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2026.07.25ブログ

過食嘔吐(神経性過食症)の診断と治療——正しい理解と回復への道を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説

過食嘔吐(神経性過食症)の診断と治療——正しい理解と回復への道を和光医院(名古屋市千種区・児童精神科)が詳しく解説

「食べてしまったら吐かないといられない」「過食が止まらない」「こっそり隠れて食べては吐くことを繰り返している」「自分でもおかしいとわかっているのにやめられない」——過食嘔吐は、本人が最も苦しんでいながら、周囲に気づかれにくく・誰にも言えずに一人で抱え込みやすい疾患です。「意志が弱いから」「食べることに執着しすぎているから」ではなく、脳と心の複雑な問題が絡み合った医学的な疾患です。名古屋市千種区の児童精神科専門クリニック・和光医院が、過食嘔吐の正確な診断・治療・回復への道のりについて、本人・保護者の方にわかりやすく詳しく解説します。

※この記事は摂食障害(過食嘔吐)について正確な情報を伝えるために書かれています。もし今、過食嘔吐で一人で苦しんでいる方がいたら、一人で抱え込まずに専門家に相談してください。


目次

  1. 過食嘔吐とは何か——正しい理解のために
  2. 過食嘔吐が起きるメカニズム——なぜやめられないのか
  3. 神経性過食症の診断基準(DSM-5)
  4. 神経性過食症と神経性やせ症の違い
  5. 過食嘔吐が身体に与える影響
  6. 過食嘔吐が起きやすい背景——心理的・社会的要因
  7. 過食嘔吐と合併しやすい精神疾患
  8. 診断のプロセス——受診から診断まで
  9. 【治療①】認知行動療法(CBT-E)——最もエビデンスのある心理療法
  10. 【治療②】対人関係療法(IPT)
  11. 【治療③】薬物療法
  12. 【治療④】栄養指導・食行動の正常化
  13. 回復の経過——回復はどのように進むか
  14. 保護者・家族ができること
  15. 「受診するのが怖い」という方へ
  16. よくある質問(FAQ)
  17. 和光医院での診療について

1. 過食嘔吐とは何か——正しい理解のために

医学的な定義

過食嘔吐は、**神経性過食症(Bulimia Nervosa:BN)または過食性障害(Binge Eating Disorder:BED)**の主要な症状です。

**神経性過食症(BN)**は、繰り返す過食エピソード(短時間に大量の食べ物を食べること)と、体重増加を防ごうとする不適切な代償行動(嘔吐・下剤使用・過度な運動等)が組み合わさった状態です。

「過食嘔吐」は「意志の問題」ではない

多くの患者さんが「やめたいのにやめられない」「弱い自分が悪い」と自分を責め続けています。しかし過食嘔吐は脳の報酬回路・ストレス応答システム・食欲調節ホルモン等が複雑に関与する医学的な疾患です。意志力だけでコントロールできる問題ではなく、適切な医療的介入が必要です。

有病率と好発年齢

神経性過食症の生涯有病率は女性の約1〜3%、男性の約0.1〜0.5%とされています。10代後半〜20代に最も多く、特に思春期女性での発症が多いですが、男性・小学生・成人でも発症します。


2. 過食嘔吐が起きるメカニズム——なぜやめられないのか

過食嘔吐の悪循環

過食嘔吐は一度始まると、以下のような悪循環に陥りやすいことが医学的に明らかになっています。

①ストレス・感情的苦痛→過食の衝動 不安・抑うつ・孤独感・怒り・退屈などの不快な感情が引き金(トリガー)となって過食が始まります。食べることが一時的な感情のなだめになります。

