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学習障害(LD・SLD)——「読み書きが苦手・算数が極端にできない」は怠けではない——正しい理解と支援を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説
学習障害(LD・SLD)——「読み書きが苦手・算数が極端にできない」は怠けではない——正しい理解と支援を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説
「文字を読むのがひどく遅い・読み間違いが多い」「作文や板書が極端に苦手で字が書けない」「算数だけが著しくできない・計算の仕組みがどうしてもわからない」「頭は悪くないのになぜか特定の科目だけできない」「宿題に何時間もかかって毎日泣いている」——学習障害(LD:Learning Disorder / SLD:Specific Learning Disorder・限局性学習症)は、全般的な知的能力は正常範囲にあるにもかかわらず、「読む・書く・計算する」という特定の学習スキルの習得に著しい困難が生じる発達特性です。「頭が悪い・努力不足・親の教え方が悪い」という誤解を受けやすく、<cite index=”7-1″>潜在的に見過ごされているケースも少なくありません。結果として、不登校や自己否定感、学習への拒否反応といった二次的な問題が生じ、精神的なストレスを伴うことがあります。</cite>名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、学習障害の3タイプ・診断・学校での支援・合理的配慮・保護者の正しい関わり方まで、わかりやすく詳しく解説します。
目次
- 学習障害(LD・SLD)とは——「勉強が嫌いな子」とは根本的に違う
- 学習障害の有病率——意外と多い
- 【タイプ①】読字障害(ディスレクシア)——文字を読むことが極端に困難
- 【タイプ②】書字表出障害(ディスグラフィア)——書くことが極端に困難
- 【タイプ③】算数障害(ディスカリキュリア)——計算・数の概念が極端に困難
- 学習障害の原因——脳の神経ネットワークの違い
- 「頭は悪くない」なのになぜできないのか——知能とLDの関係
- 学習障害とASD・ADHD・DCDの合併
- 学習障害の診断——何科で・どのように診断されるか
- 学習障害に気づかれにくい理由——「見えにくい障害」
- 学習障害が不登校・自己肯定感低下につながる経路
- 【支援①】合理的配慮——学校に求められる具体的な配慮
- 【支援②】ICT・デジタルツールの活用——LD支援のゲームチェンジャー
- 【支援③】指導法の工夫——多感覚・繰り返し・スモールステップ
- 保護者の正しい関わり方
- よくある質問(FAQ)
- 和光医院での診療について
1. 学習障害(LD・SLD)とは——「勉強が嫌いな子」とは根本的に違う
定義
<cite index=”2-1″>LD(学習障害)は、英語圏では一般的にディスレクシアと呼ばれますが、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)ではSLD(限局性学習症)となっています。</cite>
**学習障害(LD:Learning Disorder / SLD:Specific Learning Disorder・限局性学習症)**は、全般的な知的能力は正常範囲にあるにもかかわらず、「読む・書く・計算する」の中の特定のスキルの習得・使用に著しい困難が生じる神経発達症です。
DSM-5での分類:
- 読字(読むこと)の障害
- 書字表出(書くこと)の障害
- 算数(計算・推論すること)の障害
「勉強嫌い」との本質的な違い
- 学習障害: 特定のスキル(読み・書き・計算)に脳の神経回路の働き方の違いがあり、通常の方法では習得が困難
- 勉強嫌い: 動機・環境・指導法の問題。適切な支援で改善する
学習障害の子どもは「怠けているのではなく、懸命に頑張っているのに結果が出ない」状態にあります。
2. 学習障害の有病率——意外と多い
