2024.06.06ブログ

今回は、児童精神科領域におけるTMS治療の選択肢について

今回は、児童精神科領域におけるTMS治療の選択肢について


当院ではTMS治療を行うことができます。

TMS治療がはじまって、かなり早い段階だか導入してので、多くの人に治療してきました。


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TMS治療(経頭蓋磁気刺激治療)は、特定の脳の部位に磁気パルスを送ることで神経細胞の活動を刺激し、さまざまな精神疾患や神経疾患の治療に用いられる非侵襲的な手法です。この治療は、うつ病や強迫性障害(OCD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、特定のタイプの頭痛など、薬物療法や他の治療法に反応しない患者に対して特に有効であると考えられています。

(1)TMS治療の原理

TMS治療は、コイルを患者の頭皮上に配置し、短い磁気パルスを脳に送ることにより行われます。これらの磁気パルスは、脳の表面近くの神経細胞の活動を直接刺激することができます。治療の目的は、脳の特定の領域の活動を調節し、症状の改善を図ることにあります。

(2)TMS治療の効果

うつ病: TMS治療は、特に抗うつ薬に反応しない重度のうつ病患者に対して効果を示すことがあります。いくつかの研究では、TMS治療がうつ病の症状を軽減させることが報告されています。
OCD(強迫性障害): OCDの治療においてもTMSが有効であるとの報告があります。特定の脳領域を標的とすることで、強迫思考や強迫行為の減少が見られることがあります。
その他の疾患: ADHDや特定のタイプの頭痛、さらには中絶症候群やうつ状態のある統合失調症患者に対しても、TMS治療が試みられています。

(3)TMS治療のプロセス

TMS治療は通常、外来患者ベースで行われ、1回のセッションは数分から数十分程度です。治療の全期間は数週間にわたり、週に数回のセッションが行われることが一般的です。治療は非侵襲的であり、麻酔は必要ありません。患者は治療中に目覚めた状態であり、治療後には通常の日常活動に戻ることができます。

(4)副作用

TMS治療の副作用は一般的に軽度で、治療部位の頭痛や頭皮の不快感、治療中の耳鳴りなどが報告されています。これらの副作用は通常、時間とともに減少または消失します。重大な副作用は稀ですが、発作のリスクが非常に低いながらも存在するため、適切な患者選定とモニタリングが重要です。
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児童精神科では、なんらかの症状があった時に、内服の副作用がでて使えない、内服はなるべく使いたくない、ということが成人外来に比べて多いかなと思います。

TMS治療がいい、といよりは、治療の選択肢は多い方がいいと、思っています。

精神科の症状は、基本複合的です。一個の原因でなりたっていることはほとんどないでしょう。

なんらかの診断がついたとしても、その診断の中に、今起きている問題のすべてを押し込むことは難しいでしょう。

それにもともと多くの診断が、スペクトラムとして捉えているところがあります。

診断基準としては、どこかで線をひいいて、診断がつく、つかない、とはしますが、多くの子が連続性の中にいます。常に症状は揺れ動いていますし、特定の診断のみに収まることの方が少ないです。


脳の活動も、調子が悪ければ基本的には低下してきます。

脳細胞の活性化は、何かをきっかけにしてやれた方がいい。それがTMSかもしれません。

内服もなんらかの神経伝達物質に作用するものが多いですが、それは一つのきっかけに過ぎないと思います。
脳は常に、もとの通常だった状態に戻ろうとする力が働いています。

子どもなら、それは大人よりも強いです。

進行性の疾患でない限り、元に戻ろうとする力を強めてあげればいいと思います。


カウンセリング、作業療法、栄養療法、どんな治療でもきっかけになるなら、使いこなせばいいと思います。


TMS治療の児童思春期領域での臨床データは少しずつですが、世界で発表されてきています。
今後日本からも発表されていくかもしれません。

すべての治療は使い方次第です。

少しでも早く良くなるために、TMS治療というものがあることも、知っておいてください。
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