②過食→罪悪感・嫌悪感・体重増加への恐怖 食べた後に「こんなに食べてしまった」「太ってしまう」という強烈な罪悪感・恐怖が生じます。

③嘔吐・代償行動→一時的な安堵 嘔吐・下剤・運動等によって「出した・消した」という一時的な安堵感が得られます。

④制限・絶食→飢餓状態→再び過食の衝動 嘔吐後の罪悪感から食事を制限(絶食)しようとしますが、身体的・心理的な飢餓状態が再び過食の衝動を強めます。

この悪循環が繰り返されることで、過食嘔吐は「習慣化・慢性化」していきます。

脳科学的なメカニズム

ドーパミン報酬系の関与: 過食によって脳のドーパミン報酬回路が活性化され、「快感・安堵」が生じます。この報酬学習が過食行動を強化します。

セロトニン系の関与: セロトニン(気分・衝動・食欲調節に関わる神経伝達物質)の機能異常が神経性過食症の背景にあることが研究で示されています。これが、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が治療に使用される根拠のひとつです。

ストレスホルモン(コルチゾール): 慢性的なストレスによるコルチゾール高値が食欲・食行動の調節を乱す一因となります。


3. 神経性過食症の診断基準(DSM-5)

DSM-5(米国精神医学会診断統計マニュアル第5版)による神経性過食症の診断基準は以下の通りです。

A. 繰り返す過食エピソード 過食エピソードは以下の両方によって特徴づけられる。 ①ある一定の時間(例:2時間以内)に、ほとんどの人が同様の状況で同様の時間内に食べる量よりも明らかに多い量の食べ物を食べる ②エピソードの間は、食べることに対するコントロールの感覚の欠如(例:食べるのを止められない、または何を・どのくらい食べているかをコントロールできないという感覚)

B. 体重増加を防ぐための繰り返す不適切な代償行動 (自己誘発性嘔吐・下剤・利尿薬・浣腸・その他の薬物の乱用、絶食、または過度の運動など)

C. 過食と不適切な代償行動の両方が、平均して少なくとも3か月間、週に1回は起こっている

D. 自己評価が体型および体重によって不当に左右されている

E. その障害は神経性やせ症のエピソードの期間中にのみ起こるものではない

重症度の分類(DSM-5)

重症度 不適切な代償行動の頻度(週)
軽症 1〜3回
中等症 4〜7回
重症 8〜13回
最重症 14回以上

4. 神経性過食症と神経性やせ症の違い

摂食障害には複数のタイプがあり、混同されやすいですが、異なる疾患です。

比較 神経性過食症(BN) 神経性やせ症(AN)
体重 標準体重または標準以上が多い 低体重(BMI 17.5未満が目安)
主な行動 過食+嘔吐(代償行動) 極端な食事制限(制限型)または過食嘔吐型
身体への影響 電解質異常・歯のダメージ等 低栄養・臓器障害・骨粗しょう症等
緊急性 高い(代償行動の影響) 非常に高い(生命の危険)
治療の中心 心理療法(CBT-E)・薬物療法 栄養補給・体重回復・心理療法

重要: 神経性やせ症は摂食障害の中で最も死亡率が高い精神疾患のひとつです。低体重・急速な体重減少が見られる場合は特に緊急の医療的評価が必要です。


5. 過食嘔吐が身体に与える影響

過食嘔吐は「精神的な問題だけ」ではなく、身体に深刻な影響を与えます。

電解質異常(最も危険)

繰り返す嘔吐により、胃酸(塩酸)が失われ、低カリウム血症・低クロール血症・代謝性アルカローシスが生じます。

  • 低カリウム血症: 筋力低下・不整脈(最悪の場合、致死的な心停止)・腎機能障害
  • 重症の電解質異常は生命に関わる緊急事態です

消化器への影響

  • 食道の損傷・逆流性食道炎
  • 胃の拡張・まれに胃破裂(大量過食時)
  • 下剤乱用による腸機能障害・便秘の慢性化

口腔・歯への影響

  • 胃酸による歯のエナメル質の溶解→虫歯・歯の変色・知覚過敏
  • 唾液腺(特に耳下腺)の腫脹

皮膚・外見への影響

  • 手の甲のたこ(ラッセル徴候):嘔吐誘発のために手を口に入れることで生じる
  • 顔のむくみ(唾液腺腫脹による)

ホルモン・月経への影響

  • 月経不順・無月経(体重が標準範囲内でも生じることがある)
  • ホルモンバランスの乱れ

精神的影響

  • 過食嘔吐の秘密を抱えることによる慢性的な不安・罪悪感
  • 社会的孤立(過食嘔吐を隠すために行動を制限する)

