名古屋市千種区 児童精神科のカウンセリング・精神科・心療内科 名古屋市千種区 児童精神科のカウンセリング・精神科・心療内科 和光医院

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2026.07.22ブログ

体の症状の原因が精神疾患である場合がある——心と体のつながりを和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説

体の症状の原因が精神疾患である場合がある——心と体のつながりを和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説

「検査をしても異常が見つからない」「何度も小児科に連れて行くが原因不明」「頭痛・腹痛・めまいが続いているのに学校に行けない」「朝になると体の調子が悪くなる」——子どもの体の不調が、実は精神疾患や心理的な問題によって引き起こされているケースがあります。「気のせい」でも「仮病」でもなく、心の問題が実際に体に症状を生じさせるメカニズムが存在します。名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、体の症状の背景にある精神疾患・心理的問題・そのメカニズム・どこを受診すべきかまで、保護者の方にわかりやすく詳しく解説します。


目次

  1. 「体の症状が精神疾患から来る」とはどういうことか
  2. 心と体をつなぐメカニズム——なぜ心の問題が体に出るのか
  3. 【疾患別①】うつ病・抑うつ状態——体の症状が前景に出る
  4. 【疾患別②】不安症・パニック症——身体症状として現れる不安
  5. 【疾患別③】心身症——ストレスが体の疾患を引き起こす
  6. 【疾患別④】身体症状症——原因不明の体の症状が続く
  7. 【疾患別⑤】機能性神経症状症(転換症)——神経症状として現れる
  8. 【疾患別⑥】起立性調節障害(OD)——思春期の朝の不調
  9. 【疾患別⑦】PTSD・トラウマ——体の反応として現れる過去の傷
  10. 【疾患別⑧】ASD・ADHD——発達特性と身体症状の関係
  11. 「精神疾患から来る体の症状」を疑う8つのサイン
  12. 医療機関のはしご(ドクターショッピング)が起きるのはなぜか
  13. 子どもが「体の症状を訴える」背景を理解する
  14. 保護者・家族の関わり方
  15. 診断のプロセス——どこをどの順に受診するか
  16. 治療——精神科・心理・環境へのアプローチ
  17. よくある質問(FAQ)
  18. 和光医院での診療について

1. 「体の症状が精神疾患から来る」とはどういうことか

心と体は別々ではない

現代医学ではかつて「心」と「体」を別々の問題として扱う傾向がありましたが、神経科学・精神医学の発展により、心と体は深く連動していることが明らかになっています。

**「精神疾患から来る体の症状」**とは、以下のような状態を指します。

①うつ病・不安症などの精神疾患の一症状として体の症状が現れる ②ストレス・心理的な問題が体の疾患を引き起こす・悪化させる(心身症) ③精神疾患の影響で、器質的な異常がないのに体の症状が持続する(身体症状症) ④発達特性(ASD・ADHD)に関連した感覚過敏・自律神経の不安定さが体の症状として現れる

「気のせい」「仮病」ではない

重要な前提として、これらの体の症状は本物の苦痛です。「検査で異常がない=症状がない」ではありません。心理的な問題が神経系・ホルモン系・免疫系を介して体に実際の変化をもたらしていることが、科学的に証明されています。


2. 心と体をつなぐメカニズム——なぜ心の問題が体に出るのか

主な経路

①自律神経系(ANS)の乱れ 精神的なストレス・不安・抑うつは、交感神経と副交感神経のバランスを崩します。

  • 交感神経の過剰活性: 心拍数増加・血圧上昇・呼吸が速くなる・筋肉の緊張→頭痛・胸の圧迫感・手足のしびれ
  • 副交感神経の障害: 消化管の運動異常→腹痛・下痢・便秘・吐き気
  • 起立時の血圧調節不全: 思春期の起立性調節障害の背景

②HPA軸(視床下部—下垂体—副腎軸)の異常 慢性的な精神的ストレスはコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌パターンを変化させ、以下の身体的変化を引き起こします。

  • 睡眠障害(寝つけない・早朝覚醒)
  • 疲労感・倦怠感
  • 食欲の変化(過食または食欲不振)
  • 免疫機能の変化(感染症にかかりやすい)

