2024.03.13ブログ
今回は小児の注意欠如多動性障害(ADHD)の生育歴について解説します。
今回は小児の注意欠如多動性障害(ADHD)の生育歴について解説します。 ADHDの生育歴は、多動・衝動性が強い場合は分かりやすいですが、不注意がメインである場合、小さい時は目立ちにくいことが多いです。 保育園、幼稚園くらいの時は気が付かれないかもしれません。 小学校に入ると、すわりの授業が始まりますから、以下のようなことで困るようになります。 集中力の欠如: 長時間注意を維持することが困難で、しばしば注意が散漫になります。授業中や宿題をする際など、注意を要する活動に集中するのが特に難しいことがあります。 細かいミスを頻繁に犯す: 学校のテストや宿題などで、注意不足による小さなミスを犯すことがあります。 指示に従うのが困難: 複数のステップを含む指示やタスクを完了するのが難しく、途中で何をすべきか忘れることがあります。 日常の物の紛失: 鉛筆、教科書、おもちゃなど、日常的に使う物を頻繁に失くします。 組織化の問題: 学校の課題や日常生活において、物事を整理し、計画するのが難しいです。 易怒性: 些細なことでイライラしやすい傾向があります。 夢見がちな態度: 授業中や会話の最中に、しばしば「ぼーっとする」または「夢見がち」になることがあります。 作業の完了が困難: 始めた活動やタスクを最後まで続けるのが難しいことがあります。 これらは基本的には本人の気合不足や努力不足で片付けられてしまいがちなことです。 ですので、本人は努力しているのにうまくいかず、怒られ続けている、ことがあります。 これはかなり自己評価が低下します。 そして養育者、主に母親になると思いますが、母親もまわりから子育ての仕方や教育の仕方が悪いんじゃないかとやめられ続けていることがあります。 子どもも、母親も、両方自己評価下がっているケースが多いのに、クリニックでさらに母親の本人への対応について指導が入ったりすると、もう限界でしょう。 ADHDの診断がつくのであれば、まずは本人の努力だけではどうにもできないことがあったこと、そのことを子どもも母親も、いったん腑に落ちることが重要です。 肩の荷が少し降りることもあるでしょうし、頑張ってきたことをねぎらってあげる必要あります。 治療とは、そのあたりが本人たちの中で整理がついてからでも遅くないと思います。 まとめ 小児の注意欠如多動性障害(ADHD)の生育歴について解説しました。 ADHDに限らず自閉性スペクトラム障害、アスペルガー障害、広汎性発達障害など、病名はなんでもいいですが、生来の苦手さがある場合、それが本人の努力不足、養育者の育て方に原因をもっていかれてしまうことがあります。 それで解決するならばいいですが、そうでないのであれば、いったん整理し、症状の部分、努力不足な部分、をある程度わけてあげないと、自己評価が下がりまくってしまいます。 このあたり診断がつくことと同じくらい重要ですから、忘れないでいてください。