6. 過食嘔吐が起きやすい背景——心理的・社会的要因

過食嘔吐は単一の原因ではなく、多くの要因が複合的に絡み合っています。

心理的要因

  • 完璧主義・高い自己批判: 「もっと痩せなければならない」「失敗してはいけない」という思考パターン
  • 感情調節の困難さ: 不快な感情(不安・怒り・悲しみ)を言語化・処理する代わりに食行動で対処
  • 低い自己評価・自己嫌悪: 「自分には価値がない」という信念が体型・体重へのコントロールに向かう
  • トラウマ体験: 虐待・いじめ・性的被害等のトラウマが摂食障害のリスク因子

社会・文化的要因

  • やせ礼賛の文化: SNS・メディアによる「細い体が美しい」という価値観への過剰な暴露
  • ダイエット文化: 食事制限の試み→反動としての過食というパターン
  • 外見への批判・からかい: 体型についてのコメント・いじめが摂食障害の引き金になることがある

家族・環境的要因

  • 家族の食事・体型・ダイエットへの過度な関心
  • 家庭内の葛藤・コミュニケーションの問題
  • 親の摂食障害・精神疾患の既往

生物学的要因

  • セロトニン・ドーパミン等の神経伝達物質の機能異常
  • 遺伝的素因(摂食障害には遺伝的要素がある)
  • 思春期のホルモン変化

7. 過食嘔吐と合併しやすい精神疾患

神経性過食症は単独で存在することは少なく、他の精神疾患との合併が非常に多いです。合併疾患への同時対応が治療の鍵となります。

うつ病・抑うつ状態(最も多い合併)

神経性過食症患者の約50〜70%にうつ病・抑うつ状態が合併するとされています。うつ病の治療(SSRI・心理療法)が過食嘔吐の改善にもつながることがあります。

不安症

全般性不安症・社交不安症・強迫症(OCD)との合併が多く見られます。「太ることへの恐怖」が過食嘔吐を維持する主要な認知のひとつです。

PTSD・トラウマ関連疾患

虐待・性被害等のトラウマを持つ方に摂食障害が多く見られます。過食嘔吐がトラウマによる感情的苦痛への対処手段として機能していることがあります。

境界性パーソナリティ障害(BPD)

衝動性・感情の不安定さが共通しており、BPDと神経性過食症の合併が見られます。

物質使用障害(アルコール・薬物)

衝動制御の困難さ・感情調節の問題を共通の基盤として、物質使用障害との合併が見られます。

ASD・ADHD

発達特性を持つ方に摂食障害が合併することがあります。ADHDの衝動性が過食に関与することや、ASDの感覚過敏・こだわりが食行動の問題として現れることがあります。


8. 診断のプロセス——受診から診断まで

受診前の準備

受診の際に以下の情報を整理しておくとスムーズです。

  • 過食・嘔吐がいつ頃から始まったか
  • 過食・嘔吐の頻度(週に何回程度か)
  • 過食のタイミング・引き金になる状況
  • 嘔吐以外の代償行動(下剤・運動等)の有無
  • 現在の体重・身長(最近の変化)
  • 月経の状態
  • 睡眠・気分・日常生活への影響
  • 現在内服中の薬

精神科的評価

問診: 食行動の詳細・体型・体重への認知・感情・生活状況・家族背景・トラウマ歴・精神科的既往歴を聴取します。

心理検査: 必要に応じて抑うつ・不安・摂食障害に特化した評価尺度(EDE-Q・EDI等)を使用します。

合併疾患の評価: うつ病・不安症・PTSD・発達障害等の評価を並行して行います。

身体的評価(内科的検査)

過食嘔吐が身体に与える影響を評価するため、以下の検査が重要です。

血液検査:

  • 電解質(カリウム・ナトリウム・クロール・重炭酸)
  • 肝機能・腎機能
  • 血糖・甲状腺機能
  • 貧血の評価

心電図: 低カリウム血症による不整脈のリスク評価

体重・BMI・バイタルサインの評価

これらの身体的評価が必要な場合は、内科・小児科と連携して検査を実施します。


9. 【治療①】認知行動療法(CBT-E)——最もエビデンスのある心理療法

CBT-Eとは

**CBT-E(Enhanced Cognitive Behavioural Therapy:強化版認知行動療法)**は、神経性過食症・摂食障害に特化して開発された認知行動療法で、現在最もエビデンス(科学的根拠)が確立した心理療法です。

英国のクリストファー・フェアバーン(Christopher Fairburn)教授によって開発され、世界的な標準治療として推奨されています。

CBT-Eで扱う主な内容

①過食嘔吐の悪循環を理解する 患者自身が「なぜ過食嘔吐が起きているのか」というメカニズムを図式化して理解します(個人の「定式化」)。

②食行動の正常化 規則正しい食事パターンの確立(1日3食+適切な間食)。過食の引き金となる「制限・絶食」を減らすことが目標です。

③過食・嘔吐のモニタリング 食事記録を用いて、過食が起きる状況・感情・思考のパターンを記録・分析します。

④認知の修正 体型・体重への歪んだ認知(「1kgでも太ったら全てが終わり」等)と向き合い、現実的な思考に修正します。

⑤感情調節スキル 過食の引き金となる不快感情への対処スキルを学びます。過食以外の方法で感情を調節する練習をします。

⑥再発防止 回復を維持するための計画を立て、将来の困難に備えます。

治療の期間と効果

標準的なCBT-Eは**週1回・20回程度(約5ヶ月)**のセッションで行われます。研究では、CBT-Eを受けた患者の約50〜60%で過食嘔吐が著明に改善するとされています。


10. 【治療②】対人関係療法(IPT)

IPTとは

**対人関係療法(Interpersonal Psychotherapy:IPT)**は、対人関係の問題(悲嘆・役割の変化・役割葛藤・対人技能の欠如)に焦点を当てた心理療法です。

神経性過食症では、対人関係のストレスが過食のトリガーになることが多いため、対人関係を改善することで過食嘔吐の改善を目指します。

CBT-Eと同等の長期的効果を示すことが研究で示されており、CBT-Eが合わない場合の代替選択肢として推奨されています。


11. 【治療③】薬物療法

フルオキセチン(選択的セロトニン再取り込み阻害薬:SSRI)

フルオキセチンは神経性過食症に対してFDA(米国食品医薬品局)が承認した唯一の薬剤です(日本では適応外使用が多い)。高用量(60mg/日)での使用が過食嘔吐の頻度を有意に減少させることが示されています。

日本で使用されるSSRI

日本ではフルオキセチンは使用できないため、フルボキサミン・セルトラリン・エスシタロプラム等の他のSSRIが摂食障害・合併するうつ病・不安症の治療に使用されます。

薬物療法の位置づけ

薬物療法は心理療法(CBT-E)との組み合わせで最も効果を発揮します。薬だけで過食嘔吐が完全に治ることは少なく、心理療法・環境調整との組み合わせが前提です。

合併疾患への薬物療法

  • 合併するうつ病への SSRI
  • 合併する不安症への SSRI・抗不安薬
  • 睡眠障害への睡眠薬
  • 合併するADHDへの ADHD 治療薬

12. 【治療④】栄養指導・食行動の正常化

なぜ「規則正しい食事」が治療の核心なのか

過食嘔吐の悪循環の根本には、食事の極端な制限・絶食が反動としての過食を引き起こすというメカニズムがあります。

「食べてはいけない→我慢できなくなって大量に食べる→嘔吐する→また食べてはいけない」という悪循環を断ち切るためには、「普通に食べること」を取り戻すことが治療の核心です。

栄養指導の内容

  • 1日3食の規則正しい食事を取り戻す
  • 「禁止食品」を作らない(特定の食品を禁止するほど食べたくなる)
  • 過食なく食べられる量の感覚を取り戻す
  • 「食べることへの罪悪感」を段階的に減らす

