2026.02.05ブログ
自律神経失調症とは?
自律神経失調症とは?
子ども・思春期にみられる不調と、その考え方・治療について
神奈川県厚木市・児童精神科専門クリニック きもとメンタルクリニック
自律神経失調症という言葉について
「自律神経失調症」は診断名として使われることもありますが、
実際の医療現場では、
はっきりした病気は見つからないものの、体調不良が続いている状態を説明するための言葉
として用いられることが多い概念です。
血液検査や画像検査で異常が見つからなくても、
本人にとっては「確かにつらい症状」が存在します。
自律神経の役割とは
自律神経は、私たちが意識しなくても体の状態を自動で調整してくれる神経の仕組みです。
大きく分けると次の2つがあります。
交感神経:動く・緊張する・集中する時に働く
副交感神経:休む・回復する・眠る時に働く
この2つが状況に応じて切り替わることで、
体は無理なく日常生活を送れています。
しかし、この切り替えがうまくいかなくなると、
「原因がはっきりしない不調」としてさまざまな症状が現れます。
子ども・思春期に多くみられる症状
成長期の子どもは、自律神経の調整機能がまだ安定しておらず、
環境の影響を受けやすい特徴があります。
体に出やすい症状
頭痛や腹痛を繰り返す
吐き気、食欲が出ない
めまい、立ちくらみ
動悸、息苦しさ
手足の冷え、多汗
疲れやすく、だるさが続く
微熱が続く感じがする
朝起きられず、午前中に特につらい
心の面でみられやすい変化
不安が強くなる
些細なことでイライラする
集中力が続かない
パニックのような症状
寝つきが悪い、眠りが浅い
なぜ自律神経が乱れるのか
原因は1つとは限らず、いくつかが重なっていることがほとんどです。
① 生活リズムの乱れ
夜型生活
スマホ・ゲームの長時間使用
休日と平日の睡眠差
朝食を取らない習慣
運動不足
② 学校や家庭でのストレス
勉強や成績へのプレッシャー
友人関係の悩み
部活動・習い事の負担
家庭環境の変化
③ 思春期特有の体の変化
思春期はホルモンの変動が大きく、
自律神経のバランスが崩れやすい時期です。
④ 発達特性との関係
ASDやADHDの特性がある場合、
感覚刺激に敏感
緊張が抜けにくい
対人関係で疲れやすい
といった状態が続き、
体が常に「頑張りすぎ」の状態になりやすくなります。
⑤ 不安や抑うつ状態の影響
心の負担が続くと、
自律神経を通して体の症状として表れることがあります。
「自律神経の問題」と決めつける前に大切なこと
まず重要なのは、他の病気が隠れていないかを確認することです。
症状によっては、
貧血
甲状腺の病気
低血糖
感染症
心臓のリズム異常
起立性調節障害(OD)
などを考慮する必要があります。
特に子どもでは、
「朝起きられない」「立ちくらみ」「午前中がつらい」
といった症状の背景に起立性調節障害が隠れていることも少なくありません。
治療の考え方(きもとメンタルクリニックの方針)
自律神経の不調は、
薬だけで短期間に改善させるものではありません。
生活・環境・心理面を整えながら、
必要に応じて薬を使う、という段階的な対応が基本です。
① 生活リズムの調整
自律神経を整えるうえで最も大切な土台です。
起きる時間を一定にする
朝の光を浴びる
少量でも朝食をとる
寝る前は刺激を減らす
無理のない運動を続ける
「完璧」を目指すより、
続けられる形を一緒に考えていきます。
② 環境や負担の調整
症状がある状態で無理を続けると、
さらに自律神経が乱れてしまいます。
学校との相談・配慮
刺激(音・光・人混み)への対応
予定を詰めすぎない工夫
③ 心理的なサポート
子どもの不調は、本人だけでなく周囲の関わり方も重要です。
不調を責めない
小さな「できた」を積み重ねる
不安が強い場合は心理的支援を検討
④ 薬によるサポート(必要な場合)
薬は「自律神経そのものを治す」ものではなく、
つらい症状を和らげる補助的な役割として使います。
睡眠の乱れ
強い不安や緊張
胃腸症状
頭痛
お子さんの場合は、少量から慎重に調整します。
ご家庭でできる工夫
朝:光を入れる、水を飲む
昼:短時間でも外に出る
夜:ぬるめの入浴、スマホを早めに切る
週:無理のない運動
一気に良くしようとせず、波を小さくしていくことが大切です。
受診を考える目安
頭痛や腹痛が続いている
朝起きられず学校に行けない
めまい・動悸が繰り返す
不安や気分の落ち込みが強い
家族としてどう関わればよいか悩んでいる
まとめ
自律神経失調症は「検査では説明できない不調」を整理するための言葉
子どもでは生活リズム・ストレス・思春期・発達特性などが影響しやすい
治療は生活・環境・心理面を整え、必要に応じて薬を併用
「怠け」ではなく、体の調整機能が疲れているサイン



