2024.02.20ブログ
チックについて
チックについて 動作性チック、音声チック、どちらも多くの相談を受けます。 年齢とともに改善していくことが多いですが、症状が残ってしまう場合、その種類によってはなんらかの対応が必要なことがあります。 まずはチックの診断基準、原因、治療について解説します。 ①チック症の診断基準(DSM-5) 運動性チックと音声チックの両方があり、その両方が1年以上みられる場合 これは、トゥレット症候群の診断基準にあたります。 運動性チックまたは音声チックの一方だけが1年以上みられる場合 これは、持続性(慢性)運動または音声チック症の診断基準にあたります。 運動性チックまたは音声チックがみられるが、持続期間が1年未満の場合 これは、暫定的チック症の診断基準にあたります。 共通の基準 チック症の発症は18歳以前であること。 症状が物質(例:コカイン)の生理学的作用や他の医学的疾患(例:ハンチントン病、ウイルス性脳炎)によるものではないこと。 注意点 チックの頻度は増減することがあります。 チック症は、一時的なものから、長期にわたるものまで、症状の重症度に幅があります。 症状はストレスや緊張などの状況によって悪化することがあります。 ②原因 遺伝的要因 家族歴: チック症やトゥレット症候群の家族歴がある場合、遺伝的要素が関与する可能性があります。 遺伝子: 特定の遺伝子変異がチック症のリスクを高める可能性が示唆されていますが、特定の遺伝子が直接的な原因であるとはまだ断定されていません。 神経生物学的要因 脳の構造と機能: 脳の特定の部分、特に大脳基底核がチック症の発症に関与している可能性が指摘されています。この領域は運動と行動の制御に重要な役割を果たしています。 神経伝達物質: ドーパミンなどの神経伝達物質の不均衡が、チックの発症に影響している可能性があります。 心理的・社会的要因 ストレス: 精神的ストレスがチックの発症や悪化に関与している可能性があります。 社会的環境: 家庭や学校でのストレスがチック症の症状を悪化させることがあります。 その他 薬剤: 一部の薬剤がチックを引き起こすことがあります。 ③治療 心理教育 情報提供: 患者本人と家族への教育が重要です。チック症の理解を深めることで、ストレスや不安を軽減し、症状の悪化を防ぐことができます。 認知行動療法 ハビット・リバーサル・トレーニング(HRT): チックの前触れを認識し、代替行動を行う訓練です。チックの衝動を抑えるためのテクニックを学びます。 露出反応妨害療法: 強迫的な行動や思考に対する治療法で、チックにも応用されることがあります。 薬物療法 抗精神病薬: チック症状の重い場合に処方されることがあります。これらの薬は、ドーパミン受容体の活動を抑制し、チックを軽減することができます。 非典型抗精神病薬: クロザピンやリスペリドンなど、副作用が少ないとされる薬剤も使用されることがあります。 他の薬剤: 抗不安薬や抗うつ薬がチックの併発症状の治療に用いられることもあります。 対症療法 リラクゼーション: ストレスがチックを悪化させるため、リラクゼーション技法やマインドフルネスなどによるストレスの管理が有効な場合があります。 生活環境の調整 学校や職場での適応を支援し、チックによる社会生活への影響を最小限に抑える取り組みも重要です。 これが知識としてのチックの情報です。 しかしチックは動作性の場合、どの動作ででるか、音声の場合も、どのような音声で出現するのか、が重要です。 年齢にもよって異なりますが、小学校、中学校でチック症状が出る場合、不自然な出方をすると学校での生活は非常に大変になることがあります。 からかわれたりすることがあれば、当然学校にいることはかなりのストレスになります。 治療として心理療法、認知行動療法などももちろん行いますが、学校での状況によっては薬物療法を早期に行うこともあります。 神経が勝手に刺激されるのを、内服を止めてくれる可能性があるからです。使いこなせるなら、一つの武器になります。 このあたりは、子どもであっても治療を受ける本人の意見を重視しています。 心的要因によって増悪因子がありそうな場合は、それを取り除くためのセラピーも同時に行います。 養育者の方が心配になりすぎると、そのことで本人の中の不安が強くなることもありますので、親子がそれぞれの立場で、やれることをやっていけるように サポートしていくことになります。 まとめ 今回はチックの原因、診断、治療について解説しました。 チックは小さい時は割とでやすいので、勝手によくなっていくことが多いですが、症状によっては集団生活で困っている可能性あります。 自分でコントロールしていくにしても、サポーターはいた方がいいと思いますので、うまく病院を使ってください。