管理栄養士との連携

重症例・長期の食行動の乱れがある場合は、管理栄養士による栄養指導との連携が有効です。


13. 回復の経過——回復はどのように進むか

回復は直線的ではない

摂食障害の回復は「良くなったと思ったら戻った」という波を繰り返しながら、長期的に改善していきます。「また過食してしまった」ことを「失敗・再発」と捉えず、**「回復のプロセスの一部」**として理解することが重要です。

回復の段階

初期(治療開始〜数週間): 食事記録・モニタリングを始め、過食のパターンを把握する段階。すぐに改善しなくても正常です。

中期(1〜3か月): 規則正しい食事パターンが少しずつ安定し始める。過食の頻度が徐々に減少してくることが多い。一方で「食事制限ができない不安」や「体重への恐怖」が前景に出やすい時期でもある。

後期(3か月〜1年以上): 過食嘔吐の頻度が著しく減少し、食事の正常化が進む。食べることへの罪悪感・体型への強いこだわりが和らぐ。

回復に時間がかかる理由

  • 過食嘔吐は慢性化しやすい疾患で、平均的な回復には数年単位の時間がかかることもある
  • 合併する精神疾患(うつ・不安・トラウマ)への対応が必要
  • 体重・体型への認知の変化は行動の変化より遅れて起きる

完全回復の可能性

適切な治療を受けた神経性過食症患者の多くで、長期的な改善・回復が可能です。「摂食障害は一生治らない」という誤解は正しくありません。治療継続と適切なサポートによって、過食嘔吐から解放され、普通に食事を楽しめるようになった方が多くいます。


14. 保護者・家族ができること

知っておくべきこと

①過食嘔吐は本人も苦しんでいる 「なぜこんなことをするの」「やめなさい」という叱責は、本人を追い詰めるだけです。本人は誰より「やめたい」と思っています。

②発見・指摘の仕方が大切 「トイレで変な音がする」「食品がなくなる」「体の変化」等に気づいたとき、責めるような言い方は避け、「最近つらそうに見えるけど、何か悩んでいることがある?」という関わりが大切です。

③食事・体重の話題の持ち出し方 「食べた?」「今日は何を食べた?」という過度な質問、体重や体型への言及は、本人にプレッシャーを与えます。食べることより「今日どんな1日だった?」という関心の向け方が重要です。

④専門家への受診サポート 受診を勧めるとき、「あなたがおかしい」ではなく「一緒に楽になる方法を探そう」という姿勢で。本人が強く拒否する場合は、まず保護者だけで相談することも有効です。

家族自身のケア

摂食障害を持つ家族を支えることは、保護者・家族にとっても大きな負担です。家族自身のメンタルヘルスのケアも重要であり、必要であれば家族へのサポートグループ・家族カウンセリングを活用してください。


15. 「受診するのが怖い」という方へ

受診をためらう気持ちはよくわかる

「精神科・心療内科に行くのは怖い」「自分のことを変だと思われる」「家族に知られたくない」——摂食障害を持つ方が受診をためらう気持ちは、とてもよく理解できます。

受診して損はない

受診することで:

  • 「なぜこうなってしまったのか」が医学的に理解できる
  • 一人で抱え込まなくていい人ができる
  • 体への影響(電解質異常等)を評価してもらえる
  • 効果のある治療を受けることができる

**受診することで怒られたり・強制入院させられたりすることはありません。**初回の受診は「話を聞いてもらうだけ」から始めることができます。

まず相談窓口に連絡することも

受診する前に、電話や相談窓口で話を聞いてもらうことも選択肢のひとつです。

  • 摂食障害の相談窓口: 各都道府県の摂食障害支援拠点病院に相談窓口が設置されています
  • よりそいホットライン: 0120-279-338(24時間)

16. よくある質問(FAQ)

Q. 過食嘔吐は自分の意志でやめられますか?

A. 非常に難しいです。過食嘔吐は脳の報酬回路・ストレス反応・栄養状態等が複合的に絡み合った医学的な問題であり、「意志の力だけでやめる」ことは多くの方にとって困難です。適切な医療的サポート(CBT-E・薬物療法等)を受けることで、回復の可能性が大きく高まります。