③炎症反応 うつ病・トラウマ・慢性ストレスは炎症性サイトカインの産生を増加させ、慢性的な身体的疲労・痛みに関与します。

④中枢感作(Central Sensitization) 脳が痛みや不快感の信号を過剰に処理するようになる状態で、実際の刺激より強い痛みを感じます。慢性的な心理的ストレスによって生じやすくなります。

⑤身体化(Somatization) 言語化できない感情的苦痛が体の症状として表現される心理的プロセスです。特に子どもは感情を言葉で表現することが難しいため、体の症状として現れやすいです。


3. 【疾患別①】うつ病・抑うつ状態——体の症状が前景に出る

うつ病の体の症状

うつ病・抑うつ状態では、気分の落ち込みという精神症状より先に、あるいは同時に体の症状が前景に出ることがあります。特に子どもの場合、「悲しい・つらい」とは言わず、体の不調を訴えることが多いです。

うつ病に伴う主な体の症状:

睡眠の問題:

  • 寝つけない・夜中に目が覚める(不眠)
  • 朝起きられない(過眠)
  • 起きても体が重い・疲れが取れない感覚

消化器症状:

  • 食欲低下・体重減少
  • 胃もたれ・吐き気
  • 腹痛・下痢・便秘

疼痛(痛み):

  • 頭痛(緊張型・慢性的)
  • 肩こり・首のこり・背中の痛み
  • 全身の筋肉痛
  • 原因不明の胸の痛み

エネルギーの低下:

  • 強い疲労感・倦怠感(何もしていないのに疲れる)
  • 集中力・記憶力の低下

子どものうつ病と身体症状

子ども・思春期のうつ病では、成人と比べて以下の特徴があります。

  • 「悲しい・つらい」より「体が痛い」という訴えが多い
  • 登校前に頭痛・腹痛が繰り返される(登校回避型うつ)
  • 「学校が嫌なだけ」「怠けている」と誤解されやすい
  • 夜は元気に見えるが朝・午前中は体調が悪い

4. 【疾患別②】不安症・パニック症——身体症状として現れる不安

不安の体への影響

不安は精神的な体験であると同時に、非常に強力な身体的反応を引き起こします。

全般性不安症(GAD)の身体症状:

  • 筋肉の緊張・こり
  • 疲れやすさ
  • 集中困難
  • 睡眠障害
  • 頭痛

社交不安症の身体症状:

  • 人前での発汗・手の震え
  • 顔が赤くなる(赤面)
  • 動悸・心拍の増加
  • 声が震える
  • 胃の不快感

パニック症・パニック発作の身体症状: パニック発作は突然発症する強烈な身体症状で、心臓発作・呼吸困難・脳の病気と間違えられることが非常に多い疾患です。

  • 激しい動悸・心臓がドキドキする
  • 息苦しさ・窒息感
  • 胸の痛み・圧迫感
  • めまい・ふらつき・失神感
  • 手足のしびれ・感覚異常
  • 「死ぬかもしれない」という強烈な恐怖感
  • 発汗・震え

**パニック発作は10〜20分でピークに達し自然に治まります。**しかし本人はこの発作を「心臓病」「脳の病気」と感じるため、救急受診・循環器科・神経内科への受診を繰り返すことがあります。

子どもの不安と身体症状

分離不安症: 親から離れることへの強い不安が、「お腹が痛い・頭が痛い」という形で登校前に現れます。家では元気なのに学校に行く時間になると体調が悪くなるパターンが典型的です。


5. 【疾患別③】心身症——ストレスが体の疾患を引き起こす

心身症の定義

**心身症(Psychosomatic Disorder)**は、発症や経過に心理社会的因子(ストレス・心理的問題・対人関係の困難等)が密接に関与している身体疾患です。

子どもに多い心身症の例

消化器系:

  • 過敏性腸症候群(IBS):腹痛+下痢・便秘の繰り返し
  • 機能性ディスペプシア:胃もたれ・食欲不振
  • 反復性腹痛:特定の状況(登校前・試験前)で繰り返す腹痛

神経系:

  • 緊張型頭痛:精神的緊張・ストレスで悪化する頭痛
  • 片頭痛:ストレスが誘発因子

皮膚:

