2026.02.27ブログ
境界性パーソナリティ障害とADHDは一緒に起こることがある?― 思春期・青年期での見分け方と治療の考え方 ―
境界性パーソナリティ障害とADHDは一緒に起こることがある?
― 思春期・青年期での見分け方と治療の考え方 ―
神奈川県厚木市の児童精神科専門クリニック
きもとメンタルクリニックです。
外来では、
「感情の起伏が激しい」
「衝動的な行動が止められない」
「対人関係が極端になりやすい」
「ADHDと言われたが、それだけではない気がする」
というご相談をいただくことがあります。
その中でしばしば話題になるのが
境界性パーソナリティ障害(BPD)とADHDの合併です。
実はこの2つは、症状が似ている部分が多く、
しかも一定の割合で併存(合併)することが知られています。
まずそれぞれの特徴を整理しましょう
■ ADHD(注意欠如・多動症)
主な特徴は
不注意(忘れ物・集中困難)
多動性(落ち着きのなさ)
衝動性(考える前に行動してしまう)
発達特性に基づく神経発達症で、
幼少期から傾向がみられることが多いです。
■ 境界性パーソナリティ障害(BPD)
思春期後半〜青年期に目立ってくることが多く、
見捨てられ不安が非常に強い
人間関係が「理想化」と「こき下ろし」で揺れやすい
感情の波が激しい
自傷や衝動的行動がある
空虚感が続く
といった特徴があります。
なぜ合併しやすいのか?
研究では、BPDの方の中にADHD特性を持つ人が一定数いることが示されています。
理由として考えられているのは:
① 共通する「衝動性」
どちらも衝動性が強く出ることがあります。
② 感情調整の弱さ
ADHDも実は「感情のブレーキ」が弱いことがあります。
BPDではさらにそれが強くなります。
③ 発達特性+環境要因
ADHDの子どもは、
叱られ体験が多い
対人トラブルが多い
自己評価が低くなりやすい
といった背景から、
思春期に対人不安や見捨てられ不安が強まり、
BPD様の症状へ発展するケースもあります。
症状が似ているため、見分けが難しいことも
症状 ADHD BPD
衝動性 〇 〇
感情の波 △(二次的に出る) ◎(中核症状)
対人不安 △ ◎
見捨てられ不安 × ◎
幼少期からの不注意 ◎ △
ポイントは、
ADHDは「注意と実行機能」の問題がベース
BPDは「対人関係と自己イメージ」の不安定さが中心
という違いです。
合併している場合の特徴
両方がある場合、
衝動性が非常に強い
感情爆発が起きやすい
自傷や過食、浪費などが起こりやすい
人間関係が極端になりやすい
しかし同時に忘れ物や段取りの悪さも目立つ
といった“混ざった症状”になります。
治療はどう考える?
合併している場合、治療は段階的に考えます。
① まず安全確保
自傷・自殺念慮がある場合は最優先で対応します。
② ADHD治療の導入
ADHD治療薬で
衝動性
実行機能
注意の安定
が改善すると、
感情の揺れが軽くなるケースがあります。
③ 心理療法が重要
BPDには
弁証法的行動療法(DBT)
感情調整トレーニング
対人スキル訓練
などが有効とされています。
特に思春期では、
家族支援も非常に重要です。
児童精神科で大切にしていること
きもとメンタルクリニックでは、
発達特性の評価
家族背景の理解
トラウマの有無
学校環境の確認
二次的うつ・不安の評価
を総合的に行い、
「ADHDだけなのか」
「BPD傾向が強いのか」
「両方あるのか」
を丁寧に見立てます。
こんな場合はご相談ください(厚木市周辺)
感情が爆発しやすい
見捨てられ不安が強い
自傷行為がある
ADHDと診断されたが対人トラブルが多すぎる
家族が対応に困っている
まとめ
境界性パーソナリティ障害とADHDは、
✔ 症状が似ている
✔ 一部で合併する
✔ 治療の順番と組み合わせが重要
という特徴があります。
正しく見立てることで、
「衝動」「感情の揺れ」「対人トラブル」は改善の可能性があります。
一人で抱え込まず、
専門的な評価を受けることが大切です。