Q. 体重は標準範囲内ですが、過食嘔吐があります。受診が必要ですか?

A. はい、必要です。神経性過食症は標準体重・標準以上の方でも発症し、繰り返す嘔吐による電解質異常は体重に関わらず生命に関わる危険をもたらします。体重が「正常」であっても、過食嘔吐があれば専門医への受診が必要です。

Q. 親に知られずに受診できますか?

A. 未成年の場合、原則として保護者の同意・同伴が必要です。ただし、まず一人で電話相談から始めることは可能です。「親に言えない」という場合は、受診時にそのことも含めて相談してください。

Q. 治療にどのくらい時間がかかりますか?

A. 個人差がありますが、標準的なCBT-Eは約5か月(20回のセッション)で、多くの方が改善を実感します。ただし完全な回復・再発防止には1〜数年の継続的なサポートが必要なことも多いです。「長い」と感じるかもしれませんが、一歩ずつ確実に回復に近づいていきます。


17. 和光医院での診療について

名古屋市千種区にある和光医院は、児童精神科を専門とするクリニックです。摂食障害(神経性過食症・過食嘔吐)の診断・治療に専門的に対応しています。

当院が大切にしていること

「やめたいのにやめられない」という苦しさを抱えながら、誰にも言えずに一人で悩んでいる方の気持ちを、まず丁寧に受け止めることから始めます。責めたり・批判したりすることなく、一緒に回復への道を考えます。

当院での対応内容

  • 神経性過食症・摂食障害の診断・重症度評価
  • 身体的評価(血液検査・心電図等)の実施・調整
  • 認知行動療法(CBT-E)に基づく心理的アプローチ
  • 薬物療法(SSRI・合併疾患への対応)
  • うつ病・不安症・PTSD・発達障害等の合併疾患の評価・治療
  • 保護者・家族への心理教育・サポート
  • 必要に応じた専門機関(摂食障害専門外来・栄養士)への紹介

こんな方はぜひご相談ください

  • 過食嘔吐が止まらない・やめたいのにやめられない
  • 過食嘔吐が週に複数回起きている
  • 食べることへの罪悪感・体型への強いこだわりがある
  • 過食嘔吐を誰にも言えずに一人で抱えている
  • うつ・不安・トラウマと過食嘔吐が重なっている
  • 保護者として子どもの過食嘔吐が心配
  • まず相談だけでもしてみたい

一人で抱え込まないでください。「やめたい」と思っているあなたの気持ちは、回復への第一歩です。まずご連絡ください。本人が来られない場合も、保護者だけのご相談から始めることができます。


まとめ

  • 過食嘔吐(神経性過食症)は「意志が弱い」のではなく、脳・心理・社会的要因が複合した医学的な疾患です
  • 診断基準(DSM-5)では過食エピソード+代償行動が週1回以上・3か月以上続くことが要件です
  • 繰り返す嘔吐による電解質異常(低カリウム血症)は生命に関わる危険があります
  • 最も効果的な治療はCBT-E(強化版認知行動療法)で、約5か月・20回のセッションで多くの方が改善します
  • 薬物療法(SSRI)はCBT-Eとの組み合わせで使用されます
  • うつ病・不安症・PTSD・発達障害との合併が多く、並行した治療が重要です
  • 「やめたいのにやめられない」という状況は、一人で解決しようとせず専門家に相談することが回復への最短ルートです

和光医院(名古屋市千種区)児童精神科専門クリニック お問い合わせ・ご予約はお電話またはウェブ予約にて承っております。


※もし今、過食嘔吐以外にも自分を傷つけたい気持ちや、消えてしまいたいという気持ちがある方は、一人で抱え込まずに、いのちの電話(0120-783-556)やよりそいホットライン(0120-279-338)にご連絡ください。

 

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  • 明細書について:当院では、療養費規則に基づき明細書の発行を無料で行っています。
  • 一般名による処方について:後発医薬品が存在する場合は、商品名ではなく一般名(有効成分名)で処方することがあります。
  • 医療情報の活用について:当院では、安心な医療を提供する為、オンライン資格確認や電子処方箋データ等の情報を活用して診療を行っています。