  • 蕁麻疹:ストレスで出現・悪化する
  • アトピー性皮膚炎の悪化:精神的ストレスで皮膚症状が増悪

呼吸器:

  • 気管支喘息の悪化:感情的なストレスで発作が誘発される

6. 【疾患別④】身体症状症——原因不明の体の症状が続く

身体症状症とは

**身体症状症(Somatic Symptom Disorder:SSD)**は、DSM-5(精神疾患の診断基準)に収載された疾患で、以下の特徴を持ちます。

診断の特徴:

  • 1つ以上の苦痛を伴う、または日常生活を妨げる身体症状
  • 身体症状や健康への不安に関連した過剰な思考・感情・行動
  • 持続的な身体症状(通常6ヶ月以上)

症状の特徴

  • 痛み(頭痛・腹痛・背部痛・全身の痛み)
  • 疲労感・倦怠感
  • 様々な部位の不快感

重要な点は、医学的検査で原因が見つからないだけでなく、原因が部分的にわかった身体疾患があっても、症状の程度や期間が身体的な所見では説明できない場合も含まれることです。

健康不安症(病気不安症)

病気への強い不安(「がんではないか」「重篤な病気があるのではないか」)が持続し、身体症状がほとんどない場合でも深刻な心配が続く状態です。繰り返す検査・医療機関受診につながります。


7. 【疾患別⑤】機能性神経症状症(転換症)——神経症状として現れる

機能性神経症状症とは

**機能性神経症状症(Functional Neurological Symptom Disorder)**は、かつて「転換症(Conversion Disorder)」と呼ばれていた状態で、神経学的な器質的異常がないのに、神経学的な症状が出現する疾患です。

症状の特徴

  • 四肢の脱力・麻痺(動かせなくなる)
  • けいれん発作様の症状(てんかんとの鑑別が必要)
  • 歩行困難・バランス障害
  • 失声・声が出なくなる
  • 視力障害・失明様症状
  • 感覚消失・しびれ

特徴:

  • 症状は本人の意志でコントロールできない(演技・仮病ではない)
  • 強いストレス・心理的葛藤が引き金になることが多い
  • 症状が突然起きる・突然改善することがある

子どもへの影響

思春期(特に女子)に多く見られます。強いストレス・トラウマの後に発症することが多く、適切な心理的サポートと環境調整が治療の中心です。


8. 【疾患別⑥】起立性調節障害(OD)——思春期の朝の不調

起立性調節障害とは

**起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)**は、自律神経の機能不全により起立時の血圧・心拍調節が正常に機能しない状態です。

主な症状:

  • 朝起きられない・午前中は体調が特に悪い
  • 立ちくらみ・めまい
  • 頭痛
  • 動悸
  • 倦怠感・疲れやすさ
  • 腹痛・食欲不振

心理的問題との関係

ODは自律神経の機能的な問題(身体的な問題)ですが、精神的なストレス・不安・抑うつと深く関連しています。

  • 学校のストレス・対人関係の問題がODを悪化させる
  • ODによる長期欠席が抑うつ・引きこもりにつながる
  • 不登校の背景にODがあることも・ODの背景に精神的問題があることも

「怠けている・サボっている」という誤解

ODの子どもは「朝だけ具合が悪い・午後から元気になる」という特徴があります。これは症状のパターンであり、本人の意志の問題ではありません。しかし保護者・学校から「怠け」と誤解されることが非常に多く、子どものさらなる精神的苦痛の原因になります。


9. 【疾患別⑦】PTSD・トラウマ——体の反応として現れる過去の傷

トラウマと体の症状

心的外傷後ストレス障害(PTSD)・複雑性PTSD・発達性トラウマでは、以下の体の症状が生じます。

過覚醒(ハイパービジランス)による身体症状:

  • 常に体が緊張している
  • 睡眠障害(寝つけない・悪夢で目が覚める)
  • 驚きやすい・些細な刺激で体がビクッとなる
  • 動悸・息苦しさ

解離による体の症状:

  • 身体の感覚が薄くなる・遠い感じがする
  • 痛みをほとんど感じない(または過剰に感じる)
  • フラッシュバック時の体の反応(心拍増加・発汗・震え)

慢性的なストレス反応による身体症状:

