2024.02.16ブログ

今回は、子どものADHD治療での注意点について解説します。

こんにちは、医療法人永朋会、児童精神科医の加藤晃司です。

今回は、子どものADHD治療での注意点について解説します。


まずは一般的な診断と治療についてです。

診断

    ADHDの主な症状: ADHDには主に、注意力の不足、過活動、衝動性の症状があります。注意力不足の兆候には、細部への注意欠如や、学校の課題や遊びでの集中力の維持に苦労することが含まれます。過活動と衝動性の兆候には、座っているときのじっとしていられないこと、話が完全に尋ねられる前に答えてしまうことなどがあります



診断基準: ADHDの診断には、子どもが6ヶ月以上にわたって、少なくとも6つの注意力不足または過活動・衝動性の症状を持っている必要があります。症状は、家庭や学校など、2つ以上の環境で現れ、社会的または学校での機能に影響を与える必要があります



評価手法: ADHDの診断には特定のテストは存在せず、行動評価スケールを使用して複数の観察者からのデータを収集します。また、ADHDの診断には、DSM-5が定める十分な数の主要症状と機能障害の存在が必要です
    


治療

    行動療法: 教師や親が、トークン報酬システムやタイムアウトなどの行動変化戦略を学ぶことが含まれます


 薬物療法: ADHDの治療には、主に刺激薬が用いられます。刺激薬は歴史的に効果があるとされていますが、副作用が生じる可能性もあります。非刺激薬も利用可能です



 生活環境の調整: テレビを消す、騒音を減らす、宿題をするときには整理された作業スペースを提供するなど、家庭での対応策が重要です



 健康的なライフスタイル: 栄養のある食事、十分な身体活動、十分な睡眠は、ADHDの症状を悪化させるのを防ぐのに役立ちます



 医療機器: 米国食品医薬品局(FDA)は、処方薬を服用していない7歳から12歳の子どもを対象に、Monarch eTNS(外部三叉神経刺激)システムという新しい医療機器を承認しました。この装置は低レベルの電気刺激を発生させ、睡眠中の子どもに使用します


といった感じです。


ADHDの診断は、臨床診断で行いますが、心理検査結果を診断の参考にはしていきます。

しかし一言にADHDといっても、状況はさまざまです。

今はADHD症状に有効性のある子ども用の内服も使用可能です。

コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、ビバンセ、と4種類まで増えました。

もちろん日本での臨床試験を経て発売となっており、子どもに対する安全性、有効性は証明されています。

しかし病態水準がどうなのかを考察する必要があります。
同じADHDといっても、病態が軽い、重いがあるわけです。病態が悪い、つまり境界域から精神病圏、ということになると、治療の仕方は変わってきます。

ADHDの症状が内服でとれたから終了というわけにはいきません。

幼児期からの失敗の連続、養育者との関係がうまくいかなかった、などが確実に生育歴上に確認できるはずです。
愛着の形成にも問題が発生しているかもしれません。

その場合は、子どもに対してのカウンセリングだけでなく、養育者の対するカウンセリングも同時に行っていきます。

ペアレントトレーニングをやる前の段階なので、トレーニングというよりはカウンセリングです。

このあたりが整理できてきて、はじめてADHD症状に対する治療を始める、ということもあるわけです。


まとめ
今回は子どものADHDの診断と治療、そして病態水準によっては治療のやり方は異なる、というこを解説しました。
ADHDは生来の症状なので、0歳から養育者との関係、そして園や学校での周囲との関係の中で、自己評価を低下させていくようなことが多く発生することがあります。
また養育者も育て方が悪いなど周囲に言われて、そのことで自分を攻めていることもあるでしょう。
このあたりのことを整理していくことの方が、ADHD症状がとれることよりも重要なことがあります。
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