2026.06.12ブログ

ビバンセがADHD治療薬として最初から使えるようになりました

児童精神科で考えるADHD治療薬の選び方

ビバンセがADHD治療薬として最初から使えるようになりました

児童精神科で考えるADHD治療薬の選び方

こんにちは。
神奈川県厚木市の児童精神科専門クリニック、きもとメンタルクリニックです。

ADHD(注意欠如・多動症)の治療薬であるビバンセについて、これまで日本では「他のADHD治療薬で効果不十分な場合に使用する」という条件がありました。

しかし2026年6月、厚生労働省によりこの承認条件の一部が解除され、ビバンセをADHD治療薬として新規患者さんにも選択できるようになりました。つまり、診察上必要と判断される場合には、他剤を必ず先に試さなくても、治療開始時からビバンセを選択できるようになったということです。


ビバンセとはどんな薬?

ビバンセは、一般名をリスデキサンフェタミンメシル酸塩といいます。

ADHDの主症状である

  • 不注意
  • 多動性
  • 衝動性

の改善を目的として使用される薬です。

ビバンセはプロドラッグという特徴を持つ薬で、服用後に体内で徐々に活性体へ変換される仕組みです。そのため、急激な血中濃度上昇を抑えながら、効果が持続するよう設計されています。


これまでのビバンセの位置づけ

これまでビバンセは、有効性の高いADHD治療薬である一方、乱用・依存リスクへの配慮から、使用には厳格な管理が必要とされてきました。

そのため、以前は

  • 他のADHD治療薬で効果が不十分
  • または副作用などで継続困難

と判断された場合に使用を検討する薬という位置づけでした。

今回の変更により、この「他剤で効果不十分な場合に限る」という条件が解除され、新規のADHD患者さんにも処方選択肢として考えられるようになりました。


ただし、誰にでも簡単に使える薬ではありません

ビバンセは、最初から使えるようになったとはいえ、管理が不要になったわけではありません。

現在も、

  • ADHD診療に精通した登録医師
  • 登録医療機関
  • 登録薬局
  • 患者登録
  • 文書による説明と同意

が必要です。

添付文書でも、ビバンセはADHDの診断・治療に精通し、薬物依存を含むリスクを管理できる医師・医療機関で、登録患者に対してのみ投与することが求められています。また、患者さんまたは代諾者に対して有効性・安全性・目的外使用や他人への譲渡禁止について文書で説明し、同意を得る必要があります。


ビバンセが合いやすいお子さん

ビバンセは、以下のようなケースで選択肢となります。

  • 不注意が強い
  • 衝動性が強い
  • 学校生活で集中困難が目立つ
  • 朝から夕方まで効果を安定させたい
  • 他の薬で十分な効果が得にくい
  • 服薬回数を少なくしたい

ただし、薬の選択は症状だけでなく、年齢、体重、生活リズム、学校で困っている内容、併存症、不安、睡眠、食欲などを総合して判断します。


ADHD治療薬は「どれが一番強いか」ではなく「どれが合うか」

ADHD治療薬には、ビバンセ以外にも

  • コンサータ
  • ストラテラ
  • インチュニブ

などがあります。

それぞれ作用の仕方、効果の出方、副作用、向いている症状が異なります。

たとえば、

コンサータは日中の集中力や行動面の改善を期待して使われます。

ストラテラは不安やチック、睡眠への影響を考慮しながら選択することがあります。

インチュニブは衝動性、多動性、情緒の不安定さが目立つお子さんで検討されることがあります。

ビバンセは効果の持続性や不注意・衝動性への効果が期待される一方で、食欲低下、不眠、動悸、体重減少などに注意が必要です。

大切なのは「強い薬を使うこと」ではなく、その子の困りごとに合った薬を、必要な量で、安全に使うことです。


薬だけでADHDが治るわけではありません

ADHD治療では薬物療法が有効なことがありますが、薬だけで全てが解決するわけではありません。

大切なのは、

  • 学校での環境調整
  • 家庭での声かけ
  • 宿題や準備の工夫
  • 睡眠リズムの調整
  • 保護者支援
  • 必要に応じた心理的サポート

を組み合わせることです。

薬は、お子さんが本来持っている力を発揮しやすくするためのサポートです。


きもとメンタルクリニックでの考え方

きもとメンタルクリニックでは、ADHDのお子さんに対して、最初から薬を決め打ちするのではなく、

  • どの場面で困っているのか
  • 家庭と学校で症状に違いがあるか
  • 睡眠や食欲はどうか
  • 不安や抑うつがないか
  • ASDやチックなどの併存がないか
  • 保護者や学校がどのように困っているか

を確認したうえで治療方針を考えます。

今回、ビバンセが最初から選択できるようになったことで、ADHD治療の選択肢は広がりました。

一方で、適正使用管理は引き続き必要であり、安全性を確認しながら慎重に使用することが重要です。


まとめ

ビバンセは、2026年6月の承認条件一部解除により、ADHD治療薬として新規患者さんにも選択できるようになりました。

ただし、登録医師・登録医療機関・登録薬局での管理、患者登録、文書同意などは引き続き必要です。

ADHD治療では、薬の選択肢が増えることは大きなメリットですが、最も大切なのは、お子さん一人ひとりの特性に合わせて治療を組み立てることです。

お子さんの不注意、多動、衝動性、学校生活での困りごとが気になる場合は、児童精神科専門クリニックへご相談ください。

神奈川県厚木市
児童精神科専門クリニック
きもとメンタルクリニック

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