  • 慢性的な疲労感
  • 慢性疼痛(頭痛・腹痛・全身の痛み)
  • 消化器症状

虐待・家庭内暴力との関係

虐待・ネグレクト・家庭内暴力(面前DV含む)を経験した子どもでは、慢性的なトラウマ反応が体の症状として現れることが多く、原因不明の身体症状として小児科・内科を受診し続けるケースがあります。


10. 【疾患別⑧】ASD・ADHD——発達特性と身体症状の関係

ASD(自閉スペクトラム症)と体の症状

感覚過敏・感覚鈍麻: ASDでは感覚処理の特異性から、以下が生じることがあります。

  • 感覚過敏: 光・音・触感・においへの過敏→頭痛・吐き気・不快感として現れる
  • 消化器の感覚過敏: 腹痛・食欲不振として現れる
  • 痛みの感覚異常: 痛みを感じにくい(自傷の発見が遅れる)または過剰に感じる

慢性的なストレスによる身体化: ASDの子どもは、社会的な環境(学校・友人関係・感覚刺激)への適応に大きな心理的エネルギーを消費します。この慢性的な過負荷が、身体症状(疲労感・頭痛・腹痛)として現れます。

ADHD(注意欠如多動症)と体の症状

  • 睡眠障害(寝つきが悪い・眠りが浅い):ADHDに非常に多い
  • 慢性的な疲労感(睡眠不足から)
  • 頭痛(集中に過剰な努力を要する緊張から)
  • 消化器症状(感情調節の困難さ・衝動性から来るストレス反応)

11. 「精神疾患から来る体の症状」を疑う8つのサイン

以下のサインが複数当てはまる場合、体の症状の背景に精神疾患・心理的問題がある可能性を考慮する必要があります。

✅ サイン①「検査で異常なし」が繰り返される

複数の医療機関を受診し、様々な検査を受けているが「異常がない」という結果が続いている。

✅ サイン②「特定の状況・時間帯と症状が連動している」

月曜日の朝・登校前・試験前・特定の人間関係のストレスがある時期に症状が悪化する。休日・長期休暇は比較的楽。

✅ サイン③「症状が複数・移り変わる」

頭痛→腹痛→めまい→倦怠感というように、症状の種類・部位が変化する。

✅ サイン④「症状が学校・社会参加を妨げている」

体の症状のために不登校・外出困難・対人関係の回避が生じている。

✅ サイン⑤「睡眠・食欲・気分の変化を合わせて持っている」

体の症状に加えて、睡眠の乱れ・食欲の変化・気分の落ち込み・意欲の低下が合わさっている。

✅ サイン⑥「ストレスイベント後から始まった」

いじめ・転校・家族の変化・受験・友人関係のトラブル等の後から体の症状が始まった。

✅ サイン⑦「本人が感情・ストレスを言語化しにくい」

「どこが辛いの?」と聞いても「わからない」「ただ体が痛い」としか言えない。自分のストレスの原因を認識・言語化することが難しい。

✅ サイン⑧「発達特性・精神疾患の既往がある」

ASD・ADHD・不安症・うつ病等の診断歴・疑いがある子どもでの原因不明の身体症状。


12. 医療機関のはしご(ドクターショッピング)が起きるのはなぜか

典型的な経緯

  1. 頭痛・腹痛・疲労感等の症状が出現
  2. まず小児科・内科を受診→検査で異常なし
  3. 「異常がないのに治らない」→別の科を受診(神経内科・消化器科・整形外科等)
  4. さらに専門的な検査(MRI・内視鏡等)→「異常なし」
  5. 複数の医療機関を転々としても症状が改善せず
  6. 数ヶ月〜1年以上経過してから「精神的な問題かもしれない」という視点が生まれる

この経緯が起きる理由

  • 「体の症状は体の問題」という先入観
  • 精神疾患への偏見・スティグマ: 「精神科を受診する=おかしい」という誤解
  • 小児科・内科での心理的評価の限界

この経緯が引き起こす問題

  • 多数の検査・受診による費用・時間の消耗
  • 子どもの長期欠席・社会的孤立の深刻化
  • 「異常がないと言われるのに治らない」という無力感・二次的な抑うつ
  • 本来の精神疾患の治療開始が遅れる

