2025.08.02ブログ

ADHDと寝起きの悪さの関係とは?~朝がつらいのには理由があります~

ADHDと寝起きの悪さの関係とは?
~朝がつらいのには理由があります~

こんにちは。
神奈川県厚木市、児童精神科専門クリニック、きもとメンタルクリニックです。

「朝、何度起こしてもなかなか起きない」
「布団から出られず、学校へ行く準備が進まない」
「起きても機嫌が悪く、会話が成り立たない」
――こうした朝の困りごとに悩んでいる保護者の方は少なくありません。

実はこうした「寝起きの悪さ」は、ADHD(注意欠如・多動症)のお子さんによく見られる特徴のひとつです。今回は、ADHDと朝の不調の関係について、専門的な視点から分かりやすくご説明します。

なぜADHDの子どもは寝起きが悪いの?
ADHDは、「集中力が続かない」「落ち着きがない」といった行動面に注目されがちですが、実はそれだけではありません。
ADHDの根底には、脳内の覚醒系や神経伝達物質(ドパミン・ノルアドレナリンなど)の働きのアンバランスがあります。これは**「脳の目覚め」にも影響**するため、以下のような問題を引き起こしやすくなります。

✅ ADHDで寝起きが悪くなる主な理由
入眠困難(寝つきの悪さ)
 考えごとが止まらず、興奮状態が続いてなかなか眠れない。

睡眠の質の低下
 眠っていても浅く、夜中に目が覚めやすい。

起床時の覚醒困難
 朝になっても脳がスッキリ起きず、ぼーっとしている時間が長い。

体内時計のズレ(概日リズム障害)
 生活リズムが不規則になりやすく、夜型に傾きやすい。

起立性調節障害の合併
 特に思春期では、血圧調節がうまくいかず、立ちくらみや倦怠感、朝の動けなさに繋がることもあります。

「怠け」ではありません。脳の特性です
朝の不機嫌や寝起きの悪さに対して、「もっとしっかりしなさい」「甘えないで」と言ってしまう親御さんも多くいらっしゃいます。しかし、ADHDの子どもにとって「朝つらい」は、甘えではなく“脳の起きにくさ”という特性のひとつです。

朝スムーズに動けないことで自尊心が下がったり、保護者との関係がぎくしゃくしてしまったりすることもあるため、特性として理解し、適切にサポートすることがとても大切です。

ご家庭でできる工夫
お子さんの朝の辛さを少しでも軽減するために、以下のような対応が役立ちます。

夜は寝る1時間前から照明を落として、静かな環境を作る

寝る直前のスマホ・ゲームは控える

毎朝決まった時間にカーテンを開けて、太陽光を浴びさせる

朝の食事には温かい飲み物やスープなどで内臓から刺激

起きられないことを責めず、「今日も起きるの大変だね」と共感する声かけを心がける

医療的サポートもあります
症状が強く、朝の登校が毎日困難になるような場合は、医療的な支援も検討しましょう。

概日リズムの調整に効果的な薬(メラトベルなど)

起立性調節障害に対する薬物療法(ミドドリンなど)

覚醒を助ける処方(モディオダール、インチュニブなど)

ADHD治療薬による全体的な生活リズム改善

など、症状に応じた選択肢があります。特に思春期に入ると、ホルモンバランスや自律神経の影響も大きくなるため、専門医の診察を受けておくことが望ましいです。

最後に
お子さんの「寝起きの悪さ」は、叱っても解決するものではありません。
脳の特性を理解し、寄り添いながら工夫とサポートを重ねていくことで、少しずつ改善していくことができます。

「毎朝つらそうで、親もつらい」
そんな時は、どうか一人で抱え込まずにご相談ください。


お子さん一人ひとりの「生きやすさ」のために、私たちが全力でサポートいたしま
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