2023.05.22ブログ
安定すると、不安定になる
安定すると、不安定になる これもタイトルどおりなんですが、精神科に相談にくる方だけでなく、自分のプライベートの人間関係のなかでも、関係が安定すると、なぜか不安定になる人、いるのではないでしょうか。 例えば、男女がつきあっていたとして、非常に穏やかで満たされた生活になったのに、むしろどちらかが調子をくずしたりすることがあります。 男女だけでなくてもいいのですが、一番分かりやすい2者関係なので、想像しやすいと思います これは、不安定な養育者と向き合い続けてきた、子ども側の方に発生する現象です。 前にもいいましたが、子どもはすべからく安定した養育者(多くは母親)を望みます。 養育者が母親だとしたら、母親が一番いい状態になるように、自分の態度、言動、行動、を子ども側が子どもなりにコントロールしようとします。 未熟な母親であれば、かなり小さい時から、母子逆転現象がおきていることでしょう。 そのように相手に合わせて自分を変える、ということをし続けてて大人になってしまうと、不安定な相手と一緒にいることの方が日常になってしまいます。 すると、あまりにも安定した関係になると、むしろ違和感を感じ、自分の方が調子をくずしてしまうことがあります。そして、自らその安定した関係を破壊してしますのです。相手が安定するように行動できる人は、相手を不安定にするようにも行動ができるから、そのあたりは容易なわけです。 適度な距離感であれば、そうとういい感じの対人関係をとれるとは思いますが、ある一定の距離より近づいてしまうと、途端に関係性をうまく維持できなくなるのも同じパターンの方です。 不思議なものですが、2者関係が安定した時に発生する、いつか裏切られるのではないか、という見捨てられ不安をかかえている方が、安定した関係で生じるプラスの要素よりも強いということでしょう。足し引き-になるくらい、過剰な見捨てられ不安が自然発生していると思われます。 このあたりは本人も、なぜ、と不思議に感じている人もいると思います。なぜ2者関係が接近し安定すると、自分は無意味に不安定になるのか、論理的に説明できない無意味なこの不安はなんのか、相手が何もしたわけではないのになぜ見捨てれ不安がでるのか、一人で答えを見つけるのは結構難しい。 すべてがこの説明で説明できるわけではないですが、こういうこともあるよ、ということです。 自分で説明できない現象に、名前がつくだけでも扱いやすくなるものです。「見捨てられ不安」、「」で囲われるだけで物質化するように思います。 戦う相手は、見えないより見えていた方がいい、ということです。 加藤晃司