13. 子どもが「体の症状を訴える」背景を理解する

なぜ子どもは体の症状を訴えるのか

①感情の言語化能力が未発達 子ども(特に年少の子ども・ASD傾向のある子ども)は、自分の感情的な苦しさを正確に言葉で伝えることが難しいです。「学校が怖い・つらい・友達関係が苦しい」という気持ちが、言葉より先に「お腹が痛い・頭が痛い」という体の訴えとして出てきます。

②「体が痛い」は受け入れてもらいやすい 「学校に行きたくない」と言うと叱られる・困らせてしまうという感覚から、「体が痛い」という訴えの方が受け入れてもらいやすいと(意識的にではなく)感じているケースがあります。

③体の症状は本物 体の症状を「仮病」と疑うことは誤りです。心理的な問題が引き起こす体の痛み・不快感は、本人にとって本物の苦痛です。


14. 保護者・家族の関わり方

避けるべき関わり方

❌「仮病でしょ」「気のせいでしょ」と言う 体の症状は本物です。否定されることで子どもは深い孤立感を感じます。

❌「検査で何も出なかったから大丈夫」と伝える 「異常なし=問題なし」ではありません。

❌「根性で学校に行きなさい」と強制する 精神疾患に起因する身体症状に対して「気合い」で対処させることは、症状の悪化につながります。

❌ 症状に過剰に反応する 「また痛いの?大丈夫?」と過剰に心配し続けることで、症状が強化されることがあります。

大切な関わり方

✅ 体の症状を受け止めながら感情に目を向ける 「お腹が痛いんだね。それはつらいね」と症状を認めながら、「最近何か心配なことある?」と感情にも目を向ける対話を大切にします。

✅「なぜ体が痛いのか」より「この子に何が起きているのか」 症状の原因を追及するより、子どもがどんな状況に置かれているか・何を必要としているかに関心を向けます。

✅ 専門家(児童精神科)への早めの相談 「体の症状が続いているのに原因が見つからない」という状況が数週間以上続いている場合は、児童精神科への相談を早めに検討してください。


15. 診断のプロセス——どこをどの順に受診するか

ステップ1:まず身体的な評価(小児科・内科)

体の症状がある場合、まず小児科・内科で器質的な疾患の除外が必要です。「検査で異常なし」という結果は、精神科的評価が必要なサインのひとつです。

ステップ2:精神科的評価(児童精神科)

以下の場合に児童精神科への相談を検討してください。

  • 複数の医療機関・検査で「異常なし」と言われたが症状が続く
  • 体の症状が学校生活・日常生活への参加を妨げている
  • 気分・睡眠・食欲・意欲にも変化がある
  • ストレスイベント・発達特性との関連が疑われる

並行した評価が必要な場合

起立性調節障害のように、身体的な問題と心理的な問題が並行して存在することがあります。この場合は小児科と児童精神科が連携して治療を進めることが重要です。


16. 治療——精神科・心理・環境へのアプローチ

心理療法

認知行動療法(CBT): 体の症状への認知・行動のパターンを変える治療法です。「体が痛い→学校に行けない→孤立→ストレス増加→さらに体が痛い」という悪循環を断ち切ることを目指します。

リラクゼーション技法: 腹式呼吸・筋弛緩法・マインドフルネスが自律神経の安定化・ストレス反応の軽減に役立ちます。

遊戯療法・表現療法: 言語化が難しい年少の子どもには、絵・遊び・身体表現を通じた心理的サポートが有効です。

薬物療法

背景にある精神疾患(うつ病・不安症等)への薬物療法が身体症状の改善につながることがあります。SSRI・睡眠薬等が使用されます。薬物療法は心理療法・環境調整との組み合わせが基本です。

環境調整

「体の症状を引き起こしているストレス源」を軽減することが最も根本的な治療です。

  • 学校でのいじめ・人間関係問題への介入
  • 学業・課外活動の負荷の調整
  • 家庭内のストレス要因の軽減
  • 学校との連携(保健室登校・配慮の申請等)

起立性調節障害への対応

  • 水分・塩分の十分な摂取
  • 急に立ち上がらない生活の工夫
  • 弾性ストッキング
  • 薬物療法(ミドドリン・メトリジン等)
  • 適度な運動療法

17. よくある質問(FAQ)

