2024.03.20ブログ
今回は、愛着の形成がうまくいかない場合、子ども側がもともと愛着のレセプターが弱い場合と、養育環境に基づく場合、がある、について解説します。
今回は、愛着の形成がうまくいかない場合、子ども側がもともと愛着のレセプターが弱い場合と、養育環境に基づく場合、がある、について解説します。 受診する子どもたちの中で、愛着形成になんらかの問題が生じている子は多いです。 しかし、それは大きく分けて、二つの原因があります。 ①一つは、生まれつき、本人の方の愛着を受け取る力が弱い場合 ②二つ目は、養育者との関係性の中で愛着形成に問題が生じた場合 です。 ①のケースは、自閉性スペクトラム障害、アスペルガー障害、広汎性発達障害、名前はどれでもいいのですが、とにかく対人相互性の障害が中核症状になる疾患の場合です。 対人相互性の障害があると、養育者との間で愛着形成がうまくいかないことがあります。 愛しているのに、愛が届いてないように見える、といった感じでしょうか。 養育者の方の中には、そのことで、自分の育て方に問題があったのではないかと悩んでいる方も多くいます。 生育歴上でも、人見知りがない、後追いがない、など母親以外の人であっても、あまり子どもの対応がかわらない、という形で表出します。 ②のケースは、具体的には境界性パーソナリティ障害(BPD)の原因となる、不認証環境がある場合、ということになります。 子ども側はもともと感受性が強く、そして養育者側は、BPD傾向があるとすると、子どもは常に養育者の顔色を見ながら生活することになります。 基本的には、子どもは、すべからく、安定した母親を望みます。もともと気がきく子どもであればなおさらです。 お母さんの調子が悪くならないように、子どもの方が態度を変えるわけです。 正しくほめてほらうことが少なければ、自己評価はどんどん下がっていきます。 この場合も、ある意味では、手のかからない子ども、だったという生育歴になるでしょう。 ①と②は、チェックシートだけとると、似たような生育歴になっていることがあります。 母親以外に預けても泣かないし、一人でも遊べるから、手がかからなかった、と語るかもしれません。 ですが、その本質はまったく異なるわけです。 ここを見余ると、その後の治療はすべて誤った仮説の上での治療になりますから、うまくいきません。 特に自閉性スペクトラム障害の程度が軽いと、対人層の障害をみつけにくくなるので、難易度が上がります。 生育歴をどこまで行間まで含めてとれるか、目の前に座っている子どもと養育者の関係から、過去を想像することができるか、このあたり治療者のセンスが問われるところです。 まとめ 今回は、愛着の形成がうまくいかない場合、子ども側がもともと愛着のレセプターが弱い場合と、養育環境に基づく場合、があるについて解説しました。 これは発達障害の知識と、精神分析的な知識、と経験が多少なりとも必要なテーマだと思います。 精神科の疾患は、とらえる側がどうとらえるかで、まったく見え方は変わってきます。 もちろん話す側の話し方も大事ですが、やはり治療者側が行間まで含めて読み取れることができるか、どれだけ想像することができるか、が重要でしょう。 同じケースを経験、もしくはみたり、聞いたりしたことがあるか、ということも大事です。