<cite index=”7-1″>LDの有病率は、診断基準や評価法によってばらつきがありますが、世界的には小児の約5〜15%にみられるとされ、学齢期の子どもにおいて比較的高い頻度で確認される発達特性の一つです。たとえば、読字障害(ディスレクシア)は欧米諸国において約10%前後、日本では6〜7%程度と推定されています。</cite>
- 学習障害全体: 小児の約5〜15%
- ディスレクシア(読字障害): 日本では6〜7%程度(クラス30人中1〜2人)
- 男女比:男児に多い(男女比2〜3:1)
- 兄弟・親族に同様の傾向がある場合が多い(遺伝的素因)
3. 【タイプ①】読字障害(ディスレクシア)——文字を読むことが極端に困難
特徴
ディスレクシアは学習障害の中で最も研究が進んでいるタイプです。文字・単語の音への変換(デコーディング)に著しい困難が生じます。
具体的な困りごと:
- 文字を読むのが極端に遅い・たどたどしい
- 読み間違いが多い(「は」と「ほ」「め」と「ぬ」等の形が似た文字を混同)
- 音読がひどく苦手(読んでいる間に内容が頭に入らない)
- 文章を読むとき・行が変わるときに迷子になる
- ひらがなは読めてもカタカナ・漢字が極端に遅い
- 読むことへの強い回避・本を読もうとしない
重要: 「声に出して読む(音読)は苦手でも、耳で聞けば内容を理解できる」のがディスレクシアの典型です。
脳レベルのメカニズム
<cite index=”7-1″>脳の特定の領域(視覚・聴覚処理、言語処理など)の神経回路の機能的・構造的な違いがLDと関係している可能性が示唆されています。特に、左側側頭葉の機能異常がディスレクシアと関連するとされており、読み書きに関連する神経ネットワークの統合に遅れがあると考えられています。</cite>
4. 【タイプ②】書字表出障害(ディスグラフィア)——書くことが極端に困難
特徴
書くことに関する複数のプロセス(文字の形の記憶・手の動きのコントロール・思考を文字に変換すること)に困難が生じます。
具体的な困りごと:
- 字の形が著しくいびつ・枠に収まらない
- 板書を写すのが極端に遅い・写し間違いが多い
- 鉛筆の持ち方が不自然・書くときに異常に力が入る
- 作文が書けない(内容はわかっているのに文字にできない)
- 漢字を覚えられない・何度書いても忘れる
- ノートがとれない・書く量が著しく少ない
ディスグラフィアとDCDの関係
書字障害には「文字の記憶」の問題と「手の動き(協調運動)」の問題があります。DCDをブログで別途解説していますが、DCDとディスグラフィアが合併するケースが多く、手先の不器用さがかな漢字の習得に影響します。
5. 【タイプ③】算数障害(ディスカリキュリア)——計算・数の概念が極端に困難
特徴
数の概念・計算・数学的推論に著しい困難が生じます。
具体的な困りごと:
- 数の多い少ないが直感的にわからない(数量感覚の欠如)
- 繰り上がり・繰り下がりの計算が何度やっても覚えられない
- 九九が覚えられない・覚えてもすぐ忘れる
- 時計・時間の概念が身につかない
- お金の計算・両替ができない
- 文章問題が特に苦手(何を計算すればいいかわからない)
6. 学習障害の原因——脳の神経ネットワークの違い
学習障害は「勉強不足・練習不足・親の教え方」が原因ではありません。
<cite index=”7-1″>脳の働き方が定型発達とは異なるため、情報処理の速度や順序に影響を及ぼすことがあります。</cite>
遺伝的素因
学習障害、特にディスレクシアには強い遺伝的素因があります。保護者や兄弟に「読み書きが苦手だった」という傾向がある場合、子どもも同様の傾向を持ちやすいです。
音韻処理の問題(ディスレクシアの核心)
ディスレクシアでは「文字→音(フォニックス)」への変換(音韻処理)に脳レベルの困難があります。日本語では「ひらがな1文字=1音」というシンプルな対応があるため、英語話者より軽症に見えることがありますが、複雑な文章になると困難が顕在化します。
7. 「頭は悪くない」なのになぜできないのか——知能とLDの関係
学習障害の診断には「全般的な知的能力は正常範囲内」であることが条件です。
知能検査(WISC-V等)では、以下のような「能力のアンバランス」が見られることがあります:
- 言語理解・知識は高い(口で話せば答えられる)
- 処理速度・ワーキングメモリが低い(素早く正確に書く・覚えながら処理することが苦手)
このアンバランスが「頭はいいのになぜできないのか」という周囲の誤解と、本人の「なぜ自分だけできないのか」という苦しさにつながります。
8. 学習障害とASD・ADHD・DCDの合併
<cite index=”3-1″>学習障害(LD)の診断と医療機関の選び方、学校との連携と支援の実際、併存障害と早期対応の重要性が重要なポイントです。</cite>
学習障害は他の発達特性と高い率で合併します。
- ADHDとの合併: 約30〜50%。不注意が読み書きをさらに困難にする
- ASDとの合併: 感覚処理・学習スタイルの特異性が重なる
- DCD(発達性協調運動症)との合併: 手先の不器用さが書字障害と重なる
- 言語発達遅滞との合併
合併がある場合は、それぞれへの包括的な評価と支援が必要です。
9. 学習障害の診断——何科で・どのように診断されるか
受診する科
児童精神科・小児科・発達外来での評価が推奨されます。
診断の流れ
①問診: 困りごとの内容・始まった時期・学習歴・家族歴・発達歴
②知能検査(WISC-V等): 全般的な知能と各能力(言語理解・処理速度・ワーキングメモリ等)のバランスを評価。学習障害では特定の指標が低い「能力のアンバランス」が見られます。
③学力検査・読み書き評価: 音読速度・読み誤りのパターン・書字の正確性・計算能力の専門的な評価
④診断: DSM-5基準に基づいて医師が総合的に判断
10. 学習障害に気づかれにくい理由——「見えにくい障害」
<cite index=”7-1″>学習障害は「見えにくい障害」であるため、本人の知的能力が高い場合や、行動上の問題が目立たない場合には、学校や家庭でも気づかれにくいことがあります。</cite>
気づかれにくい理由:
- 「普通に会話できる・頭はいいのに勉強だけできない」という矛盾が「努力不足」と誤解される
- 本人が必死に補おうとして(人の2倍以上の時間をかけて宿題をする等)困難が隠れる
- 「読み書きが苦手」という訴えを大人が「大げさ・気のせい」と判断する
- 特定の先生・特定の科目で問題が顕在化するため、「その先生との相性」と解釈される
11. 学習障害が不登校・自己肯定感低下につながる経路
<cite index=”7-1″>結果として、不登校や自己否定感、学習への拒否反応といった二次的な問題が生じ、精神的なストレスを伴うことがあります。</cite>
「頑張っても読めない・書けない・計算できない」という毎日の繰り返しは:
- 「自分はバカだ・何をやってもダメだ」という自己像の固定化
- 勉強への強い拒否反応・学校への回避
- 叱責・比較による二次的なうつ・不安の合併
- 不登校・引きこもりへの発展
早期に学習障害を発見・支援につなげることが、二次障害予防の最も重要な手段です。
12. 【支援①】合理的配慮——学校に求められる具体的な配慮
障害者差別解消法に基づき、学校は合理的配慮の提供が求められています。
読字障害への配慮
- 教科書・プリントの拡大コピー・フォント変更
- 音読のテストを省略・代替方法での評価
- テスト時の問題文の読み上げ許可
- 読み上げソフト(音声読み上げ機能)の使用許可
書字障害への配慮
- 板書のタブレット撮影許可
- 漢字テストの代替評価(ひらがな許可・口頭試問)
- キーボード・タブレット入力での作文・ノートテイク許可
- テスト時間の延長
算数障害への配慮
- 計算機・そろばん等の補助具の使用許可
- 九九表の使用許可
- 公式シートの持ち込み許可
13. 【支援②】ICT・デジタルツールの活用——LD支援のゲームチェンジャー
<cite index=”6-1″>読んだ部分に蛍光ペンなどで色を引いていく(リーディングルーラー等の活用)、ブックスキャナーや読み上げソフトを活用するなどの対処法があります。</cite>
ICTツールは、学習障害の子どもの「弱い部分を補い・強い部分を活かす」という支援の考え方を具体化します。
読字障害への有用なICTツール:
- 読み上げソフト: テキストを音声で読み上げる(Google読み上げ・VOCAH等)
- デジタル教科書: 文字サイズ・色・フォント変更が可能
- リーディングルーラー: 読んでいる行を強調する補助具
書字障害への有用なICTツール:
- タブレット・キーボード入力: 手書きの代替として
- 音声入力: マイクで話して文字化(Google音声入力等)
- マインドマップソフト: 文章の構成を視覚化
算数障害への有用なICTツール:
- 計算機・計算アプリ: 計算の補助(「計算」ではなく「数学的思考」を評価)
- 視覚化ソフト: 数量を図・グラフで視覚的に表現
14. 【支援③】指導法の工夫——多感覚・繰り返し・スモールステップ
多感覚(マルチセンソリー)学習
視覚・聴覚・触覚・運動感覚を組み合わせた学習が、学習障害の子どもに特に有効です。
- 文字を見ながら声に出しながら(声に出して読む・聞く)
- 砂・粘土・空中に指で書きながら字形を覚える
- リズム・歌・ゲームで九九を覚える
スモールステップ
一度に多くを教えず、小さな達成感を積み重ねることが学習意欲の維持に重要です。
繰り返し・分散学習
学習障害の子どもは「一度で覚えること」が難しいため、「少しずつ・繰り返し・間隔を置いて」学習することが記憶の定着に有効です。
15. 保護者の正しい関わり方
✅ 大切にしてほしいこと
- 「読み書き・計算以外の得意なこと・才能」を積極的に認める
- 「頑張っているのに結果が出ない苦しさ」に共感する
- 宿題・勉強時間に制限を設け「頑張りすぎない」ようにする
- 専門家(児童精神科・学校)と連携して「チームで支援する」体制を作る
- ICTツールの積極活用を後押しする
❌ やってはいけないこと
- 「なぜできないの・もっと練習しなさい」という叱責
- 兄弟・クラスメートとの比較
- 「本を100回読めば読めるようになる」式の反復強制
- 苦手な活動で失敗体験を積み重ねる環境に置き続ける
16. よくある質問(FAQ)
Q. 「頭はいいのになぜ勉強ができないのか」と言われています。学習障害ですか?
A. 「全体的な知能は正常なのに特定の学習スキル(読み・書き・計算)が著しく苦手」という場合は、学習障害の可能性があります。知能検査と学力検査・読み書き評価を組み合わせた専門的な評価が必要です。まず児童精神科・小児科に相談してください。
Q. 学習障害は「治る」ものですか?
A. 学習障害は脳の神経ネットワークの違いによるものであり、「完全に治る」という性質のものではありません。ただし、適切な支援・ICTツール・合理的配慮・本人の強みを活かした学習方法の確立により、困りごとを大幅に軽減し充実した学校・社会生活を送ることは十分に可能です。
17. 和光医院での診療について
名古屋市千種区にある和光医院は、児童精神科を専門とするクリニックです。学習障害の評価・診断・学校連携・合理的配慮の相談に対応しています。
当院での対応内容
- 学習障害(SLD)の診断・タイプ評価(読字・書字・算数)
- 知能検査(WISC-V等)による能力のバランス評価
- ASD・ADHD・DCD等の合併評価
- 二次障害(うつ病・不安症・不登校)の診断・治療
- 学校への合理的配慮の相談・診断書・意見書の作成
- ICTツール活用・指導法の保護者へのアドバイス
こんな方はぜひご相談ください
- 文字を読むのが極端に遅い・読み間違いが多い
- 板書・作文・漢字が著しく苦手
- 計算・九九が何度やっても覚えられない
- 知能は正常なのに特定の科目だけ著しく遅れている
- 宿題に毎日何時間もかかって本人も家族も消耗している
- 学習障害の可能性があると言われたが診断・支援を受けたい
「読み書き・計算の困難は努力不足ではありません。正しい評価と支援で必ず学校生活が楽になります。まずご相談ください。」
当院ホームページはこちら ご予約はホームページまたは公式LINEより受け付けております。 【公式LINE 友だち追加はこちら】 【Instagramはこちら】
子どものためのメンタルクリニック|医療法人永朋会 和光医院
診療科目: 児童精神科・精神科・心療内科
発達障害(ASD・ADHD)、不登校、起立性調節障害、不安症、パニック症、チック症、強迫症、うつ症状など、お子さまから成人の方まで幅広く診療しております。
名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院では、お子さまのこころの健康を専門スタッフが丁寧にサポートします。受診のご相談・ご予約はホームページまたは公式LINEより承っております。
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