Q. 体の症状があるのに「精神科に行ってください」と言われました。体は関係ないのですか?

A. 体は大いに関係しています。「精神科を勧める=体の症状が嘘・気のせい」ではありません。心と体は深く連動しており、精神科的な問題が実際に体の症状を引き起こします。精神科での治療が体の症状の改善につながることが多くあります。

Q. 「検査で異常なし」と言われましたが、それだけで精神科の問題と断定されましたか?

A. 「検査で異常なし」はあくまで「今行った検査の範囲では身体的な異常は見つからなかった」という意味です。精神科的な診断には詳細な評価が必要であり、単に「異常なし=精神的なもの」という短絡的な判断は問題があります。児童精神科では心理的な背景・発達特性・家族状況等を含む包括的な評価を行います。

Q. 子どもが「体が痛い」と言っています。仮病ではないですか?

A. 仮病(意識的に症状を作り出すこと)と、心理的な問題が引き起こす本物の身体症状は異なります。後者は子ども自身も本当に苦しんでいます。「仮病かどうか」を見極めようとするより、「この子に何が起きているのか」という視点でアプローチすることが大切です。

Q. 体の症状の原因が精神疾患だとわかった場合、どのくらいで改善しますか?

A. 背景にある精神疾患の種類・重症度・環境要因・治療開始時期によって大きく異なります。早期に適切な介入が行われた場合は数ヶ月で改善することもありますが、慢性化した場合は長期的な支援が必要なこともあります。「早期相談・早期介入」が回復を大きく左右します。


18. 和光医院での診療について

名古屋市千種区にある和光医院は、児童精神科を専門とするクリニックです。体の症状の背景にある精神疾患・発達特性・心理的問題の評価と治療に専門的に対応しています。

当院が大切にしていること

「体が痛いのに原因がわからない」「検査で異常なしと言われたが子どもは本当に苦しんでいる」——そのような状況に置かれた子どもと保護者の方の苦しさを、まず丁寧に受け止めることから始めます。

当院での対応内容

  • 原因不明の身体症状の背景にある精神疾患の評価・診断
  • うつ病・不安症・パニック症・身体症状症の診断・治療
  • 心身症・起立性調節障害の心理的側面への評価・支援
  • ASD・ADHDの評価・診断(身体症状との関連)
  • PTSD・トラウマに関連した身体症状の評価・治療
  • 認知行動療法(CBT)・リラクゼーション指導
  • 薬物療法(SSRI・睡眠薬等)
  • 保護者への心理教育・サポート
  • 学校・支援機関との連携

こんな方はぜひご相談ください

  • 検査で異常がないのに体の症状が続いている
  • 複数の医療機関を受診したが原因がわからない
  • 体の症状で学校に行けなくなっている
  • 月曜日・登校前に頭痛・腹痛が出る
  • ASD・ADHDがあり体の症状も気になる
  • ストレスイベント後から体の不調が始まった
  • 精神疾患と体の症状の関係を専門的に評価してほしい

「体の症状なのに精神科?」という違和感はよく理解できます。しかし心と体はひとつながりです。「体の症状が続いていて困っている」という状況自体が、ご相談の十分な理由です。本人が来られない場合も、保護者だけのご相談から始めることができます。


まとめ

  • 体の症状の原因が精神疾患・心理的問題にある場合があります。これは「気のせい」「仮病」ではなく、心と体の深いつながりによるものです
  • 自律神経系・HPA軸・炎症反応・中枢感作・身体化というメカニズムで、精神的問題が体に実際の症状をもたらします
  • うつ病・不安症・パニック症・心身症・身体症状症・機能性神経症状症・PTSD・ASD/ADHDなど様々な精神疾患が体の症状として現れます
  • 「検査で異常なし」「特定の状況と症状が連動」「症状が移り変わる」「ストレスイベント後から始まった」などが精神科的問題を疑うサインです
  • 「体の症状があっても精神科へ」という視点の転換が、長期化する苦しみを解決する鍵です
  • 早めの児童精神科への相談が、子どもの回復を大きく助けます

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  • 医療情報の活用について:当院では、安心な医療を提供する為、オンライン資格確認や電子処方箋データ等の情報を活用して診療を行っています。