2024.08.15ブログ

自閉性スペクトラム障害、ADHDに対するTMS治療の有効性、臨床試験結果、私見について解説します。

今回は、自閉性スペクトラム障害、ADHDに対するTMS治療の有効性、臨床試験結果、私見について解説します。


当法人は、日本にTMS治療が導入された直後から外来治療に導入してきました。
これまで子どもから大人まで多くの方にTMS治療を行ってきており、データも蓄積しています。

自閉性スペクトラム障害やADHDの方にもTMS治療を多く行ってきました。

外来経過を見てきた印象としては、ASD、ADHDの診断がついていたとしても、その他の症状も多くの方が混在しており、複合的に調子を崩しています。

そういう状況ですので、TMS治療は脳細胞を基本的には活性化し、もとの状態に戻すのを促進します。
脳細胞の状態を修復、再生していくので、多くの方に一定の効果を認めていました。

結果として、コミュニケーション力や、不注意、衝動性、多動が改善しているケースも少なからず存在しています。

内服と比べても、そのリスクと効果を考えると、治療として見劣りしていないと思います。


<自閉性スペクトラム障害、ADHDに対するTMS治療の有効性、プロトコール、臨床試験の結果、について>

経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation、TMS)は、特定の脳領域に磁気パルスを送り、神経活動を調整する非侵襲的な治療方法です。TMSは主にうつ病の治療に使用されていますが、自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠如・多動性障害(ADHD)のような他の神経発達障害に対しても潜在的な効果があると研究されています。

(1)TMS治療の有効性
*自閉症スペクトラム障害(ASD)に対するTMS
自閉症の治療において、TMSは特定の脳領域の活動を調節することで、コミュニケーション能力の改善、反復的・限定的な行動の減少、社会的スキルの向上を目指します。初期の研究は、一部のASD患者においてこれらの領域での改善が見られたことを示していますが、結果はまだ限定的であり、より広範な臨床試験が必要です。

*注意欠如・多動性障害(ADHD)に対するTMS
ADHDの場合、TMSは主に前頭前野などの注意制御に関与する脳領域をターゲットとします。一部の研究では、TMS治療が注意力、衝動制御、活動レベルの改善に寄与する可能性が示されています。ただし、これらの結果も初期段階のものであり、さらなる研究が必要です。

(2)TMSのプロトコール
TMSのプロトコールは、対象となる障害や症状、そして患者の個々の反応に応じて異なります。一般的には、治療期間中に週に数回、1回のセッションで数分から30分程度の磁気刺激が行われます。具体的なプロトコールには以下のようなものがあります:

高周波TMS(rTMS): 活動が低いと考えられる脳領域を活性化させるために用いられます。
低周波TMS: 過活動と考えられる脳領域の活動を抑制するために用いられます。

(3)臨床試験の結果
TMSに関する臨床試験はまだ十分とは言えませんが、いくつかの研究では以下のような結果が報告されています:

ASD: 小規模な試験で、社会的認知や言語処理において改善が見られる例があります。しかし、これらの効果は一時的かつ限定的であることが多いです。
ADHD: ADHDの子どもや成人に対するTMS治療の予備的な試験では、注意力や行動制御の向上が報告されていますが、これらの結果を確認するためには更に大規模な研究が必要です。

(4)注意点と副作用
TMS治療は比較的安全であるとされていますが、頭痛、頭皮の不快感を引き起こす可能性があります。


まとめ
今回は、自閉性スペクトラム障害、ADHDに対するTMS治療の有効性、臨床試験結果、私見について解説しました。

まだ臨床試験は小規模なものが多いですが、いずれ大規模スタディーが行われていくでしょう。

実臨床での感触としては、治療として成立していると思います。

内服を使わない、もしくは減らしていきたいと考えている方はぜひご相談ください。
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