2026.01.12ブログ
境界性パーソナリティ障害とADHDの合併について―「性格の問題」ではなく、発達とこころの特性の重なりとして考える
境界性パーソナリティ障害とADHDの合併について
―「性格の問題」ではなく、発達とこころの特性の重なりとして考える
「感情の波が激しい」
「人間関係がうまくいかない」
「衝動的な行動を止められない」
こうした症状が続く場合、
**境界性パーソナリティ障害(BPD)とADHD(注意欠如・多動症)**が
合併しているケースがあることが近年注目されています。
特に思春期〜青年期では、
「どこまでが発達特性で、どこからがパーソナリティの問題なのか」
判断が難しいことも少なくありません。
境界性パーソナリティ障害(BPD)とは
境界性パーソナリティ障害は、
感情・対人関係・自己像・衝動性の不安定さを特徴とする精神疾患です。
主な特徴
感情の上下が激しい
見捨てられ不安が強い
対人関係が極端(理想化と失望の繰り返し)
衝動的行動(暴言・自傷・過量服薬など)
空虚感・自己否定感
「わがまま」「性格の問題」と誤解されやすいですが、
脳の感情調整機能の弱さが背景にあります。
ADHD(注意欠如・多動症)とは
ADHDは発達障害のひとつで、
不注意・多動性・衝動性を主な特性とします。
思春期以降に目立ちやすい特徴
衝動的に行動・発言してしまう
感情の切り替えが苦手
イライラしやすい
対人トラブルが多い
自己評価が下がりやすい
子ども時代は「落ち着きのなさ」が目立っていても、
成長とともに感情面・対人面の困難が前面に出ることがあります。
なぜBPDとADHDは合併しやすいのか?
① 衝動性が共通している
ADHD:考える前に行動してしまう
BPD:感情に引きずられて行動してしまう
この衝動性の重なりにより、
怒りの爆発・対人トラブル・自傷行為などが起こりやすくなります。
② 感情調整の弱さが重なる
ADHDのある方は、
感情のブレーキがかかりにくい
切り替えに時間がかかる
ため、失敗体験や対人ストレスが積み重なると、
BPD的な感情の不安定さが形成されやすいと考えられています。
③ 環境要因の影響を受けやすい
ADHDの特性が理解されずに
叱責が多い
否定され続ける
孤立する
といった環境が続くと、
自己肯定感の低下や見捨てられ不安が強まり、
BPD様の症状が出やすくなることがあります。
「どちらが先?」は重要?
臨床では、
子ども時代からADHD特性があり
思春期以降にBPD様症状が目立つ
というケースが少なくありません。
そのため、
ADHDを背景としてBPD様症状が二次的に形成される
と考えられることも多く、
両方の視点から評価することが重要です。
合併している場合の治療の考え方
① ADHDへの適切な治療
ADHDの薬物療法
環境調整
特性理解
により、
衝動性や感情の爆発が軽減することがあります。
② 感情調整・対人関係への支援
心理療法(例:DBT的アプローチ)
感情の言語化練習
安全な対人関係の構築支援
BPD症状に対しては、
**「行動を責める」のではなく「感情を整える支援」**が中心です。
③ 「診断名」より「困りごと」を重視
大切なのは、
診断名をつけること自体
ではなく、
いま何に困っているか
どんな支援が必要か
を丁寧に整理することです。
周囲が知っておきたい大切な視点
感情の激しさは「甘え」ではない
衝動的行動は「わざと」ではない
適切な支援で改善する可能性がある
という理解が、本人・家族双方を守ります。
きもとメンタルクリニックでの診療について
神奈川県厚木市の きもとメンタルクリニック では、
児童精神科専門クリニックとして、
ADHDとパーソナリティ特性の鑑別
思春期・青年期の感情不安定への評価
ご本人・ご家族への丁寧な説明
長期的な視点での治療・支援
を行っています。
「性格の問題なのか分からない」
「診断が複雑で混乱している」
そのような段階からのご相談も大切にしています。
まとめ
BPDとADHDは合併することがある
共通点は「衝動性」と「感情調整の弱さ」
ADHD特性を理解・治療することで症状が軽くなる場合も
早期の専門的評価が、回復への近道になる



