活用について:当院では、安心な医療を提供する為、オンライン資格確認や電子処方箋データ等の情報を活用して診療を行っています。