2023.08.16ブログ
広汎性発達障害と統合失調症の合併症について
広汎性発達障害と統合失調症の合併症について 前回、BPD+PDDの話を書きました。 PDDが合併すると、どの疾患も通常の経過とは異なり、見つけるのも難しいですが、治療も異なることが多いです。 統合失調症(S)についても、PDD合併していると、単純にS単独病態とは異なっていると感じています。 これはエビデンスがあるというわけではなく、完全に私の個人的な経験からの発言です。 しかし児童精神科を名乗っていると、PDDの症例はかなり多く見ることになります。 そうなると必然的にSは有病率1%の頻度が低くない疾患なので、この合併を私自身は少なからず経験することになりました。 まず圧倒的に言えるのが、進行が遅い。 統合失調症は中核症状が自我漏洩症状、つまり自我境界が障害を受け、他人の思考、感情、や、自分の思考、感情が自分の外に漏れたり、内側にはいってきたりします。幻聴、幻視のような、幻覚症状もありますが、自我漏洩症状がメイン症状です。 PDDを合併していると、この自我漏洩症状がでにくいですし、出ても進行が遅い。 私はPDDの自我境界の固さ、みたいなものが影響していると考えています。 もともと自我境界が強固だから、浸食されにくい、みたいなイメージです。 そして次に、元気なまま、なことが多いです。 これ分かりにくいと思うのですが、S単独の方は、気持ち的にも沈んでいたり、なんとなく元気がなさそうな感じがあります。陰性症状といってもいいのかもしれません。 これがPDD合併していると、あまりないです。 そして最後に、とにかく進行はS単独よりも遅い。 くずれていく感じがない、んです。 幻覚、妄想が強くなり入院治療となることもありますが、あまり長引かない印象です。 絶対というわけではないですが、一定の傾向が自分がみたなかではあったなと思います。 このあたりは、もう少し深堀していってもいいテーマのように感じています。 医療法人永朋会 理事